2016年06月30日

【会派視察報告後編】呉市に学ぶ軍港資料館と近代史への向き合い方

 前回に引き続き、会派・研政での視察報告です。3日目となる5/27は、広島県呉市に「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」の視察に伺いました。物見遊山ではありません。なぜ視察したのか?
※写真は「大和ミュージアム」とその隣にある「てつのくじら館」の潜水艦
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 横須賀市・呉市・佐世保市・舞鶴市は旧軍港4市として、よく並べられます。
 かつて、旧日本海軍の第一海軍区(横須賀)、第二海軍区(呉)、第三海軍区(佐世保)、第四海軍区(舞鶴)の軍港として、それぞれ鎮守府が置かれていました。
 そして、戦後は旧軍港市転換法(軍転法)の対象となる4市として、共に「平和産業港湾都市」の建設を目指してきました。
 2016年4月には、この旧軍港4市が「日本遺産」に認定され、それを受けて4市で協力して旧軍港4市のホームページも作っています。そこでは、「平和観光港湾都市」を目指すと謳われています。「平和産業港湾都市」の「産業」のうち、特に「観光」に力を入れていくという方向性なのでしょう。

 そんな旧軍港4市のうち、舞鶴にはかつて視察でお邪魔したことがありますが、呉と佐世保には伺ったことがありませんでした。そして、横須賀市では「(仮)軍港資料館をつくろう」という市民団体や議会内の動きもある中で、特に引き合いに出されるのが呉の「大和ミュージアム」でした。そこで、呉というまちがどんなところで、「大和ミュージアム」がどんなところで、どんな打ち出しをしているのか、いつか現地視察したいと考えてきました。


 呉とはどんなまちなのか?
 戦前、呉鎮守府に続いて呉海軍工廠が置かれたことで大きく発展し、戦艦大和を造船するなど東洋一の技術と規模を誇る軍港として知られたようです。
PopulationYokosuka.png 人口で見れば、横須賀市と同様に第二次大戦を前に人口が膨れ上がり、戦後に激減したようです。呉の人口推移は市役所がWeb公開しておらず入手できませんでしたが、我が市役所はWeb公開しているのでグラフにしてみました(画像参照)。おそらく呉も同じような曲線を描いていることでしょう。ただし、往時の呉は人口40万人を超える全国10大都市のひとつだったようで、戦中は横須賀以上の人口を誇り、戦後は横須賀以上に急激に落ち込み、高度成長期は横須賀ほど人口が増えなかったと言うことができるでしょう。なお、急激な人口減少を迎えているあたりも横須賀と似ていますが、1992年に43.5万人から減少に転じた横須賀よりも早く、1975年の31万人をピークに減少の一途をたどっています。
 横須賀との違いは、横須賀も呉も海上自衛隊の一大拠点ですが、呉に米海軍施設はないということです。米陸軍の小さい施設がある程度のようです。この点は、かつて東洋一の軍港だったがゆえに戦中に大きな爆撃を受けた呉と、戦中は基地機能としては小さくなっていて大きな爆撃を受けなかったために戦後に米海軍が流用して一大拠点を築いた横須賀との違いですね。こうしたこともあり、呉においては海上自衛隊が大きな存在感を持っている印象を受けました。

