2017年06月24日

【市長選緊急リポート】結果の出せない会社、「株式会社横須賀市」の病理と処方箋

横須賀市を株式会社に例えると……
YKPAKU6722_TP_V.jpg イメージしてみてください。
 ここに「株式会社横須賀市」があります。連結売上高で3150億円ほど。中堅の上場企業くらいの規模です。

 この会社では、約40人の取締役の下、現在41歳の若い吉田社長がこれまで8年間にわたって経営を担ってきました。ここ数年の財務諸表を見れば、顧客数は減るばかりです。利益も出ていません。
 ただし、吉田社長は、3110億円の借入金を2896億円へと214億円減らしています。彼は、これを最大の実績だとしており、評価する株主の声も多くあります。

 ところで、その借入金は、ビジネスローンやつなぎ融資などではなく、主にバブル期に大きな設備投資をした際の借入金です。健全な借入金ではありますが、当時の設備投資が過大だったのは間違いありません。
 そして現在、我々の業界は、マーケットが徐々にしぼみつつあるのが現状です。
 これが、この会社の概要です。

3つの経営方針と路線対立
 さて、今、会社の経営方針として、3つの方向性が議論されています。

(1)現状改善派
 現在の吉田社長と、彼に理解を示す7人の取締役がこの立場です。
 新たな設備投資は極力控え、現在の設備で作れる製品を売りながら、売上は減少してもある程度のコスト削減もしながら、縮小均衡で何とか利益を確保するという経営方針です。借入金もできるだけ減らすことで、利払いコストも抑えようと努力してきました。それは吉田社長が主張する通りです。
 ただし、目の前のお客さんがどんどん逃げている現状があります。そこで、製品そのものの改良はちょっとずつしかできないため、ブランド戦略やイメージ戦略で工夫し、従来と大きく変わらない製品であってもパッケージや見せ方を工夫することで、顧客をひきつけていこうとしてきました。今後4年間も、その方向で上手くいくと訴えています。

(2)顧客還元派
 この会社は、家計であれば「タンス預金」に相当する内部留保を136億円確保してきました。他社と比べるとやや大きな額ですが、吉田社長は経営環境の急な変動に備えて、なるべくこの規模の額を維持してきました。
 ところが、取締役のうち3人は、この内部留保を取り崩して、商品価格を下げたり顧客ロイヤリティを上げたりすることで、顧客の流出を防ぐよう主張しています。そして、この経営方針を共有する林氏という人物を連れてきて、次期社長に就任させるよう提案しています。
 ただし、一時的にはそれで顧客満足度は向上するでしょうが、136億円といっても数年で使い切るでしょう。内部留保を使い切ってしまった後、いったいどうするのか? 大きな疑問が残りますが、今さえよければいいということなのかもしれません。

(3)積極投資派
 吉田社長の経営方針に異を唱えるのが、積極投資派です。40人の取締役のうち、先に述べた7人と3人を除く30人が、濃淡はありますが、この積極投資派です。
 国や県の補助金や、金融公庫の有利な貸付も、利用できるものは利用しながら、一定の設備投資はして、他社に対して競争力のある製品を生み出し、顧客を確保して売り上げの減少を食い止めていこうとする経営方針です。もちろん、市場全体は縮小傾向ですからかつてのような大型投資はできませんが、今より付加価値の高い商品を投入しなければ、現在の急激な顧客の流出を食い止められないと主張しています。
 この積極投資派の30人の取締役のうち上地氏が、次期社長に名乗りを上げています。


 さて、この3つの経営方針のうち、最もふさわしいのはどれなのでしょうか?
 もちろん、経営環境は常に動いていきます。不確実な時代ですから「これなら必ず失敗しない」という経営方針はないでしょう。だから、明日の株主総会で選択をすることになっています。

吉田社長が選ばれると、対立が続き、経営が停滞する恐れも……
 ここで、視点を変えた判断材料を示したいと思います。

 吉田社長には、純粋な経営方針の路線対立の他に、いくつかの問題が指摘されています。
 この間、取締役会で報告内容を取り繕おうとしたり、能力が高いとはいえ自分の友人を会社のルールに則らない形で強引に入社させたり、一部の株主だけの利益になるようなことを注意されても続けていたことが発覚したり、といった問題が相次いだのです。
 どれも、経営を揺るがすような大きな事件ではありません。小さなことばかりです。しかし、取締役会で何度も注意したにもかかわらず、反省の色が見えないため、取締役のうち(2)顧客還元派と(3)積極投資派の33人は吉田社長に対して大きな不信感を持つようになりました。先日の取締役会でも、多数の賛成で吉田社長に辞職を迫る決議を突きつけ、対立は決定的となっています。

 こうした中、明日の株主総会では、社長と取締役2名だけを選ぶこととなっています。うち、取締役2名は、現在のこの会社の株主構成を考えたとき、(1)現状改善派と(3)積極投資派で1名ずつとなることが予想され、大勢に影響はありません。
 次に取締役37〜41名を一斉に選ぶのは、2年後の株主総会となります。

 吉田社長は個人的な魅力があり、株主に人気があって、過去2回8年間にわたって、株主総会で選ばれてきました。しかし今回、再び選ばれれば任期は4年間。少なくとも取締役が一斉に入れ替わるまでの2年間は、大きな対立を抱えたままの会社運営が続くことになります。そうなれば、会社経営という面では、効率性を欠き、不毛な争いが繰り返される恐れがあります。
 吉田社長が、(3)積極投資派と和解したり、一部を切り崩したりすれば、経営はスムーズになりますが、純粋な経営方針の対立ではなく信用問題の対立なので、それはおそらく見込めないでしょう。
 2年後に取締役の構成が大きく変われば安定するのでしょうが、どうなるか現時点ではわかりません。

 一方、上地氏が次期社長に選ばれれば、経営方針は取締役会と社長の間で共有されており、円滑に進むでしょう。私の個人的見解では、「取締役会の構成が上地・新社長派ばかりになると、投資が過剰になってしまう恐れもあるのではないか」との一抹の不安もありますが、少なくとも信用上の不毛な対立は避けられ、効率的な経営がされるでしょう。

 なお、林氏が社長に選ばれると、私の個人的見解では「会社の赤字と借金が増大する恐れがある」と感じています。

この会社の処方箋は何か?
 株主のみなさん。みなさんには2つの方向があります。

プランA
 吉田社長を選ぶのであれば、しっかり株主として統制を利かせ、最低限のルールを守らせ、「俺は社長だぞ」と調子にのって驕ることのないよう見張っていく必要があるでしょう。
 また、他の株主を説得して、2年後の株主総会において対立が起きない取締役の構成とするほうがよいでしょう。
 ただし、私の個人的見解では「いずれも相当な困難を伴う」と感じています。ですが、吉田社長を選ぶということは、その覚悟が必要だと思います。

プランB
 別の社長を選ぶことです。
 確かに社長としての手腕は未知数です。取締役の中でも、個別の事業のありかたについて方針が一致しているわけではないため、相当のバランスをとってやっていかなければなりません。また、前・吉田社長を含めた歴代社長が切り込めなかった、不採算事業と不採算資産のリストラも果断に取り組まなければなりません。祝福されて社長に就任したとしても、すぐに困難な課題が立ちはだかっています。
 ただし、私も取締役の一人です。新社長一人に責任を負わせることはしません。しっかりと最先端の情報を仕入れ、現状を分析し、建設的な提案を続けていきます。そして、いずれ「株式会社横須賀市」を、大きくはなくとも「魅力のある強い会社」に変えていきたいと思います。
画像提供:PAKUTASO
posted by 小林のぶゆき at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック