2018年12月24日

横須賀火力跡地には、IR(統合型リゾート)を誘致せよ。

E2880EF0-1F5E-4061-B4CE-6AD1E55B3F92.jpeg 久里浜にある横須賀火力発電所では現在、解体工事が続けられており、関連する市内事業者もにわかに活況を呈している。ところで、解体した後の跡地利用については、幸いなことに、まだ決定していない。
 かねて、私は横須賀火力の原子力発電化を提言してきた。実は逆説で、ガス火力化を提言してきた。
→横須賀火力発電所を再稼働するなら石炭じゃなく原発に置き換えろ?!
 しかし、石炭火力化への流れは止まらず、かなり最終局面に近づいている。そこで、改めて事業者や国県市に活用法を提言したい。世論を喚起する意味も込めて今回の記事にした。
※写真は、くりはま花の国から望む解体中の横須賀火力発電所跡

●石炭火力化はリスクが高すぎる
 当該地は民有地であり、行政が指図することはできないが、JERAという事業者が現在、石炭火力発電所を建設したいと考えて申請しているそうだ。ただし、市内に新たな事業者が立地すること自体は好ましいが、石炭火力ではいかんせんリスクが高すぎる。

 大きく3つの理由がある。

 第一に、いわゆるカーボン・リスクだ。
 環境リスクや政治リスクに起因する財務リスクと言ってもいい。大きく、投資市場と商品市場のリスクがある。
 投資市場においては、投資引き揚げ(ダイベストメント)だ。石炭火力は、二酸化炭素を最も大量に排出する発電方式であるため、今や国際社会から白い目で見られている。最近では、第一生命が「海外の石炭火力にはもう融資しない」旨を発表した。三井住友銀行に至っては、国内も含めCO2排出の多い発電には融資を禁じた。こうした動きには他の金融機関も追随することになるだろう。
 商品市場においては、電気を選ぶ「パワーシフト」だ。つまり、投資が受けられて建設したとしても、つくった電気は果たして売れるのか、という問題だ。既に電力自由化された中、汚い電気を買わないイオンやソニー、富士通、リコー、積水ハウス、大和ハウスのような企業も消費者も増えている。
 これらに加えて、いずれは国際公約を守るために日本も炭素税などを導入せざるを得ないだろう。そうすれば、カーボン・リスクは一気に顕在化する。このように石炭火力は採算が取れなくなり、稼働できなくなってお荷物になるのが目に見えているので、「座礁資産」とも呼ばれている。これらの問題は、2016年6月の総務常任委員会にて横須賀市議会で私が初めて指摘し、2018年3月の都市整備常任委員会でも重ねて指摘しており、現在では、市内の世論も喚起されつつある。

 第二に、地域経済への影響度だ。
 建設時には地元企業も潤うが、完成後は石炭火力はそれほど裾野の広い業態ではないため、地域経済への寄与は、限定的だ。しかも、いずれ廃炉する可能性が高いので、地元にお金は回らず、市税収入も減ることになる。

 第三に、地域環境とイメージの悪化だ。
 どんなにバグフィルターなど環境対策を講じても、PM2.5などの汚染物質はとりきれないので、確実に汚れる。煙突が高いので、おそらく大部分は横浜や東京などに広く拡散してくれるだろうが、風次第では市内に排気が溜まることもあるだろう。
 加えて、本市の環境だけでなく、住むまちとしてのイメージも悪化する。そのあたりは、放射能と一緒だ。

 以上3点の理由から、私は優しいので「悪いことは言わないから、ガス火力に計画変更したほうがいいですよ」とJERAさんに書面でも差し上げたのだが、理解できなかったのかもしれない。また、ガス火力のほうが、投資額も多くなり市内への経済効果が大きくなる面もあって、当方としてはいいのだが、説明会で提案したら費用的に難しい旨の回答だった。
 というわけで、なにしろガス火力化は望めないのだろう。

●だったらIRを誘致できないの?
 ガス火力化が無理ならば、JERAさんには、もっと魅力的な提案がある。
 それは統合型リゾート、いわゆるIRだ。

 JERAさんのために、簡単に背景説明をしておこう。IRは、国が国内最大3カ所への設置を目指して法整備したが、まだ候補地は決まっていない。関東における有力候補として横浜の名前も挙がっているが、地元事業者や市民の反対も根強く、おそらく政治的に困難だ。

 今が、チャンスだ。

 先日、私が事務局長を仰せつかっている「ギャンブル依存症対策地方議員連盟」の企画で韓国のIR「PARADISE CITY」を視察してきた。日本企業も出資しており、ホテルやスパ、ブランド店など、実に高級感があって、なかなかいいものだった。多くの雇用も産み、非常に裾野も広い産業だといえる。
 これを日本の玄関口・羽田空港からのアクセスも良く、東京湾口で、豪華客船も接岸できる久里浜に誘致するのだ。
 旧軍港4市の仲間、佐世保市も、IR誘致に名乗りを挙げており、西の佐世保・東の横須賀で、タッグを組むのもいいだろう。
 加えて、現市長の掲げるエンターテイメントの力を活かした都市構想にも合致する。現市長は、国でIRを推進してきた菅官房長官とも太いパイプを持っているようだ。また、数年前までは、神奈川県庁も毎年国にカジノ特区の要請をしていた事実がある。こうした国県市の連携を活かせば、必ずや誘致できるのではないか。

 なお、IRにはカシノが含まれるだろうが、カシノには否定的な方々も多いようだ。そんな向きには、私の寄稿記事や過去記事をご覧頂いてから批判願いたい。
→政治山「カジノのどこが悪いのか?『横須賀カジノクルーズ』提唱者が問う」
→小林のぶゆきBlog「横須賀カジノクルーズ?!の可能性を探る」

●JERAは、潮目を読むべきだ
 JERAさんに問いたいことがある。「国」とは何か?

 我々が「国」と言っている日本国政府は、阿修羅像のようにいくつもの顔を持つ。つまり、一枚岩ではない。各省庁のトップである大臣も、事務次官以下の職員らの方向性も、省庁ごとに違う。これは省益争いとかではなく、各省庁が考える国益や正義が違うのだと思う。

 具体例を出そう。

 環境大臣は、横須賀火力を名指しして再考を求めてきた。
→横須賀石炭火力「再検討含め再考を」環境相が意見書(2018/8/10日経新聞)

 外務大臣も、「気候変動に関する有識者会合」という諮問機関を設けた。座長は、日本のカーボン・リスクの提唱者であるUNEP-FIの末吉竹二郎氏だ。これは、河野大臣の陰のメッセージだ。この有識者会合が2018年4月19日に「脱炭素国家・日本を目指し、気候変動対策を日本外交の主軸に」という提言を提出した。
 これに対し、河野大臣も「2月の提言は、日本のエネルギーに関する今後の計画をどうするかという点で大きな波紋を呼んだ」「今日、気候変動に関する提言をいただいたが、ここからが本番」と前向きに応えた。河野大臣の狙いは明らかだ。経産省を牽制しつつ、外交上の足かせになっている日本の環境対策の遅れを取り戻し、国際的な発言力を強化したい。そんな外交に携わる者なら当然の考え方だ。
 これを受け、環境大臣も「大変有益な示唆がある。環境省と同じ方向を示しており、大変心強く感じた」「政策への反映では、外務省とも協力していきたい」と述べたという。(→2018/04/25環境新聞)

 ちなみに、現・上地市長もJERAさんによる環境アセス手続きに対する市長意見の中で、「特に、今後の国のエネルギー政策や国内外の地球温暖化対策に係る動向を注視して引き続き検討を行」うよう求めている。前・吉田市長が軽薄にもアセスが始まる前から「横須賀火力発電所に新しい火が立ち上がります!」 https://yuto.net/blog/2016/05/3422/ などとBlogに書いて前のめりだったのとは対照的で、抑制的だ。
 つまり、地元も国の潮目が変わればそっぽを向く、というメッセージと受け止めてもらうといいだろう。

 JERAさんに言いたいのは、要するに、経産省の動きだけ見ていては見誤る可能性があるということだ。早晩、ハシゴを外されて、建設後の石炭火力が宙に浮く可能性もある。そんなリスクが大きい発電方式よりは、リスクが低い選択肢がいくらでもある。IRがイヤなら、ユニバーサルスタジオ等を誘致してくれてもいい。
 とにかく、ぜひとも世界の潮流と国内の潮目の変化に敏感になって頂くことを、あなた方のために心からお勧めしたい。
posted by 小林のぶゆき at 13:23| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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