ちなみに、横須賀市のごみ収集車も同じフェリーに乗船していた。本当におつかれさまです。
→「千葉県館山市、鴨川市、鋸南町の災害廃棄物処理支援を開始します(2019年9月22日)」
さて、今回の視察の主な持ち帰りとしては、次の通りだ。
1.消防隊に屋根のブルーシートかけをやってもらう?
2.医療・福祉従事者は並ばずにガソリンを買えるようにしよう
3.台風で家を失った方には仮設住宅じゃなさそう
以下、詳しく説明したい。
1.消防隊に屋根のブルーシートかけをやってもらう?
「横須賀市・三浦市でも、数百から千以上の単位で屋根が壊れた家がある。三浦市にはひっくりかえってしまった家すらある」と屋根関連の仕事をする知人から教えてもらった。そして「でも手が回らないからお客さんを待たせてしまっている状態だ」と嘆いていた。そして、基本的に屋根の修復は業者に頼んだり自分で作業したりするものだと思っていた。だから、家が被災した方には申し訳ないが、「市役所としてやれることはないのだろうな」と思っていた。
しかし、考えてみれば消防隊員は高所作業の訓練を日々受けている。高所作業用の資機材も持ち合わせている。ブルーシートかけの勘どころさえ学習すれば、これほど有能なチームもおそらく他にないだろう。千葉県でもプロにボランティアを頼むくらい手が足りていないという情報は聞いていたが、まさか消防隊が任に当たっているとは思わなかった。。
というわけで、横須賀市&三浦市消防局の隊員が両市のブルーシートかけをできないか、さっそく確認してみたい。
※9/25追記 横須賀市&三浦市消防局に掛け合ったが、結論から言うとやらないとのこと。もう少し詳しく言えば、屋根が飛んでしまいそうなどの人命に関わるものについては70件ほど対応し、その中にはブルーシート掛けをしたものもあったが、緊急性のない雨漏り程度のものには消防隊は対応しないこととするとのこと。ちなみに、市川市が館山市のブルーシート掛けをしていたのは、千葉県内災害時基本協定に基づいて、被災市町村から県に寄せられた依頼のうち、県内で応えられる業務をマッチングしたものらしい。ちなみに、市川市の職員は災害ボランティアでブルーシート掛けを経験した職員がいたらしく、事前にその方が同僚に研修をしたほか、今回の業務にあたっての研修もあり、見事にブルーシート掛けをこなしていたらしい。というわけで残念だが、期待した方がいたら申し訳ない。
2.医療・福祉従事者は並ばずにガソリンを買えるようにしよう
さて、安房地域医療センターは、横須賀市が経営するうわまち病院や市民病院と同じ中核病院(地域医療支援病院)だ。また、横須賀共済病院や市民病院と同じ災害医療拠点病院でもある。ここが、台風15号の後にどうなったかを教えて頂いた。
最大の学びは、「ガソリンスタンドに並ばなければいけないから病院に出勤できない」という職員がいたという事実だ。途中から、国の通達か何かがあって医療関係者は優先的にガソリンを入れられるようになって、この問題は解消したらしい。だったら、最初から横須賀市では医療・福祉に従事する方々は優先的にガソリンを入れられるようにできないのだろうか? 市に確認してみたい。
※9/25追記 この情報については市に伝えた。いろいろと考えなければいけないことがあるらしい。
あと、安房地域医療センターは急患棟と診療棟に分かれているそうだが、おそらく電気の瞬断が何度か続いたことが原因で診療棟の非常用電源が壊れ、急患棟しか非常用電源が使えなかったらしい。横須賀市の病院では同じようなことは起こらないのだろうか? 市に確認してみたい。
※9/25追記 確認したところ、実は市民病院でも同じような問題が過去に起こって非常用電源がエンジントラブルで動かなくなったことがあるらしい。業者がメンテナンスすればすぐ使えるようになるらしいが、いざというときに業者がすぐ来るわけではない。いざというときに自前でメンテナンスかけられるようマニュアルに書き込むとか設備の改良ができないかとか、対策をお願いした。
印象的だったのは、「被害の状況が徐々にわかったので、9/10の夕方になってようやく、ああ、これは被災したんだ、という実感が持てた」というお話だった。他にも様々なことを丁寧に教えて頂いたが、私の立場と知識で本市に活かせそうなもの以外ここでは省略する。
3.台風で家を失った方には仮設住宅じゃなさそう
今回の視察では、避難所となっていた館山市菜の花ホールにもお邪魔した。いわゆる公民館だ。9/24時点では、家が壊れて住めなくなった方々17世帯22名が避難されているとのことだった。
9/8に一時的に避難する場所として開設し、滞在型避難所には中央公民館を充てる予定だったという。しかし、9/10には停電から復旧し、中央公民館は停電が続いたこともあり、そのまま避難所になったという。
JMATが来てプライバシー確保のために段ボールによる仕切りをしてくれて、川口市からは保健師も派遣され、お風呂は昨日まで自衛隊が提供し、物資も日用品から食料まで十分に揃っていた。ただし、長期滞在できる設備の施設ではないため、今後の避難者の自立の道を作ることが課題のように見受けられた。
避難者は、どこに住めばいいのか?
仮設住宅の建設を求める声も、市内からは挙がっているという。しかし、台風被害に仮設住宅など必要だろうか?
これが津波であれば、仮設住宅は良い手法だと思う。津波は、コミュニティごと流し去る。であれば、従来のコミュニティを引き継げるよう、コミュニティ単位で仮設住宅に移るのは望ましい手法だろう。また、津波であれば、住宅が供給不足になる。だから、仮設住宅も必要だろう。
しかし、台風は面ではなく点で家屋を破壊する。面でやってくるものの、被害状況は個々の建物ごとにまだらとなる。そうすると、避難者もコミュニティ単位ではなく見知らぬ人同士となる。実際、今回の避難所でも互いに名前も知らず、未だに避難所にコミュニティと言える人間関係は築かれていないようだった。まあ、それはそうだろう。そんな人たちを仮設住宅に集めるよりは、できるだけ元のコミュニティの中に新しく暮らす場所を提供するほうが望ましい。しかも、住宅供給に不足はない。今回、見て回っても、空き家になっていて壊れたまま修理もされない家屋はいくらでもあった。日本全国家余りだ。今から、仮設住宅等というあまり良好ではない住環境を建てる必要などない。それに、基本的には居住の自由があり、自分のお金で自分が住むところを得るのが原則だ。
だからこそ、館山市では被災者に無償で提供してくれる民間物件を募集しているとのことだった。これは上策だ。そして、もしも無償では物件が出てこないならば、元のコミュニティの中の被災していない空き家を、借り上げ市営住宅という形にして被災者に有償で貸し与えるのが良い方法なのではないか。そんな洞察を得た。
以下、撮ってきた写真のいくつかを紹介して報告を終える。
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