天神島の自然破壊を許したのは、市の役人でした

※本件記事には私の早合点による誤りがあったため、修正しました。ただし後日、私の誤りを検証できるよう、原文は下記記事に貼り付けました。
 →「生涯学習課長への謝罪文:責任は上地市長以下の職員にありました。」


 本当に残念なお知らせだ。
 天神島・笠島の自然保護区を無許可で破壊された件については、2020/12/23の記事「湘南サニーサイドマリーナによる環境保護区破壊」でお伝えしていた。

 この記事には、「県と市と事業者が『ついうっかり』環境破壊をしたようです。」と書いた。当時は、つい自然保護区にかかることを気付かず、うっかり工事を許可したのだと思っていたのだ。湘南サニーサイドマリーナ(株)は同じ社長が30年前にも同じような工事をしているので知っていただろうが、県と市の担当者は人事異動などもあるため、気付かなかったのだろうと考えていた。

 ところが、全く違った。
 県と市の担当者は、知っていて黙認したのだ。湘南サニーサイドマリーナ(株)らは知りながら自然破壊したのだ。

 一昨日の3/1に、市議会で市長に質問をする中でわかったことは、2019年10月に住民から県に「芦名漁港で計画されている工事は天然記念物にかかるのではないか?」との通報があったというのだ。これを受けて、県から市の生涯学習課に確認するよう指示があった。
 ところが、市・生涯学習課は担当の市・港湾総務課(現・水産振興課)に「うちに相談するよう事業者に伝えてくれ」と伝えたものの、その後は放置された。市・港湾総務課(現・水産振興課)が、事業者に「生涯学習課に確認するように」と伝えただけで済ませてしまったのだ。意図的に行ったのか、職務怠慢なのか、これから確認する必要がある。
 なお、この問題に気付くことができたのは、朝日新聞2021/3/2の記事「名勝海域に無許可で消波提」のおかげだ。記者の方には心より御礼申し上げます。

(1)湘南サニーサイドマリーナ(株)らの責任
GoogleEarth20200408.png この消波提を完成させたのは2020年4月以降だ。写真のとおり、2020年4月8日時点では、まだ天然記念物範囲内に消波ブロックを設置していない。
 つまり、2019年10月に市からの連絡を受けた際、工事を止めていれば自然破壊は食い止められた。無許可であることを知りながら、工事を強行した罪は重い。

(2)市・港湾総務課(現・水産振興課)の責任
 市・生涯学習課から連絡を受けた時点で、事業者の工事予定図と天然記念物範囲の地図を見比べていれば、天然記念物にかかっていることがわかったはずだ。
 2019年4月1日に出した消波提の占用許可をいったん止めて、事業者に天然記念物の現状変更許可申請を県に申請するよう指導すべきだったが、それを怠った。申請したところで認められなかった可能性もあるので、工事が止まらないよう、お目こぼしをしてあげた疑惑がある。

(3)市・生涯学習課の責任
 市・生涯学習課は、天然記念物の管理を県から任されている立場だ。第一義的には、知りつつ破壊した事業者が悪いし、第二義的には連絡を受けながら工事許可の一時停止をしなかった港湾総務課(現・水産振興課)が悪い。ただし、その後1年以上も確認を怠った生涯学習課の担当者の責任も大きいだろう。

 なお、この件の私の行政とのやり取りのメモも以下に貼り付けておく。
2020年12月22日(火) 横須賀市 自然人文博物館 高橋課長に電話して聞き取り
小林:天神島の天然記念物区域を示した地図を見たいんですが、そっちに行けば見られるか、教えてもらえませんか?
 ~夕方に返答~
高橋:学芸員や生涯学習課とも確認したが、横須賀市には概要地図のみで詳細な地図がない

2020年12月23日(水)午前 県 教育委員会 教育局 生涯学習部 文化遺産課
調整・世界遺産登録推進グループ 副主幹 元吉信子氏に電話後に訪問して聞き取り
小林:天神島の天然記念物区域を示した地図を見せて頂きたいので、お伺いしていいでしょうか?
元吉:横須賀市にあるはずだ
小林:本市の担当者は「ない」と言っているんですよ。
元吉:そんなはずはない
小林:いずれにしても、もう近くにいるので、今から行きますよ。
 ~訪問~
元吉:地図はこれだ(青焼きの資料)
小林:これを見る限り、県・水産課が許可した岩礁破砕許可の範囲と市が許可した「漁礁兼消波提」が既に区域にかかっていますね。ここで浚渫が行われたことを知ってましたか?
元吉:初めて聞いた
小林:水産課は、天然記念物区域の岩礁破砕を許可してしまったということになりますね。水産課から文化遺産課に確認はあったんでしょうか?
元吉:確認は受けていない
小林:なにしろ、天然記念物区域内の浚渫が行われたことになりますよ。これ、どうしましょうね?
元吉:まずは水産課に確認する
小林:資料を特定できるよう、情報公開請求により手に入れた水産課の岩礁破砕許可証が手元にあるので、これを後でメールで提供します。代わりに、この地図の写しを頂けませんか?
 ~提供~