 こうした文脈の中で、「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」があります。


IMG_2298.JPG まず、「大和ミュージアム」について。
 「大和ミュージアム」は正式名称を「呉市歴史海事科学館」といい、近代史と近代化の礎となった科学技術とを展示の核にしています。ガイドツアーをして頂きながら展示を駆け足で拝見しましたが、一部に誤解のあるような戦争賛美の色合いは感じませんでした。むしろ、無謀な戦争で命を失わなければならなかった若者や市民への哀悼と悔悟を感じました。そして、戦艦大和をつくるほどの優れた技術がありながら先読みができなかった指導層の大鑑巨砲主義のために大きな犠牲を払ったことへの深い反省と無念を感じました。
 展示内容に続いて博物館としての概要をおさらいしてみましょう。
 1980年ごろから構想があり、1990年から構想を具体化し、1995年ごろから資料収集と準備組織づくりをはじめ、2005年に開館したようです。具体的に「呉市が博物館をつくろう」と考えてから15年越しで実現したわけです。
 建物と展示物等を含めた事業費は約65億円で、うち約30億円が補助、6億円が寄付、29億円が呉市の負担だったようです。
 初年度の来館者数は約160万人、現在でも100万人を超える来館者があります。こうした大きな集客施設ができたことで、2004年に約155万人だった呉市の観光入込客数は開館年の2005年には約345万人に倍増しました。現在でも約337万人の観光入込客数を誇ります。横須賀美術館と横須賀市自然・人文博物館の来館者数が、それぞれ約24万人・約5万人で合計約29万人ですから、その桁違いの集客力には驚くばかりです。なお、横須賀市の観光入込客数は約785万人ですが、首都圏にある横須賀は呉市に比べて恵まれた条件にあり、呉市の観光は半分近くを大和ミュージアムに頼っている状況がわかります。
 感心したのが、ランニング・コストです。2008年から指定管理者に委託しているようですが、年間7890万円の指定管理料を支払っているそうです。ただし、利用料金制をとっていて、入館料は指定管理者が受け取り、その金額の一定割合は呉市に納付する仕組みとしているようです。その呉市に還付される入館料は約7700万円とのことで、昨年度は指定管理料と行って来いでほぼトントンだったとのこと。一般的に、博物館や美術館は収益があがるものではなく、パトロンによって成り立つものです。あのメトロポリタン美術館などは、財団が運営し毎年多くの寄付を集めて運営しています。これが寄付文化のない日本の場合は、企業がバックについた民間施設か、行政がバックについた公的施設が中心です。いずれにしても、寄付者や企業・行政といったパトロンの存在が必要です。ただし、「大和ミュージアム」の場合は、呉市がパトロンにつき多くの寄付も集めてきましたが、イニシャル・コストの減価償却を考えなければ、ほぼ独立採算で成り立つ経営をしているということです。

 次に、「てつのくじら館」は正式名称を「海上自衛隊呉史料館」といい、本物の潜水艦が陸に揚げられて、その中に入ることができるという珍しい施設です。これは、呉市ではなく海上自衛隊が設置しており、来館者数など詳しいところは聞いてきませんでしたが、「大和ミュージアム」の隣に2007年に開館して相乗効果を生んでいるように思います。


 さて、これらを見て、横須賀にどう活かせばいいのか?
 私は、(仮)軍港資料館の設置にはずっと賛成してきました。ただし、財政負担を考えれば美術館と博物館に加えて(仮)軍港資料館を設置するのはムリだと思います。ちなみに、美術館や資料館など名前は様々ですが、いずれも博物館法上は「博物館」となるのが通例です。一般に、人口が30万人を超えると自前の博物館を持ちたがるといいます。しかし、横浜みたいなマンモス都市は別として、40万都市の横須賀が美術館と博物館の両方を保有するのは、そもそも身の丈に合ってませんでした。さらに、このまちにはオペラホールまであります。
 答えは一つだと思います。美術館を廃止し、博物館と統合する形で(仮)軍港資料館を整備するのです。


 その手順を言います。
IMG_2301.JPG 横須賀市にとって美術館を持つ必然性はほとんどありませんが、博物館を持つ必然性は疑いなくあります。そこで、美術館を即刻廃止し、(仮)横須賀市近代史資料館として施設を転用します。なぜ資料館設置を急ぐのかと言えば、これ以上の民間の史料の散逸を防ぎ、史料収集に力を入れるためです。「大和ミュージアム」には、本来なら横須賀にあってもおかしくなかった史料がたくさん展示されていると感じました。ちなみに、「大和ミュージアム」の裏には有人深海調査艇「しんかい」が展示されており、これも後継の「しんかい6500」が母艦「よこすか」と共に海洋研究開発機構で稼働していることを考えれば、横須賀にあってもおかしくなかったと思います。
 さて、なぜ名称を「軍港資料館」としないのか? そもそも、明治に入ってからの横須賀製鉄所は、軍港としてではなく工部省管轄の民需施設としてスタートしています。海軍省に所管が移ったのは後年の事です。また、軍港として栄えたことだけに注目すると横須賀の本来の価値を見誤ります。横須賀は、司馬遼太郎が『三浦半島記』の中で「かつてここは日本の近代工学の一切の源泉であった」と言ったように、日本の産業革命のマザー工場だったと見るべきであり、日本の近代史全体を支えた存在です。この価値を伝えるには「軍港資料館」の名称では狭量すぎるのです。
 なお、この転用については、観音崎公園の土地の一部を美術館用地として貸してくれている神奈川県も、「基本的には博物館法上の博物館であることに変わりはなく、展示内容と名称の変更にすぎませんから」と言えばそんなに文句は言わないでしょう。
 その間に、自然・人文博物館を引き継いだ新施設を整備します。場所は、横須賀芸術劇場および産業交流プラザを廃止して転用するか、新規に横須賀駅・汐入駅近辺に建設するか、どちらかがいいと思います。いずれにしても、立地が重要なので、ここは腹を決めて横須賀港周辺か三笠公園内にすべきです。呉における「てつのくじら」以上の相乗効果を産めるのは、やはり戦艦三笠の偉容をのぞめる三笠公園内でしょうね。全体としては、横須賀中央駅周辺は市民生活の中心ゾーン、横須賀駅・汐入駅周辺は横須賀観光の中心ゾーンといった住み分けをするように、行政は政策誘導していくべきだと考えています。
 施設整備が完了した時点で、(仮)横須賀市近代史資料館を観音崎から移し、リニューアル・オープンします。おそらく、この立地で企画内容さえきちんとすれば、現在の美術館と博物館の5倍は集める集客施設になると考えています。
 旧美術館は、民間転用を県が許せば民間に活用いただき、それがムリならば観音崎公園の一施設として一体的な運用が図れる内容に転用するほかないでしょう。いずれにしても、寿命が来たら撤去し、県に返還して自然を復元してもらえばいいでしょう。


 私は、中学校では成績優秀でしたが、近代史を義務教育できちんと学んだ記憶がありません。たぶん、進学試験に出ないからロクに教えてこなかったのだろうと思います。腫れ物に触るようにして近代史に向き合ってこなかったのは、日本の宿痾です。国も悪い。教師たちも悪い。おかげで日本中を、自国の近代史を知らないお花畑ウヨクとお花畑サヨクだらけにしてしまいました。自戒を込めて思います。ドイツが必死に近代史を教育し、向き合ってきたのとは対照的です。
 そのドイツでさえ、近年ではネオナチや極右政党に勢いが見られ、こんな『帰ってきたヒトラー』という映画まで公開される時代になってしまいました。ちなみに、悪い時代には良い映画がつくられるものなのか、映画自体は人生で5本の指に入る名作でした。


 「大和ミュージアム」には、この日本の近代に対峙しようという気迫を感じました。横須賀で(仮)軍港資料館を設置するならば、近代に真正面から向き合う心構えが問われると思います。そして、イデオロギーやセンチメンタリズムにとらわれることなく日本の近代史を描ける展示を制作できれば、きっと多くの国民が横須賀に足を運んで学んでくれると思います。
 そんなことを考えた視察でした。
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2016年06月28日

【会派視察報告前編】まちをデザインする神戸市

 会派・研政で視察に行ってきました。5/25〜27の3日間の行程ですが、私だけ5/25に横須賀でローカル・マニフェスト推進地方議員連盟神奈川勉強会「オープンデータとこれからの公民連携」という研修を受けたので、2日目からの合流となりました。
 初日の愛知県半田市では、チラシ17号「横須賀ハコモノ白書 第三弾」で取り上げた成岩中学校の、部活動を地域が担う総合型地域スポーツクラブの取り組み視察だったので、実際に見られず残念です。

IMG_2289.JPG さて2日目は、神戸市です。以前、横浜で政策デザイン勉強会VOL.37『神戸KIITOの「クリエイティブゼミ」の取組みから「政策+デザイン」による社会課題解決を考える』という研修を受けたときに、デザインクリエイティブセンター神戸(以下、略称のKIITO)の副センター長永田宏和さんのお話を伺い、大変刺激を受けたので実際に見せてもらうことにしました。
 KIITOは、神戸市の施設です。かつて、国の税関生糸検査場だった建物を、神戸市が買い取って再活用しました。

 このKIITOは、どんな場所なのか?
 簡単に言うと(1)貸事務所、(2)貸スペース、(3)企画事務所の3事業を実施するための施設です。指定管理者に委託しています。
 関東で有名なところだと、世田谷区の三宿小学校を改修した「世田谷ものづくり学校」が近いと思います。10年ほど前にBeGoodCafeというNGOで活動していたときに行ったことがあります。デザイナーとかプランナーが入居していて、貸スペースもあって、当時は確かIDEEという企画屋さんたちがプロデュースしてました。

