視察項目4つ目は、同じく名古屋市で、中学校の部活動「外部顧問」制度についてお話を伺った。
本市の部活動には、いくつもの問題がある。
(1)教員の多忙感の最大の要因の一つとなっている
(2)全ての学校に全ての部活動が揃っているわけではない
(3)運動部・文化部とも、指導の能力を備えた教員が学校にいるとは限らない
(4)現在はあくまでボランティアで、教員の善意に頼っており、そうである以上、教員が一斉に断り出した場合、部活動制度が崩壊してしまう
他にも多くの課題があるが、今挙げた課題の解消のために、すぐに採用できる有効な事業がある。それが「部活動指導員」という名の外部顧問を雇う制度だ。
この外部顧問は、現在本市で実施している「部活動指導者派遣推進事業」と似ているようで、かなり違う。
指導者派遣の場合、競技の指導をするのみで、部活の顧問となることはできない。事故などがあった場合の責任も負えない。時間もごく短時間だ。各種大会にも顧問が引率することが条件となっている。そのため、指導者とは別に教員が顧問を務めなければならない。
一方、外部顧問は、教員以外の方を特別職の非常勤職員として雇い、顧問とするものだ。
2017年に国が制度化したこの「部活動指導員」(外部顧問)制度の基となったのが、2004年度から外部顧問を置いてきた名古屋市だった。制度の概要は次の通りだ。
●身分:非常勤特別職
●勤務:20時間/月(それ以上の時間をボランティアでやる者もいる)
●報酬:月額43,200円(交通費込)
学校現場からは非常に歓迎されているため、当初10名程度で始まったものが毎年人員を拡大しており、本年度は208人分の予算を組んでいるという。ちなみに、どんな人が外部顧問になっているのかといえば、元々教員だった人が2割、大学生2割、その他6割とのこと。また、文化部:運動部=1:3ぐらいとなっているとのことだった。
なお、この「部活動指導員」は、県内でも既に川崎市などいくつかの市町村で導入されている。県も本年2018年度から「部活動指導員配置促進事業費補助」を予算化しており、適用を受ければ国が1/3、県が1/3、合計2/3の補助を受けることができるようになった。ただし、本市は準備が遅かったため、本年度は補助を受けられない。
本市でも、来年度から補助適用を受けて「部活動指導員」制度を導入するよう、今回の視察も活用して6月議会で提案したところ、市長と教育長より前向きに対応する旨の回答を得た。そのため、非常にタイムリーに活きた視察となった。
ただし、来年度いきなり始めると、おっかなびっくりで規模が小さくなってしまう恐れもある。そこで、本年度内に市単独で試行的に導入して準備し、来年度からは補助も受けて十分な数を学校に送り出せる体制にしたほうが良いのではないか、と併せて提案した。今後も、市の対応を注視していきたい。
以上、一日に3つの視察項目を学んだ。かなり濃密な視察二日目となった。
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