【会派視察報告:後編】宿泊してもらうにはどうするか~小樽市~

※写真は出抜小路展望台から望む運河と倉庫群  視察3日目は、小樽市を訪問し、観光基本計画についてお話を伺った。  同じような課題を抱えてきたまちの先進事例として、効果のあった取り組み・なかった取り組み、創意工夫などを学ぼうというのが狙いだ。本市に読み替えて活かしやすいはずだからだ。  なお、横須賀市の観光のあり方については、過去記事「横須賀市はB級観光地から脱却せよ ~サンセバスチャンを参考に~」でも取り上げている。よろしければご覧頂きたい。 小樽市の概観  小樽市は、北海道の首府・札幌の海の玄関として栄えた。かつては札幌より大きなまちだったが、1964年の人口約21万人をピークに衰退し、現在では人口約12万人。  一方、横須賀市は日本の産業革命の中心地として興り、その後は軍都として栄えた。日本のマザー工場・横須賀製鉄所の開設当初は横浜よりも大きなまちだったが、1992年の約44万人をピークに衰退。2013年には人口減少ワースト1位にもなり、現在は人口約40万人。  いずれも、かつての主力産業の衰退と人口減少に見舞われてきた港湾都市という共通点がある。  ただし、かつて「斜陽都市」と呼ばれた小樽市は衰退時期が早かったこともあり、早くから観光へと舵を切った。運河散策路とガス灯を整備した1986年を「観光元年」と位置づけ、現在では年間791万人(2016年度)が訪れる観光都市となっている。一方の横須賀市も、実は872万人(2015年度)で、ほぼ同水準。意外に思われるかもしれない…

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【会派視察報告:中編】比べれば横須賀市の病理が見える学童クラブ~苫小牧市~

 視察2日目は、苫小牧市を訪問し、学童クラブについてお話を伺った。  この学童クラブのあり方については、すでに大田区、鹿児島市、横浜市に伺って本市と比較をしている。  ただし、どこと比べても、何度考えても、結論は同じだ。  ハッキリ言って横須賀市は、異常である。 「子どもが主役になれるまち」の不都合な真実  異常だと言うのは、大きく2点ある。 (1)保育料が高すぎる (2)行政が関与しなさすぎる  そして、この異常さは、同じ根っこから出ている。つまり、「子どもを第一に考えない」ことである。子どもの安全よりも…… ●市の歳出抑制を優先する。 ●子どもを遠くまで歩かせ、教師らの「教室は使わせないぞ」エゴを優先する。 ●既存事業者への影響が出ないことを優先する。 ●学力向上という、政治家や教師が評価されやすい「成果」を優先する。  つまり、子どもは二の次なのだ。こんなことだから、「子どもが主役になれるまち」とかいうキラーフレーズなるものが欺瞞だと見透かされて出生数が増えないのだ。  子どもを第一に考えるならば、カネならなんとかやりくりすればいいはずだ。  「学校は教師のものじゃない。子どもたちのための施設だぞ」と押し切れるはずだ。  事業者も営利で始めたわけではないので、子どものための選択は受け入れるはずだ。  そして、大人の都合で成績を上げさせることよりも、豊かな感受性を育むために様々な体験の機会を提供することのほうが大事なはずだ。 苫小牧と比べ…

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【会派視察報告:前編】ティボディエ邸は再建すべきか?~日本製鋼所室蘭~

写真:瑞泉閣の外観(北海道文化資源データベースより引用)  7/11~13の3日間の日程で、会派視察に行ってきた。  ところで、なぜ、会派視察をするのか?  我々、会派研政は、毎年「政策提言」(旧・予算要望)を作成し、市役所に提言をしている。これを作り上げるにあたっては、PDCAサイクルをまわしている。思いつきで作って、出したらハイ終わり、ではない。視察は、これに必要なのだ。 1)各議員で市民の声を聴く    ↓ 2)市民要望に応える政策を立案する    ↓ 3)先進事例・他市事例や研修会聴講などで下調べする    ↓ 4)会派内で議論して政策を練り上げる    ↓ 5)「政策提言」案を作成する    ↓ 6)「市民と議員のよこすか未来会議」で案への意見を聴く    ↓ 7)会派内で議論して修正する    ↓ 8)「政策提言」完成版を市に提出する    ↓ 9)「政策提言」の実現に向け、議会質問で引き出す    ↓ 10)年度が終わって、政策の実現状況を評価する    ↓ 11)「市民と議員のよこすか未来会議」で進捗を報告する    ↓ 12)最初に戻る  ざっと、このような過程で仕事している。この3)の一環として会派視察を行っている。  さて今回は、室蘭の瑞泉閣(日本製鋼所内)、苫小牧の学童クラブ、小樽の観光について視察に訪れた。  まず、初日7/11の瑞泉閣について。  室蘭といえば、横須賀と同じく「基地」が先にでき、…

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「敗戦」記念日に。~横須賀市民は核廃絶を宣言していた~

 72年前の今日、日本は敗戦した。  多くの人が忘れているが、この国は敗戦国である。現在も敗戦の名残を引きずり、国連軍を名目とした米軍の統制下にある。しかも、米国が宗主国なのではなく、国ではない米軍に統制されていることを改めて思い起こし、本当の意味での「美しい国」「日本を取り戻す」決意を新たにしたい。  さて、先日の記事で、横須賀市議会が「核兵器廃絶に関する決議」を出していたことにふれた。  ところで、よく「横須賀市は平和都市宣言をしている」「市長がようやく平和首長会議に加盟した」ということが言われるが、これはあくまでも役所のトップにしか過ぎない市長がやったことであり、正確には横須賀市民を代表するものではない。しかも、市長が勝手にこのようなものを出すわけにはいかない。 ●1984年9月10日 横須賀市議会が「核兵器廃絶に関する決議」を全会一致で議決  (自民党 竹折輝隆市議が提案者) ●1989年5月23日 「核兵器廃絶・平和都市宣言」を市長(横山和夫時代)名で宣言 ●2016年5月 市長(吉田雄人時代)が平和首長会議に加盟  その意味で、議会の決議には違う重みがある。議会こそが、住民代表である。横須賀市民の意思を体現するのは議会である。主権者は市民であっても、主権を行使するのは代理人である議員の合議体である議会なのだ。その議会が、しかも全会一致で決議を出した。一人の棄権や反対もなかったことで、この決議は右から左まで主義主張を超え「市民の総意」と見なされるに足る正統性を…

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9/3(日)BBQ@野比海岸のお誘い

 私の後援会や友人のみなさんを招いてバーベキューをやります。ご都合が合えば、どうぞお運びください。 ●日 時:2017/9/3(日)11:00~14:00ごろ ●場 所:野比海岸・志も町内会館裏(YRP野比駅徒歩7分) ●集 合:現地集合(11:05にYRP野比駅集合でご案内もします) ●会 費:1,000円(子ども100円) ●申込み:食材準備の都合上、コチラまで参加表明ください ●持ち物:特になし(シートは敷きますが、イスは全員分ないので持参歓迎) ※小雨決行。日よけ雨よけのタープ有。荒天時は小林家で食材消化パーティ  例年の、後援会夏祭りのように大掛かりな感じではなく、私がホストで、色々おいしいものを焼いていきますので、海を眺めながら、のんびり語らって頂けたらと思います。  BBQ料理と生ビールサーバーとお茶だけ用意しますので、他に食べたいものや飲みたいものは持参ください。 駅前の京急ストアでも飲み物など売ってます。  キスとスズキとチヌ釣りのポイントらしいので食材現地調達も大歓迎です。ただし、過去に友人がキスを網に並べてくれたことがあって喜ばれましたが、クサフグはお断りしています(笑)  あと、ギターとアンプと打楽器も置いておくので、歌い手さん歓迎です。

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町村総会は、憲法違反?

  高知県大川村の町村総会への移行問題が、我々の業界では静かなブームとなっている。  →「村議会を廃止、「町村総会」設置検討を開始」(毎日新聞2017年5月1日)  ところで、同僚議員が「憲法で市町村には議会を置くことが決められているのに、地方自治法で町村総会を認めるのは、オカシイんじゃないの?」という鋭い問いを発して、「ホントだ。なぜなんだろう?」とずっと気になっていた。念のため原文を引用しておく。 日本国憲法 第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。地方自治法 第八十九条  普通地方公共団体に議会を置く。 第九十四条  町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。 第九十五条  前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。  今日、ふっと自分なりの答えが降ってきた。町村総会は憲法違反ではないのだ。  論の立て方としては、2通りある。 (1)より民主度の高いものだから、憲法の意図を包含するため  憲法の第八章・地方自治は、地方公共団体を住民の統治下に置くために設けられたと解することができる。この意図からすれば、代理人である議員を選んだうえでの間接民主主義より、有権者全員が参加できる直接民主主義のほうが、より正確に民意を反映できるし、議決の正統性が高い。つまり、民主度が高い。そうであれば、議会を置く場合よりもさらに、町村役場に…

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8/9におもう、ナガサキと戦争犯罪

 72年前の今日、長崎に原爆が落とされ、7~8万人の非戦闘員が殺された。3日前のヒロシマと合わせて20万人以上だ。  8/6の投稿でも同じだが、「亡くなった」のではない。「殺された」のだ。そして、8/15は「終戦」記念日ではない。「敗戦」の日だ。  8/6の投稿ではっきりとは書きそびれたが、言葉の遣い方には、意味があるからこだわっている。  日本軍も非戦闘員を多数殺害した。それは、言い訳のしようがない。規律を守れない軍人や守れない場面などもあった。巻き込まれた市民もいた。  しかし、米軍の所業はどうだろう?  はじめから、軍人や軍事施設だけではなく、都市そのものを狙った。非戦闘員を殺戮する目的で、軍事行動をした。  これは、戦争犯罪ではないのか?  加えて言えば、ナチスと何が違うのか?  ナチスによるホロコーストは、民族浄化であり、最悪の戦争犯罪だ。  一方、米国はあくまで共産主義を食い止めるため原爆が必要だった、と主張する。しかし、白色人種が多い国に原爆を落とした場合、戦争犯罪は問われていたのではないか? 猪瀬直樹が『黒船の時代』で描いていたように、下敷きがあって黄色人種への偏見が拭い難くあったのではないか?  日米同盟も必要だろう。友好国ではあるだろう。  しかし、言うべきことは言うべきじゃないのか?  米国は、戦争犯罪と言われたら不愉快だろう。しかし、過去の真実を突き付けて破綻するような信頼関係ならば、それまでの話ではないのか? その程度で、本当に…

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8/6におもう、ヒロシマとフクシマ

 72年前の今日、広島に原爆が落とされ、多くの国民が殺された。  ちょうど、文化会館で中筋純『流転 The Silent Views ~福島&チェルノブイリ~』展が開催されているため、せっかくだから本日8/6に合わせて観に行ってきた。非常に見応えのある内容だった。明日16:00までなので、足を運ぶことをお勧めしたい。  さて、そこでヒロシマとフクシマについて、思うことを書き連ねたい。  改めて思うのは、「この国民は、忘れやすい国民だな」ということだ。 (1)ヒロシマについて  我々が被爆国であることを、どれだけ認識しているのかと思う。7/8の「核兵器禁止条約」の交渉会議の話だ。  日本国民は、核廃絶の意思を示している。2009年6月16日には衆議院で、翌17日には参議院で、ほぼ同趣旨の「核兵器廃絶に向けた取り組みの強化を求める決議」を議決している。しかも、いずれも全会一致である。その後、否定する決議等はないはずだから、つまりこの内容は国民の総意であるはずだ。  ちなみに、神奈川県民も1984年7月5日に神奈川県議会が「神奈川非核兵器県宣言」を議決しており、横須賀市民も同年9月10日に横須賀市議会が「核兵器廃絶に関する決議書」を全会一致で可決している。  ところで、先日の「核兵器禁止条約」交渉会議での態度はどうか? 国連加盟国193か国のうち、122か国が採択したこの条約。だが、世界最大の被爆国である日本は会議を欠席したのだ。米国の「核の傘」に入っていることが理由…

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