2015年07月02日

会派視察報告【大田区】横須賀の5倍も学童保育に注ぎ込む大田区との彼我の差に涙

 6/29〜7/1の日程で、会派・研政の5名で視察に来ています。互いの希望を出し合って、「子育て支援&人口減少対策」をテーマに予定を組みました。
●6/29 東京都大田区:放課後子ども教室
●6/30 高知県南国市:炊飯器給食
●7/1 徳島県神山町:生産年齢人口流入策
ということで、楽しみな内容です。

 昨年までの無会派時代も、一人で視察には行っていました。現地で「ついでにこれも見よう」と思えば自由に動けて機動力があった反面、孤独なのは別にいいとしても多様な視点が持ちにくかった面はあるかなと思います。
 会派だと自由な予定変更はできない面は確かにあります。でも、ある程度問題意識の近い人が集まっているとはいえ、同じものを見て同じ話を聞いても着目点が違ってきますし、道すがら振り返りしながら政策論争できるのも利点だと感じています。
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 初日は、東京都大田区です。ちなみに、大田区役所は元は民間物件だったとのこと。「言われてみれば、なんだか造りがデパートっぽいな」とか思ったのですが、それもそのはず。後で調べたら、もともと商業施設用に作られ、一度も使われないまま市役所に改築されたそうです。写真は本会議場ですが、元々ここはプールだったらしい。天井も開閉式で、開けたら気持ちいいだろうな。でも「議場などという休眠資産にしないで、そのままプールとして活用したほうがよかったのに」と思わずにはいられませんでした。
51XTBMGJT0L._SX324_BO1,204,203,200_.jpg しかも、以前知人に勧められて読んだ『蒲田戦記』のまさに舞台だった桃源社のビルでした。

 さて、閑話休題。大田区では放課後子ども教室についてお話を伺いました。時間の都合で、現地は見られなかったのですが、担当者がわかりやすい説明をしてくださり、通り一遍の質疑応答ではなく、意見交換に近い形でお話を伺えて有意義でした。

 放課後子ども事業には、学童保育と放課後居場所事業の両方を含みます。
●学童保育
 学齢前の保育園と同様に、学齢期の児童に見守り・食事(おやつ)・生活の場を提供するもの。多くの場合は希望者限定の有償サービスです。
●放課後居場所事業
 保育の必要がない子どもに対して、習い事やクラブ活動などに行くことも特段ないなら安心な居場所を確保しましょう、というもの。多くの場合は全児童が対象の無償サービスです。

 大田区は、この学童保育と放課後居場所事業を一体的に提供し始めたので、それを見に行ったわけです。どちらも中途半端な横須賀市は、どうすればいいのか? 考える材料にするのが狙いです。


 まず、横須賀市の現状はどうなってるのか? おさらいしてみましょう。
●学童保育
 そもそも、自前では実施していません。民間が民設民営で開設してくださっている学童クラブにいくばくかの補助金を出している形です。1施設あたりの平均で約480万円/年で、1施設あたりの児童数が平均29人ですから、単純計算で1人あたり約16万5千円/年ということになります。そして、利用者が払う保育料は学童クラブ側がそれぞれ決めているわけですが、平均20,000円前後という全国一高額な水準です。また、学童クラブがない学校も少なくありません。
 昨年、教育福祉常任委員会の視察で鹿児島市に伺った際、他市と比べた横須賀市の特徴を詳述しているので、詳しくは過去記事に譲ります。逆に言うと、横須賀の切ない現状は、この1年間改善していないとも言えます(苦笑)。
●放課後居場所事業
 これも「まともに実施していない」と言っていいでしょう。
 確かに、「みんなの家」15カ所で「ランドセル置き場」事業を実施はしています。しかし、学校から遠く離れているので、近くに「みんなの家」がある子は通えますが、不公平なサービスとなっています。実際に日々利用できる児童の地域カバー率で言えば1割くらいじゃないかなあ。
 また、「わいわいスクール」という大田区や横浜市と同じように学校内で実施しているサービスもありますが、小学校46校中、6校に過ぎません。不公平であり、先行した6校が良かったのか悪かったのか振り返りもないまま。そして、市の事業となった2005年からズルズルと10年も続けていながら、てんで進展がない体たらくです。


