2014年11月22日

観光地・長崎に学ぶ、観光地・横須賀の目指し方〜視察報告(3)長崎市〜

 委員会視察、3都市目は長崎市です。

 2日目に、鹿児島市から長崎市に移動し、ホテルで解散となったのが16:00。先輩議員から、長崎で見ておくべきものをいくつかオススメ頂いたので、さっそく路面電車に乗って間に合いそうなグラバー園に向かいました。……ここからは、「教育福祉常任委員会」の視察報告から外れます。

 このグラバー園が「当たり」でした。
 自由時間に物見遊山の観光に行ったわけじゃないですよ。横須賀にとって参考とすべきものがたくさんあったんです。


 横須賀市は、これから「観光都市」に向かいます。
 これは私の予言ではなくて、住民代表である議会がそう決めるのが間違いない状況だからです。横須賀市議会は、2014年12月に「観光立市推進条例」を可決する見込みです。これは、「横須賀市は、産業構造の転換によって苦しんでいる。ならば今こそ、観光でメシを食っていくぞ、という旗を立てよう!」というのがこの条例です。市長に観光振興の施策を進めるよう命じる中身です。なので、民間が乗ってくれない、もしくは、来年4月の市議選でメンバーが入れ替わって条例を廃止する、そんなことがない限りは、このまま行くでしょう。このまま「観光都市」に向かってほしい、と私は思っています。

 私は2013年2月のBlogで「横須賀カジノクルーズ?!の可能性を探る(那覇港管理組合)〜琉球視察報告(6)〜」という過去記事を書きました。
 そこに、こう書きました。
「横須賀は、基地に依存したまちです。しかも近年、基地を観光資源として活用するなど、進んでその依存度を高めようとしています。だからといって、基地依存を批判ばかりするのは、空論です。現実を無視していると思います。それに代わる経済のエンジンがない以上、当然のことだからです。ただし、基地は国の安全保障政策によって、いつか移転・縮小する可能性もあります。そのリスクに備えるためにも、別の収益の柱を作っておく必要があるのは、誰もが認めるところだと思います。その大きな収益の柱になりうるのが観光です。」
 この認識は今も全く変わっていません。経済的に自立するためにも、観光を産業の柱として打ち立てたい。これが、私の願いです。


 さて、グラバー園です。
 何を期待して行ったかというと、ティボディエ邸が念頭にありました。

 現在のベース内にあったティボディエ邸を解体して、部材を旧坂本小内に保存してあります。これを、ヴェルニー公園内に再建し、生涯学習&観光の「ガイダンス施設」にする、というのが、市議会の出した方針でした。
 私は、再建は賛成でしたが、場所をヴェルニー公園内にすることについては、確信が持てずにいました。本来は、米軍基地が返還された時点で、元々建っていた場所に再建するのが最善でしょう。しかし、基地の土地はいつ返ってくるかわかったものではない。そうした中、ヴェルニー公園か、もっと違う場所がいいか、と思っていました。ただし、今回グラバー邸を観に行って思ったのは、風情も大切だということです。旧グラバー邸他の建物は、庭園の中に当時の風情を忍ばせながら建っていました。どこか駅前の建物が立ち並ぶそばにティボディエ邸があったとして、ガイダンス施設としては来場者が増えるかもしれないが、そもそもの歴史的な建造物としての風情は損なわれてしまう。また、グラバー園と一口に言っても、園内にはいくつもの旧邸宅があるわけですが、旧ウォーカー邸や旧スチイル記念学校などは移築でした。歴史遺産的には、元々建っていた場所のほうが価値は高いのでしょうが、ティボディエ邸の場合は入れない場所であり、歴史的価値も見てもらえなければ無価値です。市内第2位の集客を誇る施設であり、義兄ヴェルニーの名が冠された美しい公園の中に移設することは、泉下のティボディエさんも納得して頂けるのではないでしょうか?
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旧オルト住宅。12月いっぱいまで、イルミネーションが施されていた。




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重要文化財旧オルト住宅修理記の銅板。誰がカネを出したかも書いてある。




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旧グラバー邸。重要文化財。





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旧リンガー邸。重要文化財。







 もう一つ収穫だったのは、産業史の展示方法です。
 議員有志で富岡市と旧倉渕村に視察に行きましたが、小栗上野介こそが「明治の父」(司馬遼太郎)であり、旧横須賀製鉄所こそが「日本のマザー工場」「日本の産業革命の中心地」だったということを、強く印象付けられて帰ってきました。
 そして、帰りのバスの中で議員同士、にぎやかに議論しながら帰ってきたのですが、「その中で出た話を、提言書としてまとめようじゃないか」という話になりました。その提言書が、この記事です。
→「横須賀製鉄所、着工150周年で「富岡市との友好」議員の会が提言」(神奈川新聞2014年9月13日)

 提言の中の一つが、「日本の近代産業史において横須賀製鉄所が果たした役割を整理してほしい。とりわけ、横須賀製鉄所に導入された技術が日本全国にどのように伝播し、横須賀製鉄所で教育を受けた人物が日本各地でどのような活躍を見せたのか、という観点で市民にわかりやすく流れを示してほしい」というような内容でした。
 この提言内容について、「実際に形にしたときに参考になるな」と思ったのが、旧スチイル記念学校内で催されていた企画「グラバーと日本の近代産業」パネル展でした。
 →ホームページはいつか消えちゃうかもしれないから、そのPDF
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石炭パート。表紙、A、B、C、D、Eのパネルが続く。



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石炭パートの最後のパネル。エピソードA〜Eがつながる。





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製鉄パート。表紙、A、B、C、D、Eのパネルが続く。






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製鉄パートの最後のパネル。エピソードA〜Eがつながる。





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船舶パート。表紙、A、B、C、D、Eのパネルが続く。





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船舶パートの最後のパネル。エピソードA〜Eがつながる。



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本展示の最後のパネル。石炭、製鉄、船舶の産業に紡績を加え、グラバーの事業が日本の近代産業とどんな相関関係にあったかがわかる。これを通して、当時の近代産業における長崎の役割も見えてくる。

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富岡製糸場に続いて、世界遺産登録を目指そうとする、九州の産業遺産群の紹介。




 この展示の仕方は、横須賀にも援用できるはずです。
 もちろん、そのまま真似をする必要はまったくありません。ただし、各産業がどう関わり合ったのか? その相関は、大きな構造の見取り図としてはどうだったのか? その中でわがまちはどんな役割を果たしたのか? ゆかりの人物はどんな役割を果たしたのか? こういったことが見えると、やっぱり見ごたえあるし、楽しいな、と思ったのでした。


 さて、以上は委員会視察の目的からすれば余談です。
 閑話休題。視察3日目は、長崎大学病院に伺いました。

 長崎大学病院が中心となって、「あじさいネット」というものを使っています。これは、カルテ(診療情報)を病院同士でやり取りするものです。この話を聞きに行きました。
 話を聞いた第一印象は、正直に言うと「逆に、インターネットの時代なのに、カルテの共有がされていなかったんだ!」と驚きました。

 なぜ、こんな非効率なことが起こっているのか?

 患者の医療情報は誰のものか?
 診察した医者のものでしょうか? かかった病院のものでしょうか?
 究極的には違うはずです。私の体の情報は、私のものです。

 何というか、そのあたりの設計思想が違うから、こんなふうに病院Aが病院Bに患者Cの診察・検査情報提供を依頼し病院Bが病院Aに許諾する、みたいなことをしなきゃいけないんだなと。患者Cが、「俺がカネ払って検査してもらったんだし、俺の体の俺の個人情報なんだから、データでくれる?」と病院Bに言えば、提供されるのが本来の姿だと思います。というか、言わなくても自動的にスマホで見られるようにするのが、あるべき姿じゃないでしょうか。その情報を患者Cが病院Aに提供しようが、ネット上にさらそうが、患者Cの勝手なハズです。

 というわけで、韓国の医療機関のICT化ぶりを見てきてしまった後だと、長崎大学病院のこの取り組みに対しては、こう思うほかなかったですね。「行政がちゃんと情報基盤や法制度を整えないから、こんなふうに苦労させてしまっているんですね。そんな制約の中でも、これだけのことができるようにしてくださっているんですね。ありがとうございます。そして、すみません」と。
 この辺は、いずれ韓国視察報告で触れたいと思います。


 以上で、みなさまの税金によってまかなって頂いた委員会視察のご報告を終えます。
posted by 小林のぶゆき at 02:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月21日

【公共施設リストラ計画への意見広告】その計画、ちょっと待った!

PlanForOfByThePeople.png 各種の集会で配ってきた意見広告。

その計画、ちょっと待った!
横須賀の施設のあり方を
決めるのは市民です。

 ということで、横須賀市の公共施設リストラ計画である「施設配置適正化計画」案に対して、市民の声を喚起しようと作ったものです。せっかくだからBlogにもUPしておきます。
→「その計画、ちょっと待った!」チラシPDF

 なお、チラシにも書いた今後の集会については、近くお知らせしますね。
posted by 小林のぶゆき at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月19日

「市民の声を聴く会」の第9回マニフェスト大賞での受賞について

logo1.png 山城保男議員と実施している「議員有志で市民の声を聴く会」本年の第9回マニフェスト大賞で「ネット選挙・コミュニケーション戦略賞」部門の優秀賞を受賞した件について、背景含め詳細の報告です。

 「議員有志で市民の声を聴く会」の概要を、マニフェスト大賞記念冊子から抜粋します。
■山城保男、小林伸行(横須賀市議会議員)
決める前に声を聞く「議案」報告会の取り組み〜『議員有志で市民の声を聴く会』〜。「もう決めたことを後から聞かされてもつまらない」という市民の声から、「議案」報告会を開催することにした。「みんなの大事な事、議会で決める前にあなたの意見を聞かせてください」というコンセプトで、「議案」を市民に報告し、様々な声を伺い、議決にあたっての参考とするというもの。ワークショップ形式で議員がファシリテーションをつとめ、委員会での質疑より前に開催することとしている。

 受賞のポイントは、「他のまちでも、すぐにできて、効果がある」というのが各賞共通した部分です。詳しくは「審査委員講評」をご覧ください。
【審査委員講評】―千葉茂明 月刊「ガバナンス」編集長
全国的に議会報告会の参加者が漸減傾向にあるが、その大きな理由の一つが「決まったことを報告されてもつまらない」。ならばと発想を変え、決める前に市民の声を聞く「議案」報告会を、「議員有志で市民の声を聴く会」と題して1期目の議員2人で実施。これまでに地域自治組織をつくる条例、都市イメージの創造発信事業、軍艦資料館構想をテーマに行っている。ワークショップ形式で議員がファシリテーターを務めるなど市民の関心を喚起する工夫も特筆される。反対意見も賛成意見も出しっぱなしでまとめない、議員個人の意見はその場で言わないという姿勢は、「議案」報告会ならでは。今後は「議案」報告会のフィードバックに注目したい。
※正確には「軍艦資料館」ではなく「軍港資料館」です。

 ちなみに、例年そうなのですが、神奈川県勢が強いです。今回も、過去最多となる2,223件の応募の中から46件が受賞したのですが、46件中9件が神奈川県勢。全国最多県じゃないかな?
 近隣でも、横浜市の自民党議員団がマニフェスト大賞グランプリに輝いたほか、葉山町でも議員有志6名の「ZAIKEN」が優秀政策提言賞を受賞。横須賀では、過去に藤野英明議員が2回(第2回、第4回)、小林伸行が2回(第7回、第8回)受賞していて、とりわけ第4回の藤野議員は最優秀賞(ホームページ部門)だったので、それ以降はあまり話題になりません。

 ただ、そういうことよりも、「しっかり市民の声を聴く」という当たり前の取り組みが、「これは実施する価値がある」と認めて頂いたことが、何よりありがたいと思っています。新人議員2人の実験的な取り組みでしたが、横須賀市議会の議会報告会に公聴の強化やワークショップのスタイルなど、採用頂けるよう提案してみたいと思いました。
posted by 小林のぶゆき at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月18日

新人議員コラボ企画!第4回「声を聴く会」は『公共施設廃止問題』

Hearing141130.png公共施設を廃止するらしいけど、
どんな話なの?
 小学校や幼稚園・保育園、貸館等を減らす……。そんな内容の公共施設リストラ計画案が発表されました。横須賀の将来を左右する大事な問題です。
 認めるべきか? 撤回させるべきか?

 山城保男議員と私で、「みんなの大事な事、議会で決める前にあなたの意見を聞かせてください」という趣旨の「議員有志で市民の声を聴く会」を実施しています。いわゆる公聴会にあたり、好評につき第4回を開催します。
 今回は、「やはり市民の関心の高い『施設配置適正化計画』という公共施設リストラ計画について声を聴きたい」と、2人でテーマを選びました。

 市の『施設配置適正化計画』案の概要をわかりやすく説明し、疑問にお答えした後、みなさんのご意見をじっくり伺います。そして12月2日〜の委員会審議に向けて参考にします。心配しないで何も準備せずに来て大丈夫です。

 このまちのオーナーである、あなたの意見をお聞かせ下さい!
→詳しいチラシPDFはコチラ
第4回 議員有志で市民の声を聴く会
●日時:2014年11月30日(日)13:00〜15:00
●場所:ヴェルクよこすか 第2研修室
●対象:横須賀市民(未青年や外国籍も歓迎します)
●主催:無会派の新人議員(山城保男・小林伸行)
●内容:『施設配置適正化計画』案について
●問合:山城046-828-6686/小林070-6640-3927
※申込不要ですが、お越し頂ける方はご連絡頂けると助かります。

 なお、これまで参加頂いたみなさまのおかげで、今年の第9回マニフェスト大賞「ネット選挙・コミュニケーション戦略賞」部門でも優秀賞を受賞しました。この場を借りて御礼申し上げます。
posted by 小林のぶゆき at 13:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月13日

明日11/14(金)「基地のまちを考える連続講座」で登壇します!

ImpactOfYokosukaBase.pngうっかり告知を忘れていたのですが、新聞等でも取り上げられているのでご存じの方もいらっしゃると思います。
基地のまちを考える連続講座「基地問題、新たな視点で 〜Impact of Yokosuka base〜」という3回連続の意欲的なセミナーが実施されます! 私も実行委員会のメンバーとして企画に携わっていますが、第3回(11月29日)で登壇するほか、急遽、明日の第2回(11月14日)で話題提供することとなりました。

とりわけ明日は、基地観光に賛成派も反対派も、興味を持ってもらえる大胆企画を仕込んでいます。あと、下のような面白い資料がドンドン飛び出ます。乞うご期待!
●地図で見る「軍都」横須賀の歴史(歴史パラパラ・データマップ)
●横須賀市の観光投資額(経年比較)
●横須賀市のスポット・イベント別の観光入込客数(行政区別)
→チラシPDFはコチラ
基地のまちを考える連続講座
基地問題、新たな視点で 〜Impact of Yokosuka base〜
「横須賀」と聞いてイメージする色は、灰色と言う人が多い。
「基地のまち」とも言われるが、米軍と自衛隊の基地は、横須賀にどんな影響(Impact)を及ぼしているのか?
基地で働く人がいる。基地に不安を抱えながら暮らす人がいる。基地からの仕事を請け負っている人がいる。怖いもの見たさで基地見物に来る人がいる。これが横須賀の現実だ。
だからこそ、単純に「基地反対」vs「基地賛成」でははかれない「基地とヨコスカ」の「今」を、多角的に、立体的に見つめ直してみたい。

●原子力防災のはじまり 〜「沢田メモ」をめぐって〜
【終了】10月24日(金)19:00〜21:00
呉東正彦さん(原子力空母母港問題を考える市民の会・弁護士)
小貫和昭さん(横須賀市市民安全部危機管理課・課長)

●これからの横須賀 〜基地と「観光・定住」〜
11月14日(金)19:00〜21:00
奥村浩さん(横須賀市政策推進部都市イメージ創造発信担当課長)
※井坂新哉と小林伸行も話題提供します

●基地従業員と考える、基地とお金の話
11月29日(土)13:00〜16:00
渡辺健二さん(全駐労神奈川地区本部書記長)
井坂新哉さん(横須賀市議)
小林のぶゆきさん(横須賀市議)

●会 場 3回とも産業交流プラザ第1研修室(60名)
●資料代 1回:400円
●主 催 「基地のまちを考える連続講座」実行委員会
●連絡先 非核市民宣言運動・ヨコスカ TEL/FAX046-825-0157
posted by 小林のぶゆき at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月03日

「子どもが主役になれるまち、横須賀」って、よそから来た子だけですか?! 〜視察報告(2)鹿児島市〜

IMG_1319.JPG委員会視察2日目は、鹿児島市です。学童保育の取り組みと高齢福祉と、2テーマでお話を伺います。
ちなみに、街を歩いても噴火のまちの面影は全然なかったので、先輩に「不思議ですね〜」と言ったら、「車道脇を見てごらんよ」と。確かに、火山灰が溜まっている。聞けば、この街では市民がみんなで朝掃除されるそうなんです。そのおかげで、全く薄汚れたイメージなどはなかったですね。


まず、学童保育について。


横須賀の学童保育は、「民設民営」です。
いわば「行政が責任持ってやらなきゃいけないことだとは思ってません。でも、学童クラブを運営してくれるなら補助金ぐらいは出しましょう」という考え方の元で成り立っています。
それで、学童クラブによって金額は違いますが、親は平均20,000円ぐらいの月会費を払って預かってもらっているのが現状です。民間の運営者は頑張っていますが、市からの補助金が少ないので、どうしても会費が高い。そのせいか、待機児童はあまりいないようです。

鹿児島市では、基本的に「公設民営」です。
いわば「行政が責任を持って用意しなければいけない市民サービスだと思っているので、設備や制度などは役所で整備しました。ただし、運営は民間に担ってもらったほうが、同じ税金でより良いサービスができるでしょう」という考え方で運営していることになります。

それで、公設ですから料金はどのクラブでも一律で、3,500円です(他に、おやつ代や行事費などかかる)。
学童クラブを整備した当初は無料だったらしいのですが、民設民営のクラブがある町と市町村合併して変わりました。「同じ市内なのに、公設がある学校区は無料、民設しかない学校区は有料、っていうのは不公平じゃない?」という声があがって、公設も有料化することにしたそうです。

有料化にあたって、金額(受益者負担)の考え方としては、「イニシャルの設備投資分は役所がもち(原価償却分は請求しない)、ランニングの運営費分は利用者も半額負担する」「おやつ代は利用者負担」「生活保護や就学援助世帯分は減免し、減免分は役所が民間運営者に払う」という設定にしたそうです。
ただし、現在では以前よりも運営費がかさんでおり、実際には3,500円では半額分に達していないとのことでした。

また、現在では待機児童が100人以上いるようです。横須賀のように月2万円ぐらいにすれば、おそらくあっと言う間に解消すると思いますが(苦笑)、鹿児島市では値上げせずに学童クラブの増設を進め、ニーズに応え続けています。

また、学童クラブの施設は役所が準備しているわけですが、基本的には学校の敷地内に建てたり余裕教室を活用したりと、学校から遠くならないように配慮しているとのことでした。横須賀のように学校から1kmも歩いて学童に通うなんてことはありません。
余裕教室を学童クラブに転用するときには、平均で1カ所あたり800万円前後の改修工事をしているとのことでした。個人的には、「教育委員会が理解を示せばこんなにお金かけなくて済むのに」とも思いますが、なにしろ放課後の子ども達のためにお金をたくさん注ぎ込んでいることだけは確かです。


……この話を聞いて、みなさんはどう思いますか?

横須賀市は現在、人口減少日本一に輝いたことに焦って、「都市イメージ創造発信アクションプラン」なるものを展開しつつあります。で、このプランとしては『子どもが主役になれるまち』という文句を「キラーフレーズ」と称して多用し、人民に刷り込むようです。流山市の「母になるなら、流山」などのキャッチコピーが成功したので、マネしたんでしょうね。

流山市には、キャッチコピーに負けない「実」があると思います。「実際に、様々な点で子育てしやすいだろうな〜」と。
一方で、横須賀はどうか?
「イメージ」ばかりうまく打ち出せたとしても、それに見合う「実」はあるでしょうか? 先ほど鹿児島市と比べたように、横須賀市は学童保育には力を入れていません。横須賀のサービスが優れているとすれば、第一に、運営してくださっている民間事業者の努力で、多くのクラブで18:00以降の延長保育に対応していること(鹿児島市の公設は18:00まで)。第二に、市の支援が極めて手薄にもかかわらず歯を食いしばって児童を受け入れてくださっている父母会や指導者に恵まれていること。これだけです。

学童保育以外でも、いろいろな面で子育て支援が手薄な横須賀。これで「子どもが主役になれるまち」と言っちゃっていいのか? 僕ならとても言えない。
ただし、外から遊びに来た子どもにとっては、本当にいいまちだと思います。自然もいっぱい、イベントもいっぱい、どこかのんびりしていて、日帰り行楽に最高! 福島県の甥っ子たちがよく遊びに来ますが、いつも楽しんで帰っていきます。
ただし、遊びに来た子どもは主役になれるけど、住んでいる子どもは脇役もいいところ。少なくとも、かけているお金やサービスで見たら、「高齢者が主役のまち」です。


今回の視察では、彼我の差を、まざまざと見せつけられて帰ってきました。
とはいえ、私は単によそと比べてタメイキついているだけの男ではなく、これまでさんざん議会で子育て支援強化を提案してきたことは、過去の議事録を見てもらえばわかると思います。


なお、他に高齢者福祉の話も聞いたのですが、あまり横須賀にとって参考になるものに乏しかったので、割愛したいと思います。
IMG_1321.JPG代わりに、視察の合間を縫って、噂のマルヤガーデンズに足を運びました。平日午前で空いていましたが、ちょっとおしゃれすぎるのかなあ?
IMG_1323.JPGとはいえ、屋上のミツバチいっぱいのガーデンは昼からバゲットとワインでピクニックはじめたくなる雰囲気でした。
IMG_1325.JPGあと、B1階のマルシェも感じ良かったですね。安納芋をお土産に買っちゃいました。

以上、鹿児島市の視察報告でした。
posted by 小林のぶゆき at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月02日

教育へのタブレット導入は実を結ぶか? 〜視察報告(1)荒川区〜

 横須賀市議会では、4つの委員会がそれぞれ年1回視察に行くことが慣例となっています。私の所属する教育福祉常任委員会は10/27〜29の予定で視察となりました。
 私は別な5か所を提案していましたが、委員会の合意で東京都荒川区、鹿児島、長崎市となりました。

IMG_1318.JPG 初日は東京都荒川区で、小中学校へのタブレット導入について担当者から話を聞きます。

 この政策は、「区長の強い思いで実現した事業」だそうです。5年間で年6億円前後、合計約35億円を注ぎ込むといいます。
 しかし、教育を担うのは教育委員会のはずなので、区長の意向で実施するのは本来おかしいんですよね。区長の「希望」に教育委員会が共感して予算要望をし、それに対して市長が予算措置をする、というのがタテマエ上のあるべき姿だと思います。
 とはいっても、横須賀もそうですが、どこの教育委員も「お飾り」なのが実態。教育委員会など地方政府の行政委員会制度(エージェンシー制)は形骸化しちゃっているんだろうな。

 前置きはさておき、教育へのタブレット活用ですが、話を聞く限り、魅力的に感じました。いずれはぜひやりたいものです。

 「ネットワーク情報化社会では、情報を詰め込むことより、情報を活用することが大事。日本型詰め込み教育ではなく、他人と協力して課題解決能力をつける教育への転換を」みたいな話は、前からされてきたところです。今回知ったのですが、こういう能力を一言で「21世紀型スキル」と言うようです。
 こうした能力を身につけてもらうための道具として、荒川区では先に電子黒板を整備し、次に今回のタブレット導入となったようです。

 ただし、まちにはそれぞれに優先課題と強みがあります。

 荒川区の場合は、喫緊の大きな問題というのはどうやらなさそうでした。一方で、大きな強みがありました。それは、国が教育ICT化のモデル事業を行ったのが葛飾区だったのですが、葛飾区の教育委員会でモデル事業を担った指導主事が東京都職員の教員職であり、その指導主事が荒川区教育委員会に異動になって、モデル事業で得られたノウハウをごっそり荒川区に引き継いだようなのです。

 一方で、横須賀市の場合、喫緊の大きな課題は生活習慣です。横須賀市は低所得世帯が多いのですが、低所得世帯には生活習慣が不安定な家庭が多い傾向があります。家庭の生活習慣と学力、および家庭の経済状態と学力は、強い相関がある。これは、すでに定説となっています。
 この横須賀においては、家庭の生活習慣を改善するために「親の教育」をすることが、おそらく最も根本的な対策です。しかし、まだそこには手をつけられていません。
 「親の教育」が難しいのであれば、生活習慣を改善する仕組みを埋め込むのも手です。その一つが中学校給食です。学校に行って見れば、弁当にロールパンだけの子とか、冷凍食品ばかりの子もいます。親も、忙しくてお金もなくて必死なのでしょう。学力向上の手前でハンデを負っています。

 また、横須賀の強みとしては、英語教育の蓄積とイメージがあります。全国に先駆けてネイティブの英語補助教員(ALT)を配置してきたし、市外へのアンケートでも「国際的なまち」というイメージが最上位だった。

 思うに、横須賀の場合は、同じお金を使うならITよりも生活習慣向上に使ったほうが効果が高いと思います。そして、強みを活かすのであれば英語教育に注力したほうがいいと思います。タブレット導入などのIT活用は、国や県がそのための補助金を組んだら断る理由はありませんが、市単独予算を組むのは後回しだと感じました。

 以上、荒川区の視察報告でした。
posted by 小林のぶゆき at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする