市議会はコロナ対策のために何をすべきか? ~緊急経済対策を考える~

PAK160130080I9A6687_TP_V.jpg そのことを、このところずっと考えている。

 緊急時、目の前の問題への対応は、よっぽどマズイ対応でない限り議会は現場に口を挟まないほうがいい。混乱を招く。だから、市議会にとっての焦点は、先読みだ。「今後、市役所に指し示すべきことはあるか?」ということになるだろう。
※画像提供:ぱくたそ

●コロナ以上に、経済で命を落としかねない
 感染症対策は、先日の記事のように保健所が対応する。
 →「コロナ対策をする神奈川県内の保健所の体制を地図で見てみる」
 横須賀市は自前で保健所を持っている。我々のような素人代表は下手な口出しをせず、保健所の奮闘に期待したい。

 一方で、市としてやらねばならないのは低所得者への対応だろう。
 新型コロナウィルスで、生活困窮者は出ているだろうか? 出るとすれば、どんなケースだろうか? 市としては何をすべきだろうか?
 既にコロナ禍で中国では会社規模を問わず倒産が相次いでおり、地域金融機関の取り付け騒ぎも起こっていると報じられている。杞憂に終わることを願うが、日本でもコロナ禍がこのまま続いた場合、これまでの常識を超えた財政出動も覚悟したほうがいいのではないだろうか。
 実際に、香港やシンガポールでは、低所得層への給付金や公共料金の減免なども行われているようだ。

●市がやるべきことの考え方の整理
 まず、横須賀市による緊急経済対策・生活困窮者対策の全体を次のように整理する。以下、これに沿って書き出す。
(1)企業への支援
  A 大企業
  B 中小企業
(2)労働者への支援
  A 正規社員
  B 非正規社員
    ア コロナ対策で仕事が増える層
    イ コロナ対策で仕事を失う層


(1)企業への支援
 A 大企業
 大企業は、国や県が支援策を考えるべきだろう。

 B 中小企業
 これも、基本的には国や県が行うべきものだろう。経済産業省が大急ぎでわかりやすいパンフレットを作った。これで全体像がわかる。
 →「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」

 しかし、国・県の支援が実際に届くまでには、時間がかかる場合もあると思われる。そこで市としては経済企画課が実施してきている「中小企業等金融対策事業」を拡大して、市内の事業者につなぎ融資をすることが必要ではないか。
 この事業は、市が金融機関に16億円を分散して預け、「あなたがた金融機関の資金調達コストを安くするから、市内企業には低利で貸してあげてくれませんかね?」とお願いして実施してもらっている事業だ。もちろん、企業ごとに信用状況は違うし、金融機関ごとに若干方針も違う。ある程度リスクをとって高めの利子で貸すところもあれば、リスクを避けて安全な融資先への低利融資に絞っているところもある(たとえばスルガは戦後、財政状態の悪い神奈川県庁がどこからも貸してもらえず困っていたところをスルガだけが貸して県庁も助かりスルガも大躍進した歴史がある。その野心的な姿勢が、かぼちゃの馬車不正融資問題につながった面もあるかもしれない。私も個人事業主時代にどこも貸してくれずスルガに借りたことがある)。そのため貸出金利は一定ではないが、平均1.9%前後の低利融資を実現できているそうだ。
 ただし、かつては信用創造が10倍を超えていたが、近年のカネ余りで現在は3倍程度とのこと。そのため、預けた16億円は48億円分までは貸出頂ける枠となっているとのこと。ここ数年は30億円前後の貸出実績があるようだが、コロナ禍で資金繰りが苦しい企業が出てくれば資金需要も高まるかもしれないため、市としても16億円にさらに積み増すことも検討すべきかもしれない。ただし、金融機関側の協力を得なければいけない。

 加えて、確認しなければいけないのは、金融機関が貸し出す対象だ。「株式会社」「NPO法人」といった法人格は必ずしも必要とせず、個人事業主も対象の制度とはなっているようだ。だが、実際に融資する金融機関側で、個人事業主を排除していないとも限らない。かつての私のように青色申告をしていて決算書が出せる個人事業主については、積極的に融資対象としてもらうよう金融機関に要請したほうがいい。

 いずれにしても、補助金や給付型の支援は市としてはすべきではないだろう。ただし、上記の「中小企業等金融対策事業」によるつなぎ融資については、信用保証料補助(現在1/2)の増額や利子補給だけはしてあげられないものか、働きかけていきたい。

(2)労働者への支援
  A 正規社員
 一義的には雇用主が休業補償などをして、それに対し「雇用調整助成金」などで国が手当てすることになるだろう。この層については、市として経済的支援は必要ないのではないか。
 ただし、解雇もあり得るし、事業者側が様々な制度を知らないケースもあるだろうから、個別に相談に応じ支援につなげることは大事だろう。

  B 非正規社員
 市として対応することを真剣に検討しなければいけないのはこの層だろう。

    ア コロナ対策で仕事が増える層
 例えば学童クラブは、従来の放課後のみの対応から、冬休みと同様に朝から夕方までの対応を求められている。こういった方々には、きちんとした普段通りの対価が払われるようにしなければならない。それは、保護者の利用料からではなく、国に払わせるべき性質のものだ。しかし、形式的には市の判断で臨時休校が行われているため、国の補償で不足する場合は市が補填しなければならないだろう。

    イ コロナ対策で仕事を失う層
 送別会など年度末の書き入れ時にコロナ禍が襲った飲食店を筆頭に、商店・企業への影響は大きく、真っ先にカットされるのは非正規雇用と仕入れだろう。
 非正規雇用の場合、雇用保険に入っていないケースも多く、残るセーフティネットは生活保護のみになりかねない。ただし、生活保護は資産と気力を奪って自立しにくくなる。そのため、生活保護の手前で支援することで、本人にとっても生活の質を保つことができるし、市としても結果的に支出を抑えられるのではないか。
 この観点から、どのような支援があり得るか。
 巨額の歳出を迫られる思い切った案だが、コロナ禍が収まった後の雇用につなげるために、市として給付付きの職業訓練をしてはどうか。といっても、市には教育のための資源がない。そこで、給付付きで介護施設や市内工場など人手不足の業態に派遣する。人を雇う体力を一時的に失っている市内事業者にとっては、無給で労働力を確保でき、体力を回復した後にはそのまま雇用することも考えられる。

●まとめ
 賃金切り下げと消費増税に続くコロナ禍なので、何が起こるかわからない。大不況や恐慌なども視野に入れて、横須賀市がとるべき政策を研究しておかねばならない。そう考えているため、何か提言があればお寄せ頂きたい。

この記事へのコメント