2020年12月23日(水)午後 県 環境農政局 農政部 水産課 漁業調整資源管理グループ 技幹 小川氏を県政情報センターに呼んで聞き取り
 ~地図の写しを渡して~
小林:おたくが許可した岩礁破砕の区域は、天然記念物の区域にかかっていましたよ。
小川:まずは文化遺産課に確認してみる
小林:確認すればわかりますけど、天然記念物区域内の浚渫を許可してしまったのは間違いないですよ。どう責任を取るんですか?
小川:仮に範囲が重なっていたとしても、所管が違う。我々はあくまでも漁業調整の観点で許可を出した。現在の仕事の進め方では確認のしようがない。その区域が天然記念物かどうかを確認するのは事業者の責任だ。
小林:そんな言い訳が通用すると思ってるんですか? 現におたくが許可を出して天然記念物区域が浚渫されてしまったんですよ。部署間の連絡調整不足は明らかじゃないですか。今後は、手続きを改めなきゃいけないはずですよね。
小川:まずは今回の件を確認する
小林:まあ、私は県の議員じゃないから、議会で取り上げることはできませんけど、今回、おたくが許可して市民の財産が毀損されたことは忘れませんからね。

2020年12月24日(木)午前 横須賀市 教育委員会 生涯学習課 職員を訪問
 ~地図の写しを渡して~
小林:博物館の高橋課長とこちらのの柳井課長が一昨日すぐ調べてくれたので、昨日すぐに次の手が打てました。小林が感謝していたとお伝えしてもらえますか。あと、昨日、県にもらってきた地図をお渡しするので、お二方に共有して頂ければと思います。

2020年12月24日(木)午前 横須賀市 みなと振興部 水産振興課 職員を訪問
 ~地図の写しを渡して~
小林:昨日、県の教育委員会に言って確認してきたんですけど、横須賀市が「漁礁兼消波提」の占用許可を出した範囲は、天然記念物の範囲に重なってましたよ。これ。地図をお渡ししておくんで、調べて報告してくれませんかね。
武田:承った。

2021年1月13日(水)10:00頃 横須賀市 みなと振興部 水産振興課 畔柳氏に電話で聞き取り
小林:先日、天然記念物範囲に「漁礁兼消波提」がかかっているのではないかと伝えたんですが、結局、どうだったんですか?
畔柳:市が許可した漁礁兼消波提については、天然記念物区域にかかっていることが、ほぼ間違いないと思っている。現在、県と確認を進めており、対応については県と協議する

2021年1月13日(水)10:30頃 県 環境農政局 農政部 水産課
漁業調整資源管理グループ 技幹小川氏に電話して聞き取り
小林:先日、天然記念物範囲に「漁礁兼消波提」がかかっているのではないかとお伝えしたのですが、かかっていたのでしょうか?
小川:それを確認するのは当方の所管ではない。
小林:とはいえ、文化遺産課には、水産課の許可範囲をきちんと伝えなければ、彼らも判断できないですよね? 連絡もとってないんですか?
小川:12月24日のうちに、文化遺産課には許可範囲を伝えた。当方で確認する作業ではなく、文化遺産課が確認するものだが、かぶっていないようには見えない

2021年1月13日(水)11:00頃 県 教育委員会 教育局 生涯学習部 文化遺産課
調整・世界遺産登録推進グループ 副主幹 元吉信子氏に電話して聞き取り
小林:先日、天然記念物範囲に「漁礁兼消波提」がかかっているのではないかとお伝えしたのですが、いかがだったでしょうか?
元吉:重なっていたことが確認できたため、神奈川県文化財保護条例に基づき、対応を横須賀市の文化財担当とも協議している。
小林:天然記念物の毀損については、何か罰則などの条例上の定めはあるのでしょうか?
元吉:「神奈川県文化財保護条例」で定められており、第39条に基づいて、「30万円以下の罰金又は科料」を課すことなどが定められている。
小林:それに該当するのですかね?
元吉:現在、実際の管理を委任している横須賀市と対応を協議している。

