2018年06月28日

【会派視察報告:後編】うわまち病院跡地をどうするか?〜東海市〜

IMG_4242.JPG 視察報告の続きです。

第三日 5/24(木)

 会派視察3日目、視察項目5つ目は、東海市だ。病院の跡地利用についてお話を伺った。

 東海市は、合併前は「横須賀町」という名前だった。なんとなく縁を感じる。
 とはいえ、置かれている状況は、全く対照的だ。東海市は、企業が多く立地して市の財政も豊かなので、国からの仕送りである地方交付税の不交付団体だ。名古屋のベッドタウンとして人口もまだまだ増えており、公共投資も民間投資も含めまちづくりの開発が続き、いまなお伸び盛りだ。加えて、東洋経済新報社が毎年発表している「住みよさランキング」2018でも20位に位置している
 ちなみに、衰退基調の横須賀市は「住みよさランキング」2017で716位/814市区(県内15位/19位)。そこまで低いとは思わなかったが、それが実力なのだろう。なお、県内16位・秦野市、17位・綾瀬市、18位・座間市、最下位19位・三浦市らしい。

 さて、そんな東海市だが、今回、病院跡地の活用について学ぶために伺った。
 横須賀市では、うわまち病院の建て替えが控えている。そして、うわまち病院を現在の場所で建て替えるのは、2つの面で「あり得ない」。そう我々の会派では考えている。

 第一に、うわまち病院の機能を止めるわけにいかないということだ。そして、病院を運営しながら同じ場所で建て替えもする、というのは難事業だ。
 この問題は、市が諮問した市立病院運営委員会の「うわまち病院建替え検討の答申書」の中でも指摘されている。

 第二に、これが最大の理由だが、現在のうわまち病院は場所が悪すぎる。
 まず、導線が狭く駅から遠いなど、純粋に立地面で悪条件だ。
 加えて、何よりも横須賀共済病院にあまりにも近すぎる。私は最近まで、民営の共済病院と市立のうわまち病院が競合していると考えていた。しかし、全国有数の優良病院として医療業界内で知られる共済病院とは競合ではなく、うわまち病院が圧倒されていたことを最近知った。うわまち病院は、国が手放した経営状態の悪い病院を市が譲り受け、本市の職員と指定管理者の地域医療振興協会が必死に立て直したという経緯がある。そして、経営努力が優れていたので、本来の実力以上に善戦し、共済病院に次ぐ三浦半島の基幹病院として再生した。ところが、このあおりを受けて、南西側をカバーする市立の市民病院の経営が悪化している構図がある。

 横須賀市全体や三浦半島の医療体制を考えたとき、惰性でこの現状を招いた市長と議会の経営責任は問われていい。そして、あるべき姿へ舵を切るべきだ。
 我が会派の考えるあるべき姿はこうだ。市の東側の急性期は、あらゆる医療資源の揃った共済病院に完全に任せる。そして、中途半端な市立2病院を整理し、南西部をカバーする急性期の大型総合病院をつくる。場所は、市民病院への集約もしくは久里浜駅周辺か衣笠IC近くへの新設がいいだろう。その上で、市民病院の転換もしくは新設あるいは民間連携により、亜急性期や回復期の充実を図る。こういう将来像だ。

 いずれにしても、先に挙げた2つの理由からも、あるべき姿から考えても、うわまち病院を現在の場所で建て替える選択肢は考えられない。

 そうなると、うわまち病院の跡地利用を想定しておかなければならない。どうすればいいか?
 前置きが長くなったが、その参考とするために東海市に伺った。
IMG_4241.JPG

 東海市では、市立だった東海市民病院の跡地を、ホテルとスポーツジムと温浴施設として活用する予定だ。

 経緯はこうだ。
 うわまち病院跡地は市の土地だが、東海市民病院跡地は民間の土地だった。しかし、市役所の北側に位置し、市立中央図書館とも隣接するなど、市の中心部とも言える立地であることから、東海市は市の政策目的に沿って使いたいと考えた。そこで、民間から土地を買い取ることとした。なかなか珍しいケースであり、議会からも懸念の声はあったようだが、了解が得られた。