 ポイントは、3事業がそれぞれ独立した事業というよりは、有機的に関連していることです。
 (1)入居するのもグラフィックデザイナーとか都市コンサルとか、ファブラボ的なシェア工房、GMOペパボの雑貨通販のアンテナショップといった、クリエイティヴ系の人たち。
 (2)貸スペースで催されるのも、作品展やワークショップや映画撮影といったもの。
 (3)企画事務所の人たちのめはしが利いていて、こうしたクリエイターの方々を有機的につなぎ、貸スペースを使って自主企画もアレンジし、神戸にどんどんデザインやクリエイティヴのチカラで「まちの付加価値」をつけていっている。
と、僕は見ました。

 彼らのコンセプトは「+クリエイティヴ」とのこと。「観光+クリエイティヴ」「教育+クリエイティヴ」という具合に、まちの課題をクリエイティヴにより解決するイメージです。まあ、「課題解決型」とか言うとセクシーじゃないので、まちに「それっていいね!」を増やしていっている感じですかね。

 こんな抽象的なことを言っていても全然イメージできないと思うので、制作物や動画を見てもらったほうがいいですね。
 まず、「教育+クリエイティヴ」の『ちびっこうべ』という事業。

IMG_2286.JPG どうですか? すごいですよね。キッザニアには商業広告や消費社会の匂いを感じますし、まあそれはそれでいいんだと思います。ただ、この『ちびっこうべ』は、地域社会や地域経済の匂いを感じて、体験型社会学習のひとつの理想形じゃないかなと思います。ミニ・ミュンヒェンというドイツのミュンヒェン市で始まったイベントを模倣しているそうです。
※写真は、保存されていたちびっこうべ2014の最優秀店舗。質の高さに驚き

 次に、「観光+クリエイティヴ」の『Date Kobe』という企画。
 →date.KOBE
 元のアイディアは主婦の発案とのことですが、なるほどうーん、とうなっちゃいます。うちも、『Fish Yokosuka』とか『BBQ Yokosuka』とかやってもよかったんだよな。

 こうした事業や企画は、指定管理者のJVの一角を占める株式会社iop都市文化創造研究所がコーディネートして、クリエイターを巻き込み、役所や企業や市民といったプレイヤーをアレンジして、ワークショップなど創発型のプロセスの中から生まれていっているようです。
 話を聞いているとどうも、最近では神戸市役所の色々な部署が「こんな課題を抱えているんだけど……」と言って訪ねてくる「駆け込み寺」化しているようです。そして、「じゃあ、こんなワークショップや企画をやってみんなで考えてみましょう」となるわけです。これまでの役所内の固い頭をつき合わせての会議では到底生まれなかった発想やアプローチを生み出してくれるんだから役所側もありがたいし、担当者もきっと楽しいですよね。
 しかも、そんなことをまちづくりコンサルとかに頼むと結構お金がかかるものですが、どうやら指定管理料の中にコミコミで株式会社iop都市文化創造研究所がやってあげているみたいなんですね。
うらやましすぎるぞ、神戸市。

 というか、よそのまちを見て「いいなあ」とか言っているだけなら「オマエ、俺たちの税金使って視察に行っておいて何やってんだよ!」と市民に叱られますよね。
 じゃあ、これを横須賀市にどう生かせばいいのか?


 KIITOみたいな拠点を新設するなんてことは、財政的にできません。しかし、KIITOと同じように、いくつかの関連する機能が一緒にまとめてそこにある、ということが必要だと思います。 それは、創業インキュベーション系施設も、市民活動サポート系施設も同様だと思います。シンプルに言えば、想いの強い人々がいて、つなぐ人がいて、気軽に集える居心地のいい場があること。

 その意味では、すでに横須賀市内にも横須賀創造空間というNPOが「ヨコスカテラス」というコワーキングスペースを設けています。ここはどうか?
 残念ながら、前にも紹介したように、市内の篤志家や実業家が支援してオープンしたわけですが、運営NPOのトップが排他的で、勢いのあるベンチャー社長やデータ分析屋さんなどの、やる気のある人々をNPOから追い出した過去があります。経営陣の顔ぶれが変わらない限り、のびしろはないと僕は見ています。

