市役所にもマーケティングが必要?!【委員会視察報告】中編

※前回記事に引き続き、観光についての視察報告です。

 初日8/4は、神戸市に伺いました。
 神戸市は、ビッグデータなどを分析してマーケティングをし、観光施策を打つという実践をしています。
 まず、大量にある情報から傾向やニーズをつかみとる。神戸市の場合は、5つのデータを活用していました。
1)ネットでのアンケート
2)SNSでのワード・マイニング(SNSから言葉を検索し、神戸という言葉がどんな言葉とともに使われているか、などを読み取る)
3)グループ・インタビューによる洞察
4)Web上の行動追跡(どんな属性の人が、どのページを見て、何に関心があるか、など)
5)GPSでの行動追跡(スマホのGPS機能を使って、人がどう動いたかをケータイキャリアなどが把握しており、最近流行の手法。神戸市では、auから個人を特定できないように加工した情報を手に入れて、「30代女性はどこを周遊しているか」などを分析している)

 4)と5)がいわゆるビッグデータにあたるのでしょうが、データの種類や大小はさておき、神戸市の優れた点は、データ・ドリヴンなマーケティングだと思いました。
 知見のある民間業者と組んで一緒にプロジェクトを作り上げたようですが、データから神戸市の勧業業者が主にターゲットとすべき地域や性年齢等を見つけ出し、神戸市内のどんな観光商品の情報を届ければいいかを割り出す。まさにマーケティングの発想です。商品の良さを多くの人に売り込む販促・プロモーションではなく、自分の商品をほしいと思う人を探してきちんとお伝えして差しあげる活動。で、それをいかに効率的に行うかを考える。

 神戸市では「こうしたマーケティングこそ市役所の仕事」:「その情報を生かして観光客の望むサービスを提供することが民間の仕事」と整理されているようでした。
 普通は、マーケティングが最も苦手なのがお役所、というのが相場です(苦笑)。流山市みたいに市長が元マーケッターだと違いますが、神戸市はなぜマーケティング思考でプロジェクトを進められたのか?

 今回お話を伺った担当者が役所マンっぽくなくて、思わず「中途採用のその道のプロですか?」と尋ねてしまったのですが、生え抜きの神戸市職員だということでした。自分で関心を持って知見を蓄えてこられて、彼の提案に周囲の反発は大きかったようですが、市長がGoサインを出したみたいでした。突破力のある職員と、洞察と理解のあるトップ。この組み合わせがやっぱり大事なんだな。

 では、横須賀も神戸市のようにやるべきか?
 まず、ビッグデータ解析とそれを活かしたマーケティングは、おそらく、かなり強力です。私の予想ですが、神戸市の担当者は、国の地方創生コンシェルジュとか何かで観光庁あたりに引っ張られて、日本に観光客を呼ぶ仕事や、各地の観光マーケティング支援をする仕事を任されるようになるんじゃないかなあ。その位のレベルの事業パッケージをつくっている。だから、横須賀もできるならやるべきだと思います。
 とはいえ、横須賀にデータ・サイエンティスト的な素養を持った人材はいるか? 多分、能力の高い職員はいるでしょうが、周囲の摩擦を押し切ってやりきるだけの想いを持った職員がいるか? 私にはわかりません。だから、わからないものの登場を待つわけにはいかない。また、早くデータ解析とマーケティングができれば、その分早く手を打てるのだから、職員育成を待っているわけにもいかない。
 ですから、横須賀は自前でデータ解析をする必要はないと思います。それは手段であって、目的はあくまで観光振興だからです。外部化できるものは外部化してもいい。つまり、神戸市のパッケージを三顧の礼と委託金を以って、そのまま横須賀に当てはめてもらうわけです。
 カスタマイズも要らない。データ・アナライズやデータ・マイニング等ができるデータ・サイエンティスト的素養のある職員がたまたま担当者にいるとは限らないからです。よくわからない人がカスタマイズしようとして、業者のやる気を削いだりムダな時間やお金をかけたりするくらいなら、100%横須賀に合っていなくても、80%でよしとすればいい。

 ただし、せっかく積み上げたノウハウを神戸市が気前よく出してくれるかどうかはわからない。おそらくライバルの横浜や函館の視察は受けないと思いますが、ライバルにはなりえない横須賀の視察は受け入れてくれた。とはいえ、横須賀に対しても使わせてくれるかどうか? ムリだった場合、横須賀が今回の件で学ぶべきは何か?

 流行っていて目を引くビッグデータに気を取られがちですが、本質はマーケティングだと私は思います。
 ビッグデータを使えば精緻にできるでしょうが、アンケートやグルインなど伝統的なマーケティング手法は色々あるし、神戸市もそれはやはり使っている。
 どこまで精緻にするかは別としても、供給側(サプライサイド)の側から考えるプロモーション思考からの転換が必要だと思います。需要側(ディマンドサイド)が必要とするものを見極め、自らが提供できるものを磨き、必要な人に費用効果的に届けるマーケティング思考で、観光収入を増やす。その観点で下準備をすることが横須賀市の観光振興基本計画の要諦だと、自分なりに見定めて帰ってきました。

 ……まずは、市の組織も、「商業観光課集客・プロモーション担当」から「商業観光課集客・マーケティング担当」と名称変更するあたりから初めてもいいかもしれません(笑)。

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