2016年06月28日

【会派視察報告前編】まちをデザインする神戸市

 会派・研政で視察に行ってきました。5/25〜27の3日間の行程ですが、私だけ5/25に横須賀でローカル・マニフェスト推進地方議員連盟神奈川勉強会「オープンデータとこれからの公民連携」という研修を受けたので、2日目からの合流となりました。
 初日の愛知県半田市では、チラシ17号「横須賀ハコモノ白書 第三弾」で取り上げた成岩中学校の、部活動を地域が担う総合型地域スポーツクラブの取り組み視察だったので、実際に見られず残念です。

IMG_2289.JPG さて2日目は、神戸市です。以前、横浜で政策デザイン勉強会VOL.37『神戸KIITOの「クリエイティブゼミ」の取組みから「政策+デザイン」による社会課題解決を考える』という研修を受けたときに、デザインクリエイティブセンター神戸(以下、略称のKIITO)の副センター長永田宏和さんのお話を伺い、大変刺激を受けたので実際に見せてもらうことにしました。
 KIITOは、神戸市の施設です。かつて、国の税関生糸検査場だった建物を、神戸市が買い取って再活用しました。

 このKIITOは、どんな場所なのか?
 簡単に言うと(1)貸事務所、(2)貸スペース、(3)企画事務所の3事業を実施するための施設です。指定管理者に委託しています。
 関東で有名なところだと、世田谷区の三宿小学校を改修した「世田谷ものづくり学校」が近いと思います。10年ほど前にBeGoodCafeというNGOで活動していたときに行ったことがあります。デザイナーとかプランナーが入居していて、貸スペースもあって、当時は確かIDEEという企画屋さんたちがプロデュースしてました。

 ポイントは、3事業がそれぞれ独立した事業というよりは、有機的に関連していることです。
 (1)入居するのもグラフィックデザイナーとか都市コンサルとか、ファブラボ的なシェア工房、GMOペパボの雑貨通販のアンテナショップといった、クリエイティヴ系の人たち。
 (2)貸スペースで催されるのも、作品展やワークショップや映画撮影といったもの。
 (3)企画事務所の人たちのめはしが利いていて、こうしたクリエイターの方々を有機的につなぎ、貸スペースを使って自主企画もアレンジし、神戸にどんどんデザインやクリエイティヴのチカラで「まちの付加価値」をつけていっている。
と、僕は見ました。

 彼らのコンセプトは「+クリエイティヴ」とのこと。「観光+クリエイティヴ」「教育+クリエイティヴ」という具合に、まちの課題をクリエイティヴにより解決するイメージです。まあ、「課題解決型」とか言うとセクシーじゃないので、まちに「それっていいね!」を増やしていっている感じですかね。

 こんな抽象的なことを言っていても全然イメージできないと思うので、制作物や動画を見てもらったほうがいいですね。
 まず、「教育+クリエイティヴ」の『ちびっこうべ』という事業。

IMG_2286.JPG どうですか? すごいですよね。キッザニアには商業広告や消費社会の匂いを感じますし、まあそれはそれでいいんだと思います。ただ、この『ちびっこうべ』は、地域社会や地域経済の匂いを感じて、体験型社会学習のひとつの理想形じゃないかなと思います。ミニ・ミュンヒェンというドイツのミュンヒェン市で始まったイベントを模倣しているそうです。
※写真は、保存されていたちびっこうべ2014の最優秀店舗。質の高さに驚き

 次に、「観光+クリエイティヴ」の『Date Kobe』という企画。
 →date.KOBE
 元のアイディアは主婦の発案とのことですが、なるほどうーん、とうなっちゃいます。うちも、『Fish Yokosuka』とか『BBQ Yokosuka』とかやってもよかったんだよな。

 こうした事業や企画は、指定管理者のJVの一角を占める株式会社iop都市文化創造研究所がコーディネートして、クリエイターを巻き込み、役所や企業や市民といったプレイヤーをアレンジして、ワークショップなど創発型のプロセスの中から生まれていっているようです。
 話を聞いているとどうも、最近では神戸市役所の色々な部署が「こんな課題を抱えているんだけど……」と言って訪ねてくる「駆け込み寺」化しているようです。そして、「じゃあ、こんなワークショップや企画をやってみんなで考えてみましょう」となるわけです。これまでの役所内の固い頭をつき合わせての会議では到底生まれなかった発想やアプローチを生み出してくれるんだから役所側もありがたいし、担当者もきっと楽しいですよね。
 しかも、そんなことをまちづくりコンサルとかに頼むと結構お金がかかるものですが、どうやら指定管理料の中にコミコミで株式会社iop都市文化創造研究所がやってあげているみたいなんですね。
うらやましすぎるぞ、神戸市。

 というか、よそのまちを見て「いいなあ」とか言っているだけなら「オマエ、俺たちの税金使って視察に行っておいて何やってんだよ!」と市民に叱られますよね。
 じゃあ、これを横須賀市にどう生かせばいいのか?