 産業交流プラザはどうか? ここはただの貸館に堕しています。お役所が設置し、天下り法人が運営している状況なので、全く期待できません。

 市民活動サポートセンターはどうか? ここは役所が設置してはいますが、元々スーパーマーケット?だった路面の明るい場所で、運営を委託しているYMCAさんがNPOと市民のコーディネートにも力を入れているので、有機的に機能しています。こういうオープン感とさりげなく支援感が大事なんだろうな。


 こうしたことを考え併せると、私ならこうします。
 三浦半島の中心部である横須賀中央駅周辺に、(仮称)三浦半島まちづくりラボを設置します。現在の、市民活動サポートセンター・産業交流プラザ・勤労福祉会館をここに移転・統合します。そして、次のような機能を入れます。
●自由に会議に使えるオープンスペース
●各種の貸スペース
●3Dプリンタなどを備えたファブラボ
●手ごろな価格のコワーキングスペース
●24時間出入りができる安価な小さめの貸オフィス
●各種の検索端末を備えたメディアルーム(図書室)
●専門性の高い人材を備えた創業支援コンシェルジュ
●面倒見のいい人材を備えた市民活動支援コンシェルジュ

 ポイントは、いくつかあります。
 市民活動と創業支援で、スペースを分けません。リソースは共有し、コストを削減します。ただし、相談業務に対応できる人材はそれぞれ別に揃えてベクトルの違うニーズにきちんと応えます。もちろん、NPO法人で起業したいというような方の相談には、両者が連携して応えることもできます。
 スペースは分けませんが、利用料金は分けます。同じ貸スペースを使っても、営利活動については基本的に有料、非営利活動については無料を原則とします。利用目的ごとに施設を作ってきた愚を繰り返すことなく、利用目的によって受益者負担を分けるわけです。ただし、予約したのに使わなかった非営利活動には、営利に使って頂けた分のお金をキッチリ徴収します。
 基本的には、内装には金をかけず、スケルトン&インフィルの発想で、転用しやすい構造を旨とします。ただし、ハコは安く済ます代わりに、3Dプリンタや音響機材など施設機能の価値を上げる設備にはきちんと投資します。
 具体的な場所については、横須賀中央駅前の民間による再開発計画に盛り込む形で整備します。民間施設にテナントとして入るのか、再開発に一緒にお金を投じるのか、そこは相手もあることなので柔軟に検討します。
 あるいは、市が土地を持っている児童図書館用地に、図書館と合築する形もあり得ると思います。むしろ、そのほうが相乗効果が見込めるかもしれません。ただし、図書館も集客施設として民間ビルに入ったほうがいいかもしれないので、専門家のフィジビリティ調査に委ねたほうがいい部分だと思います。

 いかがでしょうか? 「この案こそが正しい!」とか言うつもりは全くなく、こういう発想で考えていったら楽しいと思うし、「施設の統廃合も悪いことばかりじゃないな」と思って頂けるのではないかと思うんですよね。


 以上、神戸市KIITOの視察報告でした。
 この他に、せっかく神戸に来たので昼食の時間を削って「人と防災未来センター」も駆け足で見学したのですが、本来の視察ではないので報告は割愛したいと思います。
posted by 小林のぶゆき at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月11日

横須賀市の職員に「反論権」を与えよ!

 のっけからややこしいのですが、市職員に「反問権」はなくとも、おそらく「反論権」はあります。

 横須賀市の場合、課長以上の部長・局長・副市長・市長などが理事者(理事説明員)となって、議会の質問に答弁します。
 横須賀市議会は、この答弁者に「反問権」を与えていません。横須賀市議会が議会基本条例をつくったのは2010年と早かったのですが、その後に世の中はどんどん先へ進み、我が議会はいつの間にか、やや時代遅れになりつつあります。だからこそ、議会改革度ランキング17位から175位まで転落してしまうわけです。
 で、今や議員からの質問に対し反対に問い返す「反問権」を理事者に与えるのは、時代の趨勢だと思います。でも、横須賀市議会はまだ条例改訂して与えていません。これがあれば、議員からの言いっぱなしが減って、政策論争が進むと思います。なので、かつて議会改革の先頭集団を走ってきた優秀なランナーたる横須賀市議会は、いずれ「反問権」も付与することになるでしょう。

 さて、では議会基本条例の改訂まで待たなければならないのか?
 私の解釈では、「反問権」はなくとも、理事者が反論する「反論権」なら現段階でもあると思います。

 議員は、「質問」と言いながら、質問ではなく主張していることも往々にしてあります。議員同士で直接話さずに、理事者に質問する形で、質問という名の意見を述べ合っている様子をしばしば見ることができ、理事者の方々がいわば「サンドバック」として使われて可哀そうだなと思います。ハッキリ言って市職員は、『議会基本条例で「議員間討議」について定めているんだから、議員同士でやってくれよ』と思っていると思います。しかし、彼らに「反問権」はないので「でもまあ、何も言い返すことはできないんだよね」と諦めているように見えます。

 確かに、「反問権」はない。でも、「反論権」ならあると思います。

 そもそも、答弁の形式について、明確な定めがあるわけじゃない。市職員は頭がいいので、僕が変な質問をしても僕に恥をかかせないよう、周到な言い回しで答弁してくれます。でも、別に恥をかかせてもいいのです。別に、市職員は地方公務員法で立場を守られているから失職することはないし、議員が職員人事に口を出せる時代も終わっているので、議員にペコペコする必要などないのです。
 だから、「コイツ一体、何を質問してやがるんだ? ちょっと教育してやろう」「そんなんで、行政が成り立つわけねえだろ。アンタの言ってることはそもそもオカシイ」と反論すればいいのです。ときどき、婉曲的で丁寧な表現ながら反論する姿を見ることができますが、堂々と相手に恥かかせることも厭わずに反論してしまえばいいのです。
 そうすると、議員も恥かきたくないから、不勉強な質問をすることを避けるようになります。つまり、僕も夜中にこんなつまらないBlogを書いてないで、もっと議案資料を読み込んで勉強するようになります。そうやって、レベルの低い議員の質が上がれば、市民のためにはいいことだと思うのです。

 こんなことを今、思いついて書いているのは、伊関友伸さんという方のブログ記事を読んだからです。
 →松前町議会地域医療の今後のあり方に関する調査特別委員会(第4回)
 ここに出てくる、元?松前町立病院院長の声を、共感しながら読む市の職員は多いと思います。

 議員が愚かだと、まちが崩壊します。だから、松前町みたいに、医療崩壊などで地域経営が破綻しないように、議員の質を保つ必要があります。
 市民の中には、ちゃんと意識していない人もいると思いますが、議会というのは市長よりも上です。だから、議員に誰を選ぶかは、実は市長に誰を選ぶかより重要かもしれません。市長は議会から改めさせることができますが、議会を改めさせられる人なんて誰もいないですからね。そんなことができるのは、主権者である市民だけです。
 議員の質を保つには、緊張感が必要だと思います。オンブズマンがチェックして下さるのもありがたいことですし、現在の地方経営においては職員が持つ知見はやはり大きいので、市職員が議員に「反論」することで、勉強不足を許さないという緊張感は重要だと思うのです。

 なので、お願いです。横須賀市役所の職員のみなさん。横須賀市を愛するのであれば、どうぞ、臆せずに議員に「反論」してください。
 うちの市職員は全般に優秀だと思いますが、僕ら議員も負けてないと思うので、反論に耐える質問ができるはずです。遠慮しないでください。議会の場で、一緒に政策論議をしていきましょう。今後も、よろしくお願いします。
posted by 小林のぶゆき at 23:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月07日

17位から175位への転落。これが横須賀市議会の実力か?

早稲田大学マニフェスト研究所による「議会改革度調査2015」の結果が本日6月7日に発表されました。
→上位300位の一覧表

気になる横須賀は……なんと175位へと大幅に転落しました。
2012 17位(県内1位)
2013 41位(県内3位)
2014 29位(県内2位)
2015 175位(県内12位)

県内では、1位箱根町議会、2位茅ヶ崎市議会、3位南足柄市議会、4位葉山町議会、5位神奈川県議会、6位相模原市議会、7位川崎市議会、8位大磯町議会、9位横浜市会、10位秦野市議会、11位小田原市議会に続く、12位に落ち込みました。

4年前の全国17位・県内1位を自慢にしていたのに、まさかの175位……。でも、まさかというより、これが横須賀市議会の本当の実力なんだと素直に思います。
あちこちの議会を見に行って、自分の議会と比べて「そんなにウチがいいハズないよな〜」とは思っていました。だからこそ過去の記事でも「形式ばかりは整っているが、中身が伴っていない」と指摘してきました。
→うちの議会は42点?「議会改革自己診断シート」を使ってみた!(2014/4/20)
→人口だけでなく議会も藤沢に抜かれた横須賀(2014/6/3)
→議会改革度ランキング全国29位は本当の実力か?(2015/5/21)

