うわまち病院跡地には、横須賀共済病院の誘致を。

 横須賀市役所は12/21に、うわまち病院の移転先を神明公園とする方針を発表した。
→うわまち病院建替え後の新病院の病床数と移転予定地を決定しました(市長記者会見)
 最終決定者は議会だが、おそらく同意するだろう。

●研政の主張が実現
TownNews201811.png 私が所属する会派・研政では、伊関団長を中心に4年前からうわまち病院の移転を主張してきた。市がまだ現地建替を軸に検討していた頃だ。当時は、市民病院と統合しての南部移転を考えていたが、最近では市民病院を残したうえでうわまち病院を南部移転するよう主張してきた。「変節」と言われるかもしれないが、本年10月に会派・無所属みらいと共同で出資した伊関友伸教授への調査委託の結果をふまえて市民のために「君子豹変す」のつもりだ。なお、調査は無所属みらいと共同委託したが、彼らは南部移転を必ずしも主張しているわけではないことを彼らの名誉や正確性のために付言しておく。
miuracorehospital.png いずれにしても、研政の南部移転の主張が実現へと向かうわけで、私としては満足している。これにより、中核病院(地域医療支援病院)が三浦半島(二次医療圏横須賀・三浦)の東西南北に適切に配置できる。
 もっとも、研政では元々、久里浜みんなの公園を最善の移転先として考えていた。ただし、横浜F・マリノス練習場が移転してくる見込みとなった。そこで次善の策として、神明公園ではやや狭いうえ病院経営の観点を勘案すれば南に寄りすぎるため、大津公園を大本命と考えていた。大規模災害にもより強い。とはいえ、大津では反対運動の兆しがある一方で久里浜・北下浦では誘致活動が積極的に行われたという政治的背景や、純粋に救急搬送の市内カバー状況を考慮すれば、神明公園は十分納得できる。おそらく、病院の建替が必要となる50年後ごろには小学校の統廃合もさらに必要となるため、神明小を建替用地として想定もしているだろう。
 結論としては、様々な背景や条件を考慮に入れたとき、市は合理的で賢明な判断をしたと評価している。

●市は上町地区の地域振興策の責任を負った
 ところで、この12月議会には「うわまち病院移転につき再考を求める請願」が上町連合町内会と上町商店街連合会の「連名」で提出されていた。地域の総意としての意思表明と言っていい。請願項目は次の3点だ。
1.うわまち病院移転計画を再考してください。
2.うわまち病院の改築・移転について地域住民にしっかり説明をしてより多くの住民の理解を得るよう努力してください。
3.上町地区の包括的な地域振興対策を検討・策定してください。

 このうち、1を除く2と3を市議会は多数決で部分採択した(研政も賛成。共産党は全項目採択で、無所属みらいは全項目不採択のため、2会派が反対)。これは、市民代表として主に2つの意思決定をしたことになる。
 第一に、「うわまち病院は移転せよ」ということだ。「現地建替えが難しいという市の説明は合理性があるから再考する必要はない」と承認したことになる。第二に、3番目にあたる「上町地区の包括的な地域振興対策を検討・策定せよ」と市役所に命じたことになる。ここが重要だ。
 請願採択は、いわば市の株主である市民から、取締役会である議会を通じて、社長である市長に命令したことを意味する。つまり、事実上の指示書だ。これで市は上町の地域振興をやらざるを得なくなった。

 とはいえ、これは冷静に考えると「えこひいき」である。無所属みらいを代表して加藤ゆうすけ議員が「上町だけに地域振興をするのはおかしい」旨の討論をしたが、論理的には正しすぎるぐらい正しい。なぜなら、うわまち病院があることは上町にとって他の地域に比べて恵まれていたのであり、それが無くなるからといって損をするわけではない。総合病院という大きな雇用と人の流れを産む「集客施設」がなかった地域からみれば、上町の主張は地域エゴとも映るかもしれない。
 ただし、政治には理だけでなく情も大事だ。これまで立地していたものが不意に無くなれば、大きな打撃を受けるのは間違いない。そもそも市役所では現地建替を軸に検討していたわけで、移転を想定しにくかったのも事実だ。だからこそ、私たち議会の多数は部分採択したのだ。そして、賛成した私には、地域振興を考える責任があると自覚している。

●上町の地域振興の難しさ
IncreaseDecrease.png とはいえ、正直に言って、上町地区の地域振興は難題だ。
 私が制作した『横須賀データマップ』の、1-6「増えた地域、減った地域」で10年間の人口増減を見ていただきたい(右上図)。上町1丁目・2丁目・坂本1丁目を除けば、田浦逸見の谷戸に続いて人口が大きく減っているのが上町地域だ。大規模開発の計画もなく、この傾向は続くだろう。
AgingRate.png 同マップの1-3「地域別の高齢化率」も併せて見て頂ければと思うが(右下図)、老人ホームが立地することで高齢化率が跳ね上がっている町丁名を除けば、同じく田浦逸見の谷戸に続いて上町地区は最も高齢化が進んだ地域とも言える。

 そもそも、地域振興には様々な手法がある。住民を増やす、経済を活発にする、観光客や公共施設などへの人の流れをつくる、などいくつかの方向性がある。
 この観点で、上町の経済を活発にするのは難しい。地域の需要がしぼんでいるからといって、外からの需要を呼び込むことはおそらく望めない。企業誘致も期待はできない。観光客が一気に来るような要素も乏しい。旧横須賀税務署やうわまち病院という公共施設への人の流れはつくれるだろうが、税務署跡地や病院跡地に市が公共施設を置くとは思えない。だいいち、私なら認めない。既に公共施設が潤沢な地域であり、人口比では追浜や久里浜を優先すべきだ。
 そうなると、順当に考えれば、住民を増やして地域の経済需要と人の流れを生み出すことが自然な方向性となる。つまり、マンションか団地での再開発だ。あるいは、高校や大学は無理でも、専門学校の誘致ならあり得るかもしれない。比較的に上町地区は、更地ができれば新しく住宅が建つ場所だ。おそらくこの方向が順当だろう。

 あるいは、まだ建物の寿命が残っている現在の南棟(リハビリテーション棟)を回復期の病院として残し、隣接して老人保険施設やサービス付高齢者向け住宅などを誘致し、2025年以降にピークを迎える後期高齢者の医療・介護ニーズに応えてから住宅に転用するほうが、全体最適の観点では良策かもしれない。ただし、それらの施設に人の流れはあまり期待できず、地域振興の面では期待に応えられない。
 やはり住宅なのか。

●うわまち病院跡地に、横須賀共済病院の誘致を
NumberOfOpe.png そこで、もう一度、三浦半島を俯瞰的に見てみると、横須賀共済病院(以下、共済)の限界に気づく。
 先に、三浦半島の東西南北に中核病院を配置、と書いた。ただし、三浦半島最大にして大学病院並みの機能を持ち全国有数の名経営者を抱える共済は別格だ。うわまち病院・市民病院・横浜南共済病院とは規模が違う。大学病院の中でも充実している横浜市立大学付属病院は実態として三次医療の病院なので、共済と肩を並べるのは事実上、湘南東部二次医療圏の湘南鎌倉総合病院だ。
NumberOfOpeKanagawa.png 神奈川県内で見ても、二次医療圏の病院として最大クラスだ。外目には、共済は小ぢんまりしていて古めかしいので、失礼ながらそんなに立派な病院には見えないが、全国3,500の急性期病院の中で手術症例数35位の大病院なのだった。もちろん、指標は手術症例だけではないが、国の「機能評価係数Ⅱ」という指標で見ても次の順位であり、大病院であることには間違いない。なお、うわまち病院や市民病院も優れた経営者を得て、置かれた立地や条件から考えると非常に健闘して頂いていると言えるだろう。
24位 湘南鎌倉総合病院
95位 横須賀共済病院
122位 横浜南共済病院
136位 うわまち病院
373位 市民病院
1077位 衣笠病院
1101位 葉山ハートセンター
1290位 よこすか浦賀病院
※中央社会保険医療協議会総会(第396回)資料より伊関友伸教授作成の表から抜粋

 しかし、共済は長堀病院長の下で着々と陣容を充実・拡大させてきたが、おそらくそろそろ限界だ。
 限界なのは施設である。建て増しを繰り返した結果、8棟もの建物に分散しており、しかも土地が整形ではないこともあって6棟が非整形だ。これによって、病院内の導線が複雑になっていると思われる。また、老朽化した棟の建替がまもなく必要となるが、その種地となる駐車場も狭く、現地建替にはうわまち病院同様に大きな困難を伴うだろう。