 KIITOみたいな拠点を新設するなんてことは、財政的にできません。しかし、KIITOと同じように、いくつかの関連する機能が一緒にまとめてそこにある、ということが必要だと思います。 それは、創業インキュベーション系施設も、市民活動サポート系施設も同様だと思います。シンプルに言えば、想いの強い人々がいて、つなぐ人がいて、気軽に集える居心地のいい場があること。

 その意味では、すでに横須賀市内にも横須賀創造空間というNPOが「ヨコスカテラス」というコワーキングスペースを設けています。ここはどうか?
 残念ながら、前にも紹介したように、市内の篤志家や実業家が支援してオープンしたわけですが、運営NPOのトップが排他的で、勢いのあるベンチャー社長やデータ分析屋さんなどの、やる気のある人々をNPOから追い出した過去があります。経営陣の顔ぶれが変わらない限り、のびしろはないと僕は見ています。

 産業交流プラザはどうか? ここはただの貸館に堕しています。お役所が設置し、天下り法人が運営している状況なので、全く期待できません。

 市民活動サポートセンターはどうか? ここは役所が設置してはいますが、元々スーパーマーケット?だった路面の明るい場所で、運営を委託しているYMCAさんがNPOと市民のコーディネートにも力を入れているので、有機的に機能しています。こういうオープン感とさりげなく支援感が大事なんだろうな。


 こうしたことを考え併せると、私ならこうします。
 三浦半島の中心部である横須賀中央駅周辺に、(仮称)三浦半島まちづくりラボを設置します。現在の、市民活動サポートセンター・産業交流プラザ・勤労福祉会館をここに移転・統合します。そして、次のような機能を入れます。
●自由に会議に使えるオープンスペース
●各種の貸スペース
●3Dプリンタなどを備えたファブラボ
●手ごろな価格のコワーキングスペース
●24時間出入りができる安価な小さめの貸オフィス
●各種の検索端末を備えたメディアルーム(図書室)
●専門性の高い人材を備えた創業支援コンシェルジュ
●面倒見のいい人材を備えた市民活動支援コンシェルジュ

 ポイントは、いくつかあります。
 市民活動と創業支援で、スペースを分けません。リソースは共有し、コストを削減します。ただし、相談業務に対応できる人材はそれぞれ別に揃えてベクトルの違うニーズにきちんと応えます。もちろん、NPO法人で起業したいというような方の相談には、両者が連携して応えることもできます。
 スペースは分けませんが、利用料金は分けます。同じ貸スペースを使っても、営利活動については基本的に有料、非営利活動については無料を原則とします。利用目的ごとに施設を作ってきた愚を繰り返すことなく、利用目的によって受益者負担を分けるわけです。ただし、予約したのに使わなかった非営利活動には、営利に使って頂けた分のお金をキッチリ徴収します。
 基本的には、内装には金をかけず、スケルトン&インフィルの発想で、転用しやすい構造を旨とします。ただし、ハコは安く済ます代わりに、3Dプリンタや音響機材など施設機能の価値を上げる設備にはきちんと投資します。
 具体的な場所については、横須賀中央駅前の民間による再開発計画に盛り込む形で整備します。民間施設にテナントとして入るのか、再開発に一緒にお金を投じるのか、そこは相手もあることなので柔軟に検討します。
 あるいは、市が土地を持っている児童図書館用地に、図書館と合築する形もあり得ると思います。むしろ、そのほうが相乗効果が見込めるかもしれません。ただし、図書館も集客施設として民間ビルに入ったほうがいいかもしれないので、専門家のフィジビリティ調査に委ねたほうがいい部分だと思います。

 いかがでしょうか? 「この案こそが正しい!」とか言うつもりは全くなく、こういう発想で考えていったら楽しいと思うし、「施設の統廃合も悪いことばかりじゃないな」と思って頂けるのではないかと思うんですよね。


 以上、神戸市KIITOの視察報告でした。
 この他に、せっかく神戸に来たので昼食の時間を削って「人と防災未来センター」も駆け足で見学したのですが、本来の視察ではないので報告は割愛したいと思います。
posted by 小林のぶゆき at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック