【委員会視察報告】中学校給食は最短1年で導入できる!

IMG_3146.JPG 「横須賀市に、中学校給食を提供させる。」

 市民と議会が肩を組んで闘ってきたこの6年間。時間はかかったが、昨年ようやく市が「屈伏」し、中学校給食を提供させることとなった。

 市民ニーズを見誤り、ここまで実施を遅らせてきた責任は、吉田市長と教育長にある。たかが役人の分際で、主権者である市民の声を軽視しすぎていたのだ。
 とりわけ、4年前の選挙の際、「中学校給食の実施ニーズに応えます」と公約に掲げておきながら、約束を守ろうと努力もせず、有権者を裏切った吉田雄人市長は、万死に値する。この場合の「万死」は、政治家生命の死である。つまり、この責任を次の選挙できっちりとってもらおう、と私は考えている。

 ところで、過去は過去。我々は未来へ進まなければならない。
 次の問題は「中学校給食を、どうやるか?」。つまり実施方式だ。

 給食の実施方式はいろいろとある。
・ボックスランチ方式(集約モデル)
調理工場で弁当箱に詰め、各校へ運ぶ。要は、仕出し弁当

・センター方式(集約モデル)
調理工場で食缶に詰め、各校へ運んで、教室で配膳

・自校方式(分散モデル)
学校ごとに調理場を整備し、食缶に詰めて、教室で配膳

・親子方式(中間モデル)
調理場のある学校で食缶に詰め、他の一校に供給する

・ミニ・センター方式(中間モデル)
調理場のある学校で食缶に詰め、複数の学校へ供給する

 他にも亜流はあるが、基本的にはこのどれか、もしくはこれらの合わせ技となる。ちなみに、三浦市は横須賀市の事業者によりセンター方式で、逗子市は横須賀市の事業者のよりボックスランチ方式で、市内の小学校は自校方式で、提供している。また、厚木市はミニ・センター方式を選び、目下実施を目指している川崎市は自校とセンターの合わせ技とした。

 なお、運営方式についてもいくつかある。
・公設公営
行政が調理場を整備し、行政が調理する
・公設民営
行政が調理場を整備し、民間に調理を委託する
・民設民営
民間が整備した調理場で調理されたものを納入してもらう

 他にも、PFIやコンセッション方式など亜流はあるが、基本的にはこのどれか、もしくはこれらの合わせ技となる。ただし、自校方式の民設民営や、センター方式の公設公営は、全国的に例は少ないようで、相性はあるようだ。

 さて、この実施方式を、7月には決める予定だ。
 誰がどう決めるのか?

 諮問会議や庁内会議の議論をふまえて、教育委員が方針をまとめ、それに市長が予算を付け、それを議会が議決すれば決定となる。つまり、最終決定者は議会となる。
 そこで、最終決定の前に、情報を収集し、意思決定過程においてもチェックと認識のすり合わせをするべく、議会は「中学校完全給食実施等検討特別委員会」を設置した。私も、本委員会の一員に選ばれた。

 本員会で、判断材料となる知見を蓄えるべく視察を実施することを私から提案し、委員のみなさんにお認め頂いた。皆で議論した結果、自校方式・親子方式・センター方式をそれぞれ視察することとなった。以上が、この視察報告に至る経緯である。
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自校方式:市内2小学校
 自校方式については、横須賀市内の小学校2校を3/30に視察した。ドライシステムという新しい設備が整っている大塚台小学校と、古い設備なのだが床を濡らさないドライ運用で使っている鶴久保小学校を見て、現場の方々とも意見交換をした。
 この中で得られた洞察としては、次のようなものだ。
●鶴久保小学校をはじめ多くの学校が、外からの風もホコリも入り込む環境で調理をしていることに驚く。新しい設備は、機能的で、衛生的で、労働安全衛生にも優れ、やはりよい。
●校舎を建てる際に設置するのであれば、自校方式が最も効率的で良い。
●思ったより狭い。
※写真は鶴久保小の渡り廊下に掲示してあったワカメの生産と流通の仕組み。「自校方式のほうが目に見えるところで作るため食育面でよい」などの言説を耳にするが、私自身は、給食調理員や栄養士と触れ合った記憶はほとんどない。むしろ、こういうポスターのほうが有意義な食育である気がする。

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親子方式:西東京市
 西東京市については、私が情報を拾ってきて視察先として提案し、採用頂いた。知り得た中で、最も新しい導入事例であり、2011年より小学校を「親」として中学校を「子」とする親子方式を導入している。
 4/26に視察して、得られた洞察としては、次のようなものだ。
●必ずしも、「親」となる小学校の設備を増強する必要はない。西東京市は一度に小中の両方を調理するのではなく、2回転方式をとっている。すなわち、先に中学校分を調理して送り出し、後から自校分を調理している。
●2回転方式は、設備面では投資を抑えられるが、人的な負担は大きい。調理員は朝6時代から出勤して業務を開始する必要がある。そのため、西東京市では直営の市職員は対応できないということになり、「親」校は全て公設民営の民間委託で実施している。
●デリバリー方式は選択制が多く、その他の方式は全員喫食が多いことから、デリバリー=選択制と誤解する者が多い。本市の教育委員も完全に誤解していた。然るに、西東京市の中学校では食缶による配膳だが、選択制である。給食は頼みたい人が頼む。しかし、喫食率は95%以上と、高い。選択制とすれば、給食費を払えるのに払わない「給食費未納」問題は起こらない。払わない生徒には給食を出さないだけの話だ。もちろん、生活保護や就学援助の世帯は、給食費が免除であるため、選択制であっても給食を希望すれば給食費は不要だ。

