地方議員は1%の支持で当選できる。2%ならトップ当選だ。
地方議員になるには、誰にでも愛想を振りまく必要はない。有権者の100人に1人。1%の人があなたを選んでくれればいい。99%からどんなに嫌われようが関係ない。たとえば横須賀市議選の場合、有権者34万人の1%は3,430票。前回の最下位当選は1,921票だから、1%なら余裕で当選できる。ちなみに、有権者の2%は6,860票で、前回のトップ当選が6,626票だ。この「1%の法則」と「2%の法則」は、大半のまちで当てはまる。自分のまちの選挙結果で確かめてみよう。*
*ただし、これは大選挙区制の一般市区町村の話。ごく一部のまち(中選挙区制の都道府県や政令市)には当てはまらない。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.32】
首長選や衆院選のような1人を選ぶ選挙では、敵をつくらないことも大事。
前回、地方議員は1%の得票で当選できると書いた。ただし、首長選や衆院選は別だ。首長も小選挙区も1人を選ぶ選挙。有効投票数の40?50%は獲得しなければならない。1%のファンならつくれても、50%のファンはなかなかつくれない。むしろ、たとえ誰一人好きになってくれなくても、半分以上の人が「他の候補者より、まだマシかなあ」と思ってくれればいいのだ。だから、比較優位に立つには、まずは嫌われないことも大事になる。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.33】
政治家は年賀状を出してはいけない。
政治家は、自分の選挙区内の有権者に年賀状や暑中見舞などを送ることが公職選挙法で禁じられている。理由はいくつかある。第1に、政治家をしばる公選法の精神は「政治にお金がかからないようにすること」だ。この人に送ってあの人に送らないわけにはいかない。そうすると大量になり、1枚62円とはいえかなりのお金がかかるため禁止している。第2に、政治家からの挨拶ハガキは「選挙のときには応援よろしくね」という意味にとられる。これは選挙期間外の「事前運動」と見なされかねない。第3に、年賀状や暑中見舞のハガキには当たりくじもついているので「利益供与」にもなりかねない。だから、年賀状をよこさない政治家は、礼を欠いているのではなく法を守っているのだ。ただし、もらった年賀状などに返事のハガキを手書きで出すことは問題ない。なお、私は政治家になる前からだから、筆不精の言い訳に使っている。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.34】
選挙カーは、「センシャ」と呼ぶ。
ワンボックスの車、たいていは白い色で、上に看板がついていて、大型スピーカーを乗せている。政治家以外ではなかなかお目にかかれない、あの車。この業界では「センシャ」と呼ぶ人が多い。正式名称は、選挙期間中は選挙カー、その他の期間は街頭宣伝車(略して街宣車)だ。だが、呼び分けるのが面倒なのと、「選車」「宣車」の他に選挙戦の武器となる「戦車」を掛けて「センシャ」と呼ばれる。正式な由来はわからないが、たぶんそうじゃないかと思う。ちなみに、候補者が手を思いっきり振れるよう、助手席の窓が全開になる車種は人気がある。あと、屋根に櫓を組んで候補者が車上に立てるカスタマイズも人気だ。さらに、夜でも看板が見えるよう照明付きも人気だ。ただし、車のバッテリーに負担がかかるため、最近ではLEDタイプが人気だ。このように、大事な商売道具だけに、涙ぐましい改善努力が積み重ねられている。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.35】
女性はウグイスだが、男版はカラスと呼ばれる。最近ではオウムもいる。
選挙カーでマイクを握る女性運動員を「ウグイス」「ウグイス嬢」と呼ぶ。これなら、みんな知っている。これが男の場合、ギョーカイでは「カラス」と呼ぶ。ちなみに、候補者が休憩中、助手席に候補者とやや似た人を乗せて、あたかも本人が精力的に活動しているように見せる場合には「影武者」と呼ぶ。最近では、本人の声をICレコーダーに録音してオウム返しにリピートさせるなど巧妙化している。どうやら、選挙は鳥類に縁があるのかも。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.36】
あなたのサイフに勝手に手を突っ込めるのは、泥棒と行政だけだ。
ドラえもんのジャイアン風に言えば、日本は「俺のものは俺のもの。お前のものはお前のもの」だ。つまり、財産権が保障されている。しかし、あなたの財産に手をつけられるものがある。それは、行政だ。あなたは税金を払っている。買い物みたいに選ぶことはできない。納税は義務だ。強制的に徴収される。つまり、行政は勝手にあなたのサイフに手を突っ込める。ただし、あなたの代表(議員)が決めたルール(法律)に基づかなければ、税金を徴収されることはない。その意味では、勝手にとられるわけではない。それ以外に、あなたの財産に手をつけたら、その瞬間に違法。つまり泥棒だ。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.37】
沖縄県は、公職選挙法の治外法権になっている……ように見える。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.38】
議員はコスパ。
ある会合で議員報酬の話になったとき、市民に言われた言葉。「議員報酬はいくらがいいのかって? それはね、要するに議員ってのはコスパなんだよ。小林くんは市民にとってコスパのいい議員なの? そういう話だよ」。なるほど。イマドキの言葉でわかりやすいなあ。コストパフォーマンスか。さあ、考えてみよう。その議員は、市民にとって雇っておく価値のある人ですか? その議員達を、いくらで雇えるなら安いと思いますか?
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.39】
街中でよく見かける政治家の看板。「連絡所」と書いてあるが、たいがいはタテマエだ。

※写真は、私の立札看板。断っておくが、これは本当の事務所の看板である。
【中学生にもわかるセイジの話:Vol.40】
日本の国会はイギリス式、地方政治はアメリカ式だ。
議会制度はイギリスで形づくられたと言われる。日本では大正デモクラシーの時期に、そのイギリスと同様の議院内閣制に近づいていった。つまり、国会議員の中から行政トップの首相を選ぶしくみだ。一方、地方にも議会はあったものの、首長は国が送り込む仕組みだった。いわゆる官選首長だ*。その後、第二次大戦で負けた日本は、アメリカの占領下に置かれた。このとき、GHQの指導の下、中央集権だった日本は地方分権に改められ、地方自治制度が整えられた。そして、地方はアメリカに多い大統領制となった。つまり、議員とは別に、行政トップの首長も選挙で選ぶ仕組みだ。……どうせアメリカに似せるなら、今後は憲法改訂して、アメリカみたいに地方でも議院内閣制か大統領制か直接民主制か、自由に選べるようにすればいいのになあ。
*ただし、国へ「この人をぜひ市長に」と要望することで、実質的に議会が首長を選ぶ面もあったようだ。その意味では、議院内閣制的な性格もあったと言えるかもしれない。
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