オッサン職場、市役所に女性幹部のクオータ制を。

NumberOfEmployeeBySexAndAge2018.png■オッサン職場の現状
 以前の記事にも書いたように、横須賀市役所はオッサン職場だ。
 →横須賀市役所は、なかなかのオッサン職場だった
 人口ピラミッドならぬ職員ピラミッドを見れば一目瞭然だ。私のようなオッサンばかりで、女性と若手が不自然に少ない。ちなみに、一般職員全体に占める女性割合は28%だ。(※平成28年4月1日現在の一般職員。再任用常勤職員を含む)
 →右画像のExcel元データ

 そして、オッサン職場と言うのは人数だけではない。同質性を好む雰囲気や重たい意思決定プロセスなど、職場風土もオジサン化していると感じるのだ。

 ちなみに、いい仕事ができていれば、別にオッサンばかりでも問題ない。しかし、実態としてそうではないからこそ、市職員のトップである上地市長も今年度の施政方針で「職員の意識改革」を掲げ、なかなか思うように動かない組織にイライラして胃の痛む思いをしている話も漏れ聞こえてくる。

 これを打ち破るにはどうしたらいいか?
 解決策の一つとして、私の所属する会派・よこすか未来会議では先般、上梓した「政策提言2020」の中で、次のように掲げている。もちろん、解決策としてだけでなく、基本的には社会的公正のために掲げている。

③課長級以上の女性を12%にするクオータ制を導入すること。また、採用に関しては女性を増やすこと。

■そもそも、なぜ女性が少ないの?
 ところで、なぜ横須賀市役所には女性が少ないのか?

 多くの日本企業では、試験の成績だけで採用すると女性ばかりになってしまうので、半数は男になるよう「アファーマティヴ・アクション」をとっているところが多いらしい。このアファーマティヴ・アクションは、アメリカの大学で非白人は所得が低くなりがちで成績も低くなりがちなので、一定割合は黒人や先住民族を入学させる例が有名だ。同様に、日本における男性は誘惑も多く文化的に勤勉さを女性ほど求められないため怠けてしまって成績が低くなりがちなので、可哀想だから下駄を履かせて採用してあげるのである。なお、正当化のために本気で言っているのではなく、皮肉交じりであることに留意頂きたい。
 近年話題となった、医学部入試女性差別問題は氷山の一角かもしれない。

 横須賀市でも、かつては明確な制度としてではなく、なんとなく二次試験の面接の点数で鉛筆を舐めて、一次試験の成績の低い男性を救済して数を揃えていたのではないか?と疑う元職員の声も聞いたことがある。ただし、もちろん今はそんなことはない。

 さて、具体的な数字で見てみよう。

 横須賀市役所では、法に基づいて女性の登用状況を発表している。
 →横須賀市特定事業主行動計画
 ※「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第17条に基づく女性の職業選択に資する情報の公表」(平成30年度)を参照
 これを見ると、2018年度の一般職採用試験では、受験者524名中、女性が186名で36%だった。しかし、合格者51名中、女性は24名で、47%となる。やはり女性のほうが優秀な人材が多いのだ。
 また、市役所に女性が少ないのはそれだけではなく、元々、受験者に占める男性の割合が高いこともあるようだ。とりわけ、技術職では91%、消防隊に至っては98%が男性の受験者となっている。
YokosukaCityWomensParticipation2019.png
 情報を抜き出して、右のような表を作成してみた。これによると、部長級には女性が14.8%いるが、課長級には8.5%しかいない。

 ここからは、2つのことが読み取れる。

 第一に、課長級以上の女性割合が10.4%である中、市長が登用人事に積極的に関わる部長級では14.8%が女性ということだ。
 つまり、上地市長は意図的に女性を部長に登用しようと努めていることが窺える。これは、きちんと評価すべきだろう。

 第二に、課長補佐以上の管理職全体では女性が10.8%であるにも係らず、課長になるのは8.5%程度に過ぎないことだ。
 職員人事権は市長の専権事項ではあるが、課長補佐から課長に取り立てる際に市長が関与することは、あまりないのではないか。本市だけでなく、多くの市がそうだと思う。数人単位ではあり得ても課長の男女比を大きく左右するようなことは考えにくい。
 つまり、課長については、市長が登用しないのではなく、職員が課長になりたがらないのだ。「課長補佐になると管理職だから残業代はつかなくなるけれど、そこまではやりましょう。でも、課長になると責任も重くて忙しくて大変だから、課長になるのはお断りです」と考える人が多いということだ。私の知っている職員にもそんな方がいる。
 もっと言えば、係長級には女性が16.2%いるにもかかわらず、課長補佐になると11.3%まで減ってしまうことのほうが根っこが深い。つまり、「課長補佐なんて、権限もないのに管理職扱いで、やってる仕事は基本的に係長と同じなのに残業代も出なくなるし、別にどうせ課長になるつもりもないし、昇進試験を受けないでおこう」と思わせているのかもしれない。
 こうした問題は、男女問わずよく聞く話だし、実際にそういった職員に会ったことがある。しかし、割合が変わってくるのは、つまり女性のほうがそう考えやすいということで、そう考えさせる何かがあるのだろう。

■なぜ女性が管理職になりたくないのか?
 きちんとした裏付けはなく勘だが、根本的には残業代といった金銭面ではなく、3つの要因があるのではないか。

 第一に、課長の裁量の幅が実態として狭いこと。市役所の課長といえば大きな権限を持っているはずだが、「目立つことをすると余計な説明責任を問われるし、慣例に沿って先送りしてやっていれば批判されることもない」と思わせる空気が、実質的に裁量を狭めていないだろうか? 前例という足枷は、市役所では民間よりも重たいクビキなのかもしれない。

 第二に、説明責任の心理的コストの負担感。課長ともなれば、常に説明責任が問われる。課長以上は自動的に議会での説明員となる。議会は公開であり、議事録も残り、インターネット中継もされるので、プレッシャーは大きいだろう。前例踏襲であれば、「以前からの経緯」と言えば済む。一方、新しいことをやると説明が大変だ。議員は既存事業については既に自分が予算議決してきた手前もあって、追及を緩めがちだ。一方で、新規事業など新しい動きには批判的な議会質疑も集まりやすい。新規事業だけでなく既存事業でも、いったん争点化すると前からも後ろからも矢が飛んでくる。
 中にはまるで職員イジメのような糾弾をする議員もいるとなれば、「課長になると、あんなモンスターどもの相手をしなきゃいけないから、ならないでおいたほうがいいわ」と考える職員がいるのもうなづける。
 議会だけではなく、他部署や市長・部長など上司との折衝や説明責任が求められるのも課長だ。我々市民や議員にとって市長は、自分たちがお金を払って招いているお雇い社長だが、役所で働く職員にとっては上場企業クラスの組織の大社長だ。市長室に入るのは緊張するだろうなあ。

 第三に、課長になれば職員が帰るまで帰りにくく、残業しがちだ。夕食の支度や子供の送り迎えなど、家事は両立しにくい。男がやってもいいのだが、「家事は女の仕事」という文化的な慣習はまだまだ残っている。これが、最大の理由ではないか。

■女性管理職を外部登用せよ
 先に見たように、課長以上の女性割合は10.4%だ。これに対し先に述べたように、よこすか未来会議「政策提言2020」では「③課長級以上の女性を12%にするクオータ制を導入すること」と掲げている。
 これは、現実的に来年度に達成が可能な目標で、職員へのメッセージとなる目標という観点で掲げている。課長以上193名のうち20名が女性で10.4%なのだが、つまり、ポスト数が同一であればあと4名以上を課長級以上に登用すれば達成可能だ。12%はおおよそ1/8となる。
 少しずつ職場風土を変えて女性比率を伸ばすという考え方もある。しかし、社会的公正のために先に増やし、それによって職場風土を変えたっていい。しかも、これまで本市の取り組みは遅々として進んでいない。だからクオータ制なのだ。

 この目標は、内部登用でも達成可能だ。ただし、私個人としては外部登用を提案したい。
 先にも述べてきたように、女性管理職が少ないのは文化的な要因が大きい。文化を中から変えるのは骨が折れる。新しい風を外から取り入れるのは、女性活躍だけでなく様々な点で利点があると思う。
 4人全員でなくともいい。1人からでいいので、任期付で専門家を外部登用することを市役所に提言したい。

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