 一方、大田区はどうか? その放課後児童対策の手厚さには、あまりの彼我の差に一同、嘆息を禁じえませんでした。
●学童保育
 もともと58学校区全てに公設で82施設を設置。ただし、学校外にある施設が大半で、放課後に学校から移動する際の安全性が懸念されるため、現在は全校で学童保育サービスを学校内に移転する計画です。ただし、子供の数が増えているため学童保育の待機児童も発生しており、学校外の施設を廃止するのはニーズを見極めてからの模様。なお、公設の他に、民間が独自に高付加価値な学童クラブをいくつも開設していますが、大田区の事業とは無関係。
 保育料は4,000円(延長+1,000円)。単純計算で、1施設あたり1人月4,000円×12カ月×50人=年間240万円程度の収入でしょう。ちなみに、公設民営の施設(42/82施設中)の場合、平均で1施設あたり年間約2400万円の委託料を支払っているとのこと。横須賀市の学童クラブより1施設あたりの定員は多いようなので単純比較はできませんが、実に横須賀市の5倍の額です。
 そうすると、受益者負担率は10%。要するに、利用者は本来かかるコストの1/10程度しか負担していないことになります。逆に言えば、大田区は「学童保育は、行政が9割を負担してでも提供すべきサービス」と認識しているということを数字が物語っているわけです。
●放課後居場所事業
 現在は、58校中23校でしか提供できていませんが、大田区は既に、学童保育と放課後居場所事業をセットにして、全校展開すべき事業と位置づけています。
 さらに、事実上は保育的に使われることも否定していないようです。まあ、そうでしょうね。子どもを保育する学童保育と、子どもを安心して遊ばせられる居場所づくりに、質的な差はほとんどない。「16:30まで子どもを安心して遊ばせられる場所があればいい」という家庭は、放課後居場所事業だけで十分かもしれません。
●「放課後ひろば教室」
 大田区では、学童保育と放課後居場所の両方のサービスを学校内で一体的に提供しているものを「放課後ひろば教室」と呼んでおり、2015年度から開始して58校中14校で展開しています。残りの44校でも段階的に設置し、全校でこのサービスを提供する計画です。
 ちなみに、学童保育を利用していてお金を払っている子どもにはおやつを提供し、放課後居場所事業のみの子にはおやつがありません。そうすると、学童保育じゃない子どもは「おやつ、いいなあ……」と思うんじゃないだろうか? どうやって解消しているのかと思ったら、「私たちもその点は課題を感じていますが、現時点ではおやつは別室で提供することで対応しているところ」とのことでした。なるほど〜。
 おそらく、いまは子供の数が増えている大田区も、いずれ児童数減少が始まります。そのときを見据えて、増えるであろう余裕教室を有効活用しようという狙いもあるでしょう。また、金食い虫の公共施設を減らすために、学校外にある児童館を廃止して学校内に集約したいという思惑もあるでしょう。とはいえ、生徒の安全も向上しながら財政縮減も図るのは悪い発想じゃないと思います。

提言:横須賀版放課後児童対策の進む道
 さて、「大田区を見てきて、横須賀市と比べて、講釈はわかった。それで、小林くんは具体的にどうすればいいと考えるのよ? それを聞かせてくれよ」という話だと思います。
●横須賀に大田区並みのカネを投じる体力はない
 大田区は他の東京23区に負けじとサービスを充実させているようですが、なんのかんの言っても東京23区は財政面で恵まれています。横須賀が背伸びしても限界があります。
 横須賀市が市内54の学童クラブに支払っている補助金は合計で約2億6千万円/年にのぼります。これを、大田区並みの水準に増やすと約13億円/年になってしまう。子どもたちのためには惜しまずに予算をつけたいところですが、さすがにキビシイです。だから、発想の転換が必要です。
●管理型から粗放型へ。カネをかけずに実をとろう。
 私は、手間をかけない放課後居場所事業を公設公営で全校展開すべきだと思います。
 かといって、現在の横須賀の学童クラブのように高いスキルを持った指導者による高付加価値のサービスも否定しません。でも、ハイエンドのサービスは、当然ながら高コストになります。誰もが利用できるサービスではなくなってしまっている。民間への補助金は段階的に廃止しつつも否定することなく、所得の高い世帯が納得して利用する施設として引き続き運営頂けるところは運営してもらえばいい。
 横須賀には、ローエンドの普及価格帯のサービスが必要です。ズバリ月額5,000円。生活保護および就学援助世帯は無料。学校内の余裕教室を、学童クラブと全児童対象の放課後居場所事業で兼用します。なおかつ、昼間は学校の相談室や授業準備室としても兼用します。教育委員会に「空き教室はありません」などという逃げは打たせません。
 民間委託の公設民営ではなく、直営の公設公営とするのには理由があります。公設民営だと、委託部分の施設部分と学校長管理の施設部分とをキッチリ分ける必要が出てきます。でも、公設公営なら学校を比較的自由に使えるハズです。教育委員会か市長部局かという所管の問題はありますが、例えば火災が起きて物損があった時に誰が払うかと言えば横須賀市役所で、サイフは一緒だからです。学校側や教育委員会も、市長部局の職員が放課後の学校を歩き回っても抵抗感はないでしょう。兼用にするなら、公営のほうがいい。
 ただ、「学童保育」とは言っても、現在の民間学童クラブのように丁寧に面倒を診る「管理型」ではなく「粗放型」のサービスとします。指導員は、安全面で大丈夫かどうかだけを部屋と校庭(もしくは体育館)に分かれて監視するだけです。積極的に子どもに関わることは基本的に業務とはしない。子どもたちが子どもたち同士で学び合う場とします。昔の子どもの遊びってそうですよね? 指導員は、現在の学童クラブで働いている方を優先に、まっとうな待遇で雇用します。
 もちろん、おやつは提供します。おやつはバカにできませんからね。低年齢の人間は数回に分けて食事をしたほうがいい体の仕組みとなっているんです。だから、学童保育利用者だけでなく、放課後居場所事業の利用者にもおやつは提供します。蒸したイモやトウモロコシなら1食30円位で納まるでしょう。年間6千円位を前納してもらえば済む話です。給食同様に、調理費は市側が負担し、材料費は受益者負担とします。
 ……この仕組みなら、年間1校あたり500万円もかければ、保育料と併せて運営できるでしょう。46校全てに展開しても2億3000万円の皮算用。
 横浜市の仕組みがこれに近いので、近々調べて費用の目安としてみたいと思います。

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 ちなみに、帰りに大田区役所でこんなものを見つけました。よく、ホテルのエレベーターの中にイスがあったりしますよね。要するにあれなんですが、中に非常用物資が入っていて、エレベーター内に閉じ込められた時などに活躍するそうです。なるほど、いい発想ですよね。うちのエレベーターにはないので、提案してみようかな。
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 翌日の視察先に向けて羽田空港から移動です。空港での待ち時間、なんとBen&Jerry'sのアイスクリームを見つけた! 日本からは撤退したと聞いていたけれど、再上陸したのね。俺はモーいい大人で子どもじゃないんだから甘いものなんて別にそれほど好きなわけじゃないのですが、社会的に活動するいい企業を応援するために仕方なく購入しました(?!)。チェリーガルシア味。少し桜餅みたいな塩気を感じたけど塩入ってたのかな? なにしろ、さくらんぼとチョコレートが絶妙。しかも、原料はフェアトレードなのね。近所のコンビニとかスーパーでも、ハーゲンダッツとかじゃなくてコレを置いてくれたらハッピーなのにな。Ben&Jerry'sがどれだけハッピーなメーカーかはホームページをご覧あれ。
posted by 小林のぶゆき at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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