 市の政策目的とは何だったのか?
 第一に、東海市では、いわゆる観光地ではないが、旺盛な企業活動によるビジネストリップや中部国際空港と名古屋の真ん中に位置する立地から、ホテルの増強が必要と見込まれていた。
 第二に、スポーツクラブが不足しており、市民の健康寿命を保つためにもスポーツクラブを誘致したかった。

 これらを達成するために、東海市は民間活力に頼ることにした。事業分野や昨今の潮流から考えれば当然かもしれない。宿泊施設と健康増進施設に条件を絞ったうえでの定期借地権を設定。各種、補助制度なども整え、事業者を募集したところ、応募があり、計画が決まった。

 結論から言えば、「うわまち病院を現地建て替えしない」と最終決定したわけでもなければ、「跡地はこう使うのが望ましい」という方針を立てられているわけでもない現状では、東海市の事例がすぐさま本市に活かせるわけではない。とはいえ、やはり市の財産は単に「なるべく高く、どんどん売っちゃえ」というものではなく、市の政策目的に沿って使うべきだし、その際には条件付きの定期借地権や補助制度などの政策誘導手法が使えることも学べた。
 市民から見れば、直接役立たない視察は道楽に見えるかもしれないが、我々の会派は本気で市の今後の経営を考えているし、今回の一連の視察の内容と密度は、道楽じゃとてもできないと感じて頂けるのではないかと思う。

 以上で視察報告を終えたい。
posted by 小林のぶゆき at 13:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月26日

【会派視察報告:中編3】部活は教員が教えなくてもいいんじゃないの?〜名古屋市〜

 視察報告の続きです。

 視察項目4つ目は、同じく名古屋市で、中学校の部活動「外部顧問」制度についてお話を伺った。


 本市の部活動には、いくつもの問題がある。
(1)教員の多忙感の最大の要因の一つとなっている
(2)全ての学校に全ての部活動が揃っているわけではない
(3)運動部・文化部とも、指導の能力を備えた教員が学校にいるとは限らない
(4)現在はあくまでボランティアで、教員の善意に頼っており、そうである以上、教員が一斉に断り出した場合、部活動制度が崩壊してしまう

 他にも多くの課題があるが、今挙げた課題の解消のために、すぐに採用できる有効な事業がある。それが「部活動指導員」という名の外部顧問を雇う制度だ。


 この外部顧問は、現在本市で実施している「部活動指導者派遣推進事業」と似ているようで、かなり違う。
 指導者派遣の場合、競技の指導をするのみで、部活の顧問となることはできない。事故などがあった場合の責任も負えない。時間もごく短時間だ。各種大会にも顧問が引率することが条件となっている。そのため、指導者とは別に教員が顧問を務めなければならない。
 一方、外部顧問は、教員以外の方を特別職の非常勤職員として雇い、顧問とするものだ。

 2017年に国が制度化したこの「部活動指導員」(外部顧問)制度の基となったのが、2004年度から外部顧問を置いてきた名古屋市だった。制度の概要は次の通りだ。
●身分:非常勤特別職
●勤務:20時間/月(それ以上の時間をボランティアでやる者もいる)
●報酬:月額43,200円(交通費込)

 学校現場からは非常に歓迎されているため、当初10名程度で始まったものが毎年人員を拡大しており、本年度は208人分の予算を組んでいるという。ちなみに、どんな人が外部顧問になっているのかといえば、元々教員だった人が2割、大学生2割、その他6割とのこと。また、文化部:運動部=1:3ぐらいとなっているとのことだった。

 なお、この「部活動指導員」は、県内でも既に川崎市などいくつかの市町村で導入されている。県も本年2018年度から「部活動指導員配置促進事業費補助」を予算化しており、適用を受ければ国が1/3、県が1/3、合計2/3の補助を受けることができるようになった。ただし、本市は準備が遅かったため、本年度は補助を受けられない。


 本市でも、来年度から補助適用を受けて「部活動指導員」制度を導入するよう、今回の視察も活用して6月議会で提案したところ、市長と教育長より前向きに対応する旨の回答を得た。そのため、非常にタイムリーに活きた視察となった。
 ただし、来年度いきなり始めると、おっかなびっくりで規模が小さくなってしまう恐れもある。そこで、本年度内に市単独で試行的に導入して準備し、来年度からは補助も受けて十分な数を学校に送り出せる体制にしたほうが良いのではないか、と併せて提案した。今後も、市の対応を注視していきたい。


 以上、一日に3つの視察項目を学んだ。かなり濃密な視察二日目となった。
posted by 小林のぶゆき at 16:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

【会派視察報告:中編2】河村たかし市長の狙いはどう外れたか〜名古屋市〜

IMG_4240.JPG 視察報告の続きです。

 視察項目3つ目。名古屋市で「地域委員会」についてお話を伺った。

 「地域委員会」は、減税日本の党首・河村たかし市長の肝入りの政策として2010年1月より試行された。いわゆる「地域自治区」の一種だった。名古屋市は横浜市と同じ政令指定都市なので、市を16の区に分けている。市議も区ごとに選ばれる。これを、もっと細かい小学校区に分けて、その単位ごとに選挙で選ばれた地域委員を置いて、地域予算の使い途を決め、地域ごとの自主事業をやっていくというものだった。
 ちなみに、2014年3月に終了している。試してみたが、役に立たなかったということだろう。

 この話を聞きに行ったのは、我が市の「地域運営協議会」という「地域自治区」の一種が、足踏みしているからだ。「地域委員会」の“失敗”に学ぼうと考えたものだ。

 “Near is better.”(住民に近ければ近いほど望ましい)という言葉がある。モノゴトは近くの住民ほどよくわかっているから、その人たちで決めた方がいい、という考え方(近接性の原理)だ。また、EU統合の理念ともなった補完性の原則(Subsidiarity)という考え方もある。地域でできることは地域でやる、できないことだけ州や国やEUでやる、という考え方だ。
 こうした考え方の下、私は地域運営協議会の設置条例にかつて賛成した。しかし、フタを開けてみれば、ただ単に、地域に新しい会議体を増やし、屋上屋を架し、町内会長ら地域リーダーの仕事を増やすばかりとなってしまった。

 失敗の原因はいくつかあると見ている。

 第一に、市から3ゲン(権限・財源・人間)を、何ひとつ渡すことがなかった。
 私は地方分権のイメージで地域運営協議会に賛成したが、国が市町村になかなか分権しないように、市も分権しなかった。これで自治意識を持てるはずがない。

 第二に、設置単位が大きすぎた。
 組織には、納得できる大きさが必要だと考えている。私は、野比の住民だが、北下浦住民という実感はない。むしろ南下浦も含めた下浦なら一体感がある。横須賀市民という意識はあるが、むしろ三浦半島アイデンティティのほうが強い。そして、神奈川県民という意識はほぼないが、首都圏に住んでいる自覚はあり、日本国民という帰属意識はかなり濃厚にある。ここから、本来の自治組織の単位としては、野比〜三浦半島市〜関東州〜日本国というのが自然だと思う。だから、野比地域運営協議会という地域自治組織なら納得感があった。しかし、かつて北下浦町という行政単位があったにせよ、北下浦地域運営協議会で何かをするという一体感は生まれない。

 第三に、地域に自治を求める機運がなかった。
 私のような他市から移ってきた他所者は別として、横須賀市民は長年横須賀市という単位に慣れ親しんでいる。市の単位で自治を求めることはあっても、逗子のように横須賀市から離脱するような強烈な自治意識は薄い。長井が地理的にも文化的にも独立国化しているのと、かつて盛栄を誇った浦賀に不満がくすぶっている程度ではないか。こうした中で、市からのお仕着せの地域自治組織は馴染まなかった。

 以上3つの失敗理由のうち、第一は市の対応に問題があるが、第二と第三は条例をつくった我々議員の制度設計と見通しの甘さだと言えるだろう。大いに反省しなければいけない。


 問題は、地域運営協議会を今後どうするかだ。
 改善するのか? 廃止するのか? 放置して先送りするのか? この判断をするために、名古屋市の“失敗”に学ぼうと考えたわけだが、結論から言えば改善するのがいいだろう。


 名古屋市の地域委員会は小学校区単位だった。ところで、名古屋市には「学区連絡協議会」という同じく小学校区単位の会議体があった。地域委員会の失敗は、学区連絡協議会との役割分担が曖昧だったことにある。地域委員会には、予算があり、選挙で選ばれた委員がその使途を決定した。同じ区域の単位で長年まちづくりを担ってきた学区連絡協議会の関係者がおもしろいハズがない。

 名古屋市に学ぶべきは、学区連絡協議会だ。これは、学区内の町内会・自治会、商店会、民生委員、消防団、PTA、子ども会、老人クラブ、防犯委員、青年団体、体育団体などの協議体だ。つまり、本市の地域運営協議会の学区版と言える。名古屋市にはこれが根付き、機能してきた。

 本市でも、地域運営協議会を学区単位で再編成すればいいのではないか。
 折しも、上地市長も「小学校こそコミュニティの中心」という考え方で、今後は試行的に小学校にコミュニティ機能を複合化する予定だ。私たちの会派・研政も同様の考え方を以前から主張してきた。
 もちろん、本市は高度成長期に団塊ジュニアのための学校建設に追われたため、野比小と野比東小のようにコミュニティの単位と小学校区の単位が一致していない地域も多い。とはいえ、調整可能だ。

 今後、その方向で具体的な方策を考えていきたい。
posted by 小林のぶゆき at 14:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【会派視察報告:中編1】追いつける気はしないが、この道しかない〜可児市議会〜

Kawakami.png 視察報告の続きです。

第二日 5/23(水)

 二日目の5/23には、岐阜県可児市へ伺った。

 可児市議会は、地方創生のモデルケースとして知られる先進議会だ。2015年のマニフェスト大賞でもグランプリに輝いた。
 その優れた点は、大きく2つだ。
(1)市民の声を議会全体で受け止め反映していること
(2)とりわけ、高校生の意見聴取に力を入れ、その結果、地域に若者が定着しつつあること

kani.png これらを学びに可児市議会に伺ったところ、なんと忙しい公務の合間を縫って川上文浩議長が自ら説明してくださった。昨年のマニフェスト大賞の授賞式の際に、研政メンバーで視察受入のお願いをしていたこともあり、特別に時間を割いてくださった。

 川上議長は、藻谷浩介氏が『デフレの正体』で描いた人口動態論と、増田寛也市が『地方消滅』で描いた消滅可能都市論を下敷きに可児市議会の取り組みを説き起こした。
 ・ ・ ・
 日本全体で年少人口と生産年齢人口が減少している。トヨタの本社があり、かつて豊かなまち(不交付団体)として知られた豊田市も、今や財政運営に苦慮し、急激に若者が減っている。その一方で、東京23区では若者が流入している。全国のまちが、大都市圏に若者をさらわれ、将来のまちの維持が危ぶまれている。そんな中でも、海士町のように若者をとどめているまちがある。その違いは、まちの経営の差だ。地方創生が叫ばれ出した背景がこれだ。
 可児市は、横須賀市から見れば人口推計の減少ペースも緩やかで、若者も横須賀市ほど減らない見込みだ。しかし、若者をはじめとする市民をまちにとどめるため、必死だった。

(1)市民の声を議会全体で受け止め反映していること

 可児市議会は、2011年2月に議員全員の政務活動費を出し合って、アンケート調査を行った。20歳以上の市民を対象に無作為に2,000件を発送し810件の回答を得た。その結果が議員に衝撃を与えた。「市民の声が議会に反映されていると感じている」という設問への「はい」が6.4%にすぎなかったのだ。また、「今後の可児市議会が取り組むべき課題」として挙げられたのも「市民の意見を聴く意見交換会の充実」が44.9%と最も多かった。
 可児市議会の偉いところは、このアンケート結果を「恥ずかしい結果だから隠しておこう」と考えるのではなく、記者発表したことだ。この結果、中日新聞や岐阜新聞などに取り上げられ、広く市民の知るところになった。いわば、議会として取り組む決意表明だ。
 ちなみに、5年後にも同様のアンケートを実施したところ、大幅な改善が見られたという。可児市議会の努力がしのばれるエピソードだ。

 市民の声を市政に反映するために、可児市議会は何をやったのか? 同じ業界に身を置く者から見れば、思いつく限り何でもやっている印象だ。
 可児市議会では、4つの年間サイクル(議会運営サイクル、予算決算審査サイクル、意見聴取・反映サイクル、若い世代との交流サイクル)をまわしながら、様々な取り組みを進めている。

