小動物火葬廃止後への提案

tdog17030708_TP_V4.jpg小動物火葬についてのタウンニュース8/23号記事をきっかけに、議論が広がっている。
中には、市の対応を厳しく批判する論調もあって、胸を痛めて前回記事を書いた。
→「小動物火葬の廃止を訴えてきた議員からの理由説明」

胸を痛めたのは、市役所の担当者が可哀想だからだ。彼らに罪はない。そもそも、前回記事にも書いたように市議らから求められて廃止の方針を出した面が濃厚だ。私は、最初に、そして最も強硬に廃止を求めてきた議員として、自分が責められるのは仕方ないと思えるが、「市役所を責めるのは筋違いだ」と思う。
そして、この件も含め、基本的には私たち議会が最終意思決定者だ。その一員としても、「行政を責めるのではなく、議会と協働しませんか?」と強く言いたい。市役所は、9月議会に廃止方針を報告するだけの話で、決定していない。議会が何も言わなければ、そのまま進むし、議会が止めれば止められる話なのだ。市は強引に進めたわけではない。これまでの何年もかけた議会の議論について、メディアも報じないし、多くのみなさんも関心を持ってこなかった。ただそれだけの話だ。誤解しないで頂きたい。
いずれにしても、背景や基礎的な行政の原則などをご存じないままの、誤解に基づいた一部の市民からの一方的な指弾を、黙って見過ごしたら当事者として卑怯だと感じている。

1.概要
とはいえ、SNSで意見交換や罵倒へのお返しをするうちに、廃炉に反対する方々の願意や論点がだいぶ見えてきた。そこで、解決策をいくつか提案したい。「これが正解で、こうすれば間違いなく上手く行く」という解決策は見つからなかったので、列記して紹介したい。
●解決策その1:民間団体が担う
●解決策その2:中央斎場で火葬する
●解決策その3:他市に委託する
●解決策その4:「動物墓地」に土葬する


2.基礎となる論点
各解決策を詳しく紹介する前に、大前提を押さえておきたい。
●論点1:選択性
道路は、選択の余地なく必要な公共サービスだ。一方、ペット関連は選択的である。

●論点2:基礎性
水道もまた選択的サービスだ。井戸水を使う人は契約しなくてもよい。だから、基本的には水道に税金を充てない仕組みとなっている。とはいえ、水道は生存に欠くべからざる基礎的サービスであるため、行政が経営している。いきなり「明日から、水を売るのをやめます」と言われたら困るからだ。一方、盲導犬等を除いて、ペットは生活必需ではない。

●論点3:法律の解釈
地方自治体は、地方自治法第1条の二で「住民の福祉の増進を図ることを基本とし」と定められている。この解釈には幅がある。しかし、横須賀市役所が満たせていない優先的な福祉ニーズがある以上、選択的なペットのために税金を基本的に投入すべきではなく、基礎的でないペット関連の事業を行政が経営すべきではない。私は動物福祉を否定しないが、動物は住民ではないので、住民福祉が仕事の市役所の本業ではない。私はそう解釈する。

●論点4:公正性
動物を愛するみなさんが大事にしたい根本的な課題は、動物福祉と命の尊厳だということがわかった。この観点では、ペットも、道端で死んでしまった猫も、外来生物のアライグマも同じだ。外来生物も悪者ではなく、連れて来た人間が悪いだけだ。であれば、命は等価であるため、行政サービスとしては公正に扱い、差をつけるべきではない。

※なお、私自身は「死んでしまった後の私の体はただのモノなので、必要な臓器類を取り出した後は、本来ならばゴミ焼却場で燃やして発電燃料となるか、鳥葬か水葬で食われて他の命をつなぎたい。動物と一緒でいい」と考える人間である。だから、平均的な日本型常識からは距離があって、源流仏教的合理性でモノを考えている。その前提で、以下の提案を怒らずに平静な心で受け止めて頂きたい。


●解決策その1:民間団体が担う
動物愛護団体の方々などに一肌脱いで頂き、小動物火葬事業を担って頂く。火葬設備が常設型か移動車載型かを横須賀市は問わない。土地などは可能な範囲で提供してもいいと考えるが、基本は民設民営とする。ただし、市民の持ち込みペットを断ることなく有料で火葬することを前提に、へい死獣や殺処分外来生物の処理を市から有料委託する形で経営支援する。これにより、従来と同様、ペット以外もごみ処理工場行きではなく火葬される。返骨や葬祭などペット向けサービスをどのような水準にするかを横須賀市は問わない。ただし、返骨等しない前提での低所得者向け減免制度を設け、減収分は市が補てんする。
※その後の調査で、ペット遺体は廃棄物ではないが、斃死獣や殺処分獣は廃棄物であるため、一緒に焼却するとなればそれは廃棄物処理施設となり様々な規制がかかることがわかった。そうなれば民間にはおそらく手が負えない。そのため、ここではペットのみを考えて頂くほかない。

