2018年01月15日

【会派視察報告:全国都市問題会議2017】横須賀市の、これまでとこれから。

 11/8〜11/10の日程で、会派・研政のメンバー5人で第79回全国都市問題会議に参加してきた。
 結論から言えば、全国都市問題会議には、金輪際、二度と視察をしないことをお約束したい。
 ただし、首都大学東京・山下祐介准教授の講演は聞くことができて良かった。企画が甘かったからといって、全てが役に立たなかったわけではない。

 まず、市民の皆様に反省の弁を述べたい。
 2015年に、初めて全国都市問題会議に参加し、中身の空疎さに懲りていたはずだった。
 →【研修報告前編】第77回全国都市問題会議に参加するも、費用対効果が疑問でした

 ただし、「充実していた回もあった」とも聞いており、次の点からも「今回は期待できるのではないか」と会派内で議論し参加することとした。
●今回の主題「ひとがつなぐ都市の魅力と地域の創世戦略 ―新しい風をつかむまちづくりー」
●合計特殊出生率が日本一の沖縄県
●観光立県の沖縄県
●横須賀と同様に基地問題を抱える沖縄県
●子どもの貧困への対策に力を入れる那覇市

 加えて、全国から多くの議員や首長が集まる歴史ある研究集会との安心感もある中で、しかし、期待は裏切られた。前回並みに空疎だった。
 参加費10,000円に加え、航空券&宿泊費で99,000円の税金を投じたにもかかわらず、議会活動を通じて市民に還元できる知見は乏しかった。
 私は、視察において、常に政務活動費の投資を上回るリターンを目指してきた。そして、これまでの成績としては、平均的にはかなり上回ってきたと自負している。しかし、今回「費用に見合うか?」と問われれば、「ひょっとしたら、どこか別の場で山下教授の講演会が聞けたら、それで良かったかもしれません」と答える他ない。
 市民の皆様、本当に申し訳ありませんでした。
 とはいえ以下、内容について報告する。

基調講演
 一昨年に全国都市問題会議に参加したとき、基調講演が登山家の人生論で、驚いたことがある。そして、今回も期待を裏切ってくれた。なんと、江戸時代の参勤交代の話だったのである。
 もちろん、話自体は面白い部分が多々あったし、歴史マニアなら垂涎だろう。しかし、ここは地域経営者の集まりだ。
 もしも、参勤交代話をするならば「参勤交代は、経済的にも文化的にも大いに意義があった。ついては、現代版参勤交代を導入すべきではないか?」という提起ならば話がわかる。また、参勤交代によって、現在の日本の都市軸ができたという話もうなづける。ただし、「では、今後どうするか?」につながらない話には、価値を見いだせない。
 少なくとも、私が、かなり穿った見方の洞察を引き出すとすれば、次のような内容だ。
 「参勤交代は各自治体に大きな負担も強いたが、日本全体としては交通インフラや宿場など都市機能の蓄積をもたらし、経済も活性化した。同様に、現代においてはこの全国都市問題会議のような機会を増やし、議員から首長・職員まで大挙して大尽旅行することで、ケインズ経済学で言うような公共投資効果があり、日本経済に良い影響がある。講や無尽のように、回ってきた開催地も豊かになるので、全国都市問題会議はもっと頻度を上げて開催せよ!」

主報告
 主報告は、開催地・那覇市の市長だった。
 冒頭、城間市長が「主報告をさせてもらえるのは、開催地へのご褒美だと思う」旨の発言をしたときに、「うわー、こりゃ期待薄だな」と感じたが、実際そうなった。
 大体において、首長の発表というのは、総花的な「やってます」アピールのオンパレードになりがちだ。那覇市だけでなく、あらゆる基礎自治体が、全方位の取り組みをしている。その中で参考になるのは、新しいことに挑戦した際の成功事例と失敗事例だ。だから、それを重点的に話してくれればいいのだが、往々にして焦点を絞りきれない。
 那覇市であれば、全国平均の1.8倍にものぼる子どもの貧困率への対策に絞って話をしてくれればよかった。とりわけ、同じくシングルマザーや貧困世帯の多い我が市には持ち帰るところが多かったはずだ。
 なにしろ総花で、深堀した話が聞けなかったので、持ち帰れるものに乏しい話だった。

一般報告
 一般報告1人目の首都大学東京准教授の山下祐介氏の講演は、今回の研修大会の中で最も得るものが多かった。
 示された視座の中で、印象的なものは次のとおりだ。

・職業威信の序列
 (東京が上・地方が下。高次産業が上・農林漁業が下)

・権力の集中に伴うカネの集中と人の集中

・地方創生を疑え
 (人口が増加している自治体は、取り組みが成功したわけではなく、交通や立地など構造的な影響のおかげ)

・転入促進で人口は増えない
 (市町村単位では影響があるが、全国的には人が移動しただけ)

・コンパクトシティを疑え
 (過疎化が進んだ地域の公共施設やインフラを削減すれば、さらに衰退が進むのではないか)

・行政計画と市民の人生がつながっていない
 (空間の地理的な計画だけではなく、時間の人生のサイクル的に響くメッセージが必要では)

・強まる、市民の行政への依存
 (都市部ほど、行政への依存が必要であり、子供も増えない。個人として自立している人ほど、共同体や地域からは自立していても、行政には依存せざるを得ないという矛盾)

・過剰な不安
 (団塊の世代は第二次ベビーブームを起こしたが、団塊ジュニアは第三次ベビーブームを起こせなかった)

 これらの視座を受けて、横須賀市の進むべき方向について思いをめぐらしてみたい。

横須賀市のこれまでとこれからを改めて考える
 2015年3月の本会議で会派・研政の代表質問を行った際にも述べたことだが、前市長時代に掲げた「選ばれるまち」は我がまちには合っていなかった。

 本市には、生産年齢人口の層に大挙して選ばれる条件は、今や整っていない。
 かつて、高度成長期に郊外化が進んだ時代。首都圏まで通勤圏で住宅が手頃に買えた本市は、まさに「選ばれるまち」だった。しかし、人口減少時代となり、都心部の地価下落傾向に伴い、近年は都心回帰が進んでいる。特に、川崎や武蔵小杉や辻堂のように、新しい駅ができたり工場の移転に伴って跡地にマンションが建ったりする場所が「選ばれるまち」となる。残念ながら、各市町村の努力とは無関係に、立地や交通インフラといった構造的・外的要因が大勢を決する。加えて川崎市や藤沢市は、実際は別として、子育て支援に力を入れているイメージもうまく訴求している。伸びている最中なので、投資する財源も生み出しやすい。ちなみに、本市から転出してゆく先も、その2市が多い。
 いずれにしても本市では、子育て世代のボリューム・ゾーンの転入は狙えない。

 本市が「選ばれるまち」として成立するには、よりマイノリティな嗜好を持った層を薄く広く集めるしかない。LOHAS、スローライフ、オーガニック、天然生活、サーフ、といった鎌倉・逗子・葉山と地続きなイメージで誘引することだろう。しかし、本市は、文化圏としては地続きだが、横須賀市という地名にそのイメージはない。だから、私は「みうら市」に改称するのも一つの方法だと考えるが、なかなかそうも行かない。ついては、プリンで有名なカフェ・マーロウやミシュランで有名なホテル・音羽の森のように、横須賀市という地名をひた隠しにして、秋谷や津久井といった市内のサブ・ブランドで勝負するのもひとつの方策となろう。
 そういった誘引は、それはそれで淡々とやっていくのだ。しかし、劇的な課題解消は望めない。だから、本市を「選ばれるまち」として「都市イメージ創造発信」し、他市と競争するのは、労多くして益少ない手法だった。このムズムズ感を、何度も議会で指摘してきたが、ようやく明快に言語化できた。

 地方創生の名の下、国によって地方は競わされている。そんな市町村間の人口奪い合いゲームのレッドオーシャンあるいはチキンレースに、本市が首を突っ込む必要はない。大事なことは、「市民の安心感」だ。
 まちは、民間企業とは違う。基本的に、つぶれることはまれだ。もちろん、夕張市のように破綻して行政サービスを大幅に切り下げるまちも中にはある。しかし、本市はそんな状況では全くない。こう言っては悪いが、そこは三浦市とは違う。
 かつて、「このままでは、第二の夕張になる」と危機を煽った市長もいたが、結果として失敗だった。もちろん、財政健全化のための意識啓発には役立った。しかし、後知恵で申し訳ないが、そのメッセージは、まちに対する「市民の安心感」を阻害するからだ。
 大切なことは、「このまちなら安心」「将来はもっとよくなる」「幸せに子育てができる」といった“気分”だ。夢や希望と言い換えてもいい。「行政経営者が、根拠もない“気分”“夢”“希望”を語るな!」と言われるかもしれない。しかし、行政のお客さまは住民という人間だ。人間は、感性の生き物である。飲食店を選ぶときに、味と量と値段だけでは選ばない。内装、店員、窓の景色、料理の見た目、客層……そんな雰囲気全体で選ぶ。であれば、暮らすまちも同じはずだ。そのまちで暮らす自分や家族が幸せそうかどうか、全体的なイメージで選ぶ。
 その意味で、本市は現時点での住民満足度が決して低いわけではない。アンケートでも82%の市民が満足している。ただし、将来への漠然とした不安が払拭できていない。むしろ、かきたてられ続けている。「人口流出日本一」「まだまだ進む少子高齢化」「水道代・健康保険料・介護保険料の値上げラッシュ」「ハコモノ三兄弟」「市の借金3000億円」「第二の夕張」「過剰なハコモノの負担が子どもたちの肩に」……。こうした言葉が街頭でも新聞でも踊り、いやおうなく将来不安は募っていくばかりだ。この意味では、私も思いっきり不安をあおってきた面は否めない。大いに反省しなければならない。
 しかし、以前「データで考える2050年の横須賀」(→チラシ →街頭プレゼン)でも紹介したように、ファンダメンタルズ的には本市の将来は決して暗くない。日本を先取りするまちだから他市より先に落ち込んだだけで、あと数年で底を打つ。経営の舵取りを間違えなければ、ソフト・ランディングできるまちだ。そして、適切に投資をすれば、再浮揚もできる。それが本市だ。

 この観点で言えば、個々の能力への評価は置いておくとして、昨年6月の市長選の結果は、あるメッセージだ。
 将来世代への投資を控え堅実なカイゼン型経営をしてきた前市長には、ある種の暗さがつきまとっていた。それは、法的にグレーな行為が100条委員会で問われたことを抜きにしても、「選ばれるまち」という競争ワードに終始し、明るい将来を描いて訴求することができていなかったことがやはり大きいのではないか。
 一方の現市長には、明るさがある。「横須賀復活〜Make Yokosuka Great Again〜」と銘打って、様々な投資プランをぶち上げた。中には、到底実現が難しい京急久里浜線の複線化といった荒唐無稽なものもあり、途中で政策チラシから削除したりもしている。しかし、市民はその明るい将来の“気分”を選んだのではないか。

 景気についても、結婚して子供をつくるかどうかについても、人間だから“気分”が左右する。
 よそのまちと競い争う必要はない。いま、本市に住んでいるみなさんに、「このまちなら安心」「将来はもっとよくなる」「幸せに子育てができる」といった“気分”を持ってもらうこと。そのための、適切なメッセージを発すること。そして、政策・事業でメッセージを裏付け、“気分”を実感していただくこと。それが、横須賀市の行政経営者の仕事ではないだろうか。

 そんな洞察を得た講演だった。


 その後、他の一般報告やパネルディスカッションもあったが、本市に活かせそうな視座としてはあまり記憶に残っていない。そのため、駄文を連ねても仕方がないため、以上で視察報告の筆を置きたい。
posted by 小林のぶゆき at 14:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月11日

【中学生にもわかるセイジの話】まとめ(Vol.21〜30)

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.21】
「保育園落ちた日本死ね!!!」は間違い。それを言うなら「市議会議員死ね!」が正しい。
「保育園落ちた日本死ね!!!」というツイートが一時期話題になった。国会でも取り上げられたようだが、ちょっと待って。保育園をどうするかは、ホントは市町村の仕事だよ。国会議員にすら理解できてない人がいるから困る。そして、市の最終決定者は市議会議員。だから、保育園に入れなくて腹を立てるんなら、市区町村議会議員に文句言わなきゃダメ。……ところで、文句言う前に選挙には行ったんでしょうね? 行ってないなら、そもそも言う資格ないからね。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.22】
投票は、実は手ぶらでOK。ハガキが送られてくるけど、あれは入場券じゃない。
投票は、実は手ぶらで行ける。投票日も期日前も、どちらも同じだ。よく選挙の直前に、役所からハガキが送られてくるが、あれを「投票券」や「入場券」だと思っている人が多い。若い頃、私もカン違いしていて、部屋に忘れてきたから投票をサボったことがある。ところが実はあのハガキは、ただの案内状。よく見ると確かに「投票案内」と書いてある。投票所でいくつかの質問に答えれば、ちゃんと投票用紙をくれる。だから、何はなくとも、選挙には行こう。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.23】
政治家は、超ブラックな職業だ。普通の中学生は、目指さないほうがいい。
労働環境の悪い職場は「ブラック企業」「ブラックバイト」などと呼ばれる。その意味では、政治家もかなりブラックだ。料亭で密談を重ねているイメージがあるかもしれないが、ごく一部だ。とりわけ国会議員は激務だ。国会での会議も多い。党の勉強会も多い。地元に帰れば、選挙区も広く、どこへ行っても多くの陳情や要望を受ける。朝は駅頭活動、夜は会合。寝るヒマもない。国会と地元を行き来する移動時間が唯一の心安らぐ時間という議員も多い。特に、衆議院議員は平均任期が2年半。いつ解散総選挙があるかわからないから、常在戦場だ。秘書を最低3人与えられることが、せめてもの救いだ。一方、地方議員も、秘書などいるのはごく一部で、何でも自分でやらなければいけない。職住隣接だし、時間も自分で都合つけやすいが、いかんせんやることが多い。黙っていても当選できる人の中には、毎日が日曜日のような人もいる。しかし、たいていの議員は忙しい。しかも、報酬が安い議会だと、兼業で仕事もしなければいけない。だから、村上龍が『13歳のハローワーク』で書いたように、普通の13歳は政治家を目指すべきではない。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.24】
「首長」は、「クビチョウ」と読もう。
首長という仕事がある。国なら首相。都道府県なら知事。市町村なら市長・町長・村長。つまり、役所のトップだ。これを総称して首長と言うが、正確には「シュチョウ」と読む。しかし、会話の中で使うと「主張」「酋長」みたいでまぎらわしい。しかも、もともと行政組織を人間にたとえたときに、その頭みたいなものだから「首」長と名付けたわけだ。そのため、慣例的に首長は「クビチョウ」と読みならわすことになっている。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.25】
投票に行かないのと、白紙の投票は、意味が全然違う。ナメられないために、とりあえず選挙は行っとこう。
我々は、役所の経営者として、議員や首長を送り込んでいる。そして、選挙を通して優秀な経営者を選んでいる。この投票に行かないということは「何でもお任せします。文句言わないから好きにしてよ」という意味だ。そんな人ばかりで投票率が低いと、政治家も役所も「民衆の関心は低いから、何でも勝手に決めていいんだろうな」と思うのは当たり前だ。一方、選挙で投票用紙に何も書かず白票を投じることは、「今回の候補者の中に、眼鏡にかなう人物はいないから、この中からは選べない」という意味だ。逆に「無関心じゃないよ。ちゃんと見てるよ」との無言のメッセージとなる。使用人たちにナメられないよう、この国のオーナーのみなさん、とりあえず選挙には行っておこう。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.26】
政治家は、地域限定の芸能人みたいなもので、プライベートがない。
政治家は人気商売だ。その意味では、芸能人と似ている。そういえば最近、芸能人と同じくらい政治家のスキャンダルを目にする気がする。仕事とプライベートの境目もない。町内会の行事に出るのも、関心のある本を読むのも、仕事なのか私用なのか区別できない。ちなみに私は、三笠焼という横須賀名物を歩き食いしていたら、後日「みっともないからやめなさい」と叱られたことがある。ファミレスで質問原稿を書いていたら、後日「夢中でゲームやってたでしょ?」と言われたこともある。そもそも、政治家は公人なのでプライベートはないも同然だ。私生活を暴かれても、文句は言えない。それは有権者の判断材料とみなされる。一般人なら名誉毀損で訴えることもできる。だが、政治家は一定の誹謗中傷は甘んじて受けなければいけない。それは裁判の判例からも明らかだ。それでも、それも含めて楽しめる人には、やりがいのある仕事だ。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.27】
期日前投票のとき、投票日がムリな理由を聞かれるが、実は何でもいい。だから行けるときに投票には行っておこう。
今は、投票日まで待たなくても期日前投票で投票ができる。ただし、期日前投票所に行くと、投票日に投票できない理由を「宣誓書」に書かされる。だから、「別に用事があるわけじゃないんだよな〜」と気後れする人もいるかもしれない。でも、大丈夫。法律で決まっているから書かせるだけで、内容は問われない。担当者によっては見もしない。私なんて、いつも「(   )に従事のため」欄に「(居眠り)に従事のため」と書いて出しているが、何も言われない。だから、選挙戦の最後までじっくり見極めたい人は別として、もう心を決めた人は行けるうちに投票に行っておこう。また、投票日に台風が来るかもしれないから。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.28】
選挙の当選倍率は、実は高校入試並み。いつか、出馬も考えてみませんか?
選挙で勝つのは大変だと言われる。しかし、倍率で見ると、高校入試が1〜2倍程度で、地方選挙も同じくらい。1000人選挙に出たら、800人ぐらいは受かるイメージだ。市町村によっては、定員割れで「無試験合格」できるまちもある。ちなみに、横須賀市議選は比較的「偏差値」が高い。倍率も前回1.32倍、前々回1.49の「難関校」だ。とはいえ、新卒の就職活動は100倍なんて当たり前の世界。そう考えれば、就活と同じぐらいの労力を割けば、当選できる人は多いだろう。しかも、若くても当選すればいきなり取締役や社長クラス。いわゆるヤンエグ*だ。……ただし、選挙に出られる被選挙権は25歳から(首長と参議は30歳〜)。また、入試や就活と違って併願はできないので、浪人は覚悟だ。加えて、当選したらあなたは住民の代表だ。あなた一人の仕事ではなくなる。そこは、就職や学校とは違う。
*ヤンエグ:ヤング・エグゼクティヴの略。若くして報酬と地位の高い仕事に就いた者を指す、バブル時代の用語

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.29】
政治家になるための試験科目は面接だけ。ただし、究極の集団面接だ。
政治家になるのは、ハードルが高いと思われている。しかし、実はイメージほどじゃない。実際、学歴も職歴も問われない。田中角栄のように中卒だって総理大臣にもなれる。筆記試験も適正検査もない。障害を抱えていても、もちろん問題ない。親が犯罪者だろうが外国人や被差別部落だろうが、貧しい家庭の生まれだろうが、もちろん出自も関係ない。何の資格も要らない。ただ、日本国籍で、犯罪歴がなく、25歳(首長・参議は30歳)以上であればよい。そして、政治家になるには、ただ「面接試験」をパスすればよい。普通の面接と違うのは、「選挙期間」という数日間にわたる面接だということだ。しかも、面接官は1人じゃなく、横須賀市なら34万人もいる。彼らに50〜60人の候補者の中から自分1人を選んで名前を書いてもらうという、究極の集団面接だ。話し方から服装からスーパーで買い物する品目まで衆人環視の中、一挙手一投足、どこで何を見られているかわからない。そんな面接を乗り越えた先に、投票日の夜遅く「試験結果」が発表される。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.30】
「小選挙区」「中選挙区」「大選挙区」と言うが、実は選挙区の広さとは全く関係ない。
面積3㎢と全国最小の市町村・富山県舟橋村も、村議選は「大選挙区」だ。一方、面積14,741㎢と衆院選で全国最大の北海道12区も「小選挙区」だ。つまり、この大中小は、選挙区の広さの話ではない。実は、選挙区から選ばれる議員の数を意味している。小選挙区は、分割された選挙区の中で、たった1人しか選ばれない仕組み。日本だと衆議院選挙*だけが小選挙区だ。中選挙区は、分割された選挙区の中で数人が選ばれる仕組み。参議院選挙*や都道府県議選・政令市議選が中選挙区だ。一方、大選挙区は、選挙区を分割しない。まち全域が一つの選挙区となり、全員がそこから選ばれる仕組み。一般市区町村の議員選挙が大選挙区だ。意外と、プロの政治家でも選挙区の広さの話だとカン違いしている人もいるくらい、まぎらわしい用語だ。
*衆院選と参院選には選挙区の他に比例区の選挙もある。
posted by 小林のぶゆき at 13:21| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月05日

バカにされてきたみなさんへ。〜チラシ26号を、ナウなヤング向け特集で発行〜

26241327_1408858735889677_1507872931_n.png チラシ第26号を制作しました。印刷版は、週明けから各地で配布予定です。

●特集:バカにされてきたみなさんへ。
 という内容でお伝えしています。
 →ダウンロード(PDF)

 1/8の成人式の案内状をもらって、最近「中学生にもわかるセイジの話」というコラムを書いていることもあり、「公民教育をちゃんとやらなきゃ」という思いで制作しました。
 この号は、普段のチラシとは違って、ナウなヤングに出会えそうな場所で念入りに配っていこうと思います。もちろん、私のように昔はヤングだったみなさんにも、喜んでお配りいたします。
 普通に配ってもなかなか受け取ってもらえないので、今回はちょっとトガった看板とタイトルにしてみました。不愉快に思う人もいるかもしれません。でも、丸くして誰にも読んでもらえないよりは、90人が不愉快でも10人に刺さったほうがいいと判断しました。ご容赦頂ければ幸いです。

 地方政治は「民主主義の学校」と言われますが、その役割を十分に果たせているだろうか? 自問自答しながら、活動しています。お気づきのことがあれば、気軽にお寄せ下さい。
posted by 小林のぶゆき at 14:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月04日

保育園で主食を提供する話はどうなってるの?

 横須賀市の公営保育園では、給食を出していますが、主食だけは提供していません。より正確に言えば、0〜2歳児には主食もおかずも、全ての園で提供しています。しかし、3〜5歳児にはおかずだけ提供しています。

 特に夏場などは、食中毒なども不安な中、どうして傷みやすいご飯だけを持っていかなければならないのか? もちろん、パン持参の家庭もありますが油と塩が過多になりやすいし、どうせだったら温かいゴハンを出してあげられないものなのか?

 そこで、私が一丁目一番地に掲げた政策が、公営保育園での主食提供でした。
 →チラシ「小林のぶゆき」第1号(2011年1月発行号・PDF)

 その後、2017年6月の市長選でも、現・上地市長が掲げて話題になりました。
 →「保育園でも完全給食が実現か!?〜あの上地パパが公約の一丁目一番地に」

 ところが、これが頓挫してしまっているようです。
 理由はハッキリわからないのですが、「炊飯器具を置く場所がない!」とか「保育園の調理員さんたちが反対している!」とかではなく、どうやら公立と民間があることに加え、幼稚園・保育園の無償化の話も出ている中で、制度設計をどうしようか迷っている感じです。

 ということであれば、さっそく現状把握をしてみました。
●公立保育園
11園中、1園で3〜5歳児の主食を提供している。
(指定管理者制度の田浦保育園。その他10園は全て公設公営)

●民間認可保育園
27園中、19園で3〜5歳児の主食を提供している。
(ただし、ベネッセ汐入保育園は0〜2児のみしかいないので、母数は実際には26園)

●幼保連携型認定こども園
9園中、7園で3〜5歳児の主食を提供している。
(いずれも民間の認可施設)

●結論(3〜5歳を対象とした保育機能を持つ施設)
46施設中、27施設で3〜5歳児の主食を提供している。
うち、公立を除く民間施設は35施設あり、26施設で3〜5歳児の主食を提供している。


 この状況の中で、どうするべきか?

 上地市長の公約は次の内容です。(下線、筆者)
公約1:4年の任期ごとに市長が得ている2,000万円の退職金を廃止します。
横須賀市の財政難が続いている中で、4年で2,000万円以上の退職金は重要な財源になります。そこで先ずトップが責任を取るべきだと思い、私の任期から、即時廃止とすることをお約束します。
この2,000万円超をどう使うかですが、例えば、市内の公立保育園に通っている子どもの給食をよくすることに使いたいと思います。現在の給食はおかずだけで、主食がありません。子どもたちに主食も提供し、これまで用意していた家族の方の負担も軽減します。その他、市民の生活をより良いものに変えていけることに使ってまいります。

 この公約内容を勘案すれば、まずは、公立保育園11園中、公営の10園で主食を提供するための設備投資に退職金分を充てることです。もちろん民間もありますが、民間がどうするかは、民間が考えます。
 ただし、民間で主食提供している園は、1園を除いて全て有料のようです。当然です。だから、民業を圧迫しないよう、公営の10園は給食費を徴収すべきです。
 また、「うちの子は主食要ります」「うちの子は主食要りません。だから給食費も払いません」が選べるよう、年間を通じた選択制とすればいいでしょう。
 それが実現すれば、民間保育園での主食提供にかかる設備投資に補助をすればいいと思います。設備投資というと大げさに聞こえますが、要するに炊飯器を買って差し上げるということです。

 以上、どうやって実現するか、調整してみたいと思います。
posted by 小林のぶゆき at 16:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

2017年のお礼

小林伸行です。本年も、間もなく暮れようとしています。

私にとって、2017年はなんといっても「選挙イヤー」でした。
●2月マニフェスト大賞実行委員長選挙に自分が出馬(落選)
●4月 鎌倉市議選に秘書時代にお世話になった方が出馬(落選)
●6月横須賀市長選
●7月 横浜市長選に元ボスが出馬(落選)
●10月 衆議院選挙に秘書時代にお世話になった早稲田夕季県議が出馬(当選)

いずれも濃淡はあれ関わったことで、だいぶエネルギーがかかりましたが、地元の市議としての活動は、手を抜かなかったつもりです。

また、本年は日本の民主主義のありように、非常な危機感を頂いた一年でもありました。「伝統的保守主義を大事にしたい」と思っている政治家としては、このままにしておくわけにはいかないと考えています。
まずは、すぐにできることとして、支援者の方から勧められたこともあって「中学生にもわかるセイジの話」というタイトルの公民教育を始めました。ネタが尽きるまで、書いていこうと思っています。
愚民化された民に主権者意識を呼び覚ますために、何ができるのか。今後も何か行動を起こしていきたいと考えています。

横須賀市議会議員としての任期も、あと一年4ヶ月です。この4年間の任期で、どれだけの仕事を残せるのか。今後も、しっかりと監視と見守りをお願い致します。
本年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願い致します。
posted by 小林のぶゆき at 21:13| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月30日

【中学生にもわかるセイジの話:番外編】マップを見て近所の市議会議員を訪ねてみよう!

yokosuka議員2017.png 横須賀市議の事務所所在地マップを作ってみました!
 →PDFファイルはコチラ

 2015年の市議選後、市議の死去や辞職、今年6月には補選もあって、メンバーが入れ替わっています。そこで、2019年の選挙も見据えつつ、なんとなく現職市議をGISで地図落とししてみました。来年には「横須賀データマップ」Ver.2も作ろうと思っているので、腕慣らしも兼ねて久しぶりにGISを使ってみましたが、思い出すのに苦労しました。

 このマップで、ざっと見て、自宅の近くにいる議員は誰か? 政党や活動スタイルなどで親近感のある議員は誰か? あたりをつけて、会いに行ってみるのもいいでしょう。大丈夫。中学生だからって、主権者です。ちなみに、私の事務所にも、高校生が政治について語りに訪ねてきたことがあります。

 しかし、よく見ると、田浦行政センター管区はいま議員がいないんですね! あと、小室卓重議員は事務所が米が浜でも住まいは鷹取なので、湘南鷹取あたりに4人と、その集中ぶりが際立っています。そんなバラつきぶりも見ていて面白いです。あと、やはり人口が多い所には議員が多い傾向がありますね。

 詳しい住所や連絡先はコチラでご確認ください。
 →議員名簿

 ちなみに、私のところは大歓迎ですよ!
posted by 小林のぶゆき at 10:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

【中学生にもわかるセイジの話】まとめ(Vol.11〜20)

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.11】
ザンネンなお知らせ。実は中学生のキミも、約一千万円の借金を抱えているんだよ。
ニッポンでは、オギャアと産まれたその瞬間から借金を抱えることになる。ちなみに横須賀市に生まれたキミの場合、国が852万円+県が41万円+市が71万円=965万円となる(国約1080兆円+県約3兆7600億円+市約2900億円の各人口割)。でも、安心してください、払えますよ……県と市の分は。ほとんどが、いわば住宅ローンなので、借金とは言っても健全な投資。ハコモノを豪華に建てすぎて、若干借り過ぎだが、まあ何とかなる。モンダイは、国の借金だ。こっちは健全な住宅ローンよりも、サラ金がどんどん増えている。国は「景気が良くなれば返せる」とか言っているが、要するに子どもや孫へのツケ回しだ。特に、今の若い人は戦後最大の借金を抱えることになる。選挙権がないか、選挙権を行使しないと、こういう仕打ちが待っている?! そういうことなのかもしれない

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.12】
政治家の任期は、基本的に4年。ただし、短くなることはよくある。(参議院議員のみ6年)
日本の政治家は、市町村の議員も、都道府県の議員も、国の衆議院議員も、任期は4年。首長(市町村長や都道府県知事)も4年。ただし、地方なら、議会が首長に「不信任議決」をすれば、首長が失職するか、首長が議会を解散することができ、任期は短くなる。同様に、衆議院も「内閣不信任決議」をすれば、内閣総辞職か衆議院解散ができる……ことになっているのだが、どういうわけか何にもなくてもしょっちゅう解散している。そのため、衆議院議員の任期は、実際には平均2年半ちょっととなっている。あと、署名を集めれば国民が政治家を辞めさせることもできる

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.13】
市や国の借金は、あなたにどんな影響があるのか? 要するに「先輩が食べたスキヤキの代金を、あなたが払わされる」という話なのだ。
前々回のVol.11で「誰もが一千万円ぐらいの借金をしている」と書いた。つまり、国県市の借金のことだ。しかし、「行政の借金が自分にどんな影響があるのかわからない」との声も頂いた。では、レストランにたとえて説明しよう。今回は長編だ。

普通のレストランなら、入るのも入らないのも自由だ。しかし、市や国は寮の食堂のようなもので、必ず食べることになっている。しかも、行政サービスは、メニューから選んで注文するのではない。日替わり定食しかない。なおかつ、代金は強制的に給料天引き(税金徴収)される。
寮の食堂は、この代金の中から厨房設備(道路や下水道等のインフラ)をリースで借りている。そして、「おいしいトンカツも提供したいので、フライ機を導入しました」「冬には鍋料理も出したいので、カセットコンロを導入しました」という具合に整備をしてきた。確かに、料理の幅も広がって美味しくなったので、みんな満足してきた。

ところが、段々と寮生の要求がエスカレートしてきて、寮の先輩が「今度は、スキヤキが食べたい」「ビフテキを出せ」と言いはじめた。最初は、食堂担当者(政治家)も「さすがに、1食500円の予算じゃスキヤキはムリです!」と抵抗していたのだが、寮の先輩たちが「そんなこと言ってると、オマエたち食堂担当者のクビをすげかえるぞ。カネを借りてでもスキヤキを出せ!」と迫ったので、スキヤキやビフテキも出すようになった。しかし、当然ながら予算はオーバーするので、その分、仕入れ先へのツケ(赤字国債)で高級な食材(高福祉)を仕入れるようになった。また、厨房設備もなるべく増やさず、老朽化しても買い替えずに使うようにしたため、ときどき故障するようになった。

こうしてリース代金は減らしてきたものの、食材仕入れのツケはだんだん膨れ上がってきて、いくら大口の取引先だとはいえ、いずれは返済を迫られるだろう。そうなったら、借金を返すために1食500円のうち100円を返済に回して、400円の予算で作るしかない。そうなったら、新入りの寮生たちから「1食あたり500円も払っているのに、こんな料理しか出ないのかよ。ボッタクリだ!」という声が挙がるだろう。あるいは、1食あたりの徴収額を600円に値上げ(増税)するしかない。でも、先輩の寮生の発言力のほうが強いので、スキヤキ廃止も値上げも、なかなかできずにいる。

いずれは、新入りの寮生たちは「この会社(ニッポン)で、毎日高くてマズイ飯を食わされ続けるんだったら、あの会社(海外)に転職したほうがいいんじゃね? この会社は安定しているかもしれないけど、徐々に売上げ下がっているよね。だったら、あの会社のほうが業績伸びてるし、チャンスも多いはずだよね」という選択をするかもしれない。なにしろ、先行きが不安だ。

……これが、いまのニッポンの借金の現状だ

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.14】
民主主義とは、自分たちのリーダーを選挙で選ぶ仕組みではない。使用人を選ぶ仕組みである。
民主制(Democracy)とは、民(たみ)が主(あるじ)の制度、と書く。主の上に、主はいない。つまり、私たちが選挙で選ぶのは、私たちを統治する者ではない。使用人だ。私たちが決めたルールに則って、私たちの役に立つべく働いてくれる雇い人だ。そうは言っても、私たちの中にも、ルールを守らない者が出てくる。だから、使用人に命じて、私たち全体の代理として、みんなにルールを守らせている。別に、その権限を与えられている使用人が偉いわけではない。ただし、時間が経つうちに、「俺って偉いんだ!」と勘違いする使用人が出てくる。いつの時代でも、どんな社会でも、必ず出てくる。民主制をまもるためには、そういう使用人をクビにすることが大事だ。大丈夫。紙キレ一枚で、カンタンに解雇できる。そう、あなたの一票で

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.15】
地方議員には、地域代表、宗教代表、サラリーマン代表、業界団体代表、政党代表など、いろんな人がいる。
ひとつのまちで何十人も議員がいると、議員も色々な層から選ばれてくる。
公明党の議員のように、創価学会という宗教団体から絶大な応援を受け、安定して当選してくる人たちもいる。
共産党の議員のように、政党の看板で勝負するオーソドックスな人たちもいる。
町内会などから支援を受け、地域の票をまとめて勝ち上がってくる人たちもいる。このタイプは、地元のお祭りに顔を出したり、地域の要望を役所につなぐのに熱心だ。
建設業協会や医師会など業界団体の推薦をもらって当選する人たちもいる。このタイプは、各種パーティや会合で挨拶の時間をもらうことが重要であり、公共事業や補助金の動向に敏感だ。
なお、地域代表型と業界代表型は、わりと自民系無所属に多い。
また、同じ業界単位でも、経営側ではなく労働者側の組合から支援を受ける人たちもいる。このタイプは、労働組合幹部との勉強会&飲み会や旗開き・決起集会といったパーティへの出席が主戦場だ。わりと、旧民主党や社会党の議員に多い。
このほかに、朝夕の通勤時間帯に駅などに立って街頭活動をするサラリーマン代表型がいる。特定の地域や業界などにしばられないため、「しがらみのない政治」などといったキャッチコピーを掲げがちという特徴がある。固定的な支持者を持たないため票が読めないのが悩みだが、しばしば大量得票したりするのもこのタイプだ。
不思議なことに、ママ代表というタイプの議員は全国的に少ない。20〜30代の投票率が低いこともあって、一番困っているはずの子育て世代は政治を使うのがヘタだ。「保育園落ちた。日本死ね!」などとボヤく前に、保育園は国ではなく市町村の仕事だということを学習して、地方議員を送り込んだほうがいいだろう

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.16】
子どもも、有権者ではないが、主権者だ。
18歳未満は、選挙権を持たない。つまり、有権者ではない。では、政治に口を出す権利がないのだろうか? 実は、そんなことはない。横須賀市では、2016年に市政初となる小学生からの陳情が出された。全国でもまれか初らしく、複数のTVやネットニュースで取り上げられ、注目された。子どもであっても、政治参加ができる証拠だ。子どもも国民。つまり、この国のオーナー・主権者だ。ついでに、納税者でもある。私は「なぜ小中学生にまでチラシを配るのか?」と時々たずねられるが、彼らも私の雇い主でありお客様だからだ

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.17】
タスキやノボリに「本人」と書く政治家が多い。あれは、名前を出せないからだ。
25152097_1391330290975855_8240850402609325876_n.jpg政治家が名前を売っていいのは、5〜10日程度の選挙期間だけ。この「私、○○を当選させてください!」と訴える活動が、「選挙活動」だ。しかし、実際にはそれだけで当選することは少ない。普段からの「政治活動」の実績が認められて、当選する者が多い。ただし、政治活動は、主張や政策を訴えるものだ。別に、名前を出す必要は全くない。とはいえ、「この政治活動をやっているのは、他でもなく私なんですよ!」と、名前を出さずに自分を認識してもらうツールが「本人」なのだ。ただし、抜け道もある。実は政党に所属している政治家は、「政党活動」の名目で「時局講演会 弁士:横須賀花子」という具合に名前を出すことができる。地方政治には国政政党は直接関係ないとはいえ、それも政党に所属するメリットだ。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.18】
成人式は20歳。でも、実は18歳から、もう大人だよ。
もうすぐ成人式の季節。ところで、20歳を対象に成人式をしているけど、本当にそれでいいのかな? というのも、2016年から18歳選挙権が始まっている。そして、正式に社会を構成するメンバー(公民)として認められた選挙権(公民権)こそ、成人の証とも言える。もちろん、民法第3条には「満20年を以て成年とす」と書かれているが、民法は契約など主に財産取引のための法律だ。そして、選挙権と揃えて、民法も成年は18歳に改正される見込みだ。ちなみに、運転免許も18歳から。一方、タバコやお酒は20歳のままだ。判断能力を基準にした公選法・民法・道交法とは違って、身体の成熟度を基準にしているからだ。つまり、ホントの大人の証はタバコやお酒じゃない。選挙だ

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.19】
「義務教育」は、キミが教育を受ける義務なんかじゃない。大人たちが教育をする義務だ。
よく、小中学校の教育を「義務教育」と呼ぶ。そして、大半の人が、これを「子供は、学校で勉強するのが義務だ」とカン違いしている。かつて、私もそうだった。実際のところ、行政職員や議員の中にも誤解している者が少なくないのだから、ムリもない。しかし、憲法第26条二を読み返してほしい。「保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」と書いてある。そして、教育基本法第5条三には、国や地方が「その実施に責任を負う」と書いてある。つまり、「保護者は、国や地方の行政を使って、ちゃんと子供を教育してあげなきゃダメだぞ」という義務なのだ。……だから、キミ。学校がどうにも耐えられないなら、行くな。行く義務なんてない。そして、保護者や教師に、キミたちに合った教育をするよう、要求しなさい。なぜならそれは、この国のルール(憲法)に定められた、キミたちの当然の権利だからだ

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.20】
国の仕事は色々あるけど、市役所の仕事は一つしかない。実は、福祉だけだ。
市役所は、実に色々な仕事をしているように見える。しかし、突き詰めて言えば、本業は「福祉」だけだ。市町村や都道府県の役所を「地方自治体」という。その仕事を定めた地方自治法第1条2項には「住民の福祉の増進を図ることを基本として」と書かれている。分野は高齢者・障害者・子ども・勤労者など多岐にわたるが、いずれも福祉なのだ。一方、国の仕事は幅広い。外交・防衛・経済・通貨など、ただでさえ忙しいのだから、福祉は市町村に任せてしまえばいいのになあ
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【中学生にもわかるセイジの話】まとめ(Vol.1〜10)

 おかげさまで、支援者の方に勧められて始めたFacebookでの「中学生にもわかるセイジの話」も、毎日投稿できてはいませんが、なんとか細々と続いています。だんだん、過去に何を書いたか忘れて同じこと書きそうになったりするので、10回ごとにまとめることにしました。
 「中学生には難しすぎるんじゃないか」など色々なご指摘も頂きながら、少しづつ改善しています。ただ、「へ〜、そうだったんだ!」というトリビア感があるネタを何とかお届けしたいので、ありきたりのことじゃない情報を仕込みたいなと思っています。お気づきのことがあったら、ご指摘いただきたいですし、新しいネタ案も大歓迎です。

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.1】
市町村は、国や県の下ではない。対等の関係。ただし、タテマエ。
地方分権が進んだいま、市町村にできないことを都道府県が、都道府県にできないことを国が、という補完性の原則(subsidiarity)に沿って行政をするのが欧米標準。ただし、ニッポンの現実は、未だに国は地方を下請け扱いするし、地方も国に甘えている

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.2】
市議会議員は、市長の部下じゃない。むしろ、市長の監督者。ただし、世の中には市長の腰巾着と化した議員もいる。
株式会社にたとえれば、市長は社長で、議員は取締役。ただし、日本型オーナー企業のイメージだと、取締役も社長の部下だと勘違いしている人が多い。日本の地方自治制度は戦後にアメリカから導入されたので、米国型株主主権モデルになっている。社長に執行を任せるが、株主たちから送り込まれた取締役がしっかり社長を見張る

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.3】
市議会議員は、実は公務員! 市長も公務員。国も同じ。国会議員も総理大臣も公務員。
市議も市長も、特別職地方公務員。ただし、いわゆる常勤職員ではないので、毎日役所に行く必要はない。兼職してもよい(他の公務員との兼職は×)。同様に、国会議員も大臣も、特別職の国家公務員。というより、憲法第15条3に「公務員の選挙については〜」と書いてあるとおり、むしろ議員や行政トップこそが代表的な公務員なのであった

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.4】
国会には与野党があるが、市議会には与党も野党もない。……ことになっている。
国会は、イギリス式(議院内閣制)。つまり、議員の中から行政トップ(首相や大臣)が選ばれる仕組み。ほとんどの場合、多数派の中から選ばれる。自分たちの仲間から首相や大臣を出した党派は、自然に応援派の与党となる。一方、地方議会は、アメリカ式(大統領制)。つまり、行政トップ(市長)も選挙で選ぶ。形式的には、市長はどの議員とも仲間ではない。……とはいえ、実際には「市長を支援したら、自分の政策を市に取り入れてもらえるんじゃないか」と考える議員が集まって『市長与党』が形成されることも多い

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.5】
海外には、「市長」が2人いるまちも多い。
ニッポンの市長は忙しい。名誉職の面と実務職の面がある。ところで、海外では、これを分けているまちも多い。式典や表敬などにあたる市長(Mayor)と、市役所の組織や予算の管理を司る市長(City Manager)とが、いたりする。ちょうど、ドイツ・イタリア・中国などで、儀礼的な大統領や国家主席のほかに、行政トップの首相がいるイメージ。誰がトップでもどうにかなった右肩上がりの時代が終わり、地方行政に経営が必要な今、市長に名誉職まで務めさせる現状には疑問の声もある

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.6】
ニッポンは国より地方のほうが大きい。財政規模は、国が3割で、都道府県&市町村が7割。……でも、見かけだけ。
予算規模で比べれば、支出は国:地方=3:7。地方のほうが大きい。ところが、収入でみると、国:地方=6:4と逆転。地方は足りない分をどうしているのか? つまり、国が集めて、指図つきで分配している。だから、地方に裁量はあまりない。この地方自治の状況を揶揄して「4割自治」と言われる

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.7】
市でいちばん偉いのは市長? 国でいちばん偉いのは総理大臣? さあ、誰でしょう?
横須賀市でいちばん偉いのは、あなた。日本でいちばん偉いのも国民。つまり、主権者だ。憲法前文で高らかに宣言されたとおり、権力は国民が持っている。そして、その権力を議会や首長や裁判官や公安委員長や教育委員長などに預けている。しかも、暴走しないように分散して託している。これが国における三権分立や地方におけるエージェンシー制(委員会制)だ。いずれにしても、これらの官職は公僕。つまり、主(あるじ)の権(ちから)をもつ者に仕える、公(おおやけ)の僕(しもべ)に過ぎない

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.8】
横浜・川崎・相模原は、神奈川県じゃない?!
横浜・川崎・相模原と、3つも政令指定都市があるのは神奈川県だけだ。そして、政令市の権限は都道府県とほぼ同格。県にあって政令市にない機能は、警察と農林水産ぐらいだ。あとは、県のほうが高校をたくさん持っている程度か。その意味で、地理的には県の中にあるが、行政的には県の中にないとも言える。ちなみに、横浜・川崎・相模原の人口は、神奈川県の65%を占める。つまり、神奈川県という自治体は、実は1/3の県民向けだけに仕事をする役所なのだ

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.9】
市長は、「市」民の「長」ではない。「市」役所の「長」だ。
前々回もふれたが、市の中でいちばん偉いのは市民だ。そのため、市長は、市民の長ではない。かつてアメリカでは、市民がカネを出し合って、保安官など自分たちに様々なサービスを提供する使用人を雇った。このお雇い職員が増えて、市役所になっていった。この組織を管理させるために、経営者を雇ったのが市長(City Manager)だ。日本の市長は、戦前は統治者だったが、戦後はアメリカ式を選んだので、現在は市役所の長ということになる

【中学生にもわかるセイジの話:Vol.10】
日本を代表するのは、総理大臣じゃない。天皇陛下。
国家元首と行政トップは別だ。イギリスなら、エリザベス女王とメイ首相。ドイツなら、シュタインマイアー大統領とメルケル首相。スペインなら、フェリペ6世国王とブレイ首相。日本なら、天皇陛下と安倍総理。というわけで、前回Vol.9の市の話と国も同じだ。総理大臣は行政府の代表に過ぎない。そして、日本国民を代表されているのは天皇陛下だ。だからこそ、衆議院の解散も、内閣の任命も、最高裁の任命も、天皇陛下が行われる
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2017年12月23日

【委員会視察報告:後編】震災後のまちの直しかた〜熊本市〜

IMG_3455.JPG 委員会視察の最終日は熊本市だ。熊本市では、昨年4/14と4/16に起きた熊本地震への対応から教訓を得ることが目的だ。
 とりわけ、都市整備常任委員会としては、道路・橋梁の災害復旧の取り組みについて話を伺った。
(写真は熊本駅にあった巨大ゆるキャラ。復興のシンボルは、熊本城よりもゆるキャラの印象)

 ところで、議論の大前提となる私の考えだが、我々議会は、震災時にやれることはない。むしろ、何もやらないほうがいい。執行の指示命令系統を混乱させたり、余計な説明責任を果たすための報告資料の作成など仕事を増やしたり、邪魔になるだけだからだ。
 議会の主な仕事は、執行を監督することだ。だが、非常時には、監督せずに執行を信じて任せたほうがいい。スピードが大事だからだ。議会は素人だが、彼らはプロだ。

 では、議会は不要なのか?
 確かに災害対応には不要だろうが、復旧対策には必要だ。修繕をすべきか、更新をすべきか。そもそも復旧すべきか、廃止してしまうか、全く別の施設で対応するか。こうした判断は、住民代表である議会が、合意形成して議決しなければならない。
 また、災害が起こる前に、発災時に想定される事柄について、マニュアルへの反映を提案したり備品の備蓄を提案するなど、問題の芽を摘んでおくことも重要な仕事だ。


 上記の考え方の下、今回の視察で聞いた話を整理したとき、あえて技術的な知見は一切を捨象したほうが良い。それらは我々議会にとって、執行部に口を出したくなる誘惑の種にほかならない。
 一方で、今回の視察で得られた最も重要な洞察は、災害復旧工事の発注に関する手続きだ。大きく3つある。

(1)随意契約
 第一に、随意契約の問題だ。
 大規模災害時には、膨大な件数の災害復旧工事が発生する。今回の熊本地震の場合、熊本市では道路約7,400カ所、橋梁約650カ所、合計約8,000カ所もの被害箇所があった。
 これら工事は、基本的に民間に委託することになる。横須賀市の場合、道路維持センターという直営の部隊もあるが、彼らは小規模な修繕が中心だ。本格的な復旧工事が担える資源はない。
 そして、市が発注する工事には、基本的には公正性や経済性を担保する手続きが必要だ。一般競争入札や総合評価落札方式などがそれだ。業者と癒着することで工事の品質が落ちたり工費が高くついたりすることを避けるためだ。
 しかし、応急復旧が必要な場面で、のんびりと入札をやっている暇などない。厳正な手続きや工費を多少犠牲にしても、一刻も早く復旧したほうがいい。そこで、災害時には随意契約や指名競争入札が認められている。

 ところで、この随意契約をするには、「随意契約理由書」といった書類が必要となるようだ。確かに、非常時にスピードは大事だが、後日の検証に耐えられる一定の説明責任は果たさなければならない。ただし、「この復旧工事は、こんな理由で一般競争入札ではなく随意契約にするんですよ」という理由の調整に時間を要したという。

 なるほど。それは我が市でも大いにあり得る話だ。
 ついては、「随意契約理由書」の雛型を複数パターン用意しておき、フローチャート式に「こんなケースはこの理由をつけておけばいいぞ」という対応が迅速にできないか、折衝してみたいと思った。

(2)入札不調
 第二に、入札不調だ。
 工事が多く、業者も手いっぱいとなり、入札に参加してもらえないならば仕方がない。しかし、工事受注の余力がある業者がいくつもあるのに、形式的な要件でひっかかって、それらの業者が入札に参加できないケースが相次いだという。具体的には、工種ごとに定められた一事業者あたりの手持ち工事数の制限があり、受注余力がまだあってもその制限にひっかかるというケースだ。
 確かに、工事の品質を確保するために、平時において一事業者に発注が集中しないよう制限することには合理性がある。しかし、非常時は別だ。
 ついては、我が市では同様の制限はあるのか? 仮にあるならば、災害時にはどのような取り扱いとなっているのか? この点について確認してみたいと思った。

(3)補助金
 第三に、補助金の問題だ。
 ニッポンの悪癖として、国と地方政府の間の業務分担が不明確である。たとえば、国道や県道の管理を市が行っていたりする。「国道が壊れたら国が直せばいいじゃないか?」というのがまっとうな感覚だと思うが、この国のジョーシキは違う。国道の管理を県や市に任せながら、その修繕にあたっては国からの補助がある仕組みとなっている。逆に、市道の修繕にも国が補助金を出したりするのが通例だ。
 本来なら、市にはきちんと財源を委譲したうえで、市道の維持修繕に国はカネもクチも出さない、というのがあるべき姿だ。また、国道の管理を市に任せるのであれば、管理基準を定めたうえで、その基準に則って行われた修繕費用は、補助などではなく、国に請求すれば耳を揃えて払われる、というのがあるべき姿だ。さもなければ、国が自分で管理すればいい。
 しかし、いずれにしても、そのようにはなっていない。

 こうした中、国道・県道・市道のいずれについても、災害の状況をきちんと調査し、報告書にまとめ、国の補助を申請し、査定を受けて、補助決定された後に、ようやく工事の入札が始まる、という具合となる。もちろん、どの場合であっても調査記録をとっておくことは必要だが、国や県の査定があることにより、手続きが増えるのは容易に想像がつく。

 ついては、こうした悪癖の改革には時間を要するため、当面は「適応」するしかない。国や県の査定への対応を、受験勉強的にテクニックで難なく乗り越える方法がないか、担当課と折衝してみたい。
IMG_3473.JPG
 以上が、熊本市の視察報告だ。
 これを以って、今回の都市整備常任委員会の視察報告とする。
(写真は、商店街で見た洪水の実際浸水深)
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2017年12月05日

【委員会視察報告:中編】稼ぐ公共施設、大阪城公園〜大阪市〜

OsakaCastlePark.png 前日に訪問した吹田市は、タダで公共施設を手に入れた話だった。続いて訪問した大阪市は、逆に公共施設で儲けを出しているという話だ。
 具体的には、大阪城公園の事例だ。

以前の大阪城公園の状況
 この大阪城公園は、大きく分けて3つの部分から成る。
(1)大阪城天守閣
(2)大阪城ホール
(3)その他の施設と公園部分

 (1)大阪城天守閣は、市の外郭団体に委託(指定管理)しており、来観料収入が多く、年間2億2600万円の黒字だった。
 (2)大阪城ホールは、市の公園に株式会社大阪城ホールという民間企業が土地を借りてホールを所有している格好で、民営なので収支は関係ない。
 (3)その他の施設と公園部分が、赤字だった。収入は6億円強あったようだが、年間10億6000万円もの経費をかけて管理していた。つまり、(1)大阪城天守閣の黒字を加えても、大阪城公園全体では毎年約2億円の赤字だったようだ。加えて、その他に市職員の人件費もかかっていた。

 これだけ聞けば、大阪城公園は大変なお荷物のようにも思われるかもしれないが、行政の常識から考えれば、「まあ、そのぐらいかかるわな。逆に、あの広い公園を市の持ち出し2億円で管理しているのは安いほうじゃないか」という感覚だと思う。ちなみに、横須賀市だと、三笠公園&ヴェルニー公園の指定管理料が年間1億2千万円。くりはま花の国&ペリー公園の指定管理料も年間1億2千万円。あの維持すべき史跡も多い大阪城公園を2億円で管理していたのは全国的には悪いほうではないだろう。

