【視察報告前編】描いた未来をカタチにしたオガール紫波と夢のない横須賀

 11/18~11/20の日程で、会派・研政の5名で視察に行きました。

 某同僚議員が「オガール紫波がスゴイらしい!」と当選当初から言っていて、僕もウワサは聞いて関心を持っていたのですが、会派みんなが熱にほだされて「じゃあ行ってみよう」ということになりました。併せて、せっかく交通費をかけて岩手まで行くので、話題の盛岡市の公共施設マネジメントのお話も伺うことにし、日程を組みました。

●11/19岩手県紫波町:オガール紫波に見る公民連携のまちづくり
●11/19岩手県盛岡市:公共施設のアセットマネジメント
●11/20宮城県仙台市・石巻市:震災から4年半後の復興の現状と課題

 この視察を通して、大きく視野が広がりました。横須賀市政のためにも、自分の人生においても、重要な意義のあった視察でした。


 初日は、紫波町です。
 人口約33,000人で、横須賀市の12分の1。葉山町(約33,000)や北下浦(約36,000)、追浜(約29,000)と同じくらいです。ただし、人口減少日本一の横須賀とは対照的に、盛岡市のベッドタウンとして人口は横ばい。面積は横須賀市の約2.4倍で、人口密度の低い郡部です。

 このまちは、いま全国から「公民連携の成功例」「地方創生のモデル」と称され、注目されています。
 実際に行って見て、納得しました。「人口3万人のまちの財政力で、これほどのものがつくれるのか」と驚く規模と内容の、図書館、コミュニティ施設、保育園、商業施設、宿泊施設、運動施設、町役場、地域熱供給施設などを、民間の資金と知恵を活用し、費用効果的に整備していました。

 オガール紫波の優れた点を整理すると、次のようになると思います。

●国や県の補助金をもらうことを目的化しなかった
 →補助の条件に縛られず、自由な発想ができた

●公民連携で民間活力を最大限に活用した
 →役所らしくない発想で、便利な施設を、小さい投資で整備

●建ててからテナントを集めるのではなく逆算方式をとった
 →予定テナントを決めてから建てたのでオープン時には入居率100%

●費用は安いけれど、安っぽくないデザイン
 →高級感は別にないが、華美に走らずセンスのいい居心地の良さ

●総工費は安いが地元経済には大きな恩恵
 →地元の木材などの原材料、施行業者、エネルギーなどを地域でまかなう

●紫波町の人口だけでなく商圏人口を見て整備をした
 →民間の発想で、町民だけでなく、商圏人口30万人を想定して整備

 細かい手法については、いちいち紹介しきれないほど様々な優れた取り組みがあり、おそらく説明や資料の中では触れられていなかった部分でも、多くのノウハウが駆使されているだろうと思います。それらは、ここでは省きます。
 では、このオガール紫波によって、町にどのような影響があったのかを整理してみたいと思います。

●コンパクトシティの実現と都市基盤の充実
 →駅前に商業施設と公共施設の集積ができ、人を惹きつけるまちに

●さびれた駅前の塩漬け不良資産を、優良資産に転換
 →町の発展の懸念材料であり続けてきた場所を付加価値の高い不動産に転換

●これまで町になかった機能が充実
 →図書館・集会施設・宿泊施設・商業施設・運動施設・地域熱供給などなど

●岩手県内のサッカーとバレーボールの中心地に
 →県サッカー場と民間バレー専用アリーナが宿泊施設等との相乗効果

●町役場を町の中心部に集約・移転
 →4ヶ所に分散していた庁舎機能が1か所に。周辺施設とも相乗効果

●耳目を集めオガール紫波自体が集客・観光施設に
 →町内・近隣からの集客だけでなく、遠方からの視察・合宿なども多数


 どうして紫波町では、これだけ革新的なことができたのか?
 東洋大学PPP研究センターと協働し、というか紫波町出身の岡崎正信氏という方がここの大学院で学びながら計画を練り上げ、町長に直談判して、町長がトップダウンで決定して役場内の選り抜きを充てたらしいんですよね。

 詳しくは、これらの記事をご覧頂ければと思います。
●10年以上放置された駅前に、年間80万人――オガールプロジェクト
●オガールの掛け人・岡崎正信氏に聞く――なぜ「消費を目的としない人」を集めるのか?
●清水義次 アフタヌーンソサエティ代表取締役に聞く――都市経営の基本は、民間が稼ぐこと
●「稼ぐ公民連携」基本十カ条

 それにしても思うのは「まちをつくるのは人間の力だな」ということです。構想力、企画力、つながり力、実現力……。紫波町よりもずっと恵まれた横須賀が停滞しているのは、まちを経営する人間の力量の差です。
 紫波町は、キーマンたちが町民や企業を動かして、描いた夢をカタチにしてしまった。一方、横須賀市は将来像を明確に描くことすらできておらず、単なるリストラに明け暮れようとしている。

 この横須賀の将来を描くのは誰か? 描いた夢をカタチにするのは誰か?


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 さて、以下は写真の紹介です。
 紫波中央駅は、紫波町が建設して管理運営を行っているようです。駅舎をつくることと、駅前を再開発することを条件に、JR東日本に駅を新設してもらったとのこと。地元の木をふんだんに使い、ペレットストーブも置いたあったかい雰囲気の駅でした。

























IMG_1885.JPGIMG_1893.JPG せっかくなので、「オガールイン」というオガールプロジェクトの一環としてつくられたビジネスホテルに泊まりました。
 1Fのロビー&レストランは、天井がパイプ剥き出しの最近の飲食店に多いパターンでした。安いけど、安っぽくない。やっぱりペレットストーブもある。部屋も、安っぽい素材を使っていて高級感はまるでないけど、よく配慮された居心地の良さがありましたね。





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 翌朝、駅から見たオガール中心部正面と、裏から見たところ。駅も近いし、駐車場も広い。











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 図書館は2階建ての建物をぶち抜きで贅沢に使ってました。蔵書数より、居心地の良さを重視する「武蔵野プレイス」や「武雄図書館」の系譜と共通するものを感じます。天井を見ると木をワイヤーで引っ張って強度を出す構造。








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 バレーボール専用体育館は、床も最初からフワフワのバレーボール用素材。地元の建設会社がスポンサーのチームのホームアリーナ。練習用に特化し、観客席をつくることはなくコストを抑えたとのこと。産直市場も2回ぶち抜きで開放感。買い物する時間がなく残念。





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 住宅開発したのは町。地元の工務店で立てることが建築条件らしく、一般的な相場よりは高いけど長寿命高気密のエコハウスが売り。地元の工務店の技術も上がり、付加価値も高い。でも、人気があってなんとか売り切れる見込みらしい。

 もっとゆっくり見たかった。以上、名残惜しい視察でした。

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