2017年12月23日

【委員会視察報告:後編】震災後のまちの直しかた〜熊本市〜

IMG_3455.JPG 委員会視察の最終日は熊本市だ。熊本市では、昨年4/14と4/16に起きた熊本地震への対応から教訓を得ることが目的だ。
 とりわけ、都市整備常任委員会としては、道路・橋梁の災害復旧の取り組みについて話を伺った。
(写真は熊本駅にあった巨大ゆるキャラ。復興のシンボルは、熊本城よりもゆるキャラの印象)

 ところで、議論の大前提となる私の考えだが、我々議会は、震災時にやれることはない。むしろ、何もやらないほうがいい。執行の指示命令系統を混乱させたり、余計な説明責任を果たすための報告資料の作成など仕事を増やしたり、邪魔になるだけだからだ。
 議会の主な仕事は、執行を監督することだ。だが、非常時には、監督せずに執行を信じて任せたほうがいい。スピードが大事だからだ。議会は素人だが、彼らはプロだ。

 では、議会は不要なのか?
 確かに災害対応には不要だろうが、復旧対策には必要だ。修繕をすべきか、更新をすべきか。そもそも復旧すべきか、廃止してしまうか、全く別の施設で対応するか。こうした判断は、住民代表である議会が、合意形成して議決しなければならない。
 また、災害が起こる前に、発災時に想定される事柄について、マニュアルへの反映を提案したり備品の備蓄を提案するなど、問題の芽を摘んでおくことも重要な仕事だ。


 上記の考え方の下、今回の視察で聞いた話を整理したとき、あえて技術的な知見は一切を捨象したほうが良い。それらは我々議会にとって、執行部に口を出したくなる誘惑の種にほかならない。
 一方で、今回の視察で得られた最も重要な洞察は、災害復旧工事の発注に関する手続きだ。大きく3つある。

(1)随意契約
 第一に、随意契約の問題だ。
 大規模災害時には、膨大な件数の災害復旧工事が発生する。今回の熊本地震の場合、熊本市では道路約7,400カ所、橋梁約650カ所、合計約8,000カ所もの被害箇所があった。
 これら工事は、基本的に民間に委託することになる。横須賀市の場合、道路維持センターという直営の部隊もあるが、彼らは小規模な修繕が中心だ。本格的な復旧工事が担える資源はない。
 そして、市が発注する工事には、基本的には公正性や経済性を担保する手続きが必要だ。一般競争入札や総合評価落札方式などがそれだ。業者と癒着することで工事の品質が落ちたり工費が高くついたりすることを避けるためだ。
 しかし、応急復旧が必要な場面で、のんびりと入札をやっている暇などない。厳正な手続きや工費を多少犠牲にしても、一刻も早く復旧したほうがいい。そこで、災害時には随意契約や指名競争入札が認められている。

 ところで、この随意契約をするには、「随意契約理由書」といった書類が必要となるようだ。確かに、非常時にスピードは大事だが、後日の検証に耐えられる一定の説明責任は果たさなければならない。ただし、「この復旧工事は、こんな理由で一般競争入札ではなく随意契約にするんですよ」という理由の調整に時間を要したという。

 なるほど。それは我が市でも大いにあり得る話だ。
 ついては、「随意契約理由書」の雛型を複数パターン用意しておき、フローチャート式に「こんなケースはこの理由をつけておけばいいぞ」という対応が迅速にできないか、折衝してみたいと思った。

(2)入札不調
 第二に、入札不調だ。
 工事が多く、業者も手いっぱいとなり、入札に参加してもらえないならば仕方がない。しかし、工事受注の余力がある業者がいくつもあるのに、形式的な要件でひっかかって、それらの業者が入札に参加できないケースが相次いだという。具体的には、工種ごとに定められた一事業者あたりの手持ち工事数の制限があり、受注余力がまだあってもその制限にひっかかるというケースだ。
 確かに、工事の品質を確保するために、平時において一事業者に発注が集中しないよう制限することには合理性がある。しかし、非常時は別だ。
 ついては、我が市では同様の制限はあるのか? 仮にあるならば、災害時にはどのような取り扱いとなっているのか? この点について確認してみたいと思った。

(3)補助金
 第三に、補助金の問題だ。
 ニッポンの悪癖として、国と地方政府の間の業務分担が不明確である。たとえば、国道や県道の管理を市が行っていたりする。「国道が壊れたら国が直せばいいじゃないか?」というのがまっとうな感覚だと思うが、この国のジョーシキは違う。国道の管理を県や市に任せながら、その修繕にあたっては国からの補助がある仕組みとなっている。逆に、市道の修繕にも国が補助金を出したりするのが通例だ。
 本来なら、市にはきちんと財源を委譲したうえで、市道の維持修繕に国はカネもクチも出さない、というのがあるべき姿だ。また、国道の管理を市に任せるのであれば、管理基準を定めたうえで、その基準に則って行われた修繕費用は、補助などではなく、国に請求すれば耳を揃えて払われる、というのがあるべき姿だ。さもなければ、国が自分で管理すればいい。
 しかし、いずれにしても、そのようにはなっていない。

 こうした中、国道・県道・市道のいずれについても、災害の状況をきちんと調査し、報告書にまとめ、国の補助を申請し、査定を受けて、補助決定された後に、ようやく工事の入札が始まる、という具合となる。もちろん、どの場合であっても調査記録をとっておくことは必要だが、国や県の査定があることにより、手続きが増えるのは容易に想像がつく。

 ついては、こうした悪癖の改革には時間を要するため、当面は「適応」するしかない。国や県の査定への対応を、受験勉強的にテクニックで難なく乗り越える方法がないか、担当課と折衝してみたい。
IMG_3473.JPG
 以上が、熊本市の視察報告だ。
 これを以って、今回の都市整備常任委員会の視察報告とする。
(写真は、商店街で見た洪水の実際浸水深)
posted by 小林のぶゆき at 16:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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