上地市長の予算案2020を評価する

 明日は、横須賀市議会の本会議で来年度の予算案2020の賛否を態度表明することとなる。  私は、本当ならば議会で討論をしたい。しかし、横須賀市議会の慣行として伝統的に会派拘束性が強い。そのため、私のように会派に入っている議員が討論をすると、それは「会派の意思」と見なされてしまう傾向がある。  そのため、私個人の考えは、ここで表明しておきたい。 ●100%満足できる予算案などあり得ない  まず大前提として、39万人の市民はそれぞれ違った価値観を持っており、全市民が満足する予算案というものは、そもそもあり得ないと思う。  だから、市民から信託を受けた議員という立場から、予算案を見渡して、課題だと感じる点と評価できる点を天秤にかけて、最後は自らに託された民意を想像し、市民に選んで頂いた自分のモノサシを信じて、決断することとなる。 ●賛成を考えている理由  今回の予算案2020については、私は評価できる点のほうが大きいと判断した。そのため賛成したいと考えている。 主な課題点 1.オリンピックのチケットは民間に任せれば? 2.スクールコミュニティは整理しよう 3.保育料無償化は後でいい 主な評価点 ・ムダを削って、活きたお金を投資  これらを以下、それぞれご説明したい。 ●課題点1:オリンピックのチケットは民間に任せれば?  第一の課題は、オリンピックの「市民向けチケットの販売事業」だ。  オリンピックは、巨額の放映権料とスポンサー料を基に、巨大な規模で…

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芸術劇場廃止論(前編) ~なんと658億円! 30年分のコスト分析~

●芸術劇場って何?  バブル時代の過剰投資として注目を集めた横須賀芸術劇場。横山市長が企画し、当時の議会が承認し、1994年2月に開館した。  横須賀美術館・ソレイユの丘と並んで「ハコモノ3兄弟」とも呼ばれ、市長選や市議選の争点ともなってきた。とりわけ、建設費用のケタが違う「長男坊」の芸術劇場は常に注目を集めてきた。 「ハコモノ3兄弟」の概要  【施設名】 【建設費】 【管理運営費】(争点化当時) ・芸術劇場  377億  5億5千万 ・美術館    47億  3億8千万 ・ソレイユの丘 36億  4億 「オペラホールなのに本格的オペラが公演できない仕様になっている!」 「本格的オペラは、わざわざ横須賀市なんかで公演などしない。東京・横浜に行くわ!」 「そもそも、EMクラブを残しておいたほうが人を呼べたんじゃないか?」 「2000人規模は過大ではないか?」 といった根本的な問題点を置き去りにしたまま、時代の空気と再開発を手掛けたUR(都市再生機構)の甘い言葉に乗せられて突っ走ってしまった。私は当時、横須賀市民ではなかったので渦中にはいなかったが、そう聞いている。 ●芸術劇場のフルコストを調べてみた  ただし、上記のような概要情報は知られてきたが、実際にかかったフルコストについては、市の担当者も含め誰も知らなかった。加藤ゆうすけ議員が「来年度予算の資料を見ると、芸術劇場の設備更新経費がこれから高くなるようだ」ということに気付いて、共有してくれたこともあって、「そろそろ…

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市議会はコロナ対策のために何をすべきか? ~緊急経済対策を考える~

 そのことを、このところずっと考えている。  緊急時、目の前の問題への対応は、よっぽどマズイ対応でない限り議会は現場に口を挟まないほうがいい。混乱を招く。だから、市議会にとっての焦点は、先読みだ。「今後、市役所に指し示すべきことはあるか?」ということになるだろう。 ※画像提供:ぱくたそ ●コロナ以上に、経済で命を落としかねない  感染症対策は、先日の記事のように保健所が対応する。  →「コロナ対策をする神奈川県内の保健所の体制を地図で見てみる」  横須賀市は自前で保健所を持っている。我々のような素人代表は下手な口出しをせず、保健所の奮闘に期待したい。  一方で、市としてやらねばならないのは低所得者への対応だろう。  新型コロナウィルスで、生活困窮者は出ているだろうか? 出るとすれば、どんなケースだろうか? 市としては何をすべきだろうか?  既にコロナ禍で中国では会社規模を問わず倒産が相次いでおり、地域金融機関の取り付け騒ぎも起こっていると報じられている。杞憂に終わることを願うが、日本でもコロナ禍がこのまま続いた場合、これまでの常識を超えた財政出動も覚悟したほうがいいのではないだろうか。  実際に、香港やシンガポールでは、低所得層への給付金や公共料金の減免なども行われているようだ。 ●市がやるべきことの考え方の整理  まず、横須賀市による緊急経済対策・生活困窮者対策の全体を次のように整理する。以下、これに沿って書き出す。 (1)企業への支援   A 大企業…

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臨時休校への対応は他市に学ぼう

※この原稿は3/1(日)に書いたが、事情があって3/6(金)の市の回答を待って掲載した  2/27(木)の夜に、国が全国の小中高校等に対して3/2(月)から臨時休校を要請する方針を決めたと報じられた。翌2/28(金)になって、実際に要請がなされたようだ。公立も私立も問わない全ての学校が対象だ。 ●子どもの居場所をどうするか?  横須賀市教育委員会は、これに応じて3/3(火)からの臨時休校を決定した。  →「新型コロナウイルス感染防止に対する市立学校への対応について(2020年2月28日)」  これに伴い、様々な問題が起こる。  教育上の問題については、学校が対処するので、我々のような政治家や市役所が口を出すべきではない。  一方で、市役所として対応しなければいけないのが、子どもの居場所の問題だ。小学校低学年や障害を抱える児童など、一人で家に置いておけない家庭も多く、休校に伴って保護者も休業する場合が出てくる。実際に、国の要請に先んじて臨時休校を始めた北海道では、看護師の休業が相次いで一部休診に追い込まれる病院も出た。  →「休校で看護師出勤できず外来休診」NHK NEWS WEB ●学童クラブの対応  この問題については、本市では民間の学童クラブに対し、夏休み・冬休みと同様に朝から夕方まで預かってくれるように依頼した。  →「新型コロナウイルス感染症防止のための保育所等の対応について(2020年2月28日)」  書きぶりから見ると、ほとんどの学童クラブは…

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