で、今年は過去と採点方法に変更があったようなのです。
早稲田大学マニフェスト研究所顧問 北川正恭のコメント
地方創生時代を迎え、いわゆる議会改革と呼ばれる議会活動の中身が、形式から実質へと変化してきた。〜後略〜
【2015年度調査のポイント】
議会のための議会改革ではなく、地域課題を解決する議会に向けての取り組みを重視し、下記の調査項目を追加するとともに配点を見直しました。〜後略〜

要するにウチは、形式要件さえ整えれば点数が稼げるテストには強かっただけで、中身は伴っていなかったということです。ちなみに、前回は県内1位だった大磯町も154位に大転落しており、おそらく同じような状況だったのでしょう。
中にいると、「横須賀市議会はいい議会だ」というプライドを感じます。
確かに過去においては、第一線を走っていた優秀なランナーだったと内外で聞きます。しかし、横須賀市議会が落ち着いて停滞している間に、時代は変わり、他の議会はずいぶん先に行っていて、既に先頭集団からは離脱してしまいました。かつて全国1700以上の市町村の、上位1%にいたのに、今や上位10%からも漏れてしまいました。

今回の結果で鼻をへし折られて、変なプライドをかなぐり捨てて、本当に中身が伴った議会へ、市民の声を元に地域の課題を解決していく議会へ、今こそ生まれ変わるいい時期かもしれません。ちょうど、議会改革の萌芽は生まれています。というか、中でいま、みんなで生みつつあります(笑)。
昨年から会派にも入ったことだし、僕個人で結果を出すことよりも、これからは「チーム横須賀市議会」で結果を出すべく、汗かいていきますよ!
posted by 小林のぶゆき at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月06日

沖縄県議選の開票結果分析(速報版)から県民の民意を探る

 個人的には、沖縄県議選の結果が非常に気になっていました。ほぼ結果が出そろったので、沖縄タイムスの県議選2016開票速報と、選挙ドットコムの県議選2012過去記録を見比べてみました。
 おおまかに、自公は退潮、でも社民は伸び悩み旧民主は壊滅、沖縄社会大衆党と共産は躍進、沖縄で一定の支持を得ていた維新をおおさか維新が引き継いでない感じ、などがある気がします。

 しかし、民意をちゃんと反映できる選挙という仕組みはいいもんだなあ。

 あと、知り合いが手掛けた「政策マッピング」は可能性を感じました〜。

 以下、簡単な開票結果分析。
●那覇市・南部離島区(定数11)
前回は、1〜5位を自公が独占だったが、いずれも転落。
前回は、1位・4位・5位だった自民が、2位・5位・11位。
前回は、2位・3位だった公明が、6位・8位。
一方、共産は8位・10位から、なんと1位・4位へ。
沖縄社会大衆党は7位から3位へ。
社民は6位・11位から、9位・10位でふるわず。

●国頭郡区(定数2)
前回トップ当選の自民が落選。
前回落選の知事与党系が返り咲き。

●うるま市区(定数4)
前回1位の自民が2位に後退。
前回2位の自民が4位に後退。

●沖縄市区(定数5)
前回2位の社民が1位に上昇。
前回トップ当選の公明は3位に後退。
あとは現地情報ないとよくわからない感じ。

●中頭郡区(定数5)
前回5位の社民がトップ当選。
前回1位の自民が2位に後退。
前回2位の社民が4位に後退。
あとは現地情報ないとよくわからない感じ。

●宜野湾市区(定数3)
前回1位の自民がトップを維持。
前回2位の元国民新党が落選
前回候補者が落選した社民は3位に滑り込み。

●浦添市区(定数4)
最後の議席を、自民ではなく沖縄社会大衆党が制した模様。
前回4位のおおさか維新が落選。
あとは現地情報ないとよくわからない感じ。

●豊見城市区(定数2)
前回2位の社民が落選し、共産と入れ替わる。

●糸満市区(定数2)
前回2位の共産が落選し、無所属と入れ替わる。

●島尻・南城市区(定数4)
現地情報ないとよくわからない感じ。

●宮古島市区(定数2)
現地情報ないとよくわからない感じ。

●石垣市区(定数2)
現地情報ないとよくわからない感じ。
posted by 小林のぶゆき at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする