【研修報告中編】豊田市に学ぶ生涯現役&地域運営協議会

 前回に引き続き、「全国都市問題会議」の視察報告。以下、詳細です。

 さて、最初は登山家の田部井淳子さんの基調講演でした。お話は非常に面白かったです。同じ福島県中通り出身の方の懐かしい語り口で、感動的だったし、引き込まれました。ただし、自分の人生のためには貴重な栄養となる話でしたが、横須賀市政にはさっぱり役立たないものでした。
 これは当然、講師は全く責任ありません。全国から地域経営関係者が集まって研修する会合にどんな講演を依頼すべきか? という観点で、主催者の考え方と私の考え方はかなり違ったようです。

 その後、長野市長の放談を聴き、観光学部の教授から観光振興の要諦を聴きました。最も印象に残ったのは、
(1)観光客の目線でマーケティングをすること
(2)組織ごとのタコつぼではなく観光客目線で統合すること
という2点のポイントでした。


 一日目で、最も地に足がついた話だったのは、豊田市長の講演でした。
 正直、「豊田市みたいな特殊な街から学べることなんて大してないだろう」と思っていたのですが、いい意味で裏切られました。豊田市が大合併して巨大な中山間地を抱えたのは知ってましたが、「どうせトヨタからの潤沢な税収でなんとかなるんだろう」程度に見ていました。でも、太田稔彦市長の話ぶりからは市中心部よりも中山間地に目を配り、市の中の統合と連携に意を用いている印象を受けました。

 印象に残っているのが、「健康づくり、と言うと、すぐにスポーツの話になってしまう。しかし、本来は地域の中で役割を担って頂き、活躍して頂くことが、一番の健康づくりになると考えている」旨のお話です。これは達見だと思います。
 現在、横須賀市でも「生涯現役」の掛け声の下、ラジオ体操を普及しようとしています。しかし、それは本質的な取り組みなのか? 「人はパンのみにて生くるにあらず」という言葉もあります。健康な食事をして、適度な運動をしただけで、生涯現役にはならない。人間は社会的動物です。マズローの欲求5段階の話を持ち出すまでもなく、コミュニティの中で役割を持ち、他人から必要とされ、承認され、自己実現していくことも大事だし、関係性資本とも言うべき地域の人間関係が充実することで、ただ寿命を永らえるだけでない、充実した生活の質が得られるのだと思います。
 その意味では、町内会・自治会以外にも、線的でないネットワーク型の多様な地域参画の機会を用意できるよう、行政も支援すべきではないかと感じました。そのメニューの一つとしてラジオ体操もある、という建てつけならいいのかもしれません。

 もう一つ、参考になったのが、地域自治組織です。
 横須賀も豊田も、40万人を超える大きな都市です。そして、いずれも合併してできたまちです。こういうまちだと、旧町村にはそれなりに地域の一体性もあるし、すべての市民が市全体を考えて暮らすには大きすぎる。そこで、市をかつての町村単位などに分割して、地域でできることは地域の創意工夫でやっていく。……これが地域自治組織の考え方です。
 ところが、横須賀市の場合、近年「地域運営協議会」という名前で始めつつあるのですが、実より形を整えることばかりに市の支援が偏り、地域でも町内会・自治会の上部組織のように誤解されたまま、屋上屋を重ねただけとなってしまっています。しかも、地方自治法に定めのある「地域自治区」制度を使っていないため、フワッとした条例に基づいて、漂流しています。
 一方、豊田市の場合は、地方自治法に基づく「地域自治区」制度を使った「地域会議」というものです。旧町村単位で、地域内の補助金交付審査をしたり、市に対して予算提案をしたりしていて、かなり実がある印象です。
 横須賀は、地域運営協議会に何の自治をゆだねるのか? そのあたりのイメージ共有がされてない。酷なようですが、役所側が無策なので協議会の理事の方々には、役所の下請けやイベント屋さんに堕することのない地域経営者としての自覚が求められていると思います。


 最後に外国人の方から地域おこしイベントを仕掛けたお話を伺い、初日は終了しました。

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