だからこそ、会社だったら預金も内部留保もある。
家庭であれば、貯金やタンス預金などがある。
ところが、横須賀市役所など行政には貯金らしい貯金がない。その年度に使うお金は、その年度の税金等を充てることになっているからだ。だから、小口の預金はあっても貯金的な預金はない。基本的に借金もできない。それじゃ、いくら何でもやりくりできないので、タンス預金ならある。
それが「財政調整基金」というものだ。他の資金繰り手段が限られているため、市にとっては企業の内部留保以上に重みがある。
この財政調整基金については、経営監督をするうえでも重要だし、3月議会でも何度も議論があったので、経年で追って分析してみた。それが右上のグラフだ。Tableauでも見られるようにしておいた。財務課にもらった数字を入れた元データも共有しておく。
→財政調整基金20210427(Excelファイル)
財政調整基金は基準財政需要額の10%~20%が目安とされる。毎年の基準財政需要額を出すのが大変だったので、代わりに一般会計予算額(最終補正後)と対比をしている。横須賀市の蓄えは決して潤沢ではないことがわかる。
これを見ると、1999年に沢田市長が一度、タンス預金を全て遣い切っていたということがわかる。これには少し驚いた。ただし、その後しっかり積み増しているので、資金繰りがショートしない目算はあったのだろう。
蒲谷市長と吉田市長の予算編成においては、大きな変化はない。ただし、吉田市長の後半は基金が減少気味で予算編成に苦労した感だ。あの「財政規律ばかりで新規投資に後ろ向き」と批判された吉田市長ですら積み増せなかったということだ。
近年は、ただでさえ福祉関係の支出が自動的に増えていくので、他を切りつめないといけない。また、予算規模も昔より大きくなっているので、同じ基金残高でも割合としては下がる面もある。
上地市長は選挙時に積極投資をうたっていたこともあり、2019年に基金の残高・割合ともに大きく減らしている。また、2020年にはコロナ対策もあって、大幅に減らしている。
いざというときのタンス預金なので、コロナ禍はまさに「いざというとき」だ。しかし、3~4年続いたスペイン風邪の例を見れば、コロナ禍も長期化する可能性もある。この調子では資金繰りが持たなくなる。上地市長は、財政出動の一方で、もっと行政改革を進めてコストカットしなければならないはずだ。私から見れば不十分だ。
そして、行財政改革は本来、議会の仕事であり、それが議会の責任感だと考えている。しかし、私の提案は蹴られてしまった。今は、気付いたことを指摘するだけしかできないので、コツコツ続けていきたい。
この記事へのコメント
ひまわり
いざという時に財源を増やすためにも市民の活性化が起こる行政改革は必要だと思います。何が市民の求めるお金の使い方か私達市民もしっかり考えを伝えなければダメですね。