11/30一般質問(4)コストカットの劇薬!!「競り下げ」方式の導入を

~11/30の一般質問について、議事録を待たず原稿をブログでも紹介します。(4)~
~見出しは、週刊誌風に少しセンセーショナルにつけてみました~

 次に「競り下げ」方式の是非についてお伺いします。参考資料は裏面をご覧下さい。
 民間企業が経営改善をする場合、「売り上げ増」と、「コスト削減」は、車の両輪です。しかし、横須賀市にとって税収等の増加は自らの力で短期的にできるものではないため、当面は「コスト削減」に注力なさっていることと思います。
 この「コスト削減」について難しい要素が、サプライチェーン(取引先)の問題です。メーカーであれば、コスト削減をゴリゴリやりすぎて、なくてはならない主要部品(キーデバイス)を作っている調達先が倒産してしまうと、そもそも生産ができません。逆に、ものすごく革新的なデバイスを作ってくれれば、それは自社製品の競争力にも直結します。そのため、こういう主要な取引先には、適正な利益を確保して囲い込みをする一方、その他の汎用部品についてはグローバル競争の調達でゴリゴリやる。これが典型的な姿だと思います。
 これを横須賀市に当てはめると、横須賀市のサプライチェーンにおいて、なくてはならない取引先は市内業者です。市内業者が倒産すれば、横須賀市は税収が減り、自らの首を絞めることになります。一方、メイドインチャイナの物品や、遠い市外業者のサービスなどは、品質さえ確保されていれば、環境面や人権面で問題ない範囲でコスト削減をゴリゴリ要求すればいい。横須賀市にとって痛くもかゆくもありません。「市内には徹底的に温かく。市外には徹底的に厳しく」。これが、横須賀市にとって最も利益の大きい合理的な調達方式と言えます。この地域主権論に立ったとき、これまで吉田市長が進めてこられた市内調達の強化について、私は大変評価したいと考えています。その一方、市外へ流出するコストを最小化するために、吉田市長に是非ご提案したい手法があります。それが「競り下げ」方式です。


 「競り下げ」方式とは、英語では「リバース・オークション」と言うそうです。西郷議員に教えて頂きました。英語のほうがわかりやすい。つまり、普通のオークションは、商品を買いたい人同士が値段を吊り上げていきます。その反対で、商品を売りたい人同士が値段を引き下げていく逆オークションが「競り下げ」方式です。
reverseauction.png この「競り下げ」方式、民間企業や海外政府では、既に広く用いられており、いわば日本の行政だけが取り残されてきました。こうした中、政府内では「事業仕分けを上回る最大のコストカット手法」などと言われているそうです。つまり、劇薬です。そのため、「吉田市長におかれては、市内業者ではなく市外に対して使って頂きたい」との思いから、はじめに長い前置きをした次第です。
 この「競り下げ」方式が特に有効なのが、物品購入だと思います。たとえばA4のコピー用紙について、「紙の厚さ64gで、白色度は70%、再生紙を70%使用して、国産間伐材も利用したFSC認証紙」という具合にスペックを指定すれば、どこから買っても同じような製品が買えます。たとえば今、お手元に配布されている参考資料が、まさに今言ったスペックの紙です。
 資料にもあるとおり、今年3月23日に内閣府が初の本格的な「競り下げ」方式の調達を実施しましたが、そのときの品目がコピー用紙でした。その結果、開始価格5900万円だったのが、3社による8回の価格提示を経て、最終価格4820万円でリコーが落札。18%もコスト削減になったそうです。その他の実績を見ても、大きな効果が期待できると思います。

 そして、私が横須賀市で手始めに「競り下げ」方式を導入してはどうかと考えているのが、電力調達です。電力調達については、山城議員と私で協力して調査を進め、9月議会において山城議員が一般競争入札による電力調達を提案されました。このとき市長は、「一般競争入札の導入に伴うメリットとデメリットを検証する」と答弁されていましたが、勉強してお分かりになったことと思います。デメリットはないんです。「系統連携した、つまり普通の電気については、どの会社と契約しても中身は一緒」、というのが、現在の電力供給の仕組みです。つまり、安ければ安いほどいいのが電力なんです。
 にもかかわらず、これまで横須賀市は、東北電力や関西電力もしくはPPS(特定規模電気事業者)などから買ってもよかったのに、東京電力との1者随意契約を続けてきました。これは、地方自治法施行令第167条の2に照らしたとき、コンプライアンス面でかなりグレーだったと言わざるをえません。しかし、「敢えて」過去については、責めないつもりです。

 さて、いま「敢えて」と強調したのには理由があります。それはなぜか?
 実は、現在の会計法や地方自治法では、入札が基本でして、「競り下げ」方式は想定されていません。しかし現実には、各省庁や大阪府でも「競り下げ」方式は実施されています。そのカラクリは、『「競り下げ」方式を用いて価格の参考にしながらも、実際の契約はあくまで、随意契約で行う』という方法をとっているからです。これ自体は、法の整備が整うまでの過渡的な措置であって、「適切な契約を結ぶ」という「法の精神」を犯しているわけではありません。ですから、横須賀市でも『これまで東京電力との随意契約で大丈夫だったんだから、「競り下げ」方式を活用したうえで、最も安い会社と随意契約したところで問題ないはずだ』というのが、今回のご提案の論旨です。
 「競り下げ」方式の導入の是非について、市長のお考えをお聞かせください。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック