【委員会視察報告中編】将来、横須賀NISSANベイスターズvs筑後タマホームホークス戦@追浜球場は観られるか?

IMG_2570.JPG 視察2日目は、福岡県筑後市でホークスファーム連携推進室の取り組みについてお話を伺った。
 ところで横須賀市にどんな関係があるのか?
写真は、タマホームスタジアム筑後に立つ総務常任委員ら。

IMG_2569.JPG これは、横浜DeNAベイスターズの2軍の拠点が横須賀市長浦の借地から、市外に移転しそうになり、政策推進部があわてて引き留めにかかってくれた件の参考にするためだ。この件は、市の公園である横須賀スタジアムの優先使用をさせることで、ベイ2軍は横須賀スタジアム周辺に選手寮や練習場などの拠点を築いて留まることになった。市と追浜地域では、地域スポーツと地域経済への好影響を期待しているようだ。
→「横浜DeNA、進む2軍の拠点移転計画 横須賀・追浜公園内へ」神奈川新聞
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 さて、筑後市に行って驚いたのは、その歓迎ぶりと盛り上げぶりだ。

 羽犬塚駅を降りるとホークス2軍のバナー。出迎えに来てくださった議会事務局職員も全員がホークスTシャツ。みんな自前で買ったという。「俺はそういう同調圧力と自腹はイヤだな」と思ったが、いずれにしろみんな着ていた。
 市役所の入口には何十本ものノボリをはためかせ、市役所建物にもバナー。市役所に入ると、受付にもバナー。
IMG_2565.JPG 入って右手には、市のゆるキャラ「はね丸」という犬の顔。よく見るとこれはフォトモザイクだった。しかも、普通はデジタル画像をソフトウェアで処理して自動的にフォトモザイクを生成するが、これはリアル紙焼き写真を手で並べて張り付けて作っている! なおかつ、その写真もどうやらホークス応援っぽい写真のようだ。なんて酔狂な!
IMG_2567.JPG 案内された会議室も、壁一面にホークス。説明資料も頂いたパンフレットも全部ホークス、ホークス。

 なぜ、ここまでする必要があるのか?
 野球の試合を観るのが退屈で、41年の人生のうち一試合たりとも最初から最後まで観たことがない私には、到底理解不能だった。ただし、担当者のお話を伺って、ようやく少し頭では理解できた。以下は、先輩議員から教えてもらったことを含む。
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 どうやら、プロ野球には十数チームあるらしい。しかし、かつて九州にはプロ野球チームがなかったらしい。
 そこへ、ホークスという球団が売りに出て、ソフトバンク経営者の孫正義さんが買ったという。孫さんは九州の出身のようで、ホークスの本拠地を福岡に定めたらしい。この経緯から、九州におけるホークスの人気は非常に高いということのようだ。
 このご当地のホークスが2軍・3軍の拠点を作るというので、九州一円で大誘致合戦が起きた。5県34市町村に及んだという。マスコミもだいぶあおったようで、誘致合戦は加熱した。俄然「買い手市場」となり、ホークス側の要求内容も高くなっていった。こうした環境下で誘致交渉を担当した各市町村の行政職員の苦労は察するに余りある。
 とにかく、筑後市は署名活動で市の人口48,000人を超える76,084筆もの署名を集め、市議会議員も全員でホークスユニフォームを着ながらアピールし、市のお祭りでもホークス応援歌を斉唱するなど、涙ぐましい努力を重ねて34市町村の中から最終候補4市に残った。
 この後、筑後市は近隣の筑後地区4市2町と共同での誘致を目指すことにし、わざわざ総決起集会まで開催し、福岡市・北九州市といった巨大政令指定都市に競り勝って選定された。もちろん、気合だけでは誘致は成らない。複数の民間所有の用地を買収によって市有地への一本化、当該用地の無償貸与、建物の固定資産税の3年間「免除」など、「実弾」も込めた。しかも、誘致がまだ決定しないうちに用地買収契約を結んだという(ただし、誘致不成功の場合の契約解除条項は盛り込んでいたらしい)。一般的に腰の重たい行政の常からすれば、かなり思い切った手法だ。担当者にも企画調整部門の若手の選り抜きを充てたものと見られる。

 そうまでして誘致したい気持ちは、感情としては私にはわからないが、苦労の末の選定は喜びもひとしおだったろう。

 ここから横須賀市として学ぶ点は何か?
 冷徹に言えば、私にとっては特に無かった。

 駅至近の民間企業保有の未利用土地を、市が買い上げて無償貸付するのも疑問に思った。市が保有したら土地の固定資産税も入ってこない。民間同士の相対でやってもらい、土地の固定資産税「免除」や補助金などの側面支援だけでも良かったんじゃないか、とも思う。ただし、建物の固定資産税が入ってくるようになるのは良かった。
 別の観点では、イニシャルの建設発注は地域を潤したものの、ランニングの地域雇用や地域調達はたいして生まれていないようだ。また、地域経済への影響についても、横須賀市においては追浜の飲食店での消費増が想定されているが、筑後市の場合は最寄りの筑後船小屋駅の周辺が田んぼばかりで、おカネの落としようがない。しかも、観客の8割が自動車・バイクで、公共交通が2割しかいない状況では、FD比的に利益の取れるアルコールが売れないだろう。

 ただし、これは後知恵である。おそらく、当時の報道の過熱&住民の熱気は、そんな消極的な姿勢を市に許さなかったのだろう。政治は民意を受けて行う。筑後市に参政権のない私が評論する話ではない。

 いずれにしても、問題は横須賀市にとっての要点である。
 筑後市の取り組みから直接活かせるものは、あまり思い当たらないが、ポイントは「スポーツと地域経済活性化」だろう。
 アメリカにおけるアメリカン・フットボール、イギリスやEU諸国におけるサッカーを考えてみる。各都市に「おらがまちのチーム」があり、「おらがまちのチーム」が「よそのまちのチーム」と闘ってくる。西欧は都市国家として発達したという歴史もある。各都市に大企業があって企業城下町化していてスポンサーになるという面もあるにせよ、都市とクラブチームの結びつきは強いようだ。
 「おらがまちのチーム」を応援するために、ホームでもアウェーでも応援に行く。金が回る。このおかげで、アメリカなどでは辺鄙なまちにも立派なスタジアムがあったりするようだ。
 さらに、この都市対抗リーグを放映することで、放映権と巨大な広告費も動く。ローカルとローカルの球団ビジネスが結びつき、ナショナルもしくはグローバルな放映ビジネスに乗っかって、より大きな経済効果を生む。これは冨山和彦氏の「LNG論:Local-National-Global」の話だ。

 翻って日本を見ればどうか?
 プロ野球リーグは同様のモデルが成り立っていると思う。ただし、近年こそホークスの九州化、日ハムの北海道化、楽天イーグルスの東北化という動きはあったようだが、とはいえ大都市圏偏重であまり都市対抗にはなってこなかったのがプロ野球だろう。
 この点、Jリーグは欧州を参考にし、より都市に軸足を置いていてチーム数も多い。そのため、一部と二部の入れ替えがドラマを生むなど、うまく機能していると思う。
 問題は、「プロ野球の二軍」という存在だ。

 横浜DeNAベイスターズの二軍に、横須賀市の人々は愛着を持つのだろうか? あくまで横浜が本拠地の球団である。そして、一軍あっての二軍である。
 仮にこれが、二軍ではなく「横須賀NISSANベイスターズ」とかいう名前の「おらがまちのチーム」だったとする。そのチームが「よそのまちのチーム」と闘って勝ちに勝って、いよいよ一部昇格か!?、となればいきおい愛着も沸くだろう。野球に一切興味がない私でも、チケット買って応援に行くと思う。しかし、よその横浜チームの、しかも二軍の試合を、わざわざ観たいとは思わないのだ。
 野球もJリーグ化して下剋上の都市対抗にできないのだろうか? いつか「筑後タマホーム・ホークス」と「横須賀NISSANベイスターズ」の一部昇格戦が追浜で観られたらいいのになあ。


 ……さて、こうやって書き出しながら、この案件から良い洞察を導こうと自分なりに試行錯誤してみた。しかし、やはり私は野球についての基礎知識や市民の興味関心を理解してないので、これ以上意味ある内容を提供できる気がしない。そのため、視察報告はこの程度にとどめたい。

この記事へのコメント

  • brother-t

     brother-tと申します。
     個人的には2軍球場と言うのは言い換えれば未来のスター選手を育てる場所でもあるのでそこに利点があるのではと感じます。
     千葉県鎌ケ谷市と言う横須賀からだとアクセス特急成田空港行き特急で一本で行ける場所に日本ハムの2軍球場があるのですが、そのターミナル新鎌ヶ谷駅では当初はファイターズのフの字もなかったのですがダルビッシュ投手や中田・大谷選手などのスター選手がでたり毎年のようにCSに出るようになると駅に選手の手形を飾ったりなどアピールが目立ってきています。
     ただ個人的にはJリーグはJ1でも政治的な視点では勘弁かなと思います。年々バブル~団塊Jr世代以外の若い世代を取り込めず、多くの球団が債務超過と言われていますので。
    2016年11月15日 20:52

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