【会派視察報告:後編】総合計画は議会がつくれ!?

5CF8E1FA-387D-4B86-A852-A5E2F43D88F7.jpeg(2019年10月30日~11月1日の会派視察報告の後編)

 3日目・11/1は松山市の「日本一のまちづくり」のその後の取り組みについて視察に伺った。

■松山市の総合計画
 松山市は前市長時代の2002年12月に10年間の第5次総合計画を策定し、議会の議決を受けて確定した。
 この総合計画において、松山市は「憧れ 誇り 日本一のまち 松山」という将来像を掲げた。そして、その中の重点取り組みとして「地球にやさしい日本一のまちづくり」など6つの「日本一のまちづくり」を打ち出した。
 これに学ぼうと思ったのだ。
 その背景には、2つの動機がある。

■背景1:横須賀市の基本計画改定
 第一に、横須賀市が基本計画の改定時期を迎えていることだ。
 本市は、現在の2011~2021年度の11年間の基本計画が間もなく終了する。だから、そろそろ2022年度からの10年前後の基本計画の準備に取り掛からなければならない。この参考にしようと思ったのだ。

 ところで、さっきから「総合計画」と「基本計画」という言葉が入り混じって混乱させたかもしれない。

 「総合計画」というものが、いちばん大きな箱だ。その箱の中には、次の3つの箱が入っている。3つが揃って総合計画だ。基本的に、全ての市町村がこれをつくっている。
●基本構想
●基本計画
●実施計画
 基本構想が最上位で、実施計画が下位である。そして、その下に単年度の計画や分野別の中期計画がぶら下がっていく形式となる。

 ところで、松山市と横須賀市とでは、それぞれの期間が次のように異なる。

  松山市 横須賀市
●基本構想 10年 30年前後
●基本計画 5年 10年前後
●実施計画 3年 4年

 そして、松山市では基本構想を議会が決定し、横須賀市では基本構想と基本計画を議会が決めることとしている。
 つまり、松山市における基本構想と横須賀市における基本計画が、ほぼ同じような位置づけとなる。そこで、先ほどのような用語のズレが生じているというわけだ。

■背景2:逗子市の「日本一のまちづくり」
 第二の動機は、逗子市の事例だ。

 逗子市は前々市長の時代に「日本一」にこだわってまちの看板を売り出した。ヨコ文字で言えば、シティプロモーションとシビックプライドにニッポンNo.1のブランドを活用した。
 具体例で言えば、逗子市は日本一の花火大会を開催していた。とはいえ、大きなスポンサーが(株)コロワイドぐらいしかつかない逗子市では、花火の打上数や一発一発の大きさで勝負できない。そこで、「単位時間あたりの打上数」という微妙な設定で日本一を狙った。また、他の花火大会とかぶらないよう関東一早い花火大会にも設定した。鼻で笑うことは簡単だが、ない袖は振れない中アイディア一つでメディアの注目と観光客を集めることができたのだから、狙いは達したと言えるだろう。
 また、『日経グローカル』編集部が様々な自治体ランキングを実施しているが、逗子市はそれも狙って取りにいった。「どのランキングならば勝負できるか?」「1位になるにはどの項目とどの項目に対してどんな取り組みをして回答すればいいか?」。これを調査票の設問をベンチマーキングすることで順位を上げ、遂に全国透明度ランキング2002と全国効率化・活性化度ランキング2004において全国一を達成したのだ。
 このような逗子市のよく言えば戦略的/悪く言えば打算的な取り組みを間近で見てきたため、松山市の「日本一」はどのようなものだったか気になったのだ

 以下、思い出したので少し脱線。
 ちなみに、この逗子市のベンチマーキング的手法を前々逗子市長・長島一由氏から盗んで学んだ私は、自ら実践もしてきた。
 政治家業界の登竜門にして日本最大の政策コンテスト「マニフェスト大賞」において、仲間と6年連続、昨年は逃したが今年で計7回目の受賞をしており、おそらくこれは日本で私たち位だろう。これは、潤沢に頂いている政務活動費を使って研修会に足繁く通い、どんな取り組みが最先端かを学び、良いものは徹底的にパクる(TTP)を実践した成果である。確かに打算的ではあるが、取り組みが外部で評価されるブーメラン効果も大事だ。これによって横須賀市にいい刺激を与え続けた自負は持っているし、政務活動費の投資対効果のリターンにも自信を持っている。

 閑話休題。というわけで、松山市に伺った。

■横須賀市への持ち帰り
 私は、てっきり松山市が総合計画に「日本一」を掲げたからには、KPIを掲げてベンチマークして逗子市のように「日本一」を狙ってとりに行ったのかと誤解していたが、そうではなかった。心意気として「みんなで日本一を目指そう!」という程度のものであり、そこは江戸時代の親藩・松平家・伊予松山藩の気風なのか、「坊っちゃん」なのか、逗子市のようなゲリラ野武士みたいなことはしなかったようだ。
 なおかつ、松山市は、第5次総合計画では「日本一」を打ち出していたが、第6次では採用しなかった。市のパンフレット表紙に「日本で一番、幸せなまち」というリードコピーを2016年度分から復活して掲げている程度だ。

 半ば、当てが外れた格好だが、ムダだったわけではない。今後、基本計画の策定を控える横須賀市にとって重要な洞察をいくつか頂いて帰ってきた。以下、列記する。

●総合計画は、多くの住民の願いを包含するものだから、全方位で「日本一」を目指すなど奇抜なものは採用しないほうがいい。

●基本構想は、松山市の10年に対して、横須賀市は概ね30年である。30年後の計画などに、意味があるのだろうか? 次回の改訂から、30年後の人口推計や公共施設・インフラなどの状況を元に、10年前後の計画を立てることとしたほうが合理的なのではないか?

●3~4年の実施計画は、基本的に議決事項にしない。市長への委任をするものだ。そう考えれば、議決する10年前後の基本計画を、議会の任期に合わせることとして8年もしくは12年とするのが良いのではないか。一方の実施計画は、市長の任期に合わせて、4年とし、必ずしも実施計画の期間と揃える必要はないのではないか。

●基本計画は、議決事項である。そして、市長側でいつ提案するのか、どのような設計とするのかは、まだ検討中だという。であれば、市議会側で案から策定し、市への聞き取りをしながら議決までしてしまってもいいのではないか?

 以上で、3日間の視察報告を終える。
以上

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