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センター方式:立川市
 立川市は、小学校が自校方式8校とセンター方式12校の併用による全員喫食制。中学校が、選択制のボックスランチ方式をとっている。このうち、小学校12校に給食を提供している学校給食共同調理場を5/15に視察した。
 この中で得られた洞察としては、次のようなものだ。
●「センター方式だと加工品が増える」という風説があるが、全国的にそのような傾向があるだけの話だ。立川市のようにセンター方式でもできるだけ加工品を使わないやり方はあった。むしろ、お好み焼きやオムレツ、焼きそばなど、自校方式でもなかなかやらないメニューでも作っており、過去の常識は取り払うべきだ。
●規模のメリットはある。機械化によって、食数あたりの人員数は少なくて済んでいる印象。特に、食物アレルギー用の調理は別室で別工程にて行うため、コンタミネーション(調理中の微量の混入)も防ぎやすい。
●配送については、衛生上2時間以内に配送しなければならない食缶と、そのような縛りのない食器を別々に配送していた。よくよく考えてみれば、食缶と食器は別系統で考えても良いのだ。

横須賀市の中学校給食はどうあるべきか?
 以上の視察によって得られた知見とこれまでに集めてきた情報を総合し、私なりの横須賀市の中学校給食の方式を提案したい。

●方式:親子方式とセンター方式の複合
 まず、北下浦中学校はセンター方式により2018年4月から給食を供給することを目指す。児童数が減少して財政負担が大きくなっている三浦市のセンターから供給頂くことで三浦市の支援をすると同時に、本市の設備投資負担も軽くでき、win-winとなる。何よりも工事等が不要で、いち早く提供できることが魅力である。
 その他の22校は親子方式で供給する。
 なお、いずれの方式でも中学校側にエレベーターや小荷物昇降機の設置は必要となる。ただし、設置まで給食の供給を待つのではなく、エレベーター等の設置までは手で運べばよい。運搬要員は臨時職員を雇えばいいだろう。

●設備投資:小学校の増築は不要。食器洗浄は別工程で。
 市がコンサル会社に委託した調査によれば、親子方式で供給するには小学校46校のうち「親」となる23校の増築等を伴う。増築をするには、建築確認申請も必要であり、工期も必要となる。もちろん、改築費用もかかる。ただし、市が現在想定しているのは1回転かつ「親」1校「子」1校である。ここで発想の転換をしてみる。
 基本的には、厨房設備の増強はあっても増築はせず、2回転で対応する。2回転でも賄えない学校は、角井議員の提案する「親」2校「子」1校で対応する。要するに、小学校2校から中学校1校に運ぶ方式だ。
 とはいえ、提供食数が増えれば食器類も増える。中学校分の食器の熱風保管庫まで小学校給食室に置こうとすれば、やはり増築が不可欠となる小学校も出てくる。そこで、立川市で学んだ食缶と食器を別系統で動かす方法を採用する。食缶は「親」校から運んで終わったら戻すが、食器は「子」校から持ち出さない。中学校側に食器洗浄室を設ければ、運ぶ手間も減る。中学校はどこも生徒が減って余裕があるため、食器洗浄室を設けるぐらいわけない。あるいは、中学校側の反発があまりにも強ければ、別途、食器洗浄センターを民間委託で作ればいい。
 いずれにしろ、北下浦中学校ほど早く提供するのは無理だが、この方式でも、早ければ2018年の冬休み、遅くても2019年4月の新年度には提供が可能なはずだと考えている。
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●アレルギー対応:部分対応
 厚生労働省の報告によれば、アレルゲンとなる物質は数多くあるものの、アレルギー反応を起こす方の数には偏りがある。パレートの法則(二八の法則)はここでも当てはまる。
 右記画像の通り、上位3位の卵(28.2%)、牛乳(22.6%)、小麦(10.9%)で全体の62%を占め、これに第4位のシャケやサバなどの魚類(6.6%)と第5位のそば(4.2%)を加えれば73%となる。ただし、対応範囲を広げれば広げるほど、コストもかかり、ミスした場合のリスクも拡がる。どこかで線を引かなければならない。
 ここは、三大アレルゲンである卵・牛乳・小麦に加え、症状が重篤な傾向があって食品衛生法でも特定原材料に挙げられている、そば・ピーナッツ・エビ・カニの4品目を加えた、7品目までを除去食対応の範囲とするのが適当だと考える。それで約3/4の方はカバーできる。それ以外の食品については、喫食時に自分で選別・除去して食べるか、自宅から代替品を持参するなどして対応してもらえばよいだろう。
 また、コンタミネーションやキャリーオーバー(醤油に使われている小麦など調味料などに含まれているもの)を完全に防ぐことには困難が伴う。それらについても除去対応しようとすれば、リスクはさらに増大する。とりわけ、加工品などに微量に含まれているものは、調理員側で注意しても防ぎきれるものではない。保護者や生徒に対し「万全な体制で臨みます」とカラ約束して、万が一にも表示されていない原材料が含まれていた場合、業者に賠償請求はできても、命への責任は取りようもない。また、配膳の際に給食当番の子がオムレツを配ったトングでサバも配膳してしまう、などということは容易に起こり得ることだ。であるならば、「コンタミネーションとキャリーオーバーについては対応しない」(除去しきれない)と明言しておいたほうが、喫食側・供給側とも、お互いのためによい。冷徹なようだが自己責任を徹底しないと命に係わる。

●全員喫食or選択制:1年区切りの選択制
 教育委員は既に基本方針において「全員喫食とする」としているが、おそらく彼らは大いなる勘違いをしている。食缶方式=全員喫食ではない。
 しかも、最終決定者は我々議会だ。教育委員会の方針に唯々諾々と従う必要はない。教育内容に口を出せば政治介入だが、給食費の取扱いなどについては教育環境の話であり、政治介入との批判は当たらない。
 いずれにせよ、給食費未納問題を防ぐためにも、西東京市方式を学んで選択制とする。ただし、西東京市では学期ごとに選択する方式としているが、本市では年度ごとで良いだろう。前期に頼んだ世帯は、ほとんど後期も頼む。事務負担は少ないほど良い。ただし、口座引き落としは、学期ごとのほうが良いだろう。
 また、放射能や農薬・添加物など食の安全性の観点から給食を望まない方もいる。さらに、給食では全ての食物アレルギーへの対応などできない。加えて、宗教上や健康上の理由から食べない食品がある方もいる。給食でハラル・ミートを扱うのは現実的でなく、ベジタリアンやヒンドゥー教の方の中には、豚肉に触れた食材も忌避する方もいる。
 加えて、牛乳についても選択できるようにしたほうが良い。主食・おかず・牛乳の3点セットが揃って「完全給食」だが、牛乳は日本人の1/4が乳糖不耐症と言われ、飲めない生徒も多い。アンチエイジングのために乳糖を避ける人もいる。
 このように多様な方がいる場合、「全員喫食が前提です。それ以外の方は給食が不要な事由を申請書に書いて提出してください」という対応をすべきではない。多感な思春期の生徒に「あれ、あたしってマイノリティなのかも」と意識させることは避けられるなら避けるべきだ。マイノリティであることには何の問題もないが、「みんなはマジョリティだけど、あなたはマイノリティだよ」的メッセージは不要である。最初から「給食は選択制です。理由は問いませんので、要るか要らないか年度の最初に全員書いて出してください」とするほうが良い。
 以上をふまえた結論としては、選択制の際の選択肢は4つだ。
A:完全給食を希望 1食300円前後
B:主食とおかずの部分給食を希望 1食250円前後
C:牛乳のみの部分給食を希望 1食50円前後
D:給食を希望しない 給食費不要

●将来について:長期的には全校で自校方式を目指す
 今後、どの学校も校舎の寿命がやってくる。校舎の建替えにあたっては、私は佐賀県多久市のように、小中合築とするのが最も効果的かつ効率的だと考えている。これは、なにも施設面積を縮減したいというだけではなく、教育の連続性や中一ギャップの解消、中学生の情操面などで効果が見込まれるからだ。このように小中合築とした暁には、自校方式が良いだろう。配送の時間的・費用的ロスも少ない。
 よしんば小中合築とせず中学校単独で建て替える場合でも、その際には自校方式に転換するのが良いだろう。

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 以上が、本市の現状と他市の情報を総合した、私の考える最善の中学校給食提供方式だ。
 なお、地産地消や食育のあり方など、給食には他にも様々な論点があり、私も色々な主張を持っている。ただし、それらは当面の「給食の方式をどうするか?」と、直接は関係せず、方式が決まった後でいかようにも提言・変更可能だ。

 6年前、私がドンキホーテ状態で「中学校給食導入」を叫んだ時には多くの批判を浴び、各方面から「無理だ」と言われた。しかし、まさかこんな日が来るとは思わなかった。
 今回の視察報告は、自分の一丁目一番地の政策提言の総仕上げを兼ねた。いかに早く、費用効果的に、将来負担も少なく、なにより楽しい給食を供給できるかを考え抜いて書き出した。
 あとは、教育委員会の英断に期待したい。

 以上で、委員会視察の報告を終える。

この記事へのコメント

  • kemukemu

    「給食」問題にこだわるあまりなのでしょうが、感情的にならないほうがいいのではないですか。

    ブログタイトル、いつまでも「39歳」では、ないですよね。
    横須賀市民
    2017年06月23日 18:17

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