【会派視察報告:前編】横須賀市のための機中八策

10408D6D-1233-4A55-8768-0EB46E32599C.jpeg 2019年10月30日~11月1日の行程で会派視察に行った。(写真は高知駅前にあった維新の志士像)

 今回は、「全国市議会議長会研究フォーラムin高知」に参加し、せっかく四国まで足を伸ばしたので、近隣で持ち帰れそうな取り組みとして松山市の「日本一のまちづくり」のその後の取り組みも視察させて頂くこととした。

 似たようなイベントとして「全国都市問題会議」もあるが、2度参加して企画や運営方法に疑問を持ったため金輪際参加しないことに決めた。
 一方、この市議会議長会フォーラムは当選当初、毎年のように参加して得るものが多かった。今回は会派で行って、フォーラム前後も含め大いに議論しようと決め、参加した。

■第一部 講演
 最初は、中島岳志教授の講演で幕を開けた。政治学の基本概念をきちんと整理するような大学の授業で、わかりやすく、我々同業者には勉強になったのではないか。ただし、横須賀市への持ち帰りはないため、報告は割愛する。

■第二部 パネルディスカッション
 続いて第二部はパネルディスカッションで、「議会活性化のための船中八策」と題して、議会活性化の議論となった。
 こういう場のテーマは議会改革の話となりがちだが、「改革のための改革」ではなく、住民のための「議会活性化」に焦点を当てていたのは好ましかった。
 議論としては、船中八策に倣い、多くの議会が取り組むべき打ち手を討議の中から見つけていこうというものだった。そのため、何か一本筋のある議論というよりは拡散しがちではあったが、議論の中からいくつかの打ち手は見つかったように思う。

 印象的だったのは、「自分にあまり影響がないから議会に関心を持たないだけで、自分の家の目の前に迷惑施設が建つとなったら、みんなすぐに関心持って抗議する」というくだりだ。まあ、そういうことなのだろう。
 また、「本当に議会改革をする必要があるのか? 特に問題ないのであれば、改革をする必要がないのではないか」という発言も印象に残った。
 ここから言える洞察は、こういうことではないか。第一部からの文脈の流れの中で、自分なりに整理してみる。

 これまで、日本の政治はうまく機能してきた。自民党の保守本流はいい仕事をした。右肩上がりの時代には、割合は少なくともパイ全体は大きくなったため、多少の不満はあっても無関心でいられた。その後、バブル崩壊とともにパイ全体も縮小し、小泉改革以降は「小さな政府」となって再分配を減らし、割合も縮小した。この結果、格差が拡大し、西欧ならば社会に不満が噴出して大規模デモでも起きるのが自然なのだが、この国の主権者意識の低い従順な民は、文句を言わない習い性が慣性となって現在の転落社会に置かれても不満はくすぶったままだ。
 また、議会側の民意を汲む努力も多くの場合は不十分だったので、市民も「どうせ政治なんて、私たちが何言っても変わらないよね」と諦めてしまっていた。

 いま、この基調が変わろうとしている端境期なのではないか?

 既に、貧困は一部の運の悪い人の問題ではなく、自分か身の回りの人の問題となった。そして、多くの人はどんなに努力してもそこから這い上がれない。自己責任論では救えない。公助が必要だ。しかし、公助は届いていない。だから、こう思う。「値上げされた消費税を、自分も払っているが納税していても行政は何をやっているのか? これは自分だけの特別な問題なのか? いや。多くの人々が苦しんでいるではないか。誰が、この状況を放置しているのか? 政治家ではないか。議会や市長は何をしているのか?」。こんな不満のマグマの圧力が徐々に高まっているのではないか。
 そして、議会の権威主義的で形式主義的な現状への危機感も、議会の担い手の間に広まっている。「我々は、住民の代理人としての役割を果たせているのか? 住民は我々の仕事ぶりに不満を抱えているのではないか? 本来与えられている議会の力をきちんと使って、住民の声を市政に反映していく仕事をしっかりやらないといけないのではないか?」。そんな焦りが生まれてきているのではないか。

 このような中、公助を必要とする多様な人々のニーズに耳を傾け、硬直化した行政を少しでも「かゆいところに手が届く」ように改善することが議会の役割なのではないか。

 そんなことを感じた一日目となった。第三部は立食パーティ形式の意見交換会のようだったので参加しなかった。

■第四部 パネルディスカッション
 翌日の第四部では、3つの議会の取り組みを伺った後に、会場からの質問や投げかけをもとに議論を進める形式だった。「今日は体の水分の半分が船中八策です」と意味深?な挨拶から始めたコーディネーター坪井ゆづる氏だが、もともと洒脱な進行が「酒脱」になったのか、冴えわたっていた。おかげで多くの示唆を引き出して頂いた。
 詳しく順を追って報告することはせず、横須賀市のために持ち帰ることのできた宿題を帰りの飛行機にて「機中八策」として書き出しておきたい。坪井氏が船中八策として提示したものの中には横須賀市が既にできていることなどもあり、彼の整理に依らず、私自身の得た洞察だ。

一、議会の活動を見せて、魅せよ。
 魅力的な議会にならなければ、市民も関心を持ってくれない。議会が、その実力を発揮し尽くすことが大事だ。

二、産休・育休を、例規集に明記すべし。
 本市議会では「現状の規定の中でも産休・育休をとることができる」と片づけた。しかし、それではこれから参入育休をとる議員が現れたとき、本当に取得できるだろうか? 私なら何言われるか不安で使えない。根拠は明確にしたほうが良い。

三、事業評価を議会がしっかり行え。
 ゆくゆくは議会による事業仕分けが望ましい。しかし、まずは、事務事業等の総点検の事業シートを、「事務概要」などの決算資料と統合し、議会の決算審査でじっくり吟味できる体制づくりをすべきだろう。それを公開すれば、市民も市政をチェックできる。

四、広聴がキモだ。
 横須賀市議会が住民から評価されていない原因となっているもの。いま最も必要なもの。それが広聴だ。個々の議員は市民の声を聴いている。しかし、議会として、市民の声に耳を傾けて、対応が必要な内容を汲み取り、市政に反映する仕組みが回っていない。後先考えずに、まずはどんどん聴くことだ。様々な場を用意し、様々な対象の方々に、声を聴かせて頂くことだ。私と私の会派は既に提案しているので、あとは議会の中で合意形成できるかが横須賀市議会の浮沈を決めるだろう。

五、議長は立候補制にしよう。
 今の板橋議長は議会改革に積極的だが、この4年間の間に議長を辞する可能性もあるし、その場合に次に誰がなるかはわからない。そのときに、改革が後退しては困る。現在の横須賀市議会は、お飾り議長では務まらない。きちんと、議会改革の旗を立て、市民の声を聴くことを約束してもらえなければ私は議長には選べない。だから、今日のパネリストの周南市議会のように議長の立候補制を取り入れ、所信表明をしてもらって判断したいものだ。

六、女性を市議に送り出そう。
 私は他市の先輩に触発され、若者や女性を発掘するために政治塾を掲げた。この門を叩いてくれたのは1名で残念ながら4月の市議選で惜しくも議席を得ることはできなかったが、実は他に何人ものママさんにお声掛けをしてきた。第二部のパネリスト横田響子氏がおっしゃったように「女性は5回口説いて」ということをしなかったせいか、撃沈した。ただし、私という一政治家が声かけをすると、何か裏の狙いや下心があるのではないかと勘繰られ、上手くいかない。会派や議会として実施することが大事だ。横須賀市議会では若い議員も増え、年齢分布はバランスが良くなった。しかし、女性はむしろ減ってしまい、現在4名/40名となっている。女性候補者を増やす法律を課されている自民党と公明党は共産党を見習って法をまもるべきだし、私たちよこすか未来会議も発掘の努力をしなければならないだろう。

七、議員間討議をしよう
 住民が議会に関心を持たないのは、議会が本来の仕事をしないからである。その本来の仕事とは、住民意思の市政への反映である。では、その住民意思は誰が決めるのか? 誰か一人の市民が言ったことは住民意思とは言えない。住民の代表である議会で合意されたことが正統性のある住民意思だ。では、その合意はどうやって作るのか? 議会の中で議論しなければ、合意形成はできない。しかし、その議会の中で、議員同士の議論は、なされているか? 先進議会に比べれば横須賀市はさっぱりできていない。議会が力を持ち、住民に頼りにされるには、議員間討議をするほかない。近道はない。

八、議員年金の前に雇用保険を。
 新・議員年金の案が出ている。私は「国民年金じゃ暮らせない」と言うなら、議員はまず国民年金の改革のために運動するべきだろうと思うので、議員を別枠とすることには反対している。そして、今日、坪井氏の指摘で気付いた論点としては、非常勤地方公務員である議員を市職員と同じ共済年金に加入できるようにするのであれば、同じように非常勤地方公務員である市の非正規職員も加入できなければ道理が合わない、ということだ。筋が通っている。
 加えて、議員の身分が不安定だというのであれば、議員も雇用保険に入れるようにすることのほうが先ではないか? もちろん「議員は会社で言えば取締役にあたり、支払われるのも給与ではなく報酬である。だから議員は労働者ではないため、雇用保険に入るのはおかしい」と言う向きもあろう。であれば、確定申告の際に報酬が売上ではなく給与扱いとされることも是正しなければならない。こうした、基本的な議論がなされないままの新・議員年金導入論には賛成すべきではない。

 以上が、会派視察1日目・2日目の報告となり、3日目は後編として書くこととする。

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