●解決策その2:中央斎場で火葬する
中央斎場に冷蔵設備を備え、人間の火葬が空いているときに人間用の炉で遺骸の大きさを揃えて複数体まとめて火葬する。これにより、従来と同様、ペット以外もごみ処理工場行きではなく火葬される。ペットについては受益者負担100%で有料とするが、返骨はしない。返骨を希望する飼い主には民間事業者がある。
問題としては、第一に、地域住民との協定で人間以外を火葬することは想定されていない。そのため、協定を結び直す必要があり、かなりの困難を伴うだろう。
第二に、動物と同じ炉で火葬されることに抵抗感のある市民もいる。そのため、10炉あるうち共用する炉を限定し、人間の火葬にあたって「共用炉で良いか?嫌か」といちいち喪主に確認する事務が増える。
第三に、繁忙期の1月などは人間の火葬で手いっぱいのため、炉が空くまでかなり時間がかかる可能性がある。
※その後、よく考えてみれば、中央斎場は墓地埋葬法の規制を受けているが、廃棄物処理法の環境規制に対応しているかは不明であることに気付いた。この解決策を採る場合は要確認だ。

●解決策その3:他市に委託する
ペット以外を、ごみ処理工場での焼却ではなく他市の小動物火葬炉に委託する。ペットについては、行政が対応しなくても民間事業者があるため行政は関与しない。ただし、低所得者のペットについては、指定寄付を募り寄付金の範囲内で他市委託する。寄付金が不足する場合、やむなくごみ焼却場にて焼却することを建前として、実際にはまとめて他市委託してしまう。
なお、骨灰を先方で一括処理してくれない場合、本市に持ち帰り人間の残骨灰とまとめて売却する。
問題としては、委託先の市が小動物火葬から撤退するリスクがある。また、コストもかさむだろう。
※ご指摘を頂き「解決策その4で書いている通り、ペットについては、自分で自宅庭等への土葬でも火葬でもできるのだから、民間事業者に頼むことを前提とした書き方は誤解を招く」とのこと。おっしゃるとおりなので付記する。
※その後、他市の火葬炉は法規制のないペットには対応していても、廃棄物処理法の規制を受けるペット以外に対応していない可能性が高いことに気付いた。

●解決策その4:「動物墓地」に土葬する
人間と違って動物は別に火葬しなくともよい。つまり、土葬してもよい。法律上は廃棄物最終処分場扱いとなるのかもしれないが、名称としては「動物墓地」と名付けた市有地にペット以外を埋葬する。ペットについては、民間事業者を利用してもらう。ただし、低所得者については「動物墓地」で受け入れる。
問題としては、近隣住民からの反対運動が起きる可能性がかなり高いだろう。
※ご指摘を頂き「解決策その4で書いている通り、ペットについては、自分で自宅庭等への土葬でも火葬でもできるのだから、民間事業者に頼むことを前提とした書き方は誤解を招く」とのこと。おっしゃるとおりなので付記する。

以上、提案する。

市民のみなさんは何を言うのも自由だ。私たち議員や市役所職員を雇うオーナーなのだから。何となれば「ペットはゴミなのか!」と煽るのも勝手だ。しかし、我々行政関係者は、どんなに炎上した問題であろうが、着地点を見つけて対処しなければならない。私は、この問題について主導してきた結果、想定外の市民の反対運動を招いた者の一人として、責任感を持って建設的提言をしたつもりだ。
この案が全てだとは思わない。この記事を叩き台として議論を重ねて頂ければ幸いだし、ぜひ多くの方が納得できる解決策を導きたい。


この記事へのコメント

  • 片桐義江

    小動物火葬場廃止問題について
    1. 廃止に反対します。
    2.改装など維持続行に努めてもらいたい。

    小動物は人間(市民)ではなく行政の管轄範囲外と強調され、『市議会議員として、市の財政状況を鑑みて』今までにも議論されてきたことを知らなかった市民の低認識を挙げとても冷徹に『市政に責任を負う意識高い議員』として発言されていることを行間から感じ取れました。
    高齢化社会などペットを家族として生きる糧にされている多くの市民のささやかな感情を、見事に逆撫でされていることを意識されないのですか?弱者や老人子どもに優しい市政を目指すとは公約に書かれてないんでしょうか?視線はどちらに向いているのでしょうか?
    2019年09月02日 09:03