民間活用でエンジェル現る
 ところが、2011年12月の橋下徹市長の就任により、民間活力を積極的に取り入れる方針が示されたことで、大きく変わり始めた。
 2012年12月、事実上の大阪維新の会「政権」下で大阪府・大阪市による「大阪都市魅力創造戦略」が示され、その中に大阪城公園が重点エリアに位置づけられた。
 そして、2013年7月に、民間からの事業提案を募集したところ、「ボクらに運営を任せてくれれば、指定管理料なんて要りませんよ。逆に、公園を使ってお金を儲けるので、売上げに応じて大阪市にお金を払ってあげますよ」という業者が現れたのだ。
 そこで、2014年6月に、民有の(2)大阪城ホールを除いた、(1)大阪城天守閣と(3)その他の施設と公園部分を、一括して民営化することにした。委託先(指定管理者)の募集条件は、(1)大阪城天守閣の黒字と同じ2億2600万円を毎年収めること。つまり、(3)その他の施設と公園部分には、一切カネを払いませんよ、という意味だ。また、事業期間は2015〜2034年度の最長20年間。一般的に、指定管理は4〜8年程度の事業期間とするところが多いが、それでは短すぎて投資回収ができないから民間投資してもらえないため、ある程度長めの設定としたということだ。
 この条件の下で、手を挙げてきた事業者の中から大阪城パークマネジメント共同事業体というグループを選定した。

民営化後の変化
 さて、この大阪城パークマネジメント共同事業体は何をやったのか。総額50億円以上の投資をして実施したことを、以下列記したい。なお、今回は現地視察はしておらず、会議室で話を聞いただけだったが、その後、プライベートで見物してきたため、その感想も交えていることを補足する。

●MIRAIZA:耐震強度不足で放置されていた歴史的建造物を、耐震補強&リノベーションして、飲食店と忍者グッズなどの物販店の商業ビル化。とりわけ、屋上はパーティスペースとなっており、上層階は高級レストランで、ウェディングなどを狙っている様子。

●大阪迎賓館:1995年のAPEC大阪の際に建設したが、その後はある意味眠っていた施設を、ウェディングなどのパーティもできる高級レストランとして活用。

●Jo Terrace:大阪城ホールは、16000人を収容する一大イベントスペースのようだ。ひとたびコンサートが開かれれば、大阪城公園駅から大阪城ホールまでの約550mには人の波ができることになる。しかし、屋台が並ぶ程度で、「せっかくだから、お食事でもして帰りましょ」ニーズに応えられる、気の利いた店などはなかった。そこで、低層の商業施設を整備。見たところ、安価な鉄骨造だが、ガラスの開口部が多く、部材も安っぽく見えないものを使用しており、照明もウォーム系で統一感があり、オシャレ感は保持している。飲食店を主体に、コンビニや土産物等の物販が並ぶ。

●御座船:太閣秀吉も乗った御座船(今の豪華ヨットに相当か)をお堀に浮かべ、観光客を乗せるもの。船は本物の金箔を貼って豪華なつくりにしてある。

 その他にも、次のような企画を手掛け、大成功した。
●園内売店のコンビニ転換
●バス駐車場の拡張
●天守閣のライトアップやプロジェクション・マッピング
●広大な園内をめぐる電車や自動車の運航
●天守閣の前で武将や忍者の格好をして写真撮影するサービス
●ハウステンボスと組んだ夏季のアミューズメント施設(特に大人向けナイトプール)

 大阪城パークマネジメント共同事業体は、固定の年間2億2600万円だけでなく、収益の7%も大阪市に払うことを約束していたが、初年度となる2015年度から約1600万円・2016年度には約2700万円を納入した。これは、予想を上回る額であり、20年もかからず、かなり前倒しで投資回収できる見込みだという。

成功の秘訣は何だろう?
 この成功の要因は何か。
 担当者からは明示的に語られなかったが、私が現地を見物した感覚から、次のようなポイントがあったのではないかと推測する。

●外国人向けのベタな商品・企画
 大阪城公園は中国や韓国などからの外国人旅行客が多いようだ。私は平日の16時に訪れたが、8割近くが外国人だった。
 なにしろニッポンの城を見に来たわけだ。日本人に訴求するなら歴史探訪なのかもしれないが、外国人のニーズは違う。金ピカの船、戦国武将や忍者のコスチュームをまとった記念の一枚、手裏剣投げ体験、手が届く価格のレプリカ日本刀……。ベタなようだが、きっちりと応えて喜んで頂くのが大事なのだろう。

●日本人向けのユニーク・ヴェニュー
 普段は入れない特別な場所でのパーティやレセプションを行うことをユニーク・ヴェニューと呼ぶ。海外では有名美術館で企業がレセプションを開いたりするのが人気で、国も事例集をつくるなどして推奨している。
 この点では、かつての大阪城の場内でウェディングやパーティを行うだけでも、すでにユニーク・ヴェニューだ。そして、ほとんどの店舗が、天守閣を間近に望める。それに加え、各国の来賓を招いた大阪迎賓館や歴史的建造物のMIRAIZAなどは、建物自体もかつて一般人は入れない場所だった。この希少性から、高価格帯の団体客が期待できるだろう。

●共同事業体のメンバー
 大阪城パークマネジメント共同事業体の構成企業を見ると、ニーズをとらえ、ニーズをつくるための強力な布陣となっていると見た。
 公共施設の民間整備(PFI)界隈で、近年、非常に大きな存在感を示している大和ハウスと大和リースが入っている。安く建築し、しかし安っぽくはなく、確実に投資回収ができるスキームを描くノウハウがあるのだろう。
 電通と読売テレビは、集客担当だろう。かつて、何もない埋め立て地だった東京・お台場を、本社を置いたフジテレビがメディアの力でテーマパーク化していった。同様に、関西一円の視聴者に新しい人気スポットとして刷り込んでいったのではないかと推測している。

ソレイユの丘やくりはま花の国に活かせるか?
 以上、市民のみなさんに少しでも多くの洞察を得て頂けるよう、単に会議室で聞いた話の紹介だけではなく、自らの足で見聞した感想も含めてご紹介した。
 問題は、これから横須賀市がどうするかだ。
 現在、多くの税金を投入して運営している、ソレイユの丘やくりはま花の国をどうするのか。我々、議員の提案や判断が問われていくだろう。
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2017年11月24日

熊本子連れ議員モンダイは、横須賀市議会でも起こり得るのか? 介護や障害のケースは?

 各方面で話題になっている熊本子連れ議員モンダイ。
→「“赤ちゃん連れて出席”熊本市議会が紛糾」ANN News
 さっそく我が横須賀市議会について確認してみました。結論から言えば、うちではこのような混乱は起こらないと想定しています。

1)議員も保育園に預けられる。
 まず、横須賀市議会に議員や傍聴者用の託児室はありません。市役所にも職員用の託児施設はありません。
では、保育が必要な子どもがいる議員が発生した場合、どうするのか?
 議員は非常勤公務員で、毎日議場に来るわけではないですが、それ以外の時間も議員活動や兼業の仕事をしていることが多いです。そのため、勤務時間の決まっていない自営業者と同じように保育園に預けることが可能です。少なくとも横須賀市では可能です(実際、私も議員になってから1年間は保育園にお世話になりました)。もしも、保育園がいっぱいで入れなければ、家庭的保育や認可外保育・民間のベビーシッターを利用することになります。幸い、我が議会は十分な額の報酬が与えられているので、これらを利用できないことはないでしょう。

2)一時保育もある。
 あるいは、毎日のように日中の保育が必要なわけではない場合、代用として幼稚園を利用するか、一時保育を使う方法もあります。
 公設の一時保育は、予約ができる仕組みで市内に8園あります。議会の予定は1年前には仮の予定が組まれ、1か月程度前には確定します。保育園担当者に話を聞く限り、早めに予約すればどこかしら予約できそうです。

3)議場に連れて入ることもできる。
 熊本市と違って、横須賀市には議場や委員会室に議員以外が入ってはいけないという規定はありません。確かに、熊本市と同様、市議会傍聴規則11条で「傍聴人は、議場に入ることができない。」と定めていますが、議会事務局に確認したところ、我が市では議員の赤ん坊を「傍聴人」と見なすという解釈はこれまでとられていないとのこと。確かに、傍聴人が連れてきた赤ん坊なら傍聴人と見なせますが、傍聴に来ているわけではない議員に連れてこられたのに傍聴人とするのは乱暴な解釈です。
 そのため、我が議会では、いわば何も規定がないので、地方自治法104条に定める議長権限に基づいて、議長が可否を判断することになります。そのため、急に決まった議会日程があったとして、一時保育もベビーシッターも頼めなかったという場合には、子連れ出席を議長に申し出ることになります。また、一時保育は17時や19時までなので、それまでに議会が終わらない可能性がある場合にも、議長に申し出ることになります。
 誰が議長かにもよるかもしれませんが、こういう例外的なケースまで子連れ出席を認めない議長はいないと思います。なぜなら、世の中には代えが利く仕事もあると思いますが、議会は絶対に代理が認められないからです。横須賀市議会議員の場合、約2,000〜6,000人の市民の負託を受けています。他の人に振り替えられない以上、子連れだろうが何だろうが出席させないことには、議員の背後にいる市民をないがしろにすることになります。誰が議長でも、道義上、止めることはできないでしょう。

 とはいえ、最後の部分については明文化されていないため、今後、先例集等に書き込むかどうか、中で議論してみたいと思います。

4)介護や障害の場合はどうか?
 子育てではなく介護の場合、一時介護等を利用することになるのだと思いますが、おそらく「親連れ出席」などは認められないでしょう。どうするのか? 考えなければいけないですね。
 ただ、議員本人が障害を持っている場合は、議会事務局職員が対応するようです。議席に就くまでの介助はもちろんのこと、自分でページめくりなどができないような障害の場合でも、会議中は職員がつきっきりで対応したケースが過去にもあったそうです。


 ……なお、議会傍聴については、赤ん坊連れの方も歓迎いたします。
posted by 小林のぶゆき at 17:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

実際どうなの、新市長?〜チラシ25号を発行〜

report25.png チラシ第25号を制作しました。印刷版は、来週から各地で配布予定です。
●特集:実際どうなの、新市長?
 という内容でお伝えしています。
 →ダウンロード(PDF)

 市長選後、初となる9月〜10月議会を通して見えてきた市長の姿。いわば、初戦の手合せで見えた市長の評価と今後の課題を整理しました。
 その後1か月、時間が空いてしまいましたが、色々な情報を自分の中で整理して、評価が熟するまで時間がかかってしまいました。……というのは、単なる言い訳です。私が遅筆なだけです。スミマセン。

 いい市長なのか、悪い市長なのか。
 また、迎えた議会の様子はどうなのか。
 どうぞご覧になってみてください。

 なお、併せて、議員にしか配布されてこなかった「決算説明資料2016」も、一挙に公開してしまいました。ご関心のある方はこちらから入手ください!
 →「市の予算、勝手にオープンデータ化プロジェクト」
posted by 小林のぶゆき at 21:54| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月26日

【委員会視察報告:前編】棚ぼたラッキースタジアムbyガンバ大阪〜吹田市〜

そもそも委員会視察って、なに?
img_homestadium_main_s.jpg 横須賀市議会の都市整備常任委員会で、10/23〜10/25の旅程で視察に行ってきた。

 我が議会では、議員が4つの委員会に分かれて、分担して市の事業をチェックする。10人×4委員会+議長1人=定数41人となっている。もちろん、全員が全体を見るが、担当委員会は入念に見る仕組みだ。担当委員会は、1年ごとに変わる。
 チェックするだけでなく、調査もして、個々の議員が市役所に助言・提言をしている。この調査には、先行事例の視察調査も含まれる。これを委員会全員で行くのが、委員会視察だ。別に無理に行くことはないのだが、毎年「みんなでこれを視察しようぜ」という声がたくさん挙がり、予算の都合もあるので慣例的に年1回・2泊3日で行くことが多い。
 本来ならば、委員会全体として共通のテーマを持って調査・視察し、委員会全体として助言・提言するほうが効果的だ。そのようにしている議会はいくつもある。ただし、我が議会はそこまでたどり着いていない。そんな声も出ているが、合意形成ができていない。
 以上が、委員会視察の概要だ。

 さて今回、私が所属する都市整備常任委員会では協議の結果、大阪府吹田市、大阪市、熊本市の3都市へ視察に伺った。以下、そこで得られた洞察について報告する。

1日目:吹田市
 吹田市は、人口約37万人の大阪の近郊都市だ。古くから工業が栄え、千里ニュータウンなどベッドタウンとしても栄えたようだ。人口40万人の我が横須賀市と比べると、面積が1/3なので、人口密度約3倍。今年度中には40万人を割り込む気配が濃厚な本市とは対象的に、近い将来に40万人越えが見込まれている。伸び盛りのまちである。

いっさいカネのかからないスタジアム?
 この吹田市に、1970年に開かれた大阪万博の会場となった万博公園がある。ここにサッカーJ1のガンバ大阪のホームとなるスタジアムを建設することになった。
 ところで、これがまた珍しい。なんと、いっさいカネをかけずに手に入れた公共施設なのだ。
 正式名称は「市立吹田サッカースタジアム」。れっきとした吹田市立の公共施設である。しかし、吹田市がつくったわけではない。タダでもらったものだ。しかも、運営にもカネがかかっていない。民間委託しているが(指定管理者制度でガンバ大阪が受託)、なんと委託料はゼロだ。土地は大阪府から借りていて、賃借料も払わなければいけないが、それも同額をガンバ大阪に負担してもらっている。さらに、いずれスタジアムとして使わなくなった際には、大阪府に土地を更地にして返さなければいけない。ただ、それもガンバ大阪が負担するよう、一筆とってある。

 同僚議員が思わず「なんてムシがいい話だ!」と驚いていたが、そう言いたくなるのも尤もな好条件だ。なぜ、そんなことが可能になったのか?

