2018年08月18日

まちづくりに高校生の声を 〜可児市議会の地域課題懇談会に行ってきた〜

IMG_4401.JPG 8/4(土)に、日帰り弾丸視察で岐阜県可児市を訪れた。先日の会派視察で訪れた可児市議会(→過去記事参照)の高校生を対象とした「地域課題懇談会」を目撃するためだ。

 「2カ月前に、わざわざ議長さんにまで対応してもらって話を聞いたんだよね? 概要がわかればそれで十分なんじゃないの? ホントのところは政務活動費という税金を使って、道楽とか旅行がしたいんじゃないの?」と言われるかもしれない。しかし「百聞は一見に如かず」だ。
 なにより、私は2018年度の「広報広聴会議」の委員を務めている。議会報告会や懇談会などの市民意見聴取の場をどうつくるか。まさにそれを考える立場だ。しかも、なんとなれば我が会派は可児市議会流の「地域課題懇談会」を横須賀市議会にも導入したいと考えている。そのためにも、具体的な運営がどうなっているかを見ておく必要がある、と考えた。より率直に言えば、私自身がどうしても見ておきたかった。

 「地域課題懇談会」は、子育てママや医師会、金融協会、商工会議所など様々な対象別に行っている。そのうち、高校生も対象としたものが最も多く、これまで介護、子育て支援、防災、地域医療、税と行政など、テーマを絞って実施してきた。今回は、「若い世代が主役のまちづくり」という、やや幅広いテーマだった。

 誤解を恐れずに全体の感想を言えば、「ああ、これなら横須賀市議会でもできるな」だった。「この分野の取り組みでは日本一の可児市議会といえども、全く手が届かないものでもないな」という感想を持てたのは、実際に見て良かった収穫だと思う。

 以下、細かく、まねるべき点と改善すべき点を挙げておきたい。

【まねるべき点】
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●グラフィック・レコーディングを取り入れていた。
 議論を同時進行的に記録することで、共有しやすい。質も高く、なおかつ、記録者は可児高校の卒業生だった。後日、これらは市役所に展示もされるという。牧之原市の先進的取り組みをしっかりと模倣していたところに可児市議会の強さを感じた。

IMG_4404.JPG●グループ・ディスカッションを取り入れていた。
 会場全体での議論と、グループ別の議論には、それぞれ向き不向きがある。聞き役が多ければ、グループ別のほうが参加者がより多くしゃべることができる。全体共有が目的ではないのだから、グループ別のほうが向いている。

IMG_4391.JPG●メンター的先輩がいた。
 過去のプログラムを受けた大学生など卒業生が何人か参加していた。また、1年生のときに受けた2年生や3年生も自発的に参加していた。とりわけ、高校1年生で参加した人が、立命館大学2回生になって、発表をしに来ていたが、内容も素晴らしく、参加者のいい見本となったのではないか。ちなみに、我が議会が高校生を対象に昨年度実施した議会報告会では、関東学院大学の学生に加わってもらったところ、進行役を務めるなどして議論を活性化し、大いに助かった。必ずしも卒業生でなくとも、高校生にとっての「ややナナメ上」の存在は有効だと思った。

●意識と情報を共有してから議論に臨んだ。
 民主制の基本として、判断の前には、判断する人に同じだけの十分な情報がきちんと与えられていることが大事だ。その点では、可児市議会ではパネルディスカッションをして行った。その後の高校生の議論を誘導してしまう面もあるので、慣れていない我が市の場合は内容を調整しにくいパネルディスカッションではなく、講演や卓話のほうがいいかもしれない。

●地域の多様な主体が参加していた。
 高校生の声を掬い上げる場ではあるが、高校生以外の方も参加していた。地域の経営者やNPOの方々が加わることで高校生が触発される面もあるだろう。また、キャリア教育も兼ねていたようで、普段接することのない「ナナメ上」の大人と触れ合うことも良い機会だろう。

【改善すべき点】
●議員に進行役(ファシリテーター)は向かない。
 これが最大の収穫だと見た。議員は会議のプロのはずだが、実際にはそうではないことが多い。やるなら、徹底的に研修すべきだし、初期段階ではプロのファシリテーターの仕事ぶりを見ることが絶対に必要だ。しかし、そこにエネルギーを割くぐらいなら、議員にファシリテーションさせるのを最初から諦めてプロに依頼し、議員は聞き役に徹したほうがよっぽど生産的だろう。それこそが、議員の持ち味だからだ。

●そもそも何のためだったのかを共有できていない。
 キャリア教育を兼ねていることもあってか、高校生の声を十分に引き出すことができていない班がいくつも見られた。子ども扱いしてしまうのだ。しかし、何のために実施していることなのか? とりわけ、教師が参加したことは逆効果かもしれない。地域の大人という「ナナメ上」は利害関係がないが、「真上」の教師は生徒を萎縮させ、「正しい」ことを言わなきゃいけないという圧力となる。その点、親が参加していたらどうか、という話と同じだ。教師や議員などが「上から目線」で接している限り、本音の声は出てこないのではないか。

●テーマが漠然としていた。
 「若い世代が主役のまちづくり」がテーマ。だが、「その実現に向けて、若い世代が活躍できる場として学校、地域、行政ができること、そのために必要な若い世代と大人の交流とは、また、若い世代がやりたいこと、住みたいまち、魅力あるまちとは、などについて意見交換」と続き、イメージしやすいようにと思った設定が、かえって焦点を合わせにくくしたのではないか。むしろ、「市の課題は人口の維持です。みなさんのような若者は、どうやったら可児市に残ってくれますか?」と聞いたほうがスッキリするのかもしれないと思った。

●大人の姿勢がバラバラ。
 「若い人が地域に残らないと、まちが衰退していく」という切実さを持って、参加している人がどれだけいただろうか。高校生が発表している間に居眠りしている議員もいた。主権者教育的に上から目線で接している議員もいた。そうじゃない。有権者ではなくとも主権者であり、その声をどう経営に活かすかが議員の仕事のはずだ。川上議長だけが必死になっても、主催者である議会の姿勢が問われる。その空気は、議員以外の大人も引きずってしまったのではないか。

●議論の時間が短すぎる。
 前段に多くの時間を割いたものの、グループ討議の場は30分だった。しかし、主権者教育やキャリア教育が主なのではなく、課題解決の場なのであれば、我が市ではグループ討議に少なくとも60分割いたほうがいいと感じた。

●KJ法は使わないほうがいい。
 道具に振り回されていた。フセンや模造紙を使いこなせていなかった。KJ法は、強力な手法だが、効果を発揮するのは参加者が慣れているか、柔軟な人たちか、じゃないかと最近感じている。最初にフセンに書き込む時間を設けるのは、特定の人の発言にグループが引っ張られないためだ。また、議論を整理しやすいように、フセンを模造紙の上で分類したりするのだ。その辺を理解すれば、発言をいちいちフセンに書かせることはしない。周りの大人がフセンに書いて、参加者を議論に集中させることができる。我が市では、議員が聞き役とフセン書き役をやるのがいいだろう。

●アイスブレイクがない。
 空気が固かった。そうでなくても、相手は高校生だ。大人に囲まれて緊張している。緊張の氷を割る、余興的な仕掛けを用意した方が良かった。

●ジュースとお菓子を置いておいたほうがいい。
 アイスブレイクとも関連するが、場の雰囲気づくりは大事だ。青森中央学院大の佐藤淳先生の言うように、テーブルにはカフェ風のテーブルクロスを敷き、お菓子を用意するだけで、場はグッと和やかになる。まして、相手は高校生だ。お茶よりジュースが飲みたい子が多いだろう。


 以上、少し辛辣に聞こえた部分も多かったかもしれないが、それでも可児市議会は最先端だ。そして、逆に可児市議会といえども改善点がまだまだある。
 我が市でどうするか? 真剣に見てきた結果だと受け止めて頂けると幸いだ。
posted by 小林のぶゆき at 12:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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