2017年08月17日

【会派視察報告:中編】比べれば横須賀市の病理が見える学童クラブ〜苫小牧市〜

 視察2日目は、苫小牧市を訪問し、学童クラブについてお話を伺った。

 この学童クラブのあり方については、すでに大田区鹿児島市、横浜市に伺って本市と比較をしている。
 ただし、どこと比べても、何度考えても、結論は同じだ。
 ハッキリ言って横須賀市は、異常である。

「子どもが主役になれるまち」の不都合な真実
 異常だと言うのは、大きく2点ある。
(1)保育料が高すぎる
(2)行政が関与しなさすぎる

 そして、この異常さは、同じ根っこから出ている。つまり、「子どもを第一に考えない」ことである。子どもの安全よりも……
●市の歳出抑制を優先する。
●子どもを遠くまで歩かせ、教師らの「教室は使わせないぞ」エゴを優先する。
●既存事業者への影響が出ないことを優先する。
●学力向上という、政治家や教師が評価されやすい「成果」を優先する。

 つまり、子どもは二の次なのだ。こんなことだから、「子どもが主役になれるまち」とかいうキラーフレーズなるものが欺瞞だと見透かされて出生数が増えないのだ。
 子どもを第一に考えるならば、カネならなんとかやりくりすればいいはずだ。
 「学校は教師のものじゃない。子どもたちのための施設だぞ」と押し切れるはずだ。
 事業者も営利で始めたわけではないので、子どものための選択は受け入れるはずだ。
 そして、大人の都合で成績を上げさせることよりも、豊かな感受性を育むために様々な体験の機会を提供することのほうが大事なはずだ。

苫小牧と比べてわかる横須賀市の異常さ

 苫小牧市ではどうなっているのか?

●24小学校のうち、2校を除く22校に35クラブを公設で展開している。うち1クラブが民営であり、その他は公営である。その他、民設民営の2クラブが市内にはある。横須賀市は全て民設民営である。

●公設35クラブのうち、23クラブが学校内、8クラブが学校敷地内の別棟。4クラブのみ学校外の児童センター内となっている。とはいっても、横須賀市のように1km近く歩かせるなどということはない。

●利用料金は、これまで視察してきた中で最低の月額2,500円。他におやつ代が1,000円かかるが、それでも本市の17,000円前後から比べれば圧倒的に安い。受益者負担割合は1/8程度だという。なお、生活保護や就学援助世帯は無料となる。

●苫小牧市の小学生約8,800名のうち、1,285名が利用する。利用率約15%である。高学年になるほど利用しないため、本当に必要な低学年の利用率はもっと高いだろう。若干の待機児童は発生するようだが、例年1〜2か月で定員を増やして解消させてており、基本的にはニーズに見合った利用者数だと言えそうだ。
 一方、横須賀市は小学生約17,000名のうち1,555人しか利用せず、利用率7.5%だ。失礼な言い方だが、横須賀市よりものんびりした田舎の街で2倍の利用率などということは、ありえない。横須賀市は少なくとも今の3倍、20%程度のニーズがあるだろう。つまり、横須賀市では高すぎる保育料のために預けられない人がそれだけ多いということを意味している。

●学童クラブ1か所あたり平均で年間850万円弱を投入している。この額の92%が人件費とのことで、1施設あたり基本的に3名(一部2名のところもある)の嘱託職員を配置とのことであり、ならすと年収290万円前後ではないかとのこと。決していい待遇ではない。しかし、本市が1施設あたり平均で年間480万円の補助(2014年度の数字で、現在ではもっと増えているハズ)をしていることから比べれば、全体の額はそんなに多いわけではない。カネをケチって、保育料が高く、利用率が苫小牧の半分、というのは経営の観点から見れば失敗と言っていいだろう。

●保育時間は18:30まで。それ以降の延長はない。横須賀市に比べると職住隣接の市民が多いようで、アンケート調査によればこの保育時間でほとんど問題ないようだ。

何度も言う。横須賀市は公設公営で学童クラブを整備せよ
 以上を受けての、横須賀市への提言は従来とあまり変わらない。「横須賀市は公設公営で学童クラブを整備すべきだ」ということだ。

 苫小牧市で明らかになったのは、「今や公設公営は安い」という事実だ。あまりいいことではないが、低待遇でも行政特有の安心感があって、公営なら人を集めやすい。そうすると、下手に民間委託をするよりも安くなるケースも多い、という学識者の説もうなづける。
 苫小牧市でも人材確保には苦慮しているようだが、全員に「保育士/社会福祉士/教諭資格保持者/児童福祉事業2年以上従事のいずれか」という高い条件を課しているためもあろう。有資格者を、各学童クラブに3名ではなく1名ずつの配置とし、その他2名は資格を問わないようにして有資格者の待遇を高くすれば、本市でも同水準の費用で公設公営で展開できるのではないか。

 なおかつ、本市の場合は延長18:30ではニーズに応えられない。おそらく19:30までの保育を必要とする家庭も少なくないだろう。そうすると、時間帯を3段階に分ける必要があるのではないか。
●〜17:00 無料+おやつ1,000円の全児童対策
●〜18:30 月額5,000円+おやつ1,000円の学童保育
●〜19:30 延長料金月額+3,000円の延長保育
 この3段階の料金体系で、学校内で横浜型の全児童&学童保育を複合した放課後児童クラブを展開することが、子どもを第一に考えた手法なのではないかと考える。

 もちろん、「子どもを第一に考えるなら、親はもっと早く帰って子どもと向き合わなきゃダメ」という声もあるだろう。その主張は正しすぎるぐらい正しい。だが、現実の前には無力だ。現実として目の前で起こっていることは、低所得の家庭の子どもほど学童クラブに預けられずに、保護のないままリスクの高い放課後の時間を過ごしているという事実だ。理想論では解消できない問題が現実社会では起こっている以上、まずは目の前の子どものためによりよい環境を提供することが政策決定者の務めだと考える。

 以上で、苫小牧市の視察報告を終える。
posted by 小林のぶゆき at 12:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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