2021年1月13日(水)午前 横須賀市 教育委員会 生涯学習課 柳井課長に電話して聞き取り
小林:どうやら、例の天然記念物範囲に「漁礁兼消波提」がかかっていたようですが、今後、どう対応していくのでしょうか?
柳井:県から連絡を頂き、詳細の確認をすることとなっている。対応が遅くなって申し訳ないが、明日、大楠漁協を訪問し、聞き取りを行う予定となっている。


この記事へのコメント

  • 平成町市民

    3月本会議での小林議員の個人質問をネット視聴しましたが、上地市長と横須賀市の対応に失望しました。上地市長は、「(工事そのものに)違法性が無く手続き上の瑕疵であるから問題ない」との苦しい答弁の繰り返しに終始し、この問題に取り組む気持ちが無いことだけがわかりました。
    本件については、横須賀市議会議員の中で独り孤軍奮闘されている小林議員ですが、某人気代議士と湘南サニーサイドマリーナ(株)の関係まで一気に切り込んで頂きたく期待しています。
    2021年03月04日 14:44
  • 維新

    小林市議が質問に立った議会中継を観ましたが上地市長の他人事のような誠実身の感じられない答弁に怒りを覚えました。他の市議は黙ってるのなら不法行為を黙認してることになりますね。前吉田市長には噛みついても現市長に異議を申せないのでしょうか?
    2021年03月04日 19:05
  • ひまわり

    議会中継見ました。市長は頭が良いのか、余りこの件に関心が無い市民が聞いたら正しい事をして何も問題無い事の様に説明する。本人の意思か裏の役人の回答文かは知らないが、人柄が信用出来ないとつくづく感じました。前吉田市長の方が庶民的でした。
    横須賀の行政、議会の利害関係など様々な問題が浮き彫りになった今回の問題。事業をやるだけで責任も取らない調査もしない、いざとなれば開示出来ないや調査をしてないから見せられる物がないと平気で発言する。
    そんな部署に予算など与える必要が有るのか?しっかり予算は取るのだから責任逃れの理由ばかりに知恵をしぼらないでしっかり責任をはたして欲しい。

    議員として議会に参加するのですから他の議員も質問すべきです、自分等の意見が無いのでしょうか?発言が公文書に残ると都合が悪いのでしょうか?議員一人一人の考えを知らなければ選挙の時に市民が投票する根拠も見つかりません。責任が有り記録も残るから慎重に発言する。発言しない方が得策だとなるような議会では市民に代わり行政をチェックする事は出来ません。選挙で立派な公約をならべても議会の質疑で市民に見える形で表さなければただ参加してるだけと思われます。
    頑張って追及してください。
    2021年03月05日 22:57
  • ひまわり

    横須賀市も国が推進するデジタル事業実施して縦割行政の弊害無くし横の繋がりをしっかりすべきですね。

    国の事業に大賛成して補助金も沢山頂いてるのですから?国だ県だ市だで確認に手間取り小林先生の様にご苦労されなくて済む様に早急に改善して頂きたいですね。

    ご苦労様でした。



    2021年03月05日 23:29
  • ひまわり

    この記事見て呆れました。

    神奈川横須賀市が東京湾の無人島「猿島」にトイレを新設する費用一億八千四百万円を盛り込んだ二〇二一年度当初予算案に、市議会から疑問の声が出ている。二二年度予算にも工事費を計上し、最終事業費は約三億円になる見込み。四日の市議会都市整備常任委員会では「工事費が高い」「豪邸が建つ」など厳しい意見が相次いだ。

    責任はたらい回しするのに土建業には熱心ですね。上地市政は!猿島は数年前に子供が事故死してましたが安全に対してしっかり検証したのでしょうか!建物作れば維持管理費用も発生する。それを任す業者はどんな決め方をするのか?猿島にトイレは有ったはずですし何故そんな工事が必要なんですか?
    2021年03月07日 00:15
  • 維新

    ひまわりさんの書き込みで猿島のトイレ建設の件は知りました、上地市長の積極投資の復活構想は一部業者の利益に沿った話ばかりと感じられませんか?人口減少、行政サービス、介護サービス、慢性的渋滞の道路網など問題山積の市民生活に沿った政策には関心がないのか…
    2021年03月07日 11:41