 ここで押さえておきたいのは、共済は民間病院ということだ。だから横須賀市が応援する義理はない。つまり、建替に困ろうが何しようが制度上は我々の知ったことではない。
 とはいえ、市民生活を考えれば共済には恩義ばかりだ。地域に雇用と様々な調達需要を創出している。横須賀市・逗子市・三浦市・葉山町の救急搬送も受けて頂いている。かといって他県のように行政からの補助金なども一切拠出しておらず、黒字経営を続けている。感謝するほかない。
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 そこで私は考えた。
 せめて、土地ぐらい提供してもいいのではないだろうか?

 横須賀中央駅の徒歩圏もしくは現在の「商圏」から大きく離れずに建替ができる用地としてどこがあるか?
 もちろんそれなりの広さが必要となる。市役所前公園も横須賀警察署跡地とつなげれば使えたが後の祭りだ。悔やまれる。諏訪小は廃校の見込みがない。不入斗中・坂本中・旧桜台中のどれかは廃校にできるが、いかにも遠い。はまゆう公園も同様だ。そんなことを考えあわせると次のとおりだ。
・汐入小
・豊島小
・ポートマーケットと向かいの駐車場
・新港埠頭
・文化会館と自然人文博物館
・うみかぜ公園
・芸術劇場
・うわまち病院跡地

 この中で、病院経営も考えたときに現実味があるのは、次の通りだが、それぞれ課題もある。

●ポートマーケットと向かいの駐車場
 →やや遠いが、車からのアクセスも考えあわせると、おそらく本市が用意できる最高の立地。

●文化会館と自然人文博物館
 →上町からの進入路が狭い。米が浜通りから共済の一部をかすめて中央公園を抜ける高架の道路整備が必要。文化会館は駅前再開発に組み込めばいいが、博物館は美術館か芸術劇場に移転か。

●うわまち病院跡地
 →進入路が狭い。ただし、うわまち病院の現地建替が無くなっても、いずれにしても拡幅は都市計画決定されており、跡地再開発のためにも必須。他の候補地のように機能を移転したり住民との調整をしたりする必要がないのは優位点。

 こうして考えてみると、うわまち病院跡地をきちんと整形し、50年程度の定期借地権を設定して共済に無償貸与するアイディアは面白いのではないか。
 もちろん共済としても準備が必要だ。とはいえ、うわまち病院の解体は2025年以降。進入路拡幅と併せて10年後と見込まれ、時期としては十分かもしれない。
 上町地区にとっても、うわまち病院の代わりに更に大きな共済が来るなら諸手を挙げて歓迎だろう。

 以上、小林の地域振興策案を提示しておく。

この記事へのコメント

  • 一市民

    あなたの政策提言には市民に負担を強いることと実現性が低いことに気づいていますか?

    あなたに色々言いたいことはあります。

    でもコメント欄は読まないとのことなので簡単に言います。

    横須賀市民は共済病院をうわまち病院の跡地への移転を望んでいますか?

    共済病院なら高齢者でも駅から歩くことは出来ますが、
    うわまち病院の跡地では駅から坂を上らないといけないので、
    高齢者が歩いて通院することは非常に厳しいのではと思います。

    議員は市民への奉仕者であるはずなのに、
    市民に負担を強いることばかり提案されては、
    ますます市外への転出が増えますし、
    貴方のTwitterへに「横須賀市民は民度が低い。」との書き込みがされていましたが、
    仕方がないですね。
    その書き込みは市外在住者が誹謗中傷で書き込んだのではないですから。
    2019年02月13日 09:41
  • うわまち病院への動線を考えれば移転した後に、新たな病院の誘致は論外だと思います。狭い道幅に最寄り駅から坂を昇るなど、利用者目線に立てば一目瞭然でしょ! 子育て政策も良いですが、高齢者や弱者の方々に優しい政策をお願いします。
    2019年02月13日 19:46
  • おやくにんさま

    しかし,それにしても,ホテルができるとか噂されていたリビン横の広大な広大な敷地が住宅展示場なんかになってしまっているのか,謎の失政やな.
    2019年05月18日 21:15