2018年06月25日

【会派視察報告:中編2】河村たかし市長の狙いはどう外れたか〜名古屋市〜

IMG_4240.JPG 視察報告の続きです。

 視察項目3つ目。名古屋市で「地域委員会」についてお話を伺った。

 「地域委員会」は、減税日本の党首・河村たかし市長の肝入りの政策として2010年1月より試行された。いわゆる「地域自治区」の一種だった。名古屋市は横浜市と同じ政令指定都市なので、市を16の区に分けている。市議も区ごとに選ばれる。これを、もっと細かい小学校区に分けて、その単位ごとに選挙で選ばれた地域委員を置いて、地域予算の使い途を決め、地域ごとの自主事業をやっていくというものだった。
 ちなみに、2014年3月に終了している。試してみたが、役に立たなかったということだろう。

 この話を聞きに行ったのは、我が市の「地域運営協議会」という「地域自治区」の一種が、足踏みしているからだ。「地域委員会」の“失敗”に学ぼうと考えたものだ。

 “Near is better.”(住民に近ければ近いほど望ましい)という言葉がある。モノゴトは近くの住民ほどよくわかっているから、その人たちで決めた方がいい、という考え方(近接性の原理)だ。また、EU統合の理念ともなった補完性の原則(Subsidiarity)という考え方もある。地域でできることは地域でやる、できないことだけ州や国やEUでやる、という考え方だ。
 こうした考え方の下、私は地域運営協議会の設置条例にかつて賛成した。しかし、フタを開けてみれば、ただ単に、地域に新しい会議体を増やし、屋上屋を架し、町内会長ら地域リーダーの仕事を増やすばかりとなってしまった。

 失敗の原因はいくつかあると見ている。

 第一に、市から3ゲン(権限・財源・人間)を、何ひとつ渡すことがなかった。
 私は地方分権のイメージで地域運営協議会に賛成したが、国が市町村になかなか分権しないように、市も分権しなかった。これで自治意識を持てるはずがない。

 第二に、設置単位が大きすぎた。
 組織には、納得できる大きさが必要だと考えている。私は、野比の住民だが、北下浦住民という実感はない。むしろ南下浦も含めた下浦なら一体感がある。横須賀市民という意識はあるが、むしろ三浦半島アイデンティティのほうが強い。そして、神奈川県民という意識はほぼないが、首都圏に住んでいる自覚はあり、日本国民という帰属意識はかなり濃厚にある。ここから、本来の自治組織の単位としては、野比〜三浦半島市〜関東州〜日本国というのが自然だと思う。だから、野比地域運営協議会という地域自治組織なら納得感があった。しかし、かつて北下浦町という行政単位があったにせよ、北下浦地域運営協議会で何かをするという一体感は生まれない。

 第三に、地域に自治を求める機運がなかった。
 私のような他市から移ってきた他所者は別として、横須賀市民は長年横須賀市という単位に慣れ親しんでいる。市の単位で自治を求めることはあっても、逗子のように横須賀市から離脱するような強烈な自治意識は薄い。長井が地理的にも文化的にも独立国化しているのと、かつて盛栄を誇った浦賀に不満がくすぶっている程度ではないか。こうした中で、市からのお仕着せの地域自治組織は馴染まなかった。

 以上3つの失敗理由のうち、第一は市の対応に問題があるが、第二と第三は条例をつくった我々議員の制度設計と見通しの甘さだと言えるだろう。大いに反省しなければいけない。


 問題は、地域運営協議会を今後どうするかだ。
 改善するのか? 廃止するのか? 放置して先送りするのか? この判断をするために、名古屋市の“失敗”に学ぼうと考えたわけだが、結論から言えば改善するのがいいだろう。


 名古屋市の地域委員会は小学校区単位だった。ところで、名古屋市には「学区連絡協議会」という同じく小学校区単位の会議体があった。地域委員会の失敗は、学区連絡協議会との役割分担が曖昧だったことにある。地域委員会には、予算があり、選挙で選ばれた委員がその使途を決定した。同じ区域の単位で長年まちづくりを担ってきた学区連絡協議会の関係者がおもしろいハズがない。

 名古屋市に学ぶべきは、学区連絡協議会だ。これは、学区内の町内会・自治会、商店会、民生委員、消防団、PTA、子ども会、老人クラブ、防犯委員、青年団体、体育団体などの協議体だ。つまり、本市の地域運営協議会の学区版と言える。名古屋市にはこれが根付き、機能してきた。

 本市でも、地域運営協議会を学区単位で再編成すればいいのではないか。
 折しも、上地市長も「小学校こそコミュニティの中心」という考え方で、今後は試行的に小学校にコミュニティ機能を複合化する予定だ。私たちの会派・研政も同様の考え方を以前から主張してきた。
 もちろん、本市は高度成長期に団塊ジュニアのための学校建設に追われたため、野比小と野比東小のようにコミュニティの単位と小学校区の単位が一致していない地域も多い。とはいえ、調整可能だ。

 今後、その方向で具体的な方策を考えていきたい。
posted by 小林のぶゆき at 14:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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