棚からぼた餅、ラッキースタジアムのスキーム
 ガンバ大阪が、大阪近郊にスタジアムをつくることになった。いくつかの候補地の中から、万博公園が選ばれた。このとき、ガンバ大阪と吹田市が描いたスキームは次の通りだ。以下は、わかりやすくするために、少しおおざっぱに説明している。
 土地・資金集め・建設の大きく3つの面で、うまいカラクリのあるスキームだ。

(1)土地のカラクリ
 万博公園は、大阪府の土地である。もしも、ここに民間企業であるガンバ大阪がスタジアムを建設するとなれば、約3億円の賃借料が必要だった。しかし、非営利目的の行政であれば1/2減免となる。そこで、吹田市が土地を借り、吹田市の「公の施設」として建設することにした。これで、約1.5億円になった。
 行政が借りることには、もう一つメリットがあった。もしも民間が土地・建物を保有すれば、市に固定資産税を払わなければいけない。しかし、吹田市が吹田市に税金を払う必要はないため、無税となる。

(2)資金集めのカラクリ
 スタジアム建設の資金、約141億円の集め方にも工夫があった。
 うち約106億円は、寄付で集めることとした。このとき、ガンバ大阪という民間企業が寄付を受けると、寄付した人には何のメリットもない。残るとしても名誉だけだ。しかし、行政や認定NPOなどに対する寄付であれば、税制上の控除がある。ひらたく言えば、「寄付とは言っても、それは世の中の役に立つお金だよね? だったら、その分、税金を少しオマケしてあげましょう」という制度を国税庁がつくっている。そうすると、寄付することへの抵抗感をいくらか払しょくできる。
 とりわけ寄付額約106億円のうち約100億円を拠出したのは民間企業だ。企業の場合、本来ならば株主に分配するべき利益を減らして寄付などしてしまうと、株主代表訴訟で経営陣が訴えられる可能性がある。だからこそ、寄付にあたっては「会社の知名度を高め、名声を得るための投資なんですよ」と説明できなければならない。ここに加えて「いやいや、寄付したお金のかなりの部分は法人税・法人市民税が控除されるので、ちょっとの投資で大きな広告効果が得られるんですよ!」と説明できれば、経営陣も安心して寄付できるというものだ。
 では、寄付を受けたのは吹田市だったのか。実は違う。ここにもうひとつカラクリがある。
 寄付を受けたのは、事実上はガンバ大阪である。ただし、控除は受けられた。ひらたく言うと「いずれ行政へと無償譲渡する施設建設のための寄付は、行政への寄付と同じようにみなしますよ」という国税庁の通達がある。ガンバ大阪は、この適用を受けて寄付を集めたのだ。

 また、建設資金のうち約35億円は、助成金・補助金で集めた。うち大半を占める30億円を拠出したTOTOくじのスポーツ振興くじ助成金は、行政が申請して行政を経由しないと受け取れない。そのため、吹田市の関与が必要不可欠だった。

(3)建設のカラクリ
 建設費用約141億円も、吹田市が建設したのでは、この金額に収まらなかっただろう。行政が公共施設を建設すると、高コストになりがちだ。
 行政には公平性と透明性が求められるため、厳正な入札を行うために事務コストがかさむ。さらに、それを設計・建設・設備などに分けて発注し、それぞれの段階で検査も行うため、その分、事務コストはかさむ。また、行政が進行管理を行うために時間もかかり、また事務コストがかさむ。
 そこで、建設は民間が担った。ガンバ大阪を中心とした任意団体が寄付と補助金を集め、その約141億円で建設した後に、吹田市へ無償譲渡した。
 これによって、設計と建設を分けずに一貫して施工できた。また、設備まわりも、ガンバ大阪のメインスポンサー(おそらくパナソニックだろうと想像している)に一括発注することでコストを抑えることができた。旧松下電工を合併し、照明から建材・太陽光パネル・トイレ周りまで一通り揃えられるパナソニックならうなづける話だ。

それって、本当に吹田市のスタジアムなの?
 以上、「棚ぼたラッキースタジアム」のカラクリは納得頂けただろうか?
 ところで、「いっさいカネがかからない」と書いたのは、正確には間違いだ。ひとつだけ、市がカネを払わなきゃいけないことがある。
 それは、市がスタジアムを使ったときだ。

 「吹田市の施設なのに、吹田市が使ってもカネをとられるの!?」と驚くかもしれない。吹田市役所内でも驚かれるそうだから無理もない。
 また、実は吹田市民がサッカーに使うことはできない。もちろん、VIPラウンジや会議室などの付帯設備は、カネを払えば予約して使える。それは普通の貸館施設と同じだ。しかし、ピッチ部分は芝を養生するために一般利用を認めていない。
 このエピソードは、或ることをほのめかしている。それは「このスタジアムは事実上、吹田市のものじゃない」ということだ。吹田市立というのは建前で、実際にはガンバ大阪のものなのだ。
 そう考えれば合点が行く。

穿った見方をしたが、「三方よし」なら、まあいいか
 では、それは悪いことなのだろうか?

ガンバ大阪にとって
 自前で保有すれば払わなければいけなかった土地賃借料も約1.5億円の半額免除となった。おまけに、吹田市に払うハズの少なくない額の固定資産税も不要で済む。
 「タックスヘイヴン」や「ペーパーカンパニー」よろしく間に吹田市を噛ませることで、寄付も集めやすくなった。助成金ももらえた。形式上は吹田市の施設なので多少の制約は受けるが、肝心のピッチは独占的に利用できる。

吹田市にとって
 ガンバ大阪と一緒に知恵を絞ってスキームを描いたことで、公費投入ゼロで市内に公共施設ができた。もちろんサッカー場として市民利用に供することはできないが、いざ災害が起きれば防災拠点としても使えるれっきとした公共施設だ。
 また、固定資産税は確かに入ってこないが、そのまま公園として使われ続けても、どのみち固定資産税はとれなかった。損はしていない。
 むしろ、サッカーJ1のホームという集客力のある施設が市内にあることで、隣にある商業施設の売上向上も期待でき、交流人口が増えて人が動けばお金も動き、市内の雇用増や税収増も期待できる。

大阪府にとって
 確かに、民間が借りてくれれば、1.5億円ではなく3億円の収入があったはずだ。しかし、公園を営利企業に貸すには様々な制約が想定される中で、民間借上げは望めなかっただろう。むしろ、47年間の定期借地計画で、これまでなかった1.5億円の収入が毎年入ってくるわけだから、資産の有効活用だ。
 しかも、多くの府民が足を運ぶわけで、利用度の面でも行政資産の有効活用と言える。

国にとって
 国は、税収から控除されてしまうと収入が減るので、損したと言えるかもしれない。ただし、仮に最初から吹田市が自前でスタジアムを建設するとなれば、何らかの国の補助金をあてにしたはずであり、逆に言えば国も補助金の支出を抑えることができたとも言える。
 しかも、スタジアムがなければ何のお金の動きもないが、スタジアムができることで民間の経済活動が行われたわけで、そこには消費税も所得税も発生し、最終的には法人税などにも跳ね返ってくる。その点では、むしろ国にとってもトクな面も大きい。

寄付者にとって
 寄付をした人は、おカネを払っており、いわば損している。しかし、大好きなガンバ大阪の試合をすばらしいホームスタジアムで観られるわけで、新しい付加価値を手に入れることに納得しておカネを拠出しているという意味ではトクしている。

 ……結局のところ、誰ひとり損していないのだ。
 少し斜めの目線で穿った見方をして検証してきたが、とどのつまり「三方よし」どころか「五方よし」状態なので、何も言うことはない。成功したプロジェクトだ。「民間と協力して知恵を出し合えば、こんなこともできるのだ」というケーススタディとして、大いに参考になった。
 なお、せっかく吹田市の担当者が丁寧に説明してくれたのに、厳しめの筆致となったことについては、人口増に加え棚ぼたでスタジアムを手に入れた吹田市への嫉妬の表れということでご容赦頂きたい。
 以上で、初日の視察報告を終える。
posted by 小林のぶゆき at 15:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月25日

ドラマ『民衆の敵』がオモシロい!本物の市議会議員も「あるある」と

民衆の敵.png 一昨日から放映開始の、篠原涼子さん主演の月9ドラマ『民衆の敵』が話題になっていますね。
 出張に出ていて見られなかったので、今日帰ってきてさっそく観たら、実にオモシロかった!

 以前から、「市議の仕事を身近に感じてもらえる内容だといいな」という期待感と、「ひょっとしたら変に政治家像を誇張してイメージ悪く描かれないといいけど」という不安が、入り混じった気持ちで注目していました。でも、心配無用でした。むしろ、本物の市議会議員をしている私も「あるある、それあるよ〜」とうなづくようなシーンも多くて「しっかり取材したんだろうな」と感じました。もちろん、ドラマなので脚色もありますが、不自然さはなかったですね。

 それに、篠原涼子さんが扮する主役のママ「佐藤ともこ」候補の演説には、思わず涙がこぼれました。キー・メッセージは「そんなの、おかしくないですか?」。これまでに会ってきた色んなママさんや悩みを抱えた方の顔を思い浮かべたりしながら、感情移入してしまいました。物語の力ですね。
 「世の中おかしい!」と不満を抱えながら、でも選挙に行ったり議員に相談したりしてこなかった多くの方が、このドラマを観て「ああ、それって政治で変わるんだなあ」と実感してくれたらうれしいですね。

 私も、子育てしながら気付いたことを変えたいと思って市議になりました。
「なぜ横須賀には中学校給食がないんだろう?」
「保育園に預けないと働けないのに、働いてないと預けられないって、じゃあどうすればいいのよ?」
「なぜ保育園に主食だけ持っていかなきゃいけないの?」
「なぜ横須賀には学校内に無料の放課後児童クラブがないんだろうか?」
「未婚のママは、なぜ離婚のママと差別されているんだろう?」
 「そんなの、おかしくないですか?」という、同じような思いで、議会で訴え続けてきました。少しづつですが、中学校給食も、みなし寡婦控除も、学校内無料児童教室も、実現しつつあります。自分の仕事ぶりには、自信を持っています。

 ただし、気付けばもう7年も市議を務める中で、少し自分がベテラン化しつつあったようにも思うんですね。もちろん、知識が素人じゃ困るけど、「まあ現実には色々あるし、政治ってそういう部分もあるよね」といった慣れが出てきていたように思います。でも、『民衆の敵』を観て、議員を志したときの青雲のような清々しい気持ちがよみがえってきました!

 見逃した方は、→期間限定でここからネットで観られますので、ぜひ。

 最後に。
 このドラマを観て、「私も市議を目指してみたい!」と思った方はいませんか? これまで、何人かのママを口説いて市議に誘ったのですが、断られてきました。でも、ドラマを観てイメージが湧いた方もいるかもしれない。
 佐藤ともこ候補みたいに、告示日になってから立候補して当選するのは、相当運がいいと思います。実際には、色々な準備をしておいたほうが、気持ちもラクだと思います。
 そんな方には「政治塾」も用意しています(笑)
 →「よこすかを変える政治塾、はじめます。」
 ぜひ、気軽にお話しだけでもきいてみてくださいね。別に、現役ママ議員がいないから口説いていただけで、もちろんそれ以外の方も歓迎します。

 いや〜しかし、来週以降も目が離せません!
posted by 小林のぶゆき at 23:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月27日

今日、お昼前後に、議会で質問に立ちます

Question20170602.png 今日の横須賀市議会本会議で登壇します。出番はおそらく11:30以降だと思います。
今日は、新教育長の就任にあたり、私の会派・研政や私が重要だと考えている教育問題について、基本的な考え方をお伺いしていきます。
インターネット中継でもご覧いただけます。
http://smart.discussvision.net/smart/tenant/yokosuka/WebView/sp/
posted by 小林のぶゆき at 08:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月24日

10/1「新しい市長は、実際どうですか?」〜市民の声を聴く会〜をやります

Hearing20171001townnews.png 10/1(日)に第15回「議員有志で市民の声を聴く会」を開催します。テーマは、「新しい市長は、実際どうですか?」
 →詳細チラシ(PDF)

 実際に、市民のみなさんから「新市長はど〜なの?」と訊ねられることがホントに多いので、そのまんまの企画としました。
 何も準備は要りませんので、お買い物のついでに気軽にいらっしゃって下さい!
 なお、9/22のタウンニュースにも掲載されました!→

第15回 議員有志で市民の声を聴く会

〜新しい市長は、実際どうですか?〜

Hearing20171001.png●日時:2017年10/1(日)14:00〜16:00
●場所:産業交流プラザ 交流サロン
   (芸術劇場3F汐入駅1分)
●対象:横須賀市民
●申込:不要(でも、できればご連絡ください)
    m(_ _)m
●主催:市議有志(小室たかえ080-9152-3158・橋英昭070-2209-3301・小林伸行070-6640-3927

 「新しい市長は、実際どうですか?」と、たずねられることが、よくあります。今年6月、横須賀市民が選んだ市役所のトップ、上地克明市長。彼を間近でチェックする立場の議員に、そう聞きたくなるのは自然なことですし、市政に関心を寄せて頂いている証拠だと思います。
 前回は、市長選告示日の直前6/17に、3候補の政策を見比べる企画で開催し、多くの方に集まって頂きました。今回は、市長選後初となる9月議会での所信表明や議員の質問を通して見えてきた、上地克明市長の特徴や課題についてご報告し、ご意見を伺います。
「市長が代わって、一番変わったのは何?」
「学校や産プラなど施設は結局廃止するの?」
「積極投資って言ってたけど、おカネ有るの?」
 いわば初戦の手合せで見えた市長の輪郭。これをもとに、市民の代理人として今後どんなところをチェックしていくべきか、私たち議員もヒントを頂ければと考えています。
posted by 小林のぶゆき at 16:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月14日

9/15&9/16、市の政策にあなたの声を入れてしまおう!会議

HearingKensei201709.png いよいよ、明日と明後日は第5回「市民と議員のよこすか未来会議」です。横須賀きっての政策集団・研政が、市民のみなさんとの対話を通して政策を練り上げていく場です。

 これまでに参加頂いた方はご存じだと思いますが、ここで頂いた声をもとに生まれた政策がいくつもあります。男ばかりでムサいのが玉に傷ですが、「どうせ組合系で固まってるだけだろ?」とか言われようが、研政は市民の声に真剣に向き合うサイコーの政策メーカーです。4年間ヨコで眺めて、後からこの会派に入った私が言うんですから。

 「何が実現できたのか?」をご報告し、「これから何を実現すべきなのか?」をワールドカフェ形式で一緒に考えるこの企画。今回は2回やりますので、ぜひご都合のいいほうに足をお運びください。
 →詳細チラシはコチラ

第5回 市民と議員の よこすか未来会議

〜市の来年度予算に、市民の声を。〜

【1回目】
●日時:2017年9月15日(金) 18:00〜20:30
●場所:ヴェルクよこすか 6Fホール
【2回目】
●日時:2017年9月16日(土) 13:30〜16:00
●場所:産業交流プラザ 交流サロン
●対象:どなたでも歓迎
●申込:不要
●問合:橋英昭070-2209-3301

 横須賀市の現状や将来を考え、来年度の予算案を組むのは市長です。そして、その税金の使いみちでいいかどうか、最終的に判断して決定するのが議会です。

 ただし、市の予算編成の前に、全国の議会で多くの会派が予算要望をしています。研政では、各議員が普段から拾い集めた市民の声や、「よこすか未来会議」での声をもとに会派内で議論を重ね、単なる要望にとどまらない「政策提言」を作り上げています。

 第5回となる今回は、2018年度予算に向けた「政策提言」案をご説明したうえで、前回同様、5つのテーブルに分かれたカフェ形式でじっくり意見を交わしたいと考えています。
 より、くらしに密着した予算となるよう、どうぞ足をお運びください。一緒に横須賀市の未来を考えていきましょう。
posted by 小林のぶゆき at 23:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

【会派視察報告:後編】宿泊してもらうにはどうするか〜小樽市〜

IMG_3248.JPG※写真は出抜小路展望台から望む運河と倉庫群
 視察3日目は、小樽市を訪問し、観光基本計画についてお話を伺った。
 同じような課題を抱えてきたまちの先進事例として、効果のあった取り組み・なかった取り組み、創意工夫などを学ぼうというのが狙いだ。本市に読み替えて活かしやすいはずだからだ。
 なお、横須賀市の観光のあり方については、過去記事「横須賀市はB級観光地から脱却せよ 〜サンセバスチャンを参考に〜」でも取り上げている。よろしければご覧頂きたい。

小樽市の概観
 小樽市は、北海道の首府・札幌の海の玄関として栄えた。かつては札幌より大きなまちだったが、1964年の人口約21万人をピークに衰退し、現在では人口約12万人。
 一方、横須賀市は日本の産業革命の中心地として興り、その後は軍都として栄えた。日本のマザー工場・横須賀製鉄所の開設当初は横浜よりも大きなまちだったが、1992年の約44万人をピークに衰退。2013年には人口減少ワースト1位にもなり、現在は人口約40万人。
 いずれも、かつての主力産業の衰退と人口減少に見舞われてきた港湾都市という共通点がある。

 ただし、かつて「斜陽都市」と呼ばれた小樽市は衰退時期が早かったこともあり、早くから観光へと舵を切った。運河散策路とガス灯を整備した1986年を「観光元年」と位置づけ、現在では年間791万人(2016年度)が訪れる観光都市となっている。一方の横須賀市も、実は872万人(2015年度)で、ほぼ同水準。意外に思われるかもしれないが、横須賀市も健闘している。
 とはいえ、本市の場合は出張などのビジネストリップも多いだろう。また、まちの規模も違う。人口1人当たりの観光客数は、小樽市が約66人で横須賀市が約22人。つまり、人口規模でならせば小樽市は横須賀市の3倍のお客さんを呼び込んでいるとも言える。

 ところで、これまで私は小樽に対して別にいいイメージも悪いイメージもなく、いわば関心を持つ必要がないまちだった。だが、小樽のイメージは非常に良いそうだ。地域ブランド調査2016でも、函館・京都・札幌に次ぐ4位で、5位以下の横浜・富良野・鎌倉・金沢・神戸よりも上位だ。小樽以外はうなづける順位だが、小樽については全くそんな認識を持っていなかったので意外だった。TVなどでよく取り上げられているのだろうか? 私が他人と行動様式が大きく異なるのはTVを観ないことぐらいなので、TVをまず疑ってしまう。ちなみに、同ランキングで横須賀市は51位で、例年その辺りだ。
 この小樽の主要な観光資源は、食と景観だ。北一ガラスという一帯にある、運河と倉庫群などの歴史的建造物が人気であり、豊富な海産物を背景とした寿司のまちとしても知られるようだ。最近では、小樽のイメージの良さを狙って小樽で創業したLeTAO(小樽の逆読み)という洋菓子チェーンの売上も良いらしい。

 より立体的に小樽を理解するために、関東に無理矢理に引き付けてたとえれば、東京に対する横浜みたいな感じだろうか。日帰り観光にちょうど良いまち。
 大都市圏の札幌市から電車で30分の港町であり、海なし札幌から最も近い海だ。中をリノベーションされた古い倉庫群は、横浜の赤レンガに相当するだろう。「ちょっと中華街でおいしいものを」という感覚で、「ちょっと小樽でおいしい寿司を」食べに行ける。ついでに小洒落た店が建ち並ぶ北一ガラス地区で買い物をする感覚は、横浜の元町が近いだろうか。横浜のように、湾内クルーズ船にも乗ることができる。
 ただし、規模感は全然違う。横浜市は373万人都市。対する小樽市は12万人都市。

泊まってもらえないまち、小樽市と横須賀市
 このせいもあり、宿泊需要は全然違う。
 小樽に旅行に行くとして、小樽に泊まるだろうか? 札幌まで電車で30分である。飲み歩くにしろ、音楽ライヴや観劇にしろ、ナイトライフの充実度は比較にならない。札幌を選ぶ人が多いだろう。
 この点、先ほどたとえに用いた横浜市はまるで違う。日本最大の人口373万人を背景とした文化風俗の集積がある。ナイトライフの充実ぶりは東京に負けず劣らない。野毛で飲み歩くも良し、ジャズの生演奏や観劇もあり、夜景が自慢の横浜港をナイトクルーズしてもいい。また、神奈川県の県都として、ビジネストリップも多い。

 観光において、宿泊は非常に重要な要素だ。なにしろ、落とすお金がヒトケタ変わってくるのである。神奈川県観光客消費動向等調査によると、三浦半島(鎌倉地区以外)の宿泊客平均消費単価が22,007円であるのに対し、日帰り客平均消費単価は4,190円だという。実に5倍以上の開きだ。
 さらに横須賀市統計書の、「(124)延べ観光客数および消費額(推計)」2015年度の数字を見てみよう。横須賀市内の延宿泊客数は34万人で、日帰り客数は849万人だ。つまり、宿泊客数は観光客全体の4%に満たない。
 しかし、これを金額で見ると違う景色が見える。観光客宿泊費が約27億円、飲食費が13億円、その他消費額が8億円。割合で見ると、観光客消費額の全体48億円の56%が宿泊費であり、飲食費が27%、その他消費額が17%となる。滞在時間に応じて落とすお金は増えると言われており、宿泊客は飲食費やその他消費額の何割かも消費している。宿泊客1人あたりの宿泊額は7937円。これを神奈川県調査の22,007円と比べれば、宿泊以外の消費もある程度は類推できる。つまり、全体の4%に過ぎない宿泊客が、金額では7〜8割のお金を落としていると想定される。

 日本有数の日帰り観光地・鎌倉市は年間約2300万人を集める。だが、いかんせん首都圏からも横浜からも近く、泊まってもらえない。そもそも宿泊施設も少ない。そうすると、住民にとって観光客の存在は、メリット少なくデメリットばかりの「観光公害」でしかなくなる。生活の足となる江ノ電には乗れなくなり、道路にハミ出して邪魔だし、海岸では酔って騒ぎ殺傷事件を起こす輩まで出た。
 そのあたりは、もはやカネの問題ではない。一方で、産業としては金も問題である。
 そして、我が横須賀市も、横浜市に宿泊需要を吸い上げられているほか、そもそも宿泊ニーズを創出できていない。
IMG_3244.JPG※写真は、夜の運河と倉庫群

 さて、小樽市の宿泊客の状況はどうか?
 年間約791万人の観光入込客数のうち、宿泊客は約74万人で、全体の9%となる。つまり、横須賀市の2倍の水準で、泊まってもらえているということだ。「北海道全体が中国・韓国からの観光客が多いから、その分、横須賀よりも恵まれてるんじゃないの?」などと思ったのだが、そんなことではない。宿泊客74万人のうち、外国人は19万人に過ぎないという。つまり、大半は国内の方々だ。市内には約50宿泊施設に4,200室程度の容量があるという。
 ちなみに、北海道内から512万人(65%)、県外(道外)から279万人(35%)とのこと。まだまだ伸びしろはありそうだ。

小樽市の観光の打ち手
 そんな、魅力的なイメージづくりに成功し、横須賀の2倍以上の宿泊客を集める小樽市が、具体的にどんな取組をしているのか? 伺ったもののうち印象的だったものを紹介したい。

●小樽雪あかりの路
 運河散策路と倉庫群、そして運河の水上にまで、ロウソクの灯りを燈す企画。フォトジェニックで、行きたくなる。何よりも、夜しか見られないことも重要な点ではないかと個人的には思った。つまり、宿泊しないとゆっくり楽しめないわけだ。

●小樽運河クルーズ
 2012年より運航開始し、人気が高まっているという。特に、観光協会のポスターでも夜景を見る運河クルーズの写真をイチオシで使っていた。これも、先に述べた論理で、宿泊につながる。戦術としては正しいのではないか。

●小樽ショートフィルムセッション
 とりわけ海外での小樽のイメージ向上に大いに貢献したのが、小樽を舞台にした1995年の映画「Love Letter」だったという。これを受けてか、小樽を舞台に短編映画を製作してもらう企画。映画は、イメージ向上に役立つツールなのかもしれない。
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●「ユニーク・ヴェニュー」の開発
 ユニーク・ヴェニューとは、美術館でのバーティや、歴史的建造物等でのレセプションなど、特別な場所でのイベントを指す。小樽市では、旧銀行の洋館やニシン御殿で知られる豪商の元邸宅などで実績があるとのこと。とりわけ、企業などに人気があるという。そういえば、知人がルーブル美術館かどこかで学会のレセプションがあったときのことを嬉々として語っていたが、付加価値が高く単価も取れるだろう。
※写真は、旧日銀の金融資料館。このテの歴史的建造物がゴロゴロある。関東大震災と開発圧力で多くを失った横須賀市との大きな違い。

●小樽kawaiiティーパーティー
 元パンクロッカーの私にとって、どちらかというと苦手な耽美系・グラム系・ゴスロリ系の企画。ところが、集客や宣伝効果という面では馬鹿にできない効果があるとのこと。
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●6か国語展開の観光地図
 普通のまちの感覚であれば、日本語の他に、来訪者の多い中国語と、外国人一般用で英語、この3か国語ぐらいを用意するだろう。しかし、小樽では中国大陸系の簡体字、台湾系の繁体字、韓国語、英語に加え、タイ語でも展開。かつて、バスクのサンセバスチャンに行った時、日本語のガイドブックが用意されていて驚いたが、やはりうれしいものだ。ちなみに、小樽のインバウンド元は、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、米国……といった順らしい。なるほど。

 以上で、小樽市の視察報告を終える。

 横須賀市に、何を採り入れるべきか? 何を活かすべきか? それは今後、会派や議会の中で、また「よこすか未来会議」などの中で議論して考えていくことになるため、この視察報告の中で限定はしない。ただし、今回も非常に得るものの多い視察だった。以上で、今回の会派視察報告を終える。
posted by 小林のぶゆき at 23:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月17日

【会派視察報告:中編】比べれば横須賀市の病理が見える学童クラブ〜苫小牧市〜

 視察2日目は、苫小牧市を訪問し、学童クラブについてお話を伺った。

 この学童クラブのあり方については、すでに大田区鹿児島市、横浜市に伺って本市と比較をしている。
 ただし、どこと比べても、何度考えても、結論は同じだ。
 ハッキリ言って横須賀市は、異常である。

「子どもが主役になれるまち」の不都合な真実
 異常だと言うのは、大きく2点ある。
(1)保育料が高すぎる
(2)行政が関与しなさすぎる

 そして、この異常さは、同じ根っこから出ている。つまり、「子どもを第一に考えない」ことである。子どもの安全よりも……
●市の歳出抑制を優先する。
●子どもを遠くまで歩かせ、教師らの「教室は使わせないぞ」エゴを優先する。
●既存事業者への影響が出ないことを優先する。
●学力向上という、政治家や教師が評価されやすい「成果」を優先する。

 つまり、子どもは二の次なのだ。こんなことだから、「子どもが主役になれるまち」とかいうキラーフレーズなるものが欺瞞だと見透かされて出生数が増えないのだ。
 子どもを第一に考えるならば、カネならなんとかやりくりすればいいはずだ。
 「学校は教師のものじゃない。子どもたちのための施設だぞ」と押し切れるはずだ。
 事業者も営利で始めたわけではないので、子どものための選択は受け入れるはずだ。
 そして、大人の都合で成績を上げさせることよりも、豊かな感受性を育むために様々な体験の機会を提供することのほうが大事なはずだ。

苫小牧と比べてわかる横須賀市の異常さ

 苫小牧市ではどうなっているのか?

●24小学校のうち、2校を除く22校に35クラブを公設で展開している。うち1クラブが民営であり、その他は公営である。その他、民設民営の2クラブが市内にはある。横須賀市は全て民設民営である。

●公設35クラブのうち、23クラブが学校内、8クラブが学校敷地内の別棟。4クラブのみ学校外の児童センター内となっている。とはいっても、横須賀市のように1km近く歩かせるなどということはない。

●利用料金は、これまで視察してきた中で最低の月額2,500円。他におやつ代が1,000円かかるが、それでも本市の17,000円前後から比べれば圧倒的に安い。受益者負担割合は1/8程度だという。なお、生活保護や就学援助世帯は無料となる。

●苫小牧市の小学生約8,800名のうち、1,285名が利用する。利用率約15%である。高学年になるほど利用しないため、本当に必要な低学年の利用率はもっと高いだろう。若干の待機児童は発生するようだが、例年1〜2か月で定員を増やして解消させてており、基本的にはニーズに見合った利用者数だと言えそうだ。
 一方、横須賀市は小学生約17,000名のうち1,555人しか利用せず、利用率7.5%だ。失礼な言い方だが、横須賀市よりものんびりした田舎の街で2倍の利用率などということは、ありえない。横須賀市は少なくとも今の3倍、20%程度のニーズがあるだろう。つまり、横須賀市では高すぎる保育料のために預けられない人がそれだけ多いということを意味している。

●学童クラブ1か所あたり平均で年間850万円弱を投入している。この額の92%が人件費とのことで、1施設あたり基本的に3名(一部2名のところもある)の嘱託職員を配置とのことであり、ならすと年収290万円前後ではないかとのこと。決していい待遇ではない。しかし、本市が1施設あたり平均で年間480万円の補助(2014年度の数字で、現在ではもっと増えているハズ)をしていることから比べれば、全体の額はそんなに多いわけではない。カネをケチって、保育料が高く、利用率が苫小牧の半分、というのは経営の観点から見れば失敗と言っていいだろう。

●保育時間は18:30まで。それ以降の延長はない。横須賀市に比べると職住隣接の市民が多いようで、アンケート調査によればこの保育時間でほとんど問題ないようだ。

何度も言う。横須賀市は公設公営で学童クラブを整備せよ
 以上を受けての、横須賀市への提言は従来とあまり変わらない。「横須賀市は公設公営で学童クラブを整備すべきだ」ということだ。

 苫小牧市で明らかになったのは、「今や公設公営は安い」という事実だ。あまりいいことではないが、低待遇でも行政特有の安心感があって、公営なら人を集めやすい。そうすると、下手に民間委託をするよりも安くなるケースも多い、という学識者の説もうなづける。
 苫小牧市でも人材確保には苦慮しているようだが、全員に「保育士/社会福祉士/教諭資格保持者/児童福祉事業2年以上従事のいずれか」という高い条件を課しているためもあろう。有資格者を、各学童クラブに3名ではなく1名ずつの配置とし、その他2名は資格を問わないようにして有資格者の待遇を高くすれば、本市でも同水準の費用で公設公営で展開できるのではないか。

 なおかつ、本市の場合は延長18:30ではニーズに応えられない。おそらく19:30までの保育を必要とする家庭も少なくないだろう。そうすると、時間帯を3段階に分ける必要があるのではないか。
●〜17:00 無料+おやつ1,000円の全児童対策
●〜18:30 月額5,000円+おやつ1,000円の学童保育
●〜19:30 延長料金月額+3,000円の延長保育
 この3段階の料金体系で、学校内で横浜型の全児童&学童保育を複合した放課後児童クラブを展開することが、子どもを第一に考えた手法なのではないかと考える。

 もちろん、「子どもを第一に考えるなら、親はもっと早く帰って子どもと向き合わなきゃダメ」という声もあるだろう。その主張は正しすぎるぐらい正しい。だが、現実の前には無力だ。現実として目の前で起こっていることは、低所得の家庭の子どもほど学童クラブに預けられずに、保護のないままリスクの高い放課後の時間を過ごしているという事実だ。理想論では解消できない問題が現実社会では起こっている以上、まずは目の前の子どものためによりよい環境を提供することが政策決定者の務めだと考える。

 以上で、苫小牧市の視察報告を終える。
posted by 小林のぶゆき at 12:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

【会派視察報告:前編】ティボディエ邸は再建すべきか?〜日本製鋼所室蘭〜

北海道文化資源データベースより引用.jpg写真:瑞泉閣の外観(北海道文化資源データベースより引用)
 7/11〜13の3日間の日程で、会派視察に行ってきた。
 ところで、なぜ、会派視察をするのか?

 我々、会派研政は、毎年「政策提言」(旧・予算要望)を作成し、市役所に提言をしている。これを作り上げるにあたっては、PDCAサイクルをまわしている。思いつきで作って、出したらハイ終わり、ではない。視察は、これに必要なのだ。
1)各議員で市民の声を聴く
   ↓
2)市民要望に応える政策を立案する
   ↓
3)先進事例・他市事例や研修会聴講などで下調べする
   ↓
4)会派内で議論して政策を練り上げる
   ↓
5)「政策提言」案を作成する
   ↓
6)「市民と議員のよこすか未来会議」で案への意見を聴く
   ↓
7)会派内で議論して修正する
   ↓
8)「政策提言」完成版を市に提出する
   ↓
9)「政策提言」の実現に向け、議会質問で引き出す
   ↓
10)年度が終わって、政策の実現状況を評価する
   ↓
11)「市民と議員のよこすか未来会議」で進捗を報告する
   ↓
12)最初に戻る

 ざっと、このような過程で仕事している。この3)の一環として会派視察を行っている。


 さて今回は、室蘭の瑞泉閣(日本製鋼所内)、苫小牧の学童クラブ、小樽の観光について視察に訪れた。
 まず、初日7/11の瑞泉閣について。

 室蘭といえば、横須賀と同じく「基地」が先にでき、そこにまちが栄えた所だ。かつて世界の4大民間兵器工場と言われた日本製鋼所である。
 正確に言えば、いずれも出自は「基地」ではなく、工場である。横須賀も「横須賀製鉄所」として拓かれた。しかし、いずれにしても軍需・国策の色彩は濃い。
 そんな日本製鋼所であるから、大正天皇が皇太子時代にいらっしゃったことがある。その際、1911年に日本製鋼所が建てた建物が瑞泉閣だ。
 横須賀市と同じような背景を持つまちの歴史的建造物の保存・活用の一例。そんな意図で瑞泉閣を視察した。とりわけ主眼に置いていたのは、ティボディエ邸の再建のあり方の参考とすることだ。ティボディエ邸については、横須賀市の最高意思決定機関である議会が、再建することを決定している(2012年12月の請願採択、加えて2014年12月の特別委員会最終報告)。

 結論から言えば、ティボディエ邸と瑞泉閣は全く違った。「じゃあ、参考にならなかったのか?」といえば、見て会派内で議論する中で多いに参考になった。

視察による気づき
 瑞泉閣の視察によって得られた視点は次の通りだ。
●「当時のまま」の価値の差
 瑞泉閣は、約100年前の建設当時からの本物が現存している。ゆえに価値が高い。一方、ティボディエ邸は米軍による改変に次ぐ改変が加えられ、当時のままの部材は柱ほか一部しか残っていない。なおかつ、元々建っていた場所が米軍に今なお「占領」されているため、他のどこに建てようが意義も納得感も薄い。
●財源的な裏付けの差
 瑞泉閣には「パトロン」がいる。日本製鋼所が、一般公開もほとんどせずに、海外からの来客などをもてなす場所として今なお活用している。そのため、落書きやいたずらなどもほぼなく、逐次修繕が行われ、保存状態もいい。所有者が一貫して代わらなかったことが幸いした。一方、ティボディエ邸の「パトロン」になり得るのは横須賀市だけだろう。しかも、保存状態も悪く、すでに価値は毀損してしまっている。そのため、観光集客などの付加価値の高い活用は見込めない。持ち出しばかりの多い「パトロン」となるだろう。
●付随する物語性の差
 瑞泉閣よりも、ティボディエ邸のほうが、建物としての純粋な価値はおそらく高かったであろう。しかし、その価値は改変により既に失われた。加えて言うならば、物語性(ストーリー・リッチ度)で見たときの価値も劣る。瑞泉閣には、後の大正天皇が滞在され、昭和天皇も訪問。明治の元勲クラスや数々の海軍高級将官らも足を運んでおり、その遺品も残っている。一方、ティボディエ邸に住んでいたのは、横須賀製鉄所の長官だったヴェルニーではなく、副官のティボディエである。歴史に足跡を残した高官らも足を運んだのかもしれないが、その足跡は知られていない。唯一、富岡製糸場と建築様式が共通するという物語はある。ただし、富岡製糸場のモデルとなったオリジナルである製綱所も横須賀製鉄所にあったとはいえ、ティボディエ邸のほうが富岡製糸場より若干古いとはいえ、富岡製糸場が現存している以上、ティボディエ邸を忠実に復元したところで優位性はない。

本市に活かせる洞察
 上記を踏まえた、横須賀市に還元可能な洞察は次の通りだ。
●ティボディエ邸は部分復元すべき
 そうは言っても、過去の経緯と議会の意向(市民の意向)を踏まえれば、再建しないわけにはいかない。そして、検討委員会が示したように、再建方法にはいくつかある。

・A案 文化財として極力完全な復元
 (保存部材を最大限活用し、内部・外部とも忠実に復元、費用約 3.3 億円)
・B案 一部復元・資料館として利用
 (保存部材を最大限活用し、外部は忠実に復元、内部は一部の復元、費用約 2.9 億円)
C案 資料館として復元
 (保存部材を一部使用し、現代工法で模造復元、費用約 1.1 億円)

 このうち、A案はコストがかかる。B案は中途半端だ。では、C案だろうか? いや。C案のように、全体を復元する必要が果たしてあるのだろうか? 富岡製糸場と同じオリジナルを元にした建築で、なおかつ、もっと古いことが視覚的にきちんと伝えられれば用は足りるのだ。
 ついては、D案を提案したい。博物館の更新時に歴史資料館を建設し、その展示の一部としてティボディエ邸を組み込むのが良いのではないか。それまでは、部材は引き続き保管すればいいだろう。

●ドライドックこそ価値がある
 富岡製糸場と同様に、というよりそれ以上の歴史を持って、動態保存されて現存する歴史的建造物が本市にはある。ドライドック群だ。
 とりわけ、米軍に「占領」された基地内となってしまっている1〜3号ドックは、日本の近代化の鍬入れの地である。近代日本はここから始まったのだ。
 しかも、現在、米軍による1〜3号ドックの使用頻度は低いという。大型艦船が入る4〜6号ドックが中心であり、1〜3号は今ではもっぱら海上自衛隊の小さめの艦船の修理のみだという。
 これを一般向けに展示すべきだ。
 観覧者がドック以外の場所に立ち入らない設備と、ドックに落ちない柵などのコース整備。これさえできれば、返還にはこだわるべきではない。1〜3号ドックの所管が国であろうが、市に移ろうが、米軍に「占領」されたままだろうが、当面は問わない。そういった建前よりも、一般公開という実利を、まずは重視すべきだ。
 他にも、浦賀には世界に4ヶ所しか現存していないと言われるレンガ積みドライドックの浦賀ドックに加え、川間ドックが現存しており、これも価値が高い。ただし、民間企業の所有となってしまっており、公開するもしないも、先方の胸先三寸である。
 一方、横須賀の1〜3号ドックは、施設管理権こそ米軍にあるが、所有はあくまでも国のはずでである。交渉による打開の可能性は大いにあり得る。
 議長や市長による交渉ができないものか、今後、探ってみたい。
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 なお、写真は、日本製鋼所内の赤レンガ倉庫。現役で使用しているという。
 以上で、瑞泉閣の視察報告を終える。
posted by 小林のぶゆき at 15:23| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする