2018年12月12日

【会派視察報告・前編】コミュニティ・スクール 〜春日市〜

E60A8CC9-0769-4B08-9A2F-44D68BFE674C.jpeg 会派・研政で11/15〜16の旅程で視察をした。おそらく今の任期中最後の視察だろう。
 視察は道楽だと思われがちだし、実際そう思っている議会や議員も一部にはいるようだ。だからTV番組で物見遊山をすっぱ抜かれるのだ。迷惑な話だ。
 今回は、会派マニフェストにあたる「政策提言2019」の肉付けのために訪れた。
 この成果は、来年の3月議会での会派代表質問に活かされることになるはずだ。ご期待いただきたい。

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【第一日11/15 春日市:コミュニティ・スクールの取り組み】
 初日は、福岡県春日市に伺い、コミュニティ・スクール(地域運営学校もしくは学校運営協議会制度と訳される)の取り組みについてお話を伺った。このテーマを選んだ背景には2つの文脈がある。

 第一に、学校統廃合だ。
 横須賀市教育委員会は、今年度中に小学校の再編実施計画を策定しようとしている。この小学校の統廃合は大変な話で、本市でも何割かが頓挫した過去がある。また、統合した後にも様々なしこりを残している。
 ところで、この統廃合にあたって、コミュニティ・スクールを導入する学校では合意形成が図られやすいという論文があるのだ。
 →「学校統廃合の円滑な実施に対するコミュニティ・スクール制度導入の成果」(安井,2015)
 なお、学校統廃合問題については、私のチラシ28号でも扱っているので、ご高覧賜れれば幸いだ。

 第二に、学校のガラパゴス化だ。
 よく「学校の常識、世間の非常識」と言われる。全くその通りで、私はかねがね、学校がタコ壺化していると考えている。学校は非常に閉じた世界で、教員には世間知らずが多いと思う。
 背景には構造的な問題と長らく蓄積された慣習がある。教育委員会は、予算以外は議会や首長からの独立性が担保されている。その教育委員会の指揮下にあるはずの公立学校も、実はかなりの権限が校長に与えられていて、独立性が強い。そして、各学校の中に目を向ければ、個々の教員は学級を任されており、他の教員が他の学級のことに口を出すのがはばかられる風土もあると聞く。加えて、教員の人事権は校長にはなく、市の教育委員会にある。かてて加えて、教員は県の職員であり、実際の人事的処分は県の教育委員会が下す。このように、責任の所在が分散しており、複雑怪奇なのが公立学校の現状だ。
 この結果、公立学校ほどガバナンスが利いていない組織はないのではないか、と思えるほど独自の進化を遂げ、ガラパゴス化している。本市も例外ではない。例外ではないどころか、お隣の横浜市と比べるとかなり校長会が強く、教育委員会が学校関係者にモノ言えぬ慣習が根付いているように見える。
 こうした中、、学校の経営を校長だけに任せるのではなく、経営陣に地域の代表や保護者の代表も加えて、外部の視点を取り入れようとするものがコミュニティ・スクールだ。国もコミュニティ・スクールへの移行を努力義務として推奨しているが、本市ではまだ一校も導入していない。

 以上、学校の統廃合とガラパゴス化の観点を背景として、コミュニティ・スクールについて実例を探し、今回は春日市に視察を受け入れて頂いた次第だ。
 ちなみに、コミュニティ・スクール化した学校が「地域運営学校」である。そして、そこには「学校運営協議会」が置かれるので、コミュニティ・スクールは「学校運営協議会制度」とも訳される。多義的なので、以下は日本語で表記する。

 さて、お話を伺ってみたところ、春日市の最も特徴的な部分は学校運営協議会を校長の横に位置づけていたことだ。本来、制度の趣旨からすれば、学校運営協議会は校長の上に置かれるはずだ。これは、市役所の市長に対する市議会や、学校法人の校長に対する理事会に相当する。もちろん、校長が学校の経営方針を定めるうえでは学校運営協議会の承認が必要なので、学校運営協議会規則の中では校長の上になっていることに変わりはない。ただし、実際の運用上では、努めて「学校の応援団」という性格を持たせているようだった。

 なお、春日市ではまだまだ人口は増えており、学校の統廃合が必要な状況にない。そのため、地域運営学校が統廃合に及ぼす効果については洞察を得られなかった。

 その他、気付きのあった点を列記したい。

●前教育長時代に地域運営学校化を決定し、2005年就任の現教育長時代に実行したが、学校からの反発はなかった模様。おそらく、トップダウンだったことは良かった。

●一校で始めて、非常に効果があると教育長が判断して、全校展開した。

●学校に配慮し、同時並行で学校の負担軽減も進めた。とりわけ、学校に300万円前後の予算枠を与え、その範囲内での予算案編成権と執行権を校長に委ねたことは重要な点だ。また、追加の事務員(パートタイム)や、教員の加配(嘱託職員)、事務作業の軽減など多岐にわたった。

●学校運営協議会の運営にかかる予算は、年間20万円/校程度でお金がかかる施策ではない。

●生徒にとっては、社会性・市民性が向上させる効果が顕著にあった。おそらく、有効なシチズンシップ教育であり、キャリア教育の側面もあるだろう。

●教師にとっても、地域社会との関わりから学ぶことは大きい模様。


 最後にまとめを記したい。
 以上の点をふまえれば、本市でも地域運営学校化を進めるべきだろう。何度か提案してきたが、教育長はまだ課題を整理している段階だと答弁していた。改めて教育委員会に提案したい。
 ただし、私はこれまで学校に外の目を入れてガバナンスを利かせることを主眼にしていたが、そればかりを言うと校長会ほか学校側の抵抗感は拭えないのではないか。地域社会と学校の協働を進める中で、少しずつ外の風と外の目を入れて学校を「社会化」していくのが良いのかもしれない。その意味でも、まずは受け皿としての学校運営協議会制度を全校に導入することが先決ではないか。
 そのような洞察を得た視察となった。
posted by 小林のぶゆき at 16:45| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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