●議会運営サイクル
 可児市議会では、議長がマニフェストを掲げ、議会内選挙で選ばれる。慣例で一年任期のこの議長が、議会全体の改革を進めるのが議会運営サイクルだ。

●予算決算審査サイクル
 予算の使い方を決める予算決算委員会の中で、市民代表である議会の意思をまとめて市政に反映していくのが予算決算審査サイクルだ。
 市政に反映と言っても、具体的にどうするのか? まず、市民との地域課題懇談会の結果も受けて、市民の声を吸い上げる。その後、予算決算委員会として議論をし、提言をまとめ、市長に通知している。
 ちなみに、「提言」と言うと優しく聞こえるが、委員会全体として全会一致で出したものは、市長にとってほぼ「命令書」にあたる。それを飲まなかったら予算を通してもらえない、つまり仕事ができないからだ。

●意見聴取・反映サイクル
 いまや大半の議会が議会報告会を開催している。だから目新しいものではない。だが、ほとんどの議会は、やりっぱなしで議会として体系的に受け止めていく仕組みを持っていない。
 可児市議会は違う。
 議会報告会は、春に予算説明、秋に決算説明で行っている。もちろん、ただ報告するだけでなく、意見交換をしっかり行う。その他、地域別の地域課題懇談会と各種団体との懇談会を随時開催している。2016年度には、議会報告会を9カ所で開催、懇談会は常任委員会単位で5回開催したようだ。
 こうして受け止めた声を、議会の常任委員会で一年かけて調査・課題整理・提言作成していく。その際、他市への委員会視察なども、道楽的もしくは散発的に行くのではなく、議論したテーマに沿って行く。
 こうしてまとめた政策提言を市長に通知し、市長からの回答をまた市民に報告していく。いわば、私が所属する会派・研政の「市民と議員の未来会議」と同じような政策形成サイクルだ。
 また、驚いたのが、「委員会代表質問」制度だ。横須賀市でも、年に1回3月議会で、各会派を代表して政策提言型の質疑をする代表質問を行っている。ところが可児市議会では、常任委員会の委員長が委員会を代表し、委員会で出た論点について市長に質問していくというものだ。市長にとって、これは怖いだろう。提案型の質問を受ければ、それは事実上「議会の要求」だ。伝家の宝刀として、横須賀市議会でも抜けるようにしておいてもいいのではないだろうか。

●若い世代との交流サイクル 
 可児市議会は、とりわけ若い世代の声を取り入れることに熱心だ。だからこそ、高校生議会やママさん議会、若者らのNPO縁塾などとの対話を非常に重視している。


(2)とりわけ、高校生の意見聴取に力を入れ、その結果、地域に若者が定着しつつあること

 可児市議会の凄みは、理念だけの議会改革ではなく、若者をつなぎとめるために議会が必死になっていることにある。
 思えば、「消滅可能都市」論でも若い女性がいなくなることがまちの消滅を意味した。だからこそ、福井県鯖江市は女子高生(JK)課を設置し、愛知県新城市は若者議会を開催して、若者の提案を積極的に取り入れている。
 同じように、可児市議会の高校生議会やママさん議会も、高校生に議会を学んでもらう「おままごと」イベントでもなければ、若者の声を聴く姿勢を見せるためのアリバイ的イベントでもない。

 ママさん議会のテーマは具体的だ。当時建設していた可児駅前の子育て拠点施設「マーノ」についての要望をワークショップ形式で聴いた。それらの声を整理し、いくつもの要望事項にまとめて市に反映させた。
 印象的だったのは、「カフェでお酒も飲めるようにしてほしい」という声だった。当初、施設内に誘致するカフェでは、飲酒禁止とする計画だった。しかし、子育てママも友達と集まってお酒を飲むのが息抜きになるのだ。だからこそ、「公共施設で飲酒をするのはいかがなものか」という懸念を押し切って実現させた。おそらく、手を挙げる民間飲食店にとっても後押しになっただろう。アルコールを提供すれば売上もF/D比も利益率も上がる。小さいことのようだが、従来の行政の常識を打ち破り、市民の声を議会が束ね、市政に反映していく好例だと思う。

 そして、可児市議会の新骨頂が2014年から始まった高校生議会だ。
 最初に述べたように、地域の担い手である若者に地域に目を向けてもらうための取り組みであり、可児市の魅力を知る場と位置づけている。
 高校生は、見ている世界が狭い。だから、可児市などは実際には地域に雇用もあり豊かな地域なのに、「都会に行かないと仕事がない」という刷り込まれたイメージで出て行ってしまう。
 こうした中、地域の可児高校の教師がキャリア教育のために地域との接点を求めていたことから、可児市議会は、いわばそのコーディネーター役を買って出た。事業者団体や行政など様々な主体が意見を交わす「フォーラムとしての議会」の本領発揮だ。
 ここで可児市議会は、「大人」目線で「子ども」に仕事や社会について教える、というありがちな手法をとらなかった。高校生議会という場を設定して、地域の課題をともに見つめ、解決のために頑張っている大人の姿を見せながら高校生にも解決策を考えてもらうという姿勢で臨んだ。そして、高校生議会を地域課題懇談会の一環としてとらえ、市民の声を聴く機会として謙虚に耳を傾けた。これはきっと、高校生にとって自らも地域をつくる当事者として巻き込まれる体験だったろう。いずれ都会に出てそこで活躍するまでの時間を過ごす傍観者ではなくなった瞬間だったのかもしれない。

 具体的には、多職種間連携教育(IPE)という手法を用いて、介護の問題について、保険師、ケアマネージャー、大学生、議員と一緒に語り合い、その結果を高校生が議場で発表するといった形をとった。その他、子育て支援、防災、地域医療、税と行政など、様々なテーマで実施してきた。
 その後、別な枠組みで地元の医師会、金融協会、商工会議所とも、それぞれ高校生との意見交換会を開催し、参加高校も可児高校だけでなく可児工業高校、東濃実業高校へと広がりを見せた。
 こうした活動の中で、「医学部を出た後に、可児市に帰ってきて地域医療に携わりたい」「名古屋に出て就職しようと思っていたが地元の銀行で働きたい」という生徒が現れてきたという。
 また、特別編として可児高校と協力して18歳選挙権に向けた出前授業や模擬投票なども行ったところ、参院選2016での可児高校生徒の投票率は、なんと90.1%を記録した。

 ・ ・ ・
 高校生議会は、多面的な事業だ。キャリア教育であり、主権者教育であり、社会教育でもある。だから、2年前に3分間のプレゼンテーションで話を聞いたときには、その価値がわからなかったが、今回、深く理解できた。社会について学び、政治について学び、仕事について学ぶ、優れた「よのなか科」の授業だ。

 我が横須賀市も、人口流出日本一に輝き、今後も人口減少に苦しみ続けることが予想されている。しかし、そのためにどれだけの打ち手を講じているだろうか。
 これは、ひとえに地域経営の差だ。可児市や海士町のようなまちは栄え、手をこまねいているまちは沈む。そして、横須賀市はどうするのか。市長や民間の個人的才覚に頼るばかりの人任せを続けるのか。結局のところ、まちのことを決めるのは住民だ。そして、住民の代表として地域経営をするのは、議会だ。議会の力と責任を改めて感じた視察となった。

<番外編>
 なお、可児市内で昼食をとった際に、住民の方とおしゃべりさせてもらったが、「可児市議会ってそんなにすごいの? 知らなかった。わざわざ横須賀から来るの? こっちから行くんじゃなくて? 全然、そんな印象なかったわ〜。議長は川上さん? あのお肉屋さんよね。おいしい飛騨牛、食べて帰って〜」と異口同音に言っていた。川上議長を先頭に可児市議会があんなに頑張っても、市民の評価がそんな程度なのだとすれば、二つの考え方ができる。

(1)どうせ頑張っても評価されないんだったら、多くの議会が頑張らないのもうなづける。所詮、市民が自治に関心を持たないなら、いくら頑張っても徒労に終わるので、議会力強化など諦めて議員個人でできることに注力する。

(2)取り組み内容がピカ一の可児市でさえ、市民に知られてない。そうであれば、横須賀市議会が力を入れる優先順位は、取り組みの強化よりも市民への広報だ。「やっている感」を出して市民の注目を高め、それをテコに取り組みをまた強化する、というサイクルを回す。

 私がどちらの手法を目指すのか? 今後の活動で表していきたい。
posted by 小林のぶゆき at 13:54| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月11日

横須賀市議会は全国ランキング34位。このまま復活なるか?

CouncilReformRanking2017.png 毎年、この時期にお伝えしている、議会改革度ランキング結果のご報告です。
 →早稲田大学マニフェスト研究所「議会改革度調査2017」

 わかりやすよう、横須賀市議会と上位を抜き出して、右上の表にまとめました。

 2011年には全国1700超のまち中10位となり、全国有数の議会として視察も相次いだ我が議会。ところが、あぐらをかいているうちに、2015年には175位まで凋落してしまいました。それが、2016年には59位、2017年には34位と、何とか持ち直しつつある格好です。
 これも、板橋衛・前議長のリーダーシップの下で「議会改革第2ステージ」と銘打って再始動した結果が出ていると思います。そして、2年目を迎えた木下憲司・現議長を筆頭に、その歩みを重ねている証拠だと言えます。昨年記事の「おそらく、来年はもう少し上がるんじゃないかなあ?」という予言がズバリ的中しました(笑)

 県内では、茅ヶ崎市議会(12位)、箱根町議会(24位)に次ぐ3位。昨年は後塵を拝した大磯町議会(59位)を追い越しましたが、かつて県内ではダントツ1位だったわけですから、喜んではいられません。
 ちなみに、人口も抜かれ、かつてはこのランキングでも追い抜かれたライバル(!?)の藤沢市議会ですが、今年は154位と振るわなかったようですね。議員定数・議員報酬・政務活動費のいずれも我が議会のほうが多いので、何かと比べられがちですが、仕事ぶりで負けたくないものです。

 ちなみに、例年の過去記事も再掲しておきます。
 →2016「横須賀市議会の復調。175位から59位へ。」
 →2015「17位から175位への転落。これが横須賀市議会の実力か?」
 →2014「議会改革度ランキング全国29位は本当の実力か? 横須賀市議会」
 →2013「人口だけでなく議会も藤沢に抜かれた横須賀」

 でも、このランキングはモノサシ(指標)でしかないのです。単に、学校のテストの点が良かったのと一緒です。
 問題は、どれだけ市民の声をカタチにできるか。地道に勉強していれば、必ずテストでも結果が出るということです。
 私の任期もあと10か月、しっかり頑張ります。
posted by 小林のぶゆき at 15:41| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

明日6/9(土)14時〜、一緒にまちづくりを考えよう。

Hearing20180609.png いよいよ明日となった第17回市民の声を聴く会。今回はFM戦略プラン案がテーマ。要するに、小中学校・コミセン・ホールなど施設をリストラしながら、まちづくりを考える計画です。
 統廃合は、どうなるのか?
 このまちを、どうするのか?
 市民のみなさんに議論頂いて、このまちの決定権者である議員が参考にします。

 →先週のタウンニュースでも掲載いただきました
 →詳しいチラシはコチラ


 お買い物のついでにでも、気軽にぜひ! お待ちしています。
第17回 議員有志で市民の声を聴く会
どうなっちゃうの、あの施設?

〜「FM戦略プラン」で何がどうなるの会議〜

 みなさんが使っている、あの施設。団体の活動拠点となっている、この施設。横須賀市には、色々な公共施設があって、暮らしや市民活動に役立ってきました。
 ところが、市は財政が厳しくなることを理由に、一方的な削減計画(施設配置適正化計画)を作ろうとしました。この問題については、私たち3議員もみなさんに詳しくお伝えしてきましたが、結果的に市民の大きな批判を浴びて新市長の下で撤回されました。
 とはいえ人口も減る中で、確かに今のまま全ての施設を維持するのは難しいので、市は新しく「FM戦略プラン」というものを作ろうとしています。
 どんな内容なのか? 市民の声はどうやって反映されるのか? いつごろ完成するのか?
 横須賀市財政部FM推進課長の藤田順一さんを招いてお話を伺い、みなさんからの質問に答えて頂きます。その後、市民のみなさんの要望を私たち議員が聴いて、6月議会(6/18のFM戦略プラン審査特別委員会)の議論に活かしたいと考えています。
 何も準備は要りませんので、お買い物のついでに気軽にいらっしゃって下さい。

●日時:6/9(土)14:00〜16:00
●会場:産業交流プラザ 第2研修室(芸術劇場3F 汐入駅1分)
●対象:どなたでもどうぞ
●参加費:無料
●申込:不要
●主催:議員有志で市民の声を聴く会
posted by 小林のぶゆき at 14:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする