ちなみに、右の地図がわかりやすいと思います。クリックすると拡大されるはずです。PDFはコチラ→小学校と中学校の学区の対応状況2016
2年前の記事に書いたことが、初めて時期も明示され、だいぶ確定的になりました。
→「横須賀市で小中一貫はできるのか?~中学校選択制がなくなる!?~」
私は選択制廃止論者だったので、基本的には評価しています。
とりわけ、来年度の中学校学区変更の結果を見ると、私の地元・野比にとっては重要な問題です。なぜなら、今回も、最もわりを食った学校(「転出」から「転入」を除いた「純減」が最も多い学校)は、野比中でした。これで、最も学校選択制の影響を大きく受けた学校が、4年連続で野比中となったわけです。
これは、別に教育内容のせいではなく、単純に北下浦と久里浜の学区が入り組んでいるためです。具体的には、たとえばうちの子は野比小に通っていて、うちの学区は野比中なのですが、小中一貫先が長沢中なので長沢中に入学することにしました。大半の友達がそうしたようです。
ただし、調べたところ、まだ確定ではありません。
この辺のくだりは手続き論で、少し難しいので、以下の囲みは読み飛ばして頂いて大丈夫です。
(A)合議制の執行機関である教育委員会の執行権限は、「教育長に委任する事務等に関する規則」に則り、一部を除いて教育長に委任されている。
(B)上記規則の第2条「(13)通学区域の設定又は変更に関すること。」は教育長に委任されていない。ただし、「学校選択制」に関することについては、これに該当しないため、教育長に委任されていると考えられる。
(C)「学校選択制」は「学齢児童生徒の就学に関する取扱規程」の第8条一項のうち「(4)その他委員会が特に必要と認めたとき。」に該当して「指定校変更」をするもの、という建付けとなっている。
(D)上記「(4)その他委員会が特に必要と認めたとき。」に、いわゆる「学校選択制」の場合を該当させるための文書が、平成17年度より毎年、教育長の手で決裁されている(決済文書は資料照会中)
(E)つまり現在、本市でいわゆる「学校選択制」と呼ばれているものの実態は、あくまで「指定校変更」である。恒久的な制度ではなく、例外措置の拡大固定化と言ったほうが正しい。そのため保護者は、一般的な「指定校変更」と同様に「指定変更申立書」の提出が必要となる。
(F)1/19の教育委員会定例会では「報告事項」として提出された。つまり、教育委員会としての意思決定をするものではない。そもそも、本件は教育長に事務委任されているため、教育委員会に諮らず教育長の一存で変更できる案件だ。その意味で今回は、教育長が「3年後の2021年4月以降は、この例外措置を私は決済しませんよ」と教育委員のみなさんに予告した、というだけの話だ。
(G)そのため、教育長が別な方に替われば方針変更はあり得る。ただし、ここまでの議論の積み上げに加え、1/19に予告したことをひっくり返すとは思えない。行政の継続性の観点で誰が教育長になっても、おそらく「学校選択制」なるものは廃止されるだろう。
さて、今回併せて「救済措置」案も提示されました。
まず、指定校に希望する部活がない場合、隣接校に「指定校変更」していいようにする方向で検討するとのこと。とはいえ、私はこれでは小中一貫教育が骨抜きになると予想しています。
来年4月の学校選択制利用者は361名ですが、市の予想では廃止後には20名前後になるのではないかとのこと。しかし、私はそんなもんじゃ収まらないのではないかと思います。そして、不満の声も多く出ると思います。現在は、部活の有無だけでなく、顧問やチームの強さなども含めて選択しているからです。
加えて、本来の学業とは関係がない部活動を理由に学校を選択することは本質的なのか? その視点はありません。
この問題については、部活を学校とは切り離した活動とするよう何度も議会で提案しています。文末に一部ご紹介していますので、ご関心をお持ちの方はご覧ください。
ただし、「救済措置」を講ずるなら、むしろ「小中不一貫」問題を優先すべきではないか? 私はそう思うんです。さっきも触れたように、うちは野比小学区の端っこのほうなので、中学校は野比中学区なのですが、小中一貫先である長沢中を選択したわけです。野比小は長沢中と小中一貫教育がされているとのことですので、一貫性が保証されていない野比中は選びませんでした。しかし現在のところ、教育委員会事務局では2021年4月に向けてこの「小中不一貫」問題を理由にした「指定校変更」を検討してはいないとのこと。
しかし、我が家はレアケースではありません。仮にレアケースであっても、「森を見て木を見ず」ではいけないので、一人ひとりの子どもにつまづきの原因を置かないほうがいいと思います。
実は、小中の学区が揃っていない学校が過半数です。全23ブロック中、下記の計14ブロックで揃っていません。実に61%にのぼります。
学区が小学校と対応していない中学校ブロック
(カッコ内は原因となる分割小学校)
●大楠中(荻野小)
●武山中(荻野小)
●北下浦中(北下浦小、津久井小)
●長沢中(野比小、北下浦小、津久井小)
●野比中(粟田小、野比小)
●岩戸中(粟田小)
●神明中(神明小、明浜小、久里浜小)
●久里浜中(明浜小、久里浜小、神明小、大塚台小、大矢部小)
●大矢部中(大矢部小、森崎小、衣笠小)
●衣笠中(衣笠小)
●浦賀中(大塚台小、望洋小)
●馬堀中(望洋小)
●大津中(大塚台小)
●公郷中(森崎小)
この問題については、現教育長からも前・教育委員長からも「できるだけ学区を揃えられるように努力していきたい」旨の答弁は頂いています。とはいえ、地域の理解も求めねばならず、一朝一夕にはできないことは、私も理解しています。であればこそ、「救済措置」は必要だと思うのです。
いずれにしても、学業にとって本質的な小中不一貫は「指定校変更」を認めず、あくまでも教育課程外の部活は「指定校変更」を認めるのでは、大きな矛盾があります。この点については、今後も指摘していきたいと考えています。最後に、最も直近のこのテーマの質疑を貼り付けて終わりにします。
2017年9月27日 本会議 一般質問
~ ~ ~
◆6番(小林伸行) 次に、小中一貫教育と学区の不整合について伺います。
現在の学校選択制は、2016年度から全小・中学校で進められている小中一貫教育とそごを来しています。そこで、学校選択制検証会議の検討報告を受け、本年度中には廃止する方向で検討が進んでいるようです。早く決断すべきです。
廃止時期については、3年の移行期間を設け、2020年3月末をもって廃止すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
一方で、小中一貫教育をするにも、小中の学区がそろっていない学校が数多くあります。中学校23校中14校、実に61%もの学校ブロックで小中不一貫となってしまっています。なお、この問題については、前教育委員会委員長からも小・中学校の通学区域がそろっていないということについては、課題だと認識している、できる限りの努力は今後していきたい、との御答弁をいただいています。
段階的に学区を変更して、徐々にそろえていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
現状では、同じ小学校なのに、ある子は小中一貫教育を受けるが、ある子は小中不一貫教育の中学校に行くというようなことになります。
そして、小中一貫を強化すればするほど、この不一貫となった生徒が疎外感を強めることにつながります。この問題をどのように捉えていらっしゃるでしょうか、お伺いします。
さらに、追浜小学校が過小規模校として統廃合もうわさされる一方、学区が隣り合う浦郷小学校では校舎の増築も迫られました。誰が考えても矛盾しています。学区を適時適切に柔軟に見直すことで不要な投資を抑えるとともに、廃校対象となっている学校から救える学校も出てくると考えます。
学区再編には、このような効果もあると考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。
~ ~ ~
◎教育長(新倉聡) 次に、小中一貫教育と学区の不整合について4問御質問いただきました。
学校選択制は3年の移行期間を設け、2020年3月をもって廃止すべきと考えるが、いかが考えるかということについてですが、学校選択制の見直しにつきましては、平成28年の教育委員会5月定例会において、横須賀市学校選択制検証会議から、学校選択制は廃止したほうがよいという方向性が示されております。
このため、現在、教育委員会事務局の関係各課において、廃止に向けた具体的な対応を検討しております。廃止が決定した場合でも、当然のごとく周知期間は必要であると考えております。
次に、学区がそろっていない小学校と中学校は、段階的に学区を変更して徐々にそろえていくべきと考えるが、いかが考えるかということについてでありますが、平成28年6月9日の平成28年第2回市議会定例会において教育委員会委員長から答弁したとおり、私も小中一貫教育を進めるに当たって、全てのブロックにおいて小学校と中学校の通学区域をそろえることは大変難しい課題だと認識しています。しかしながら、今後、できる限り通学区域の見直しに取り組んでいきたいというふうに考えております。
次に、小中一貫を強化すればするほど、不一貫となった生徒が疎外感を強めることにつながる、この問題をどのように捉えているかということについてでありますが、住所によって小中一貫ブロックの中学校に進学していない生徒がいるということは課題として十分認識しております。今後、できる限り通学区域の見直しに取り組んでいきたいと考えております。
ただ、本市の小中一貫教育では、子どもの学びを豊かにすることを重視し、義務教育の9年間を一体として捉え、子どもの学びをつなぐという視点で取り組んでいるところであります。
したがいまして、学びの系統性・連続性を重視した授業が全ての小・中学校で行われることを目指しているもので、小中一貫教育ブロックではない中学校に進学したとしても、本市が考え、狙いとしている小中一貫教育は実現できるものと考えております。
次に、学区を適時適切に柔軟に見直すことで不要な投資を抑えるとともに、学校を廃校対象から救える効果もあると思うが、いかが考えるかということについてでありますが、御質問のとおり、小規模となっている学校とマンション開発等により児童数が急増している学校が隣接している区域が現にあります。
今後、学校規模の偏りを解消するために、できる限り通学区域の見直しに取り組んでいきたいと考えております。
◆6番(小林伸行) 続いて、小中一貫教育と学区の件に移っていきたいと思います。
この件で私が教育委員会事務局から聞いているのは、学校選択制の廃止に向けて今検討していると。ただし、検討の中身としては、部活動が各学校にそろっていないということもあって、部活動を理由とした指定校変更を行うべきかどうかも含めた制度設計も考えているというふうに聞いているのです。
ただ、私が思うのは、部活は学業そのものではないわけで、部活動を理由に指定校変更するというのは本末転倒だと思うのです。なので、これを行っていくと、結局どの学校にも全ての部活動がそろっているわけではないので、結果として小中一貫を骨抜きにすることになると思うのです。部活動を理由にしていったら、いろいろな子が本来の学校、小中一貫になっている学校ではない中学校に進むということがかなりの割合で起こると考えられるので、私は指定校変更を部活動を理由にしてはあり得ないと思うのですが、教育長のお考えはいかがでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 大変悩ましい内容だというふうに理解しています。
学区を飛び越えてほかの学校へ行くときの選択肢がクラブ活動というのが今多くの方の中でかいま見られているということも事実であります。選択制における弊害もあって、当然選択制を今後廃止していこうという方向性が示された中ではあるわけですけれども、個々の児童・生徒の方にとっては、せっかく持っている能力が発揮できないままに、その子の未来を潰していいかというところは今度どういうふうに考えたらいいかという、そことの兼ね合いが大変悩ましいということで申させていただいているところです。
ただ、委員がおっしゃっているように、例えば北に住んでいるのに、南にいいクラブがあるから、そこまで行こうと、そういうことが現在はできていますけれども、それは好ましくないというのが廃止の基本にあったかと思います。
今悩ましいところですが、例えば、たまたま通わなければいけない学区にはないけれども、通学可能な隣の学区にあるのだったらば、その人たちもだめだと言っていいのかどうかという判断をどうつけたらいいかというところが、今議員がおっしゃったところで、私どもの考えなければいけないところかというふうに捉えているところです。
◆6番(小林伸行) おっしゃることはわかるつもりです。ただ、これは部活動の件とも絡みますけれども、だからこそ私は、部活動と学校を一旦切り離せば、この問題は解消するという具体的な提案を申し上げているのです。どうして同じ学校の部活に通わなければいけないのか。私、先ほどの御答弁でどうしてもわからなかったのですけれども、学校活動の一環だということは理解しています。ただし、学校活動は、別にほかの学校のほかの先生から指導を受ける、あるいは地域の方から指導を受けるということでもいいはずだと思うのです。それは文部科学省も、学校自体をもっと地域に開いていくべきだし、部活動についても地域との連携をということを言っているわけで、その意味では隣の学校の部活動にというのも何の問題もないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 多分議員がおっしゃっているところは、日本のクラブ活動というか、学校教育における運動部の大きな例ではないかと思うのですけれども、これまで日本の中では、学校教育を主体に各種目がつくられてきていた。学校競技ではない形のものとして、例えば水泳、あるいはサッカーだとかといったものが別途に形成されてきている。つまり、欧米型のスポーツクラブ的な要素というものが存在してきて、現段階では日本の中でそういった系列が2種類あるのではないかというふうに私は認識しています。
一方、問題になりますのは、そういった学校のクラブ組織でなければ、中学校、あるいは高校もそうだと思うのですけれども、体育大会への参加資格がないわけです。一方では水泳ですとかの別の大会が所属のスイミングスクールからの推薦で出られたりという仕組みが今混在しています。競技によっては、せっかくそこで活動しても大会に参加することもできないという状況があるということを御認識いただければと思っています。
◆6番(小林伸行) そこは運用の中で、いかようにもできると思うのです。もちろん、陸上とか水泳のような個人競技であればやりやすいわけです。指導をスイミングスクールで受けようが、他校で受けようが、試合は母校の部活から出るというような形で個人競技はやりやすい。
一方で、チームスポーツはやりにくい、あるいは吹奏楽といったようなものはやりにくいというのはわかります。ただ、運用の中で、例えば野球なら野球を何校かの子たちが一斉に練習する。でも、試合のときには分かれて、それぞれの学校で出るということは幾らでもできると思うのです。言ってみれば共同練習です。同じ指導者から共同練習して、あるいは練習の中では学校単位で練習試合をするかもしれない。でも、大会の試合は分かれて出るということはあり得るのではないでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 運用というのは私たちができるのではなくて、それぞれの体育大会とか連盟がその規約上で定めていて、そこには学校の顧問、学校長がという規定がされるわけです。クラブ顧問がみずからその子どもたちの責任を持って参加するという資格になってしまっているので、ですから、先ほど言ったそれぞれの連盟、あるいは体育協会のほうが日本の中に2種類の系列を持ってしまっている以上、簡単にはできないというお話をさせていただいたところです。
それから、多分御自身もあるかと思うのですが、球技、あるいは集団の競技というのは、常日ごろのチームワークを重んじて活動して一緒に汗を流すという達成感がまずあると私は理解しておりますので、別々に練習してきたところがそのチームに戻って、急にチームの技術力が向上するとか、達成感が生まれるかというところについては、済みません、私にはそこの想像はつかないところです。
◆6番(小林伸行) 私の説明が悪くて少しわかりにくかったと思います。
私のイメージでは、先ほど提案したように、複数校でブロックをつくって、この中に野球部はA校にある、サッカー部はB校にあるという状態にするのです。それで、例えばこれが3校だとして、3校分の子たちがA校の野球部で練習をしました。ここは50人いるかもしれません。いざ試合だというときには、B校の子はB校から出る、C校の子はC校から出る。共同練習の部活で、でも大会はそれぞれという、箸の上げおろしまで協会が指示してきているわけではないはずなので、共同練習だったらできるでしょう。逆に、それをしない限りは、小中一貫教育の問題は解消できないのではないですかという話なのです。
◎教育長(新倉聡) 大変済みません、小中一貫教育の問題の解決というのは、私は今全く理解できない状況です。
それから、その意味で、クラブ活動だけの話をさせていただけるとすれば、例えば横須賀市の広いエリアの中で4エリアに分ける、あるいはどこどこの地域を分けるといったときに、授業が終わったそれぞれの子どもがまた別の学校へ行ってということを行った場合に、集合して練習する時間帯は本当に少なくなります。
それから、束ねている指導者の方にしてみれば、いつ来るかわからない、あるいはきょうはどうなっているのか、そういう子どもの管理まで見ていかなければならないことになってきます。
先ほどおっしゃっていただいたように、もしそれが各学校の顧問という形でないと大会に出られないとすれば、その先生の負担というのはより多くなるのではないかというふうに理解しているので、なかなか難しい課題だというふうに捉えています。
◆6番(小林伸行) 少し視点を変えれば、今の部活動、特にスポーツはどうしても勝利至上主義に偏っている嫌いがあるのではないかと思うのです。余りにも長時間練習をする。今学校現場の先生からも、昔よりも大会がどんどんふえてしまっていて多忙感をさらに押し上げているというような状況も聞いています。
これは本来の姿ではないと思うのです。だから、練習の時間がますます減ってしまうと言いますが、多少減ってもいいではないですか。そこまで寸暇を惜しんで練習するということよりも、放課後、仮に移動に15分、20分かかっても、隣の学校へ行って他校の生徒とも一緒に練習する。何の不都合があるのか。
私が小中一貫教育と関連すると申し上げたのは、部活動を理由にした指定校変更を行ったら、小中一貫教育が骨抜きになるからなのです。
質問としては、部活動を理由とした指定校変更は、小中一貫教育の効果を希薄にしていきますよね。
◎教育長(新倉聡) 申しわけございません。最後の部分が御質問なのか、御意見なのかがわからなかったのですが、小林議員が御本人では骨抜きになると御理解している部分に、我々は骨抜きにならないようにどうあったらいいか今検討している段階だというふうに一番初めに答弁をさせていただいているところだと思っています。
それから、今議員がおっしゃっている中で、指導している教職員が多忙だから子どもたちの可能性を否定していいのかという部分がよく理解できなかったところです。あくまで、我々は子どもたちがどういう形で育っていくかということに対して最善の場を提供していく、この中でどの手法がいいかというものを今検討しているところです。 先ほどからかみ合わないのは、あるA校の顧問の方がほかの学校の生徒たちを全て自分の教え子のように捉えられるかと言えば、その子が持っている日常の生活スタイル、あるいは個性といったものをどう伸ばしてあげられるかというときに、たまたましか来ない子どもと、いつも見ている子どもとの間に当然差が生じてしまうのではないかということも私どもは危惧している。だから、できる限り学校内において同じ学校に通っている子どもたちを見ていくということが必要なのではないかというふうに先ほど来回答をさせていただいたところです。
◆6番(小林伸行) 確かに、どうもかみ合わないのです。
まず、生徒がさまざまな種目にチャレンジする機会を奪ってはいけないというのは、私も全く同じ思いです。だけれども、小中一貫教育になって行く学校が決まってしまって、その中学校にある部活動しか選べないとすれば、それはその子の機会を奪ってしまうことになると考えているのです。だから、その中学校にない部活動にも行けるようにしないと、その子には機会が与えられないのではないかという話なので、そこは理解いただけましたでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 議員とのこの論議の究極の改善策というのは、全ての中学校に全てのクラブ活動がそろえばいい。それであれば、小中一貫教育の最終的な結論にたどり着く、そういう理解でよろしいでしょうか。
つまり、今はそこの学校にクラブがないからほかの学校にということを言うのであれば、中学校に全てのクラブ活動がそろっているということが一番好ましい体制なのだという理解でよろしいのでしょうか。それであれば解決するということですか。
◆6番(小林伸行) もちろん、そうなれば理想ですけれども、人口減少で子どもの数も減っている中で、それは望めないことです。ですから、私は現実的な方策として部活動の社会化を申し上げました。
結局、ふだん見ている子だからこそ、さまざまな状況を理解できる。それはあるでしょう。ただ、現在の学校の部活動においても、担任している子どもよりも担任していない子はわからないです。それと同じことだと思います。今世の中には、例えばリトルリーグとか、いろいろなクラブチームがありますけれども、そのクラブチーム等の指導者の方が子どものさまざまな状況を理解しないで、たまたま来る子だから余りよくわからないといって指導しているかといったら、そのようなことはないと思います。なので、状況は同じだと思います。
だから社会化、つまりクラブチームと同じような運用を部活動にも求めていけば、この問題は解消できるということなのです。
部活動の社会化にどうしてそこまで抵抗感があるのかわからないのですが、なぜ学校で抱えようとするのか、もう少し教えていただきたいと思います。
◎教育長(新倉聡) 議員おっしゃっている、それぞれのお子さんが行っている、あるいは生徒たちが自分の好きな競技を行える、そういう環境が欲しいということを突き詰めていくとすれば、全てのスポーツ、あるいは文化活動はクラブチームとして行っていくのが一番望ましいのではないかというふうに私は今受けとめています。
一方、ここの論議になっていますのは、学校で行っている学校教育の一環である部活動はどうあるべきかということで今までお答えをしてきております。その原因として、先ほど小林議員とかみ合わないというお話をしたのは、現在の日本の中にあるクラブ活動チームと部活動、これはスポーツだけに分けていただければと思います。かつてはクラブチームが存在しない日本の中で、クラブ、あるいはスポーツの根底を担っていたのが各学校における部活動だった。それが新たな形としてクラブチームというものがつくられてきていて、早くその形になれば、それはそれで望ましいのかもしれません。そうだとすれば、各学校におけるクラブ活動と言っている部活動はなくなっていいのかもしれません。でも、学校の指導要領、学校教育の中で部活動の推進というものの位置づけがまだある現在においては、今すぐに姿を変えるのは難しいですというお答えをさせていただいたところです。
◆6番(小林伸行) 時間軸の話もあると思います。私は、あるべき姿の話をしていて、来年すぐにそうするべきだと思っているわけではないので、ステップを踏んでというふうに考えています。
その第1ステップが部活動指導者派遣推進事業の拡充というふうに考えていますけれども、この事業は今どうなっているかというと、30人の指導者が今派遣できる状態になっている。ところが、学校現場から今50人近くの要望が来ている。つまり、この事業は、学校からもっと来てほしいと言われているにもかかわらず、応えられていないわけです。
また、指導者の方々も年間35日が上限の予算しか組まれていないというふうに聞いています。大体週1回のペースを想定してこの日数になっているということなのです。
そうすると、人数も足りなければ、実態として部活動を指導・支援していくというにはまだまだ少ない日数しか入っていないので、これを抜本的にもっと拡充、週3日とか入れるようにしないといけないだろうし、50人、100人派遣することがまず第一歩のステップとして学校現場の負担軽減にもつながるよい方策ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 大変うれしい提案だというふうに思っています。ただ、何点か問題がありますが、我々もこれは平成29年度以降から拡充していきたいと考えております。
それから一方では、今定例議会の委員会の中でも報告いたしましたが、教職員の多忙化に対して全体の数字は捉えましたけれども、何が多忙なのかの分析をこれからしていくつもりでいますので、そこで必要な体制は組んでいくべきだと思っています。
一方においては、議員がおっしゃっているように週3日なり週4日なり、あるいはもっと極端に言えば、週5日間来ていただくことが望ましいですけれども、その給与では生活できない中では、1週間1回が限度だという方も存在しているというのが実態であると思っています。
なので、その兼ね合い、あるいは多忙化の中の対策としてどう打つかということを総合的に検討させていただきたいと思っています。
◆6番(小林伸行) 今、週3日、週5日というような話もありましたけれども、際限なくふやしていいかといったら、やはりそうではないと思うのです。私からは、週3日6時間程度の制限を設けてはどうかという御提案も別途しました。これについては、中学校体育連盟のほうで検討しているので教育委員会としては考えないというような御答弁だったかと思います。
長谷川議員に教えていただいたのですけれども、文部科学省が今ガイドラインを考えているということではありますが、それに先立って、静岡市の教育委員会では、月45時間までというような部活動ガイドラインを独自につくっているようなのです。なので、別に教育委員会としてつくっていけないわけではない。現在の特に中学校における教師の多忙感の最大の原因は部活動だというふうにも聞いています。
この前のアンケート調査でも、月200何十時間残業している人がいるという中では、部活動、熱意ある教員はどんどん時間を使って行おうとするかもしれないですけれども、残業がこれだけある中では、どこかで歯どめをかけない限りは解消しないと思うのです。
話が少し広がってしまいますけれども、教員のためにも、生徒の健康のためにも、時間の上限をきちんと設けることがもう必要な時代に入っていると思うのです。なので、国待ち、競技団体待ちではなく、市として積極的に時間の制限をつける時代に入っているのではないでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 横須賀市の中学校体育連盟については、中学校の体育指導の先生方がほぼ加盟しているものであります。言いかえれば、中学校体育の教員が自分たちでどうあるべきかという形を先にお示しいただいているので、現在、それをもとに各学校が指導の基準、指針として既に動いている。土曜、日曜日については休日にしていこうとか、もう実際に動いていただいているところが1つです。
これを踏まえた上で、国から今検討しているガイドラインが示されてくるのであれば、あわせた形でこうあったらいいのではないかということは教育委員会としてもお話ができるだろうということで学校長に伝えていきたいと思っています。
それから、大変恐縮なのですけれども、私どもが行った調査というのは、あくまで学校にいた時間であって、実際にその時間に何をしていたかはまだ調査をしていません。ですから、これを中でもう一回確認したいと思っているところです。220時間が全て部活動のためにあったということの認定は私どもまだ何もできていませんので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。
◆6番(小林伸行) 連盟のほうでもある程度上限を設ける方向で動いているということであれば、ぜひ実効性のあるガイドラインになることを期待したいと思います。
部活動の件は次で最後にしますけれども、名古屋大学の内田良准教授の指摘によると、全国の87.5%の中学校では、教師全員による部活動の指導という、もう半強制的な指導体制がとられていて、希望制なのは5.3%。そのほか7.1%ぐらいはそれ以外の方法だということなのですけれども、我が市は教師全員による部活動の指導体制ということになるのでしょうか、それとも希望制になるのでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 原則お願いをしている形になっていると思います。
◆6番(小林伸行) 原則として引き受けなくていいという通知を出していただいてはという提案を先ほどしましたけれども、それが無理であっても、文部科学省は建前では自主的な活動と言っている中でも、原則として全員にお願いするということになっているので、やはり矛盾があると思うのです。これは本来の形、自主的な活動ということ、状況によっては必ずしも引き受けなくていいということを先生方に改めて認識いただくことだけは必要ではないでしょうか。
◎教育長(新倉聡) 大変くどいようですけれども、学校運営の実態は学校長が持っているというふうな認識をまずさせていただいた上で、先ほど来話題になりました部活動指導者派遣推進事業というものの派遣基準の中に、当該教員に各顧問をお願いしますけれども、その顧問以上に学内の他の業務があった場合、その部の顧問に就任することはできませんので、そういった場合に派遣をすると。あるいは当該の競技に対して経験者が学内に全くいない、そういったものが生じていることを当然理解していますので、この制度をもってそれらの先生方、競技等を知っている顧問になり得る方を別途派遣させていただいているという形です。
ですので、強制的な話ではなく、学校運営上、先生方に支障なりがあるということがあれば、その実態を個別に御推薦いただいているので、初めから強制的にしろという形ではなく、各学校の中での御検討、任意の判断をいただいた上で行っているということでございます。
◆6番(小林伸行) さまざまな論点について、ここまで伺ってきました。
きょうは一通り概要をというつもりだったのですけれども、物によってはかなり突っ込んだ議論もさせていただきました。また、今後、機会あるごとに御提案もし、また姿勢を伺っていきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。
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