ソレイユの丘のフルコスト分析 ~市民が毎年1,000円ずつ払うことに納得できるか?~

 過去記事「芸術劇場廃止論」と「美術館撤退論」に続いて、「ハコモノ3兄弟」と呼ばれたもう一つの施設「ソレイユの丘」も取り上げないわけにいかないだろう。コロナ禍でこもっていた4月にデータを調べ上げ、その後、寝かせてしまっていたのでご報告したい。 「ハコモノ3兄弟」の概要  【施設名】 【建設費】 【管理運営費】(争点化当時) ・芸術劇場  377億  5億5千万 ・美術館    47億  3億8千万 ・ソレイユの丘 36億  4億  なお、公園をPFI(民間資金導入)により整備する「Park-PFI」が、大阪城公園などの成功を受けて現在では日本全国でブームの様相を呈している。そして、あまり知られていないが、実は日本初の「Park-PFI」こそ、長井海の手公園、愛称「ソレイユの丘」だった。 ●ソレイユの丘、誕生までの歴史  第二次大戦に際し、長井4丁目の高台にある農地が旧海軍に接収された。  その後、敗戦を迎え、農民たちは当然ながら返還されると思ったが、今度は米軍が引き続き接収することとなった。市内の研究家・新倉裕史氏の『横須賀、基地の街を歩きつづけて』に詳しいが、農民の中には優れたリーダーがいて返還を求めて様々な運動を起こしたものの、占領軍には抗えなかった。相模湾を望む絶景の土地は「長井住宅地区」と呼ばれる米軍住宅となった。  その後、昭和50年代に入って、ようやくその土地が米軍から返還されることになった。ただし、返還先は元の農民ではなく横須賀市となった。